真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
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第二章その三 「雷鳴の三国」

第二章の三・新規登場人物

新開健人
百瀬壮一
夜が来る!に出場。
当作においてはそれぞれ田中雷蔵の親戚だったり
エクレールにプロレス技を伝授したりしている。

イーグル・ダグラス
秋山敬一郎
田中雷蔵
マウマウ
リディア・ロコソフスキー
大帝国に出場。
わっしぃと秋山はそれぞれ
煉クンや久我匡一郎の親戚という設定である。

サワタリ
ぱすてるチャイムコンティニューに出場。

アギレダ
鈴女
マホコ・P・マサイ
チルディ・シャープ
戦国ランス、ランスクエストに出場。
チルディは本作ではエクレールの剣友である。
5秒CM
新開健人
「今日のAfter Ageはきっちりと見てくれよな!!」






<聖アルジェ学院付属病院>
(ORISINAL SONG02.make me funkyA)
 今回の話は聖アルジェ学院付属病院から始まる。
 前の話の鉱山で得たBストーンにより
 病院は一時期の惨状に比べて
 物資・施設・衛生環境等の
 諸々の環境が目に見えて改善されており、
 所々で患者同士の談笑さえ
 聞こえてくるまでに回復している。

 そしてそこではエクレールや美亜子らや、
 全学連から派遣されてきた
 看護婦の古賀ひとみ率いる医師団が
 医療行為及び看護事務等に従事していた。
 病院の環境は日増しに
 目に見えて改善されてきてはいるものの、
 それに伴って従事する仕事の量も
 雪達磨式に増加していく事になる。

 例を挙げれば
 病院の壊れた場所の修理、
 器具の修理や買い換え、
 物資の買い付けや新規患者の受け入れ、
 等々トータルでは前の時の倍近い仕事量となっている。
 しかしそれへの従事者の人数は大して変わらず、
 従事者の多くはブラック企業顔負けの過労で
 疲労困憊のキワミにあるのが現状である。

 その中でも根が真面目なせいか
 エクレール辺りは文字通り不眠不休で
 ロクに食事も取れない日々が続いており、
 現場ではこれらの問題に対する
 一刻も早い対処が求められている。

「大丈夫かえ、エクレールさん。
 何やら顔色が悪い様じゃが?」
「そうじゃぁ、婆さんの言う通り、
 顔がすっかり青ざめとるぞい。」
「い…いえ、そんな事はありませんわ……。」

 老患者夫婦の心配に対して
 心配されてはならじと
 スマイルで答えるエクレールであるが、
 顔色は顔面蒼白で時々フラフラになるなど
 素人目から見ても
 疲労困憊のキワミとしか思えない
 重大なコンディションである。

(ORISINAL SONG05.Kasha〜A Night Comes! Arrange Version)
「その通りだぜエクレール。」
 そこにここで何の脈絡もなく
 一人の巨漢が唐突に入ってくる。
 皆がその巨漢をみると、
 それは火者の一人であり、
 レイプ未遂に定評がある
 金剛力の特体生能力の使い手・新開健人である。

「新開さん!」

 どうやらこの二人は面識があるらしく、
 自己紹介を経ずに互いを認識するが、
 どうやった経緯で知り合ったのかは
 後で追々話す事になる。

「新開さん、何故にここに?」

「いや。ここの病院が多忙だという話を聞き、
 豪の指示によって戦力として
 助っ人数名と一緒にやって来たんだが。」

「戦力?」

 そして新開の後ろには数人の特体生がいた。
 左から
 火者の者の一員・百瀬壮一

 百瀬の親戚の海兵・田中雷蔵

 へっぽこ魔法使いの親戚の忍者・サワタリ

 忍術でこの世界にやって来たと主張する
 どこにも所属していない謎のくの一・鈴女

 である。

「よぉ、久し振りだなエクエール。
 手から光線が出る程忙しいって聞いたから
 助っ人に来たぜ。」

「アンタが荘の言っているエクレールかい?
 俺は田中雷蔵、壮の従兄弟だ。」

「そして俺が忍者サワタリだ。
 ちなみに下の名前は秘密だ。
 何故ならばその方が格好いいからだ。」

「鈴女でござる。
 忍術で異世界からこの世界に
 やって来たでござるよ。」

「へぇ〜、忍術って何でも出来るんだな。」

「当然でござるよサワタリ。何せ忍術でござるから。」

「まあそういう訳でこの五人が病院の助っ人兼、
 今回の三国奪回作戦に従事する訳だ、」
 ここでまた病室の中に一人の人物が入ってくる。
 その人物をよく見ると
 全学連副総長斬真豪その人である。

「実はある筋の情報によると、
 最近戦略的にも重要な地点である三国に
 霊的に重要な磁場が有ると判明したらしく、
 そこで我々は敵に気づかれる前に
 そこを奪回して領土として接収し、
 そしてそこに前線基地を作ろうという
 作戦を立案して通過させた。
 準備が整い次第にこの五人率いる部隊に加えて
 数名の特体生の率いる特体生部隊を
 三国に送り込む算段になっている。
 多忙のところをすまないが、
 もしかすると戦による怪我人が
 運搬されてきた時にはよろしく頼む。」

「ええ、解りましたわ。
 こちらこそお手数をお掛けするかと思いますが、
 皆さんよろしくお願いいたしますわ。」

 豪の話を聞き新開らに挨拶をしたエクレールは
 続けて看護の仕事を続行しようとする。
 言わなくても解るがエクレールの体調は
 今現在過労や寝不足で
 非常にマンモス危険な状態に在る。

「なるほどほどなる、わかったでござる。
 ところでちょいとちょいとエクレール。」

「何でしょうか、鈴女さん?」

(18 comical)
「疲れている時はこれを飲むといいでござるよ。
 これは伊賀の里に伝わる萬くちゅ丹と言って
 数粒飲めば体力も元通りになる秘薬でござる。」

「ちょっと待った!」

「なんでござるか雷蔵?」

「何か怪しさ大爆発な薬だけど
 本当に体力が元通りになるんだろうな?」

「勿論でござるよ。
 TADAに誓って嘘は無いでござる。
 何十何百の植物の中から
 選りすぐられた成分を抽出して
 精製する事数回にして得られたエキスを
 伊賀の指折りの薬剤師によって
 そのエキスを丸薬にしたのが
 この萬くちゅ丹でござる。
 という訳で……ささ、
 遠慮無く飲むでござるよエクレール。」

「ありがとうございます。
 ご厚意に甘えて頂戴致しますわ。
 んがんぐ……」

 鈴女の出した萬くちゅ丹を
 エクレールは水と共に飲むが…

ZZzzz…

 次の瞬間エクレールは
 すやすやと眠りこけてしまった。
 あ、鼻ちょうちん。

「ちょ、鈴女!これはどういうこったい!!?
 肝心要のエクレールはグースカピースカと
 おねんねタイムに入っちまったじゃねえか!」

「鈴女は嘘はついていないでござるよ壮の字。
 この秘薬を飲むと数日間は
 セスナ=ベンビールよろしく起きないでござる。
 その代わりに肉体的な疲労や外傷内傷などの怪我は
 病を除いて全快する上に戦闘民族の如く
 才能限界がアップするでござる。」

「つーか何で眠っちまう事を先に言わねえんだお?」

「あの手の生真面目な性格は
 眠りこけるのがわかるとやる事をやってから
 飲むと言いかねないでござるからね。
 だから鈴女は睡眠の事は敢えて
 口外しなかったでござる。」

「そうなのか?」

「まあ取りあえずは当初の目的を果たそうぜ。
 そもそも俺たちがここに来たのは
 病院の業務を行う為でもあるんだ。」

「確かに新開の言う通りでござるな。
 エクレールをベッドに寝かせるのは
 壮の字に頼むでござるよ。
 新開だとちょっと心配でござるからな。」
「ああ、判った…て、
 いうかいつの間に看護婦の服に着替えたんだ!?」

「鈴女はくの一でござるから
 その程度はお茶の子さいさいでござるよ。」
「ちょっと待った鈴女!
 俺だと心配ってのはどういう了見だ!!?」
「それは自分が一番知っている筈でござるよ。」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぶぬぬぬぬ………!!」
 新開は遠回しに夜来る本編の過ちを指摘され、
 ぐぬぬ顔になっている。
 哀れなり新開。

<三国奪回作戦作戦統合本部>
(27 All the time) 
 場所はその日の夜の
 三国奪回作戦作戦統合本部に移る。
 作戦の総責任者で総指揮官である豪と鈴女ら五人、
 そして九州の南阿弗利加地方に勢力を持つ
 特体生勢力シマヅブラザーズからは
 部族の戦士アギレダ、
 元は九州マサイ地方の土豪で
 今は水戸の土豪である
 ストロツェンド領主・マサイ家からは
 一族の唯一の生き残りであるマホコ・P・マサイ、
 そして最後は同じく九州のサバンナ地方に
 住む部族の女王マウマウが参戦していた。

「きゃつら魔族の侵略により
 ストロツェンドの地は蹂躙され、
 父母も民もじいやも
 皆殺しの憂き目におうてしもうた。
 故に我は一族郎党の敵を討たねばならぬ。
 すまぬがそなた達の助力を請いたい。
 代償は我の命で支払おうぞ。」

「成程、マホコの言い分は判った。
 だが奴らは人類全体にとっても仇敵だからな。
 そうかしこまらずとも
 我々は全力を尽くすつもりでいる。」
「すまぬ。」

 マホコからの空回りしかねない意気込みに対して
 豪は軽くユーモアさえ感じられる口調振りで
 窘める様にマホコを諭す。
 そしてそこに一人の眼鏡をかけた
 軍服姿で長髪の若い男が入ってきた。
 名前は秋山敬一郎。
 狼牙軍団の重鎮・久我匡一郎の親戚であり、
 豪の参謀役でもある男である。

「ただ今密偵が入手した情報によりますと、
 三国に存在する敵の数は当方より少ない戦力ですが、
 その中に四天王の一人がいるとの未確認情報が。
 かつ三国にはかつて人間砲弾でしか
 攻略し得なかった城壁を
 敵がそのまま流用している事もあり、
 こちらの戦力が上とは言え
 一筋縄ではいかない難敵である事には
 変わりはないでしょう。」

「そうか。ご苦労だったな秋山。
 とは言ってもこのまま
 腕を拱いている訳にもいくまい。
 はて、どう攻略したらよいものか……
 以前攻略した時の様に人間砲弾を使った戦術も
 おそらくは既に対策がとられている可能性も高い。
 マウマウにアギレダにマホコ、
 何かグレートなアイデアは無いか?」
「そんなツゴウのいいものはない。」×3

「そうか…ならば致し方無い。
 明日までに妙案が浮かばなければ
 正攻法で行くしかあるまい。
 皆ご苦労、今日はもう夜も更けてきた頃だし、
 各々睡眠を取って今後の戦いの為の
 英気を養ってほしい。」

 豪の一言で今日の作戦会議は終了し、
 各々就寝する……のであるが、
 それは夜中に起こった。
 真っ赤な満月の下、
 外で用を足した新開は
 ふとそこで二つの物陰が
 作戦統合本部三階の天井に向けて
 壁づたいに忍び込もうとしているのを
 偶然ハケーンする。
 その2つの物陰は形からして
 異形の魔物である事は容易に想像が付き、
 そして更に手にはバットのような
 物騒な得物を持っていた。

<統合本部の屋根の上>
(23 silence..)
(SE:ガサゴソガサッ)
 場所は統合本部の屋根の上に移る。
 そこでは二匹の男の子モンスター・ヤンキーが
 スパイ大作戦を企てていた。
 そして遂にその企みを
 実行に移さんとしていた時である。


「どうやらここの下の部屋に敵大将の斬真豪がいるらしいぞ。
「どうだ、ここは一つ大将の斬真豪を始末しちまうってのは?」
「馬鹿な!イデア様の指令も無いのに勝手な!」
「馬鹿はお前さ。よく考えてみろ。
 ここで手柄を立てれば俺達の株も上がるチャンスだぜ。」
「そうはイカの金隠し。」
「一体誰でぇ、つまらねえダジャレを言う奴は」×2

(ORISINAL SONG10.Future to Battle@)
(SE:グワシッ)
 二匹が声のする方向、
 つまり後ろを振り向こうとすると、
 不意に二匹の首根っこを
 強力な握力で掴まえる者が現れた。
 その正体は二匹の侵入に気づいて
 後を追っていた新開である。

「詰まらんダジャレで悪かったな。」
 そして新開は屋根の一番天辺のところに行き、
 二匹を屋根からつき落として始末せんとする。

「ご苦労さん。はい、ここまで。」
「やややめろぉ!離せぇ!!」×2
「うるさいよ。」
(SE:グィッ)
ギャー!!」×2
 二匹は無駄な抵抗を試みるものも、
 新開の握力に首を絞められ、
 その努力は水泡に帰する事になる。

「怖いか?」
「こ、怖い怖い!!」×2
「助かりたいか?」
「助かりたい!助かりたい〜!!」×2

「ダメだな。」
「えぎィ〜!!そそそそんなぁ〜!!」×2
「それじゃ逝け。」

 二匹の必死の命乞いに対して
 新開はにべもない返答でそれを却下し、
 相手の背中を後ろから突いてバランスを崩させ、
 屋根から走り落ちる様にさせる。
(SE:ガタガタガタガタガタガタッ)
(SE:ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ)

「やめてとめてやめてとめてやめてとめて
「とめてたすけてとめてたすけてとめてたすけて

とめった!!
とめぴゅー!!
(SE:ひゅーーーーードスン!!!!)

 二匹は屋根の上で止まる事も出来ず、
 そのまま屋根の上から地面に走り落ちて
 地獄にメサルティム。
 当然これら一連のバカ騒ぎは
 本部内部に筒抜けであり、
 間もなく屋根の上に豪がやって来る。

「何やら騒がしいと思ったら新開だったのか。
 それで、このバカ騒ぎは一体なんじゃらほい?」
「いや、たまたま外を歩いていたら、
 不審な侵入者が2匹忍び込もうとしていたから
 屋根から突き落として仕置きしたところだ。」

「それは少々まずいな。
 仕置きしたとあっては拷問をかまして
 そいつらの正体や仲間等の情報を
 吐かせる事も出来んぞ。」
「そうか、それはまずいな……
 と言いたいところだが、
 どうやら敵さんは向こうから
 攻めてきたみたいだ。」

 豪の指摘に対して新開は明後日の方向を指差す。
 するとどうであろうか。
 そこからは無数の魔族がこっちに向かって
 攻め込むべく進軍しているではないか。

「成程…そういう訳か。
 さしづめその二匹は先遣隊或いは
 功を焦ってやって来た抜け駆けというところか。
 そしてあの連中の目的は我々が寝こけている
 ところに対する夜襲といったところだな。」

「とりあえずはみんなを叩き起こして
 夜襲に備えさせた方がいいんでないのかい?」
「ああ、その通りだな。」

<統合本部の正門前>
(35 Kamui @)
 場所は統合本部正門前に移る。
 そこでは魔族の夜襲舞台が夜襲を行わんと
 念入りに準備をしていた。

「ウヘヘヘ、
 奴等グッスリト寝こけてやがるぜきょーでぇ。」
「このまま寝込みを襲って
 女はマサクゥルで男はリンカーンと行くか。」
 どうやらハッテンバ目当てらしい。

「火組、おまいらは火術幻庵の用意をし、
 我々が夜襲に成功した合図を送れば
 館に放火して一網打尽にするのだ。」
「おう、わかったぜ!」
「行くぜヤロー共!!ヒャッハー!!

(SE:ガシャーーン!!)
 そう言うと部隊長は
 門を蹴り破って本部に殴り込み、
 意気揚々で寝こけて右往左往している
 特体生の群れ相手に無双する手筈であったが…
 何と中は静まり返って
 猫の子一匹の鳴き声もしないではないか。

「え〜い!もしかして奴らめ我々が意気揚々と
 カチコミをかけて来た事に気づいていねえのか!!?
 まあいい、ヤロー共!!
 取りあえず部屋という部屋を虱潰しに開け回って
 そこで寝ている特体生共をマサクゥるぞ!!」

 そう言うと部隊長は部隊を幾つかに分け、
 虱潰しに部屋を訪問して
 襲いかかるという作戦に出る。
 そしてある一隊の一匹が部屋を空けた瞬間である、

(32 terrible beat @)
 だが期待に反してそこには誰もいなかった。
 一隊は期待外れの顔をして
 部屋を去ろうとするが……
 自分達がいつの間にか
 完全戦闘態勢の特体生の集団に
 取り囲まれている事にここで初めて気づく。

(SE:ドッギャアアアアアン!!)
「こ、これは一体どういう事だ!!?」
「我々が大きな物音を立ててカチコンで来ても
 誰も起きねえから変だと思ったら
 こいつら最初から夜襲の事を
 知ってやがったのか〜!!」

「その通りよ!みんなやっちゃえ〜!!」
「あややあややあやあやや〜〜!!!!」
(SE:ボコスカバカスカドゲッヅビャアアアア)
 不意をつかれた上に周りから取り囲まれるという
 最悪のポジションを前に慌てふためきながらも
 空しい抵抗を試みるが鎧触一蹴で全滅してしまう。

 ここで何故こういう展開に
 なったのかを説明しよう。
 夜襲を察知した号はその夜襲部隊に対して
 本部の中から正面切って
 本部の外の夜襲部隊に応戦するのではなく、
 夜襲に気付いていない振りをして
 敵を討ちにおびき寄せ、
 そこで隙を見せた時に一網打尽に侵入してきた
 夜襲部隊をせん滅するという作戦にである。

 この作戦はものの見事にピッタシカンカン的中し、
 敵の夜襲部隊はこの作戦によって
 ボロクソに各個撃破されていく。
 そして火術幻庵を仕掛けるタイミングを
 計っていた火組も敢えなく全滅し、
 夜襲作戦はものの見事に失敗に終わってしまう。

 だがこの時の混乱に乗じて
 何者かが本部に密かに侵入し、
 誰にも気付かれないままに
 本部を去ったという事実があったのである。

<医務室>
(ORISINAL SONG21.Ombre de Eclair)
 場所は医務室に移る。
 そこでは鈴女の萬くちゅ丹によって
 グースカガースカ爆睡状態に陥っている
 エクレールがベッドにいる。
 何げに抱き枕はマリーシアの絵柄だ。

 勿論扉には鍵がかけられており、
 外には屈強な特体生が二人交代制で
 不審者の侵入等の有無を見張っている。
 そこに前述の侵入者が誰にも気付かれずに
 侵入してきたのである。

 そして雲に隠れていた月が
 雲が晴れた事により顔を現し、
 その月光がシルエットとなっていた
 その不審者の全身を照らし出す。

 身に纏いしは鬼畜王ランスのんゆー!もとい、
 魔人サテラに酷似した未来的宇宙的で
 マンモスサイケデリックなスーツ、
 豹の様にしなやかで細身の身体、
 そして顔は部屋で寝ている
 エクレールそのものであった。
 もっとも目が若干つり上がっており、
 不敵な表情を浮かべているところは異なるが。

 そしてその正体はまごう事無き
 神威軍の四天王イデアその人である。
 実はこのイデアは夜襲部隊のカチコミ以前から
 こうやって信長の寝床に忍び込んで
 数刻も飽きる事も無く
 信長の寝顔を見ていた甲斐の蝙蝠の如く、
 グッスリト深い眠りに落ちている
 エクレールの寝顔を見ているのである。

 ここで画面全体にイデアの瞳のアップが
 映ったかと思うと、
 次には何の脈絡も無く何故か
 場面が深い森の中へと映る。

<深い森の中>
(07confront the enemy)
 そこではリスや兎といった小動物に囲まれて
 ほんわかのんびりとしているエクレールがいる。
 そしてエクレールの頭には何故か犬の垂れ耳が。

 おそらくこの森は最近はオルレアンの
 業務・決済・会議等の仕事や他の仕事で
 文字通り休む暇も無い
 エクレールの夢の中だと思われる。

(ORISINAL SONG21.Ombre de Eclair)
 まあ実際夢の中なんだけどね。
 このままのんびりとした時間を
 過ごしてもらうのもいい

「よくないわよ。さっさと話を進行しなさい。」

 分かった分かった、じゃあ話を進めるから。

 という訳でここでいきなりイデアが
 エクレールの後ろに立つ。

「ねぇ、エクレ……マリーシアが好きなの?」
「……貴女は一体…誰なんです?」
「エクレの好きな人はみんな嫌い、大嫌い!!
 でもすぐに逢える……もうすぐ逢えるよ……
 もうすぐ……もうすぐだよ。」
 くすくすと笑いながら、
 再び溶け込む様に消え去る。

<作戦統合本部会議室>
(大帝国BGM:御前会議)
 場所は一夜空けた統合本部会議室に移る。
 そこでは総指揮官の豪を初めとした面々が
 昨夜の夜襲の件を主題とした会議を始めるべく
 雁首を並べていた。

「という訳で、昨夜神威軍からの夜襲があった。
 幸い新開が初期の時点で発見したから
 大した被害も出さずに撃退する事に成功はしたが、
 現時点では敵の襲来の目的がさっぱりなのが現状だ。
 まあ単純に夜襲で我々を叩こうという考えもあるが、
 それにしては敵の数が少ないのが気になる。
 そこで皆の意見を拝聴したい。」

 豪の意見の要求に対して他の面々は
 あらん限りの知恵を振り絞って
 意見を出そうとするが、
 中々よい意見が浮かび上がらない。

(大帝国BGM:自由と平等と正義と)
「もしかすると夜襲は囮で
 本命は何か別にあるかも知れねえぜ。」
 待った、誰かいい事を言った。
 皆の衆がその発言者を見ると
 その発言者は獄煉総長偉田川煉……
 の親戚であり、
 在日ガメリカ軍から派遣されてきた
 在日ガ軍総責任者イーグル・ダグラス
 その人である。

「例えば戦闘中の混乱の中で
 人間になりすましたスパイを侵入させるとか、
 本部の中に忍び込んで
 重要な情報や物品をかっさらう、
 或いは俺達の目をそらしてその間に
 何か別の目的を果たす囮か……
 それとも我々の予想もつかない
 全く別の目的か…」

「ふぅむ……成程、よく分かった。
 取りあえずは今から
 末端の人員に至るまで一斉点検後、
 全員で本部に侵入して
 何かワルさをしたかどうかの調査、
 ここ数日間の敵の調査に当たろう。
 秋山、準備を。」

<本部前広場>
(大帝国BGM:立ち上がる天才)
 場所は本部前の広場に移る。
 そこでは魔族が味方の特体生になりすまして
 忍び込んではいないかを
 確認する為の点呼が行われている。
 点呼の責任者は新開のタッグパートナーでもある
 屈強なプロレスラー・ケイジン=ガーターである。

「1列目、せいれーつ!!
 天見!二月!荻原!高月!昭月!」
「オス!」
「2列目、せいれーつ!!
 水無瀬!菊池!見浦!二海(双子)!星囲!」
「オス!」

「よう、ケイジン。何か怪しい事はあったのか?」
 ケイジンが特体生の総点呼をを得た頃、
 本部内の物品他の確認作業に当たっていた
 イーグルがやって来た。

「ああ、イーグルか。
 こちらは一応全員に対して
 一人一人綿密に検査を行ったが、
 今のところは怪しげな結果は出ていない。」
「そうか、それは何よりだ。
 俺のところでは物品が数点失われているが、
 幸いな事に重要なものは手つかずのままだ。
 しかしそうなると
 敵の目的が何なのかさっぱり解らんな。」
「或いは本当に単なる夜襲だったのか……」

<本部の中の食堂>
(08 Make me funky)
 一方本部の中の食堂では
 敵が疫病・疾病の元となる類のものや
 毒物劇物を置いていったのでは
 ないかという疑念から
 豪率いる特殊衛生部隊が集結していた。
 それら特殊衛生部隊の任務は
 そういった類のものを見つけ次第、
 適正な対処を下してそして安全が確認されるまで
 消毒等の諸作業をこなしていくのである。

「ふむ、全員集まっているな。
 ではまずこの食堂から作業を開始していき、
 次は広場、次は個人部屋、次は大人数部屋、
 次は食料庫と武器庫、次は……」
 と部隊に点検の場所と点検の順番を指示し、
 部屋の一つ一つを丹念に調べていった結果、
 一応安全は確認されていった。

<統合本部会議>
(大帝国BGM:御前会議)
 場所は再び夜の統合本部会議室に移る。
 そこではすでに人員と物品と罠の
 設置の有無の確認の報告がなされている。

「成程。詳細は解った、皆ご苦労。
 さて本題に入るが、
 昨夜の襲撃の件については
 現時点では夜襲による
 我々への物理的な攻撃と判断する事となった。
 それでその襲撃により一時中断していた
 三国奪回作戦の立案の話に戻るが……
 現在我々は敵の夜襲を返り討ちにして
 非常にテンションが高まっており、
 対して敵は夜襲のカチコミが
 失敗に終わっただろうから
 この機を逃さず一気に打って出て
 三国を奪回したい……と言いたいところだが、
 相手はあの難関不落の要塞・三国である上に、
 敵もふんどしを締め直してくるだろうから
 ここは一つ有効な策が有るかどうかを
 一応皆に問うてみたい。
 秋山、何か妙案は無いか?」

「そうですね……三国の元の領主である
 毛利兄弟や項明みちる嬢に話を伺ってみるのも
 悪くはないと思いますが。」

「ふむ、そうだな。」
(SE trrrr)
「もしもし亀よ、亀さんよ。
 尊拳尊拳、こちらは斬真豪だ。」
「ん、豪か?こんな夜更けに一体何の用ジャラホイ?」

「実はな、かくかくしかじかの理由で、
 今回の作戦は三国奪回作戦に決まった訳だが、
 しかし三国は知っての通り
 難攻不落の城塞でありからして
 元々の領主であるお前達に
 話を聞いてみる事になった訳だ。」

「成程、そういう事か。
 前回の戦闘では三国は
 人間大砲に対する備えが不十分だったから
 その事をふまえて今では
 三国の人間大砲に対する備えは
 万全になっている。
 今回の三国攻略ではそれが
 完全に裏目に出る事になるな。」

「ふむ、そうか…ものは相談だが尊拳、
 それをどうにかして攻略する方法を
 伝授キボンヌしたいのだが。」

「攻略法か……そりゃあねえ事もねえが……
 城塞の南側の土壌は他の地面に比べて柔らかく、
 そこにトンネルを掘って中まで
 いけねえ事もねえんだが、
 他の地面と比べて柔らかいだけで
 別格柔らかい訳じゃねえし、
 それに敵に気付かれねえ様に掘り進むには
 かなり遠い場所から掘り進まなきゃならねえ。
 だからそれまでの間に敵の注意を
 引きつけておく囮が必要になってくるな。」

「成程、よく解った。ありがとう尊拳。
 さて皆も聞いていたとは思うが、
 三国のトンネルを掘って内部に侵入する
 という戦法が尊拳より提示された。
 無論それらの作業を行う上での難易度は
 並のものではない上に敵に気付かれない様に
 陽動作戦を行う囮部隊が必要になってくる。
 言うまでも無いがその囮部隊や掘削部隊には
 選りすぐられた特体生が必要だ。
 出きるならば他の策を採りたいのだが
 何か妙案は無いものだろうか?」

 ここで豪は尊拳の出した
 提案の困難さを熟知した上で
 敢えて他の案が無いかを改めて皆に問いただす。
 しかし頭脳明晰な豪でさえもが
 尊拳の立てた難易度Sクラスの
 無理ゲーレベルの作戦に
 すがらざるを得ない状況であるからして、
 他の連中が気の利いた妙案を
 浮かべる事が出来る筈もなく、
 勢いその作戦が採択される事となる。

<????>
(ORISINAL SONG21.Ombre de Eclair)
 ところはどこがしかの殺風景な部屋の中に移る。
 そこはほぼ青色一色で調度品や家具などの
 生活臭がほとんどしない部屋であり、
 そこにはイデアが一人くつろいでいる。
 どうやら大体が自分の思惑通りに行き、
 非常にご満悦な表情である。

 ここでそこに暗闇から一匹の蝙蝠が入ってきた。
 どうやらイデアの使役する一種の使い魔らしく、
 イデアに某かの情報を伝えるとまた暗闇に消えていく。
 そしてその情報が自分の思惑と合致して
 都合がいいグッドニュースなのか
「クスクス……また逢えるね、エクレ。」
 と益々ご機嫌でご満悦な表情になる。

<三国の城塞前>
(大帝国BGM:電気椅子と鼠)
 場所は一夜明けて
 魔族の立て篭もる三国城塞前に移る。
 そこでは豪率いる全学連と
 城塞内の魔族が対峙していた。
 いや、正確には引き篭もりなので
 対峙ではないが。

「ふむ……やはり実物を目の前で見ると
 流石に堅牢で絶望感が沸々と沸いてくるな。」
「ええ、そうですね。
 城壁の高さは優に数十mに厚さは数m。
 更には斥候の情報では籠城や応戦の為の
 物資も豊富に蓄えられていて
 兵糧攻めも最低でも
 数ヶ月以上はかかるとみて間違いないかと。」

「そうか……ならば我々のなすべき事は、
 別動隊がトンネルを掘って場内に侵入し、
 そして扉を開くまで場内の敵と応戦し、
 注意を我々に引きつける事が主な役割になるな。
 ならば新開と百瀬率いる部隊は城塞の右側から、
 田中と鈴女率いる部隊は左から応戦する。
 勿論敵に我々の意図を感づかれる事の無い様に
 慎重に戦わなければならん。
 秋山、皆に城塞とその周りの地図を見せてやってくれ。」

(大帝国BGM:御前会議)
「ええ、わかりました。」
 豪の指示通りに秋山が
 スライド式の投写機を起動させると、
 スクリーンには城塞を上からとった地図や
 城塞の周りの風景等が映し出されていく。

「今御覧になっている映像は
 城塞の右側の砦になります。
 勿論砦は堅牢な城壁だけではなく、
 城壁に備わっている穴から
 銃火器やら煮えた油やら弓矢やら落石やら
 ありとあらゆる兵器が飛んでくる事になります。
 次にこの映像になります。
 これは城塞の左側の砦になりますが、
 こちらは右側の砦と違ってこれといった
 ギミックは仕込まれてはいませんが、
 それ以上に堅牢な城壁を用意しており、
 右の砦よりも防御に特化した
 堅牢な構造になっております。
 そして正面の城門は悪魔の将軍に匹敵する
 難攻不落の城門硬度を有しており、
 今の我々では敵の攻撃を凌いで
 城門を破る事は至難の業と思われます。
 ひとまずは一度攻めて長期戦と見せかける為に
 白の周りを囲んで時々攻め込むのが良いかと。」
「判った。では皆配置につく様に。」

<別動隊のキャンプ>
(32 terrible beat A)
 場所はマホコとマウマウとアギレダが率いる
 別動隊のキャンプに移る。
 そこでは三人率いる別動隊が待機していた。

 これら別動隊の主任務は
 地面から城塞内に続くトンネルを掘って
 そのトンネルを通過して城塞の内から
 敵を攪乱しつつ城門を開き、
 城塞外に待機している本部隊を
 城塞内に導き入れる事である。

 そして既に別動隊はトンネル掘削の為の
 準備を万端整えており、
 後は三人の指示さえ有れば
 いつでも作戦を実行に移す体制が整っていた。

「マウマウ、男のロマンのドリル削岩器の調子はどうだ?」
「うむ、まえのたんさくで、
 エクレールたちがゲットしたサクガンキだが、
 これはなかなかバリキがあって
 バリバリツカいごこちがいいぞ。
 まるでチキュウのうらがわにでも
 イけそうなカンじだ。」

「こっちもヨシヒサが手配した職人や木材が今届いた。
 旨く行けば二〜三日でトンネルは開通するだろう。
 マホコの方はどうだ?」
「ああ、土砂を運ぶ移動式ベルトコンベアーに、
 トラックの準備は既に出来ている。
 我の魔法による火力発電装置も整えてある故、
 心配するでない。」

「マウマウさん、
 我々は既に準備が整っておりますぞ。
 いつでも作戦開始に従事出来ます故ご指示を。」
 マウマウ達が後ろを向くと今回の作戦に従事する
 特体生の一隊が既に準備を整えて待機している。

「うむ、善は急げだ。すぐに取りかかるが良い。」
「はっ!」
 流石に訓練された特体生なだけあって
 その行動に無駄は殆ど無く、
 洗練された行動でトンネル掘削作業を進めていき、
 あっと言う間にトンネルの入り口を作成する。

「ふむ、手慣れたものだな。ご苦労だ。
 懸念であった作業中の騒音も差程せぬ故
 敵に気付かれる可能性もあるまい。」

<城塞の右の砦>
(05 Dash! To BattleA)
 一方城塞の魔族側はいち早く
 全学連の動きを察知していた。
 城塞側から見れば全学連軍は
 城塞の周りを取り囲む様に陣取っており、
 隙あらばいつでも強襲出来る陣営を
 整えている事は一目瞭然である。

「あ〜、もしもしイデア様〜。」
「一体何の用なの?
 アタシは今取り込み中だから後にしなさい。」
「あ〜、タンマタンマ、切らないで下さいよ〜。」

「うっさいわね。一体何の用なの?」
「いえ、その〜、ご存じとは思いやすが、
 城塞の目の前に特体生共が大挙して
 カチコミをかけてきてやがんでさぁ。」

「あ、そう。じゃあとっととカタしなさいよ。」
「はい、わかりやし…ってちょっと待って下さいよ!!
 じゃあイデア様はどうなさるおつもりですか!!?」
「アタシ?アタシは今やる事があるし、パス。」

 あまりにも素っ気ないイデアのサボタージュ宣言に
 魔物は口をアングリ空けて呆れた様な顔をしている。
 それもその筈である。
 そもそもイデアはここの城塞の最高責任者であり、
 城塞の事に関する一切合切は
 イデアに一任されているのである。

「そりゃあねえっしょ!!
 ていうかアンタここの監督でしょうが!!
(SE カチャッ、ツー、ツー)
 くそっ、あのクソアマ切りやがった!!
 いつか「サボるクソアマに回し蹴りィ!」しちゃる!
 だが心配はいらねえ。
 俺らには本部から派遣されてきた
 全殺衆の精鋭が数百もいるんだ。
 あんな奴らに負けてたまっかよ。」

<右の砦の正門の目前>
(32 terrible beat @)
 一方全学連の部隊は堅牢な城塞の前に
 川を挟んで陣取っている。
 実はこの前に存在する川は何気に厄介なもので、
 流れが速い上に深さもかなりあり、
 おまけにいつ氾濫するか判らず、
 この川を越えるだけでも
 少なからぬ労力と犠牲を要する事は
 戦の素人でも用意に想像がつく程である。
 ましてや川の後ろに控えしは天下無敵の三国の城塞。
 一朝一夕に落ちるものではナッサブル。

「さて…と、どうしたものだろうか?
 取りあえず、何も考えずに突撃しよう。
 秋山、適当に突撃して適当に戦って、
 適当なタイミングで退却する、
 とそう皆に伝えてくれないか?」

「はぁ……適当ですか?」
「ああ、適当だ。
 その次は鈴女率いる一隊、最後は新開率いる一隊だ。」

(大帝国BGM:一斉射撃−呂)
突撃ー!!
(SE:ドンドンパッパッドンパッパ)
 場所は変わって砦正門の川に移る。
 豪の指示を受けた全学連は大挙して
 砦の前の川を渡ろうとする。
 だがそれを敵が黙って見ている訳はなく、
 すぐさま火の玉や矢や投石等の鳶道具が
 全学連軍に向けて発射される。
 それに対して全学側は河野水軍の誇る
 屋根付き鉄鋼船・安宅船からの
 飛び道具の応射でそれらの攻撃に対処していく。

「オイどおする?
 奴ら城壁のそばまで辿り着きそうな勢いだぜ!!」
「ししし心配すんねえ!
 魔族軍人はうろたえない!!
 例え側に辿り着いたとしても、
 ここの城塞の城壁が簡単に破られる訳がねえ!!
 落ち着いて対処すれば何も怖い事なんてねえ!
 ありったけの矢や石を奴らに浴びせかけてやんだよ!!」

(SE:ドンドンパッパッドンパッパ)
 一時は不意を付かれたからか
 うろたえていた神威軍は
 冷静さを取り戻して態勢を立て直し、
 全学連軍に対して反撃に出る。
 その猛反撃の前に全学連は
 たちまちのうちに負傷者を続出させ、
 とてもではないが城攻めどころの話ではない。

「ふむ、そろそろ頃合いだな。
 全員たいきゃくせー!
 ここで豪の撤退の号令が入り、
 全学連軍は撤退を開始する。
 もっとも敵がその好機を逃す筈がなく、
 撤退する全学連軍を纖滅すべく追ってくる。

 今追撃されたらいくら全学連軍でも
 ひとたまりも無いが、
 ここで殿軍を勤める
 ケイジン=ガーター率いる一隊が立ち塞がる。
 そのケイジンは一糸乱れぬ統率と防御振りで
 見事に殿軍を果たしての撤退に成功する。

「密偵からの情報によりますと、
 敵はこの後防御に徹して
 油断のかけらも見せないとの事です。
 そして今入った情報によりますと
 鈴女隊と新開隊は城塞の砦の敵と一戦交えて
 適当にきりのいいところで撤退したとの事です。」

「ふむ、成程な。報告ご苦労、秋山。
 ところで次の指示だがな、
 これより持久戦の戦線を取る。」
「持久戦……ですか?」

「正確には持久戦をする振りだな。
 それで連中の注意を我々に集め、
 その隙にマウマウら別動隊が
 トンネルを掘って城の中に進入し、
 城塞の扉を中から解放するからその時に備えて
 我々は城塞の近くで鋭気を養いつつ時を待つ事にする。
 誰か部隊を指揮するものがあるか?」
「ここにいるぞ。」

 ここで戦士バーナード=セラミテが名乗りを上げる。
 バーナードはランス世界のバーナードと同じく
 剛剣を操る戦士であるが、
 ママトトのリック=アディスンと
 ランスのリック=アディスンが
 同姓同名の別人28号である様に、
 こっちのバーナードも
 ランス世界のバーナードとは別人28号なのである。

「ああ、すまないなバーナード。
 今呼んだのは他でもない。
 マウマウらの別動隊が城塞の扉を開けて
 我々が場内にカチコミする時まで
 持久戦の態勢を取る故皆にいつでも
 戦える準備をさせて待機させてほしい。
 それと余裕があれば皆に
 戦闘技術の手解きをして貰いたい。」
「判った、任せてくれ。」

<全学連軍のキャンプ内集合場>
(27 All the time)
 場所は城塞の前に陣取ってある
 全学連のキャンプ内の集合場に移る。
 そこではバーナード率いる全学連の精鋭が
 規律正しく整列している。

「あー静粛に。
 もう聞いているかも知れんとは思うが、
 今から我々は持久戦の体勢に移る事となった。」
「持久戦……ですかい?」

「いや、正確には持久戦の振りだがな。
 持久戦に見せかけて敵の注意を我々に向けさせ、
 別動隊が城塞の扉を開けた時の為に
 今から準備と待機をする事になっている。
 注意すべき点は敵に我々の意図を
 悟られない様に行動する事にある。
 待機中は各々油断無く突撃の時までの時間を
 有意義に過ごす事だ。
 そして決起には逸って
 自分勝手な行動を起こさない事。
 重要なのはこの3点だ。他に質問は?」

「それでは我々はいつまで待機していればいいのか
 具体的な日時とかは
 ある程度把握出来ているのでしょうか?」
「それは別動隊の作業進行に依存しているので
 詳しい日時は判らんが、
 大体は恐らく3日後と予想している。
 3日前後と考えて各々
 有意義に時間を過ごして欲しい。」

<城塞内>
(35 Kamui @)
 場所は城塞内に移る。
 そこでは神威軍が全学連軍の強襲を退けて
 有頂天の天狗になっている。
「へっ、この城塞がそう簡単に落とせるかっちゅーの!」
「アイツらもバカな連中だ。
 いつでも来やがれ、返り討ちにしてやんよ!」

「あら、結構調子がいいじゃないの。」
「ん?誰でぇ……ってイデ浅間、じゃなくてイデア様!」
 いきなり魔物Aに対して何者かの声がかかる。
 魔物Aがその声のする方向を向くと
 そこにはいつの間にかイデアがいた。

「ていうかイデア様、
 今までどこほっつき歩いていなさったんですかい?
 我々は必死こいて奴らと戦っているっちゅーのに!」
「仕方が無いじゃない。
 アタシは今まで神威のところに呼ばれてたんだもの。」

「神威様のところに?」
「ええ、そうよ。
 今までの戦況の報告にこれからとる戦略等の
 談合とかやるべき事は沢山有ったわ。」

<回想 神威城の会議室>
(36 Kamui A)
 場所は回想の神威城の会議室に移る。
 そこにはラスボスである神威がラスボスらしく
 偉そうにシャッチョー椅子にふんぞり返っており、
 その前の円卓を囲んで

 ラ・ピュセル

 破国院

 ムラタ

 イデア
 
 の四天王が雁首並べて勢ぞろいしている。

「よぉ神威、俺らに雁首揃えさせて何の用だ?」
「これでも我々は多忙の身だからな。
 用があるのなら手短にして貰おう。」
「まあそう急くな、ムラタ、ラ・ピュセル。
 お前達をここに呼んだのは他でもない。
 今後の戦略の事についてだが、
 今後我々は今までの戦略を大きく変換する事にした。」

「ふうん、そうなんだ。
 それでその戦略ってのはどういうシロモノなのさ?」
「今から我々は
(SE ドンガラガッシャーン!)
 だ」

「わざとらしいタイミングの落雷だな。」
「まあそう野暮な事を言うな破国院。
 今ここでネタバレしたら
 視聴者諸君もつまらなかろう。
 そういう訳で今後はこの路線で行く事になる。」
「だがその戦略を採るにしても
 なぜその戦略を採る必要があるのだ?
 目的は一体なんなのだ?」
「それはだな……」

<城塞内>
(35 Kamui @)
 ここで回想は終わり、城塞内に移る。
「はぁ、さいでっか。」
「それから今さっき手に入れてきた情報だけど……」
「何々?ふむふむ……流石イデア様、
 我が軍随一の地獄耳だけはある。」

(SE ガスッッ)
「織田真理。
 余計な事を言うと地獄耳のガジランみたいに
 耳を切り刻んでやるわよ。」
「すいやせん、つい口が滑りますた。」
「囲碁将棋気をつける様に。」

<制作中のトンネル内>
(07confront the enemy)
 場所はマウマウらが掘っているトンネル内に移る。
 マウマウらの仕事は合理的かつ迅速で、
 早くもトンネルの半分が
 出来上がるところまで来ている。
 中でも削岩機の威力はマンモス凄まじく、
 土砂運搬のベルトコンベアーが
 追いつかない程の働きを示している。

「ふむ…この調子だと一日中に
 城塞の下まで辿り着けそうな勢いだな。
 ん?どうしたマウマウ?
 左様に辛気くさい顔をしてからに。」
 ふとマホコがマウマウの表情の異変に気づく。
 よく見るとマウマウの顔はなにがしかの異変を
 感じ取っている様にも思える。

「マウマウのヤマカンダイロッカンが
 ミョウにゴロゴロとサワぐぞ。
 ナニかココロのソコやノウミソのオクから
 ケーショーがガンガンなりっぱなしなキがする。」
「まあこういう危険な作業には
 多かれ少なかれ予期せぬアクシデントがあるものだ。
 問題はそれらをどう乗り切……」

「ベッベホンマー!!」
 ここでマホコが話している途中で
 何の脈絡も無くベホンマが3人の前にやって来た。
 どうやら火急の用らしく半分息を切らしている。

「左様に急いで何の用だ、ベホンマ?」
「イコーズ!ジャブジャブ!
 ドクーツドザイモーン!!」
 マホコの問いに対してベホンマは
 懐からぼろぼろになった手紙を手渡す。
 どうやら非常に重要な内容の手紙らしく、
 ベホンマは大層な表情と手振り口振りで
 手紙の内容がいかに重大であるかを示し、
 手紙を熟読していたマホコらの表情も
 次第にシリアスになってくる。

「うむベホンマ、ゴクローだった。
 さっそくワカったとゴーにヘンメイしてくるのだ。」
「ベホマベホマベホンマー!」

 マウマウの返事を受けたベホンマは
 カール君顔負けの早さで洞窟から去る。
「どうするマウマウ、マホコ?」
「フフフのフ、任せておくがよい。
 我に○秘策有りけり、
 それはな…ゴニョゴニョ…」
「成程、だがそれは危険な賭けではないか?」
「心配無用、解散無用。勝算は十分に有る。」

<城塞正門の目前>
(大帝国BGM:一斉射撃−呂)
 場所は城塞正門の目前の全学連軍に移る。
 そこでは全学連軍が別動隊による
 城塞の門の内よりの解放を今か今かと
 城塞の門の前で待機している。
 もっともこれまでにも城塞の中の敵と
 何度かの小競り合いはあったが。

 だが秋山は一号生松尾の
 悪い予感にも勝るとも劣らない
 直感による一抹の不安を感じていた。
 もしかすると自分達の作戦は
 見破られているのではないか、
 という不安であるが、
 豪にその事を進言するものの、
 いつもは慎重な豪が今回に限っては心配無用と
 はっきりと断言しているからである。

「いつもは慎重なあなたらしくもない……
 本当に大丈夫なんでしょうね?
 私はさっきから妙な胸騒ぎがするんです。
 どうも我々の作戦が巧く行き過ぎて
 どうも敵に見破られている様な気がするのですが……」
「なあに、心配はいらんさ。
 マウマウ達に任せておけば……」
(SE ゴゴゴ……)

(ORISINAL SONG12.Confort the enemyB)
 豪が返事を終えようとしたその時である。
 いきなり轟音がしたかと思うと前の河の水位が
 一気に下がり初めているではないか。
 秋山は一瞬豪が何かを策してそれによって
 河の水位が下がったものと取ったが、
 当の豪は今起きた出来事に対し、
 誰が見ても明らかに狼狽えた様子を見せている。

「ま……まさか……!?」
「ウェーハッハッハ!!かかったなバカチン共がぁ!」
 そして敵の陣営からは
 勝ち誇った下品な笑いが聞こえてくる。
 よく見るとそれは我が事なれりといった
 ドヤ顔の神威軍であった。

「おまいらがトンネルを掘って
 我々の城塞の中に潜入して
 城扉を内より開けようとしていた事は
 既にしょうちのすけよ!
 今頃トンネルの中ではモグラ共が全員
 ドザイモーンしている頃だろうよ!!」

「……何という事だ……
 我々の策は全て読まれていたと言うのか……」
「今頃判ってもおせーのよ!!
 ヤロー共やっておしまい!!」

 ここで調子こいた神威軍がヒャッハー状態で
 全学連軍を一気に強襲する。
 しかし乾坤一擲の策を見破られた
 全学連軍の指揮は乱れ、
 士気は嫌がおうにも低下し、
 全力で神威軍を食い止めるものの、
 雪崩を打って勢いに乗る神威軍の前に
 多数の負傷者を出し、
 数里も陣を引き下がらざるを得なくなる。

 更にこの乱戦において総指令官の豪が
 何故か行方不明になってしまった為に
 全学連軍は総指令官が不在という事態に
 陥っているのである。




アイキャッチ
新海 健人
 「誰だ、俺がエクレールにレイプ未遂するんじゃないかと言っている奴は!!?」


アイキャッチ
百瀬 壮一&星川 翼
 「……まあ……
前科が有るし。」

<全学連本陣>
(23 silence..)
 場所は全学連軍本陣に移る。
 一応は神威軍の攻撃範囲内からは外れて
 攻撃の心配は半減したものの、
 別動隊のトンネルは水責めで潰された上に
 マウマウらは無論恐らく全員ドザイモーン、
 かつ総指令官の豪が行方不明となった今、
 城塞攻めは事実上頓挫しているという空気が
 本陣の隅々にまで蔓延している。
 そして総指令官室では秋山とダグラスがいる。

「という訳でMrダグラス、
 不利な状況下の中で非常に申し訳無いのですが、
 総指揮官の豪さんが不在により
 至急代理の総指令官を
 立てなければならない状況下に陥りましたので
 是非とも貴方に臨時の総指令官に
 なっていただきたいのですが。
 願わくば代理の総指令官の任を 
 引き受けていただけないでしょうか?」

「成程、事情はよく飲み込めたゼ。
 だが部外者の俺に代理総指令官が
 勤まるかどうかは判らんがな。」
「いや、貴方なら十二分に勤まるとは思いますが。」

「そうか…そこまで言われちゃ
 引き受けねえ訳にゃいかねえな。
 取りあえずは次の総指令官が決まるまで
 俺が代理総指令官を務めさせて貰うぜ。」

「ありがとうございます。
 では早速ですが今後の我々の
 行動の指針を決めていただきたいのですが。
「そうだな……取りあえずは撤退する……
 振りをして二日後に敵の城塞に夜襲をかける。」
「え!!?」×多数

 秋山に今後の行動の指針を問われたダグラスは
 場に居合わせた誰もが
 予想だにしていなかった作戦を口にする。
 今現在全学連の戦力や士気は敵軍との交戦により、
 もはや城攻めの敢行どころか
 半ば軍の体をなしていない。

 当然ダグラスが下す決断は援軍が来るまで待機、
 或いは退却に伍するものとばかりに思われていたのに、
 ダグラスはそれとは真逆の無謀以外の何物でもない
 早期の奇襲による城攻めの選択をしたからである。

「しばしお待ちを、Mrダグラス。
 今夜襲をかける、と言われましたか?」
「Yes Ofcourse!
 敵もよもやもう一度カチコミをかけてくるとは
 まさか夢にも思っちゃいねえだろうし、
 それに俺には一つビックリドッキリ
 秘策があるからな。」

「秘策、ですか?してその秘策とは?」
「今ここでその秘策を説明する事は出来ねえ。
 壁に耳有り障子にメアリー・スー。
 どこで敵に聞かれているかもしれねえし、
 オマケにネタバレになっちまうからな。」

 ハァ、さいでっか。
 当然ながら無謀としか思えない上に
 秘策の内容も知らされない奇襲作戦は
 皆の衆には受け入れられる筈も無く、
 皆反発の意志を表明するが……

「判りました。ではその奇襲作戦に従う事にします。
 万が一何かがあればMrダグラスだけではなく
 不肖この秋山敬一郎が責任を取らせていただきます。」
「我々も責任を取るでござるよ〜。」
 と秋山と鈴女らが作戦の責任を自分も取ると言い、
 皆を渋々納得させる事に成功する。

<統合本部の医務室>
(27 All the time)

 場所は東郷、もとい統合本部の医務室に移る。
 そこでは鈴女から渡されたまんくちゅ丹を服用して
 グッスリトでステータスが
 SLEEP状態になっているエクレールと
 医療品を貰いにきていたソビエト出身の
 怪獣召喚師リディア=ロコソフスキーがいた。
 何故リディアが医療品を貰いに来ているかと言うと、
 三国の城塞での先頭で多くの負傷者が
 統合本部に運ばれてきており、
 それらの負傷者の治療の為に必要となるからである。

「ムニャムニャお腹一杯ですわ〜。」
 あ、やっとエクレールが起きた。
「あ、やっと起きたわね。」
「え……?リ、リディアさん!?私、寝てたんですか?」
「ええ、もうグッスリト寝てたわよ。ざっと数日間。」
「す……数日間も…!!?」
 ここでエクレールは慌てて装備一式を装備し、
 部屋の外に出ようとする。

「ていうかエクレール、どこに行くのよ?」
 ここでリディアは慌てて
 外に出ようとするエクレールを引き留め、
 エクレールが眠ってから現在までに
 起こった出来事や現状を事細やかに説明する。
 
「それならば尚更城塞に行かなければ……」
「ちょ、行くったって一人じゃあ無茶よ。
 それにそんなに急いで城塞に何しに行くのよ?」
「それは……正直言いますと
 自分でもよく判りませんわ。
 でも、何故か行かなくてはならない……
 そんな気がしてなりませんの……。」

 とリディアの制止を振り切って
 城塞に行こうとするエクレールであったが……

(大帝国BGM:征くは星海)
「ちょいまち。
 まさか一人で行こうってんじゃあるまいな。」
 ここで二人の男女が何の脈絡もなく部屋に入ってきた。
 一人は新開であり、そしてもう一人は、
 剣術の道場ではエクレールと同期の桜である
 騎士・チルディ=シャープである。

「新開さん!!……それにチルディも!!?
 というよりなぜチルディがここに?」
「三国の戦闘であまり戦況が思わしくないと
 マイスター豪から連絡が入って
 そこで私とリディアが派遣されてきましたの。
 まあ大体事情は把握していましてよ。
 でも言っておきますけどエクレール、
 貴方一人が行ったところで
 今の状況は殆ど変わりませんわよ。」

「じゃあ俺達が四人で押し掛けていったらどうなる?」
 ここで新開が一人で駄目なら
 四人で押し掛ける案を提出する。
「彼の毛利家の始祖元就も三本の矢の逸話を残している。
 三本でも折れないのなら四本なら尚更だと思うがな。」

「四人ね。私なら異存は無いわ。」
「私の異存はありませんわ。
 エクレール、貴女はどうですの?」
「え……ええ、皆さんがよろしければ、
 助力をお願い致しますわ。」

(BGM:)
「それじゃあ召喚怪獣のエアザウナを呼ぶわね。」
 ここで何の脈絡もなくリディアが
 召喚怪獣のエアザウナを呼び出すと言いだし、
 床に向けて手のひらをかざすと、
 どういう原理かわからないがBパワーによって
 形作られた魔法陣が現れる。

 そして間髪入れず召喚魔法を唱えるやいなや、
 するとどうであろうか。
 何の脈絡も無く明後日の方向から
 こちらに向かって飛んでくる物体がいるではないか。

(大帝国BGM:出撃命令−呂)
「鳥か!!?」
「飛行機か!!?」
「いや、怪獣だ!!」
 その白い怪獣はこちらに突っ込んできたかと思うと、
 現れた魔法陣の上に優雅に着地していく。
 無論大帝国本編のそれとは大きさの上では
 比べるべくもないが紛れもなく
 大帝国に出てきた大怪獣エアザウナである。
 もっとも大きさは優に大人四人を乗せて空を飛んでも
 まだお釣りが来る程の大きさではあるが。

「ていうかこの怪しさ大爆発な大怪獣は何ジャラホイ?」
「この子?この子は召喚怪獣のエアザウナよ。
 これからこの子の背中に乗って
 城塞までひとっ飛びで行くの。」

「ああ、そういう事ね。
 それならば怪獣とドリルは男のロマンだからな。
 さっさと抜け駆けしてとっとと終わらせちまおうぜ!」
「怪獣を見た途端に張り切り出しましたわね。」
「ええ。」
 こうして愉快な四人組は抜け駆けで
 城塞に向けて出陣するのであった。
 
<城塞のすぐ側>
(大帝国BGM:出撃命令−伊)
 場所は城塞の側に移る。
 そこではダグラス率いる奇襲部隊と
 左右の砦を攻めていた田中とサワタリと
 百瀬と鈴女の部隊が数刻もの間、
 息を殺して待機していた。
 しかし睡眠中の敵を奇襲する訳でも無く、
 ただただひたすら待ち続けてる状態に対し、
 部隊の中からもひっきりなしに
 疑問の声が上がり始める。

「慌てるな慌てるな。もうすぐ頃合いだからな。」
「何が頃合いでござるか?」
「そろそろマウマウら掘削部隊が城の中に
 密かに忍び込んで内側から扉を開ける。
 そして我々はその機を逃さず城塞に
 カチコミをかける寸法だ。」

「しかしわっしぃ、既にしょうちのすけの通り、
 マウマウらの部隊は水攻めで
 とっくの昔に全滅した筈でござるよ。」
 ここで鈴女がマウマウらの部隊に
 期待するダグラスに対して
 部隊が水攻めで全滅したから
 その作戦は使えないと
 至極真っ当なツッコミを入れる。
 だがそのツッコミを受けて尚、
 ダグラスの自信に満ちた表情は
 些かも揺るぐ事は無い。

「その事に関してだがな、鈴女、
 実は俺とマウマウらは前々から極秘に
 豪からとっておきの秘策を聞いているんでな。」
「秘策でござるか?」
「ああ、水攻めで潰されたトンネルだがな、
 あれは嘘{ダミー}だ。」
「ナヌー!!」×4

 ここでダグラスが場に居合わせた者全てに
 到底予測がつかない種明かしをする。
 その余りにも予想外の種明かしに
 4人はただただ口をアングリさせる事しか……
 あ、鈴女だけは平然とフーンという顔をしている。
 動じんやっちゃなー。

「実はトンネルによる内部からの侵入が
 既になにがしかの手段で敵の耳に
 入っている可能性が高いと踏んだ豪は
 ベホンマを使いに出してマウマウらに
 今掘っているトンネルを囮として
 別に本命のトンネルを掘る様に指示させた。
 そしてトンネル作戦が頓挫したと
 相手が油断した時に本命のトンネルから侵入する。
 これが豪の出した秘策だ。
 ちなみにその時点でその事を知っている者は
 豪本人とマウマウらと俺の三者だ。
 ついでに言うと行方不明中の豪は現在
 マウマウらと一緒にトンネルを掘っている最中でな。
 もうそろそろ……」

(SEゴゴゴゴ……)
(ORISINAL SONG10.Future to Battle@)

 ここでダグラスが説明をしている途中に
 突如城塞の扉がおっぴろげに開く。
 どうやらマウマウらの部隊が
 トンネルの開通に成功して
 城塞の扉を内から開ける事に成功したらしい。

「成程……そういう事か…」
「まあそういう事だ。じゃあいくぜ、エビバリー!!」

<城塞内部>
(ORISINAL SONG11.Future to BattleA)
 場所は城塞内部に移る。
 そこでは既にマウマウや豪が扉を開けて
 戦闘準備に入っていた。

「おお、わっしぃではないか。」
「豪か。その様子では既に準備が整っている様だな。」
「まあな。こうやって本体と合流した今、
 なすべき事はこの城塞を落とす事だけだ。」
「応!」
 豪とダグラスの合図と共に全学連軍は
 まるでコミケ開始の一般参加者の如く
 内部に攻め込む。

(SE ドンドンパッパッドンパッパ)
「ととと特体生共のカチコミじゃあああ!!!」
「ナヌゥッーーー!!!」
「ぶぎぃ!」
がろうぼ!
やべろ!
てぴぃ!
かねが!
ないよ!
おれもだぁああ!

 正に青天の霹靂とでもいうべき奇襲をされた事で
 守備側はかなり狼狽しており、
 全学連軍の猛カチコミに取るものどころか
 着るものも着る事無く一方的にやられて
 更なる場内にトンコしていく。

 しかしここで豪は一抹の不安と
 違和感の様なものを感じ取る。
 その違和感とはいかに奇襲とは言え、
 精鋭揃いの相手がこんなに一方的に押されるのは
 少々おかしいのではないかという違和感である。

(SE ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)
(32 terrible beat A)

 ところがどっこい
 その事に気づいた時には時既にお寿司、
 自分達の周りにいつの間にか地面から
 空高くそびえ立つ合金の壁が一瞬にして構築され、
 全学連軍は袋の鼠と化してしまった。 
 それらの壁はざっと標高10mを越えており、
 肉厚も1mを越えている難易度の高い壁である。

「フフフフフ、ようこそここへクッククックッ。
 よー引っかかったのー特体生共ぉ!!
 おまえ等がダミーのトンネルに我々注意を引きつけて
 本命のトンネルで城塞内に侵入しようとしていた事等
 とーの昔にイデア様によってしょうちのすけよ!!」

 皆がその声のする方向を向くとそこには
 中間管理職的な魔物が壁の上から嘲笑っていた。
 そして全学連軍を見下ろして嘲笑う魔物の隣には
 四天王のイデアが高飛車なポーズで見下ろしている。

(ORISINAL SONG21.Ombre de Eclair)
「成程、お前さんが匡一郎の言っていた、
 エクレールにそっくりのバッタモンか。」
「バッタモンとは人聞きが悪いわね。けどそうよ。
 でもザンネンだあったわね斬真豪。
 オマエらはアタシの正体を知る事無く
 ここで全員仲良くくたばっちめぇするのよ。
 けど……。」

「けど?」
「今丁度面白いイイ事を思いついたわ。 
 生き残りたければここで全員
 バトルロワイヤル的殺し合いをしなさい。
 テケトーに残ったところでアタシが
 パシリとして全員再雇用してあげるわ。
 それでどうかしら?」

「だが……
断る!
 イデアのイジワルに満ちた助命及び
 その為の悪意に満ちた条件が提示されるが、
 豪はその提案に対して1秒で拒否する。

「ムカっ腹が立つ言い種ね……
 根性の曲がった売れっ子漫画家みたいな事
 言ってんじゃねーわよ!!
 もういいわ、全員漏れなく友愛しておしまい!」

 自分の思い通りの返事をくれない豪に対して
 マッハの速さでマジ切れしたイデアは
 手下全員に全学連軍を全員友愛する様に命じる。
 ところがどっこいである!!

「何がところがどっこいなのよ?」
 いや、ト書きのところまで読んでもらっても困る。
 空の彼方から一匹の怪獣がこちらに向かって
 まっしぐらに飛んでくるではないか!

(SE ビュウウウウウウウウ)
(大帝国BGM:一斉射撃−波)
「変態か!?」
「パピヨンか!?」
「いや、怪獣だ!!」

 何とその正体は召喚師リディアが操る
 召喚怪獣エアザウナではないか!!
 しかもその背中にはリディアだけではなく
 エクレールと新開とチルディが乗っているぞ!
 なんちゅーナイスタイミング!!

「ちょっと待たんかい管理人!!」
 何だね神威軍の戦闘員@名無し君?
「てかアイツらちょっと登場が早くねえか!?」
 というとどういう質問かね?」
「俺らが袋の鼠と化した特体生共をボコして
 もうダメだーって絶体絶命の時に
 あいつらが現れるんじゃねえんかよ!!?
 このSSに打ち合わせとかは……」

 そんなものは無い!!
 ていうかすまないがそこは放送時間という
 大人の都合により時を吹き飛ばさせてもらった。
「何都合のいい事を言っとるんじゃ、
 この便所に吐き出されたタンカスがああああ!!!!」

 エアザウナから降りた四人組は
 早速豪達を取り囲む壁の解除を
 遂行すべく行動する。
 これらの壁は毛利兄弟によれば
 全電動式で上下する仕組みになっており、
 エクレールとリディアはチルディと新開が
 壁の昇降装置を見つけて解除するまで
 襲い来る雑魚連中を片づける露払いの役割を担い、
 そしてチルディと新開は昇降装置に向かって
 一直線に進んで壁を降ろす。

 本来ならばここで魔軍は
 新開&チルディに対して
 全軍で挑む筈であったが、
 5分の3は豪らに対し、
 5分の1はエクレールとリディアに対して
 向けられているので、
 新開とチルディに対しては敵は
 5分の1の戦力で挑む事になる。

 それらの神威軍に対して新開とチルディは
 強行突破の作戦で昇降装置まで行く事になるが、
 何せ5分の1になったとは言え、
 神威軍の精鋭による攻撃は半端では無く、
 新開とチルディの二人はそれら神威軍に対して
 非常に苦戦を強いられている。

(SE ボウッ!!!)
(SE シュシュシュ!!)

 だがそこに壁のうちからマホコの火炎系魔法と
 鈴女の忍術と手裏剣しゅしゅによる 
 援護が入ると状況は一変し、
 神威軍の体勢は一気に崩れて
 新開とチルディの無双状態となる。

<防御壁の昇降スイッチの部屋>
 場所防御壁の昇降スイッチの部屋に移る。
 チルディと新開はその場所に到達し、
 そこには二人のお目当てのものが目の前に在るが、
 そこに控えしは何とあのイデアが。

(ORISINAL SONG21.Ombre de Eclair)
「あらあら、誰かがきたかと思ったら、
 薄汚いドロボー猫二匹じゃない。」
「貴方が噂のイデアとかいう
 エクレールのコンパチかしら?」
「コンパチとは聞き捨てならないわね。
 アタシはエクレ、エクレはアタシよ。」

「どういう……事だ?
 つーか何を言っちょるのか
 まるで意味がわからんぞハラルド。」
「レイプ未遂の脳筋は織田真理。」
「グヌォォォォ……ああああれは操られていて
 つい出来心で……とにかく中略だ!!」
 夜が来る!本編での若さ故の過ちトラウマを指摘され、
 新開はマンモス取り乱して狼狽えている。

「どうでもいいですけど
 そこからどいて下さいませんこと?
 私達はそこの古臭いガラクタ骨董品を作動させて
 でくの坊の壁をどかさないといけませんのよ。」
「寝言なら脳味噌パラパラ姫に言うのね。」
 壁の除去という自分達の目的が果たせないから
 イデアに立っている場所からの
 退去を要求するチルディ。
 まあこれで退いたら何も苦労せん罠、という事で、
 イデアは光速でその要求を却下する。

「要するに力尽くで来いって事だろ。」
「脳筋の癖に飲み込みがいいわね。
 まあいいわ、二匹纏めて掛かってらっしゃい。
 その方が手間と放送時間が省けるというものだわ。」
「嘗められたものですわね……。
 後で吠え面かいても知らなくってよ!!」

<新開&チルディvsイデア>
(ORISINAL SONG25.Terrible beat-Duel Soul Version)
 という訳で新チルvsイデアという
 ハンディマッチのカードが成立した訳であるが、
 相手は一人の2on1とは言え敵の四天王の一柱であり、
 二人がじりじりとだがイデアの周りを回りながら
 隙を伺っている事からもイデアが二人よりも
 はるかに格上である事は確かである。

 戦闘に於いては格下が格上の周りを
 回るのが定石だからである。
 しかし何を思ったのかその内イデアは
 攻め倦{あぐ}ねている二人に対して
 アカラサマに挑発じみた隙を見せる。
 普段のチルディならばこの様な
 あからさまな挑発伝説に乗る事は無いが、
 今日のチルディはいつになく焦っており、
 その無限の挑発HEYHEYHEYに乗ってしまう。

(SE ブンッ!シュワッ!!)
 蝶の如く素早く巧妙なチルディの攻撃に対し、
 イデアはまるで打ち合わせでもしていたかの様に
 軽やかな動きでそれらの攻撃を予知していたかの如く
 全て飛ぶが如くあれよあれよとかわしていく。
 そしてついにイデアが
 チルディの後ろを取った時である。

(SE グイッ!)
「ちょいと待ちな。俺を忘れて貰っちゃ困る」
 ここでチルディの後ろを取って斬り掛かろうとした
 イデアの手首を不意に新開が掴んだのである。
『柔……!!?』
 そしてその瞬間イデアは妙な脱力感に襲われる。
 そう……日本の伝統武術・柔術の秘術を
 新開は使ったのである。

脱力術
関節の構造というよりも
どちらかというと人体の反射に付け込む様な
体系の柔術の技術。
通常攻撃をガードされた後に小K・小K・中P

 元来プロレスは多種多様の格闘技の枠を超えて
 貪欲に技を吸収・学習し続けて来た
 何でも有りの総合格闘技であり、
 今出した秘術とは相手の体の反射に付け込んで
 相手に力を出させない様にする技術である。
 つまり相手の手首に対して巧みに力を込める事で
 相手を脱力状態に追い込む妙技である。

(SE クンッ)
 だがイデアも四天王の一人であり、
 そう簡単にやられる訳もなく、
 新開の一瞬の隙をついて脱力地獄から抜け出す。
「レイプ未遂がいるのをまったり忘れていたわ。」
「卑怯とは……言うまいな?」
「ええ……というよりも全然足りないわ!
 お前ら二人じゃあ全然物足りないわっ!!」

「随分と言ってくれるじゃあないか。」
 その会話を皮切りに新開はイデアに対して
 体格にモノを言わせた肉弾戦を挑む。
 勿論スピードにおいては四天王随一のイデアに
 プロレスラーの新開がかなう筈も無いが、
 チルディの舞剣術と新開のプロレス流の
 パワー系の打撃技のコンビは中々相性が良く、
 イデア相手によく持っている方であるが、
 いかんせん相手は四天王であり、
 基本スペック自体からして全然違う。
 イデアは神威軍の四天王、
 つまり敵のトップクラスの戦力であり、
 新開とチルディは味方の
 中堅クラスの戦力なのである。

 イデアの舞う様な高速の動きから繰り出される
 蛇腹剣の攻撃はチルディの身のこなしをもっても
 到底かわしきれる攻撃ではなく、
 そして新開ならば尚更の事であり、
 二人は徐々に手傷を増やしていく事になる。

 ここで新開はふとある作戦を思いつく。
 その作戦とは[骨を断たせて肉を切る]作戦である。
 新開はプロレスラーだけあって
 耐久力や防御力に優れており、
 しかもイデアの攻撃は素早さに長けた者ですら
 かわそうと思っても到底かわしきれるものでもなく、
 それならばいっその事攻撃を受ける事を覚悟の上で
 イデアに攻撃を仕掛けようというのである。

(SE ブンッ!)
「ちぃっ!!」
 だがそれに気づいたイデアは耐久力も糞も無い
 一撃で相手を殺れる技で新開を迎え撃とうとするが、
「私を忘れて貰っては困りますわ!!」
 それを阻止するかの如く
 チルディが攻撃を仕掛けて来るではないか。 

(SE ガチリッ)
 そうこうしているうちに猛攻撃を耐えて
 新開がイデアを後ろからクラッチして
 ジャーマンスープレックスの体勢に
 持ち込む事に成功する。

地獄のこけら落とし
後方から相手の腰に腕を回しクラッチしたまま、
後方に反り投げするプロレスの象徴とも言うべき
投げ技であるジャーマンスープレックスの改良技。
これを新開はより体の反りを深くして
投げるというより頭を直角に落とす
殺傷力の高い技になっている。
63214+K


 「完全に持ち上げられて
  下にマットが見えた時、
  叫びたい様な気持ちになり、
  強烈な恐怖心に襲われた。」
 これは闘神大会の万年優勝候補の
 ボーダー=ガロアが投技の恐怖を
 語った言葉である。

 そしてここは柔らかいリング上ではなく
 鋼鉄製の床で出来ている部屋であり、
 受身不可能と言われている
 新開のジャーマンが決まったら
 どれほどの衝撃があるのか
 計り知れないものがある。

(SE グワッッ)
 イデアは肘打ち等で抵抗するが時既にお寿司。
 新開はジャーマンを敢行せんとする。
「うりゃあ!!」
 美しい放物線のブリッジによるジャーマンは
 プロレス流のいわゆる投げるジャーマンとは異なり、
 頭から地面に直角に[落とす]ジャーマンであり、
 地面が鋼鉄の上でこれが決まれば
 幾ら四天王と言えどもただでは……と思ったら、
(SE パッ)
 イデアは何とそこから逆立ちをして
 ジャーマンが決まるのを阻止したのである。
 それもその筈、イデアは投げられる寸前、
 自ら地面を蹴ってジャーマンの決まる
 タイミングをずらしたのである。

「そんな蠅が眠っちまう様なトロい攻撃で
 アタシが殺れるとでも思ったの?
 ……にしても不可解ね。
 お前らとは初対面の筈なのに
 何でアタシの攻撃を予測出来るのよ?」

「それは当然の事ですわ。
 だって私はエクレールとは
 道場では同期の桜でしたもの。」
「そして俺はの見えないところ
 エクレールにプロレス技の数々を
 仕込んだ事もあるからな。
 エクレールの動きや癖は
 きちんと把握しているのさ。」
「ですからエクレールのバッタモン海賊版である
 貴女の動きの予測も比較的簡単に出来ますのよ。」

 なるへそはるへそ、
 新開は1章3話の見えないところで
 話でエクレールにプロレス技を仕込んどったんかい。
「まあいいわ。どうせ二人纏めて始末してやるから。」

(SE シャアッ)
 そう言うや否やイデアはいきなり速度を増して
 二人に近づいて電光石火の攻撃を加える。
 いかにも不意をつかれたとは言え、
 投げる手裏剣の如き目にも留まらぬ早業を前に
 二人はなす術無く守勢に回らざるを得なくなる。
「『エクレールのバッタモンだけあって
  神技・神速をいともあっさりやってのけますのね。
  でも神速は速い分軌道も単純ですわ。
  その軌道を見切ってかわし続けていれば……』    あ……」

(SE ズルリ)
 ここで意志に足を取られて転ぶという
 チルディらしからぬミスが発生する。
 その隙を見逃すイデアではなく、
(SE ギュウウッ)
 転んだチルディめがけて蛇腹剣の一撃が
 容赦無く強襲する……が!

(SE キュウウン!!シャキィッ)
 ここでアメコミヒーローの盾スラッシュの如く
 盾が何の脈絡もなくフリスビーの如く飛んできて
 チルディめがけてまっしぐらに飛んできた
 蛇腹剣の一撃を防御し、
 そして慣性の法則をいちご120%無視して
 持ち主の元に戻っていく。
 そしてその持ち主は…ほかならぬエクレールである。

グロース・ヴァーグ
持っている盾をブーメランのように投げる飛び道具。
少々複雑な入力コマンドだが飛び道具を貫通する。
4234+K

「遅れてしまって申し訳ありません!」
 どうやらエクレールは自分の持ち場を
 リディアや鈴女に任せてここに来た様である。
 そしてエクレールは鋭い視線を
 キリッとイデアに向ける。

 その視線をもろに感じ取ったイデアは
 それに臆するどころか我が意を得たと
 言わんばかりに嬉喜とした笑みを浮かべながら
「また逢えたね、エクレ。
 現実世界では初対面だから、
 ここでは初めまして、になるのかしら。」
 と軽口を叩く。

「ええ…そうみたいですわね。
 何度もお聞きしますけど、
 一体貴女は何者なんですの?」
「そうね……答えて上げてもいいところだけど、
 ネタバレになるし今はそれを
 言うべき時じゃないから即刻却下するわ。
 でもよかったわ。
 この二人じゃあアタシの相手には力不足だし
 ちょうどいいタイミングで来てくれたわ。
 ここで全員纏めて4Pといこうかしら。」

「よよよお4Pだとぉ!!!!?」
 ここでいきなり新開が
 コーフンした口調でどもりだす。

「何勘違いしてんのよレイプ未遂、
 アタシが今いった4Pは
 エロゲ的なものじゃなくて
 戦闘の意味で言っただけよ。
 これだからレイプ未遂のエロゲ脳は……」
 新開のエロゲ的メタな発想に対して
 イデアは一瞬呆れ返った表情をするが、
(SE シャアッ ジャリッ)
 すぐに表情を戻して神速でエクレールに近づき、
 蛇腹剣での薙撃を繰り出す。

(SE フッ)
 エクレールはそれを辛うじて柔らかい身のこなしで
 身を伏せてかわした後に連続水面蹴りの
(SE ギュイ ギュウッ ギュウッ)
 「天使風脚・風来脚{クー・ド・ヴァン}」を繰り出すも
 イデアは連続バク転でそれをかわし、
(SE シャキーン)
 次にチルディが着地時に斬り掛かるも
(SE ガッッ)
 それを難なく剣でいなしてその勢いで発生した
 遠心力を利用した裏拳をチルディの腹に叩き込んで
 片膝をつかせる。

天使風脚{アンジェリーク・ブリッサ}・
風来脚{クー・ド・ヴァン}
突進しながら水面蹴りを連続で食らわせる技。
1(貯め)8+K

(SE ゴオオオッ)
 だがその一瞬の隙をついて新開が
 ルチャ・リブレの大技である
 ラ・ケプラータで飛び込んで空中から
 イデアの後頭部に膝蹴りの一撃を叩き込む。
 その隙を逃さずエクレールとチルディは
 間髪を入れずにイデアに斬りかかる。

ラ・ケプラータ
ロープや壁を蹴った反動を利用してのムーンサルトアタック。
画面端で3+K

 だがイデアはエクレールとチルディの
 猛攻を意に介さず軽くいなしながら
 互角以上に斬り渡っている。
(SE キュンッ)
 何度か斬り渡った後イデアは
 エクレールめがけて鋭い斬撃を繰り出す。
(SE カチーン カチーン)
 それに対してエクレールは
 ティンベーとローチンの技で
 イデアの斬撃を辛うじて退け、
 反撃の袈裟斬り……と思われたが、
 何と確実にイデアを斬ったにも関わらず
 イデアには傷一つついていないのである。
 そしてそのイデアは少し離れた場所に立っている。

「素手で恐竜と渡り合った原始人の様に
 超高速移動でかわした…というところですわね。
 でも残像が見える程の俊敏な動き……
 常識では到底有り得ない事ですし、
 これは高速移動とは別の何かの手段で
 攻撃をかわしたという事も考えられますわ。」
「さて、どーかしらね?」

 その言葉を皮切りにエクレールとチルディの二人は
 再びイデアに斬り掛かり交戦する……が、
 当のイデアは刃が命中している筈なのに
 一向にヒットせず、
 逆にイデアの攻撃はかわしている筈なのに
 面白い様にヒットするではないか。

「これは……やはり目にも留まらぬ早業……
 という訳ではありませんわね。」
「当たらずとも遠からず……といったところね。
 でもそれだけじゃあアタシは捉えられないわよ。」
(SE ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッッ)
 そう言うとイデアは益々攻撃の手数と速度を増やし、
 三人に対して猛攻を仕掛けてくる。

 調子に乗りまくったその攻撃は凄まじいものがあり、
 三人は防戦一方の戦法を余儀なくされる。
 だが度重なる攻撃で何かを感じたエクレールは
 何の脈絡もなく月の光の下で呉竜府をする
 白鷺の全勝者の如く目を閉じる。

「ちょ、何のつもりだよエクレール!!?
 ただでさえ避けられない攻撃だってのに
 目を閉じたら益々避けられなくなるじゃあんか!」
 当然ながら新開がエクレールのその
 不可思議な行為に対して疑念を呈する。

「成程……確かそれは琉沖地方では
 心眼とか心網とか言われている奥義の一つで、
 心の目を以って相手の動きを察知する
 ティンベーとローチンと並ぶ
 難易度S級の技でしたわね。」

心眼剣
江戸時代初期。
稀代の剣豪といわれた我路義竺はは剣法奥義中の奥義、
心で相手の動きを完璧に見切るという
「心眼剣」を極めんと自らの両目を潰しし、
完成したという。
現在「西瓜割り」という遊びがあるのは、
我が子に心眼剣を極めさせようとした
親心の顕れである事は言うまでもないだろう。
百夜書房刊「古今東西剣豪事情」より

格闘ゲーム的にはチャカの「憶えたぞ」に近い。
444+P

「目で捉えられないと悟って
 心眼を仕掛けてくるとは、
 流石にバカではないわねエクレ。
 でも付け焼き刃の心眼じゃあ
 アタシは捉えられないわ!」
(SE ギュギュギュギュウウウウウ)
 そう言ってニヤリとしたかと思うとイデアは
 神速の動きでエクレールを急襲する。
 エクレールはその動きを心眼で捉え……
 いや、やはり付け焼き刃は所詮付け焼き刃に過ぎず、
 イデアの斬撃を何とかかわすのが精一杯である。

 勿論新開やチルディも黙っている訳ではなく
 剣と拳でイデアを攻略せんとするが、
 いかんせん不可触状態{アンタッチャブル}状態に
 入っているイデアに攻撃を当てる事は
 まるで蜃気楼に攻撃を当てる様なもので、
 ただ一方的に攻撃を喰らう状態から
 何一つ進展していないのである。

「確かレイプ未遂のあの投げ技……
 ジャーマンスープレックスと言ったわね。
 あれは中々美しい技だわ。
 アタシのモノにするのも悪くはないわね。」
「使えるものなら……使ってみな!」

 イデアの突然の意味不明の挑発に対し、
 新開は渾身のナックルアローをかまそうとするが、
 寸前になって何を思ったかピタッと拳を止める。
 どうやら新開の野生の勘が何かを察知したらしい。

「その腰を落とした迎撃の構え、
 おそらくは俺の腕をカウンターで取って
 虎王等の関節技やカウンター斬り等の技で
 切って捨てようというつもりだろう。」
「ご明察。」
「ならば……こいつはどうだぁ!!」

(SE ブオン)
 そう言うと新開はナックルアローをかます……
 と見せかけてフェイント気味の
 首狩り式のクローズラインラリアートを
 イデアの首めがけて叩き込む。

ナックルアロー
大きく弓を引くような独特のフォームで振りかぶった後、
一気に相手を殴打する打撃技。
234+P(貯め化)

クローズラインラリアート
相手の首元や胸に自分の腕の内側部分を
打ち当てる打撃技のラリアートを
覆いかぶさる様に繰り出す移動打撃技。
4(貯め)6+P

(SE ガシィッ)
 当然それも当たらない……と思いきや、
 思いっきり首根っこを取られたではないか。
 そしてそのままラリアート式の袈裟掛けに
 移行しようとした時である。 

袈裟掛け
ラリアートが防御された時に
首を狙った固め技の袈裟固めに移行する技。
クローズラインラリアートがガードされた時に632146+P

 何とその状態から新開は
 それ以降の技に移行出来ない。
 そしてイデアは袈裟掛けの状態から
 新開のバックを取り、
 ジャーマンスープレックスを敢行する。

(SE ズドム)
「グヘーッ!!」
 流石に本職のレスラーらしく
 体を捻って頭からではなく肩から落ちて
 何とか致命のダメージは避けたものの、
 新開の脳味噌はグルングルンの
 ピヨリ状態になっている。

「砂は掴もうとするから逃げていく……
 ならば…砂は吹き飛ばすまでですわ!!」
(SE ギュギュギュギュギュウウウ)
 ここでチルディが自慢の広範囲必殺剣
 「シャープ剣スラッシュ」を繰り出して
 イデアにダメージを与えようとする。

シャープ剣スラッシュ
衝撃波を伴う剣撃を連続して繰り出す技。
範囲は広いが威力は低い。
234234+PPor空中で643643+PP(ゲージ1消費)

 流石に広範囲にわたる攻撃だけあって
 イデアには取りあえず
 少しダメージは与えられたが、
 勿論致命傷どころではなく、
 イデアの闘争心を更に
 掻き立てる結果になってしまいま。
 それもその筈、
 本来この技は大勢の雑魚用の技であり、
 強敵単体に対して使う技ではないのである。

 シャープ剣スラッシュが思った程のダメージを
 与えられないと悟ったチルディは、
 エクレールに目配せして
 2プラトンアタックの敢行を要請する。
 その要請に対してエクレールは同じく目配せで
 チルディが攻撃に専念するのに対して
 自分はティンベーとローチンの技で
 イデアの攻撃をいなす事に専念する
 盾になると伝える。

 だがこの剣盾の見事なコンビネーションも
 イデアの摩訶不思議な幻惑技を目の前にしては
 何の効も奏さなかった。

(SE ガシッ)
「捕まえた」
 そしてイデアはエクレールのバックを意図も容易く取り、
 新開に対してかました頭から地面に直角に落とす
 殺すジャーマンスープレックスを敢行する。
(SE グゥッ)
 叩きつけられる床は鋼鉄の床であり、
 まともに喰らえば脳天が西瓜の様に割れるであろう
 きっちりと完全に決まったジャーマンである。

(SE グワシッ)
 だがその時である。
 エクレールの背中の翼がまるで腕の様に動いて
 イデアの腕をチキンウィングアームロックに決め、
 そして新開に習ったジャーマン潰しの技、
 「河津落とし」をイデアの足に仕掛け、
 見事ジャーマンを潰す事に成功する。
 そして間髪を入れず流れる様な動きで
 腕十時の態勢に持っていくが、
 敵もさるもの、あっさりと腕十時から抜け出す。

河津落とし
相手が外掛けやジャーマンで攻めてきたところを
逆に相手の内股に足を掛け、
腕を相手の首に巻いて自分の後方に倒す技。
投げ技中に↓↓+PP(ゲージ二分の一消費)

チキンウィングアームロック
腕緘のうち両手による「4の字」を用い、
相手の腕を体の裏側に捻り上げる技である
チキンウィングアームロックを
背中の黒い翼をまるで腕の様に操って行う
装翼現象{アームズ・ウィング}の技の一つ。
河津落とし中に↓↓+PP(ゲージ二分の一消費)

「アタシのジャーマンをあんな形で潰すなんて
 さすがはエクレね。
 でも所詮は借り技、本番はこれkらよ!!」
 ジャーマンを破られた事を全く意に介せず、
 イデアは猛豹が獲物を狙うが如く
 身を低くして撓{たわ}めたかと思うと、
 次の瞬間には七人の英雄の一人の
 大奥女中の如き恐るべき瞬発力を秘めた
 ホバリング移動でエクレールの前に現れて
 襲いかかる。

(SE ヒュッヒュッ)
 しかしエクレールにはイデアが身を撓ませてから
 エクレールの前に来るまでイデアの姿が
 早すぎて全く見えないのである。
 確かにイデアの瞬発力と身のこなしは
 尋常なものでは無いがそれを加味しても
 残像等イデアの姿は目に入る筈であり、
 かと言って幻惑系の術を駆使している訳でも無い。
 そして懐に無防備条例のまま入られたエクレールは
 いとも簡単に大ダメージを受けてしまう。

「どうやらとっさに後ろに跳んで
 衝撃を和らげて致命傷をさけたってところかしら。
 でもそれじゃあ困るのよね。
 もっともっと強くなってもらわないと……
 ぜんっぜん物足りないわ!!」

「……一体貴女は何故戦っていますの?」
「いい質問ね。でも教えたげない。
 物事には色々段階があるのよ。
 けどエクレはまだ
 それを知るステージにはいないもの。
 だからエクレがそのステージにまで
 レベルうpする様に手伝ったげる。
 じゃあ…取りあえずは身近にあるというところで
 そのレイプ未遂とブロッコリ頭を
 村祭りにでも上げてやる気を出させたげるわ。」

「随分と嘗められたもんだな、なあチルディ。」
「ええ、嘗め嘗めもいいところですわね。
 けど私達も……少々手強くってよ!!
 それに村祭りではなく血祭りじゃなくて?」
「無粋なツッコミは嫌いよ。
 じゃあ本気で壊しに行っても問題は無いわね?」

(SE ヒュッヒュッ)
 新開とチルディの言葉を聞いたイデアは
 今までとは桁違いの速度で二人に猛襲を掛ける。
 その素早い猛攻に今の二人では
 到底太刀打ち出来る筈も無く、
 ある程度の抵抗も空しく
 一瞬にしてやられてしまう。
 もう少し戦闘を長引かせたいが、
 放送時間という大人の事情があるので
 残念ながら結果が分かっている戦闘は
 省かせていただく。

「結構だらしがないのね。まあいいわ。
 ここでとっとと楽になるがいい。」
 そう言うや否やイデアはエクレールをこみよがしに
 新開とチルディにFinshHim&Herの態勢に入る。

 そしてイデアはエクレールに対してわざと
 挑発伝説的な眼差しで見ながら
 新開にFATALITYを敢行した……と思ったら
(SE グオオオオオオオン!!!!)
 「やめろおおおおお!!!!]
 いきなりエクレールが体の底から
 振り絞るかの様に気力を奮い起こして
 イデアに向かって敢然と斬り掛かっていく。

「くす……やればでけるじゃないの。
 イヤボーンの法則ここに健在といったところかしら。
 一皮剥けたわね。褒めたげる。
 でも…でも、これでもまだまた物足りないわ!!」
 激昂して斬り掛かってくるエクレールの刃を
 艶めかしい動きでいなしながらも
 イデアは攻撃の態勢に入ろうとする。
 だがその時である。

(SE ギィン)
「呼ばれてないけどジャジャンジャ〜ッンでござる。」
 いきなり何の脈絡も無く
 どこからともなく現れた鈴女がイデアに攻撃を加え、
 イデアはかろうじてそれを交わす。

「誰かと思ったらイケない乱入者の鈴女じゃない。」
 しかし一皮剥けたエクレールと
 鈴女の攻撃を前にしても
 イデアの動きは鈍るどころか
 益々冴え渡ってくる。

「これは流石に鈴女でもキツいでござるな。
 流石四天王、一筋縄ではいかんでござるよ。
 しかし……今宵の宴もそろそろ
 終演を迎える頃でござるな。」
 ここで鈴女が攻撃の手を休め、
 おもむろに明後日の方向を向く。
 何斗そこには斬真豪率いる一体が控えていた。

「ていうかお前ら、
 かべのなかにいる
 状態じゃなかったの?」
「フ……確かにああやって我々はまんまと
 周りを壁で覆われてしまったが、
 とっさにエクレール達とは別に
 動力源を潰す特攻隊を編成して
 動力源を落とさせて壁を無力化させて
 ここまで来たという訳だ。
 さて……と、どうするね?」

「そうね……エクレとオマケ二人だけなら兎も角、
 鈴女と斬真豪をを相手するのはアタシでも
 流石にかなり分が悪いわ。
 『それに今のところはこっちの目的も
  順調にいっているみたいだし、
  今回はそろそろ潮時といったところかしら。』
 今日のところは潔く退却してあげるけど、
 次を楽しみにしているわ。」
 そう言い残すとイデアとその部下は
 さっさと去っていっちまー。

<三国の城塞内>
(ORISINAL SONG03.Zengakuren)

 という訳で激戦に次ぐ激戦の末、
 戦略的な要所である三国の城塞は
 はれて全学連の統治下に置かれる事となる。
 そして城塞内部では豪ち秋山が
 内部の現状を事細やかに確認している。
 内部そのものは前に攻略した時と
 余り変わってはいないが、
 そこには人間牧場に、
 人体実験や食用や人質を始めとした
 あらゆる用途の為に場内にストックされていた
 人間やエルフ等の奴隷、
 禍々しい武器や道具や薬品の数々、
 そしてそれに勝るとも劣らない
 禍々しい施設が有った。

「これらの施設や物資はこれからの
 敵の戦略等の解明研究の為に研究チームに送り、
 そして奴隷としてストックされていた人々は
 容態が回復するのを待ってから
 事情を聞く事にします。」

「それらの作業は田中や百瀬らに任せるとしてだ、
 三国の魔界孔・ホドの場所確認は
 とれているのであろうな?」
「ええ、この城塞の最深部に安置してあります。」
「判った。後でマウマウやマホコらに妖滅させるとしよう。」

「しかし……」
「しかし…なんだ?」
 ここで秋山は一つの疑念を持った表情を豪に見せる。

「このところの戦況についてですが、
 なんだか勝ちすぎている様な気がします。
 何だか敵の反撃が本気ではなく
 我々を誘い込んでいる様に思えてならないのですが。」

「ふむ、偶然だな。
 実は俺もさっきから同じ事を考えていたところだ。
 イデアの不自然であっさりとした撤退を考慮すると、
 おそらくは敵はわざと負ける事で我々を
 何かの罠にはめようとしている可能性は非常に高い。
 だがかと言ってこのままなにもせずに
 ただ手を拱いている程の時間的物的余裕は
 我々には与えられていないのも現実だ。
 我々は好むと好まざるに関わらず、
 虎穴に入らざるを得ん状況下に在る。」

<城塞の天守閣>
(27 All the time)
 場所は城塞の天守閣に移る。
 そこは城塞の周りが一望出来る場所に位置しており、
 そこには豪と秋山がいた。

「ここはだな……
 西の備えは天然の堀になる関ヶ原の鬼怒川、
 南はBストーンの産地として名高い松尾山、
 南は大要塞三国、
 東は天然の城塞たる伊吹山、
 Bストーンの産地で軍資金を蓄え、
 鬼怒川・伊吹山・大要塞三国で
 じっくりと備えを固める。
 我々はここを拠点として周りの領土を奪回し、
 そして日本に存在する魔界孔を一つ残らず
 妖滅していく作戦に出る。
 おそらくは敵も在る程度以上
 我々の出方を察知していて
 何らかの対処をしてくる事は必死だが、
 兵は神速を尊ぶ通り敵が対処出来ない程の
 神速の用兵進軍を行うか、
 あるいは相手の虚を突く奇策を採るか……
 今後の戦略について話をする必要がある。
 秋山、皆を会議室に召集してくれ。」
「判りました。」

<城塞内の広場>
 場所は城塞内の広場に移る。
 そこでは魔族の支配の目から逃れて
 周辺に隠れすんでいた三国の住人が集まっており、
 百瀬や田中や新開らがそれらの住人に対する
 対応に当たっている。
 業務は主に炊き出しに傷病者の治療、
 これからの衣食住の面倒等多岐に渡っている。

「なあ壮、そっちは終わったか?」
「ああ、朝飯の炊き出しも終わったし、
 傷病人の手当等の書業務等も俺の隊が
 滞り無くやっている。
 だがこれからの戦略については
 まだ発表がないから今現在の任務が終われば
 何をすべきなのかはさっぱり解らん。」

 自分の担当している業務をこなしながら
 田中に返事する百瀬。
 その百瀬に対してたった今戻ってきた新開が
 豪の伝言を伝える。
「その事についてなんだが、
 今後の戦略についての説明と議論が
 会議場で行われる事になった。
 二人共すぐに会議室に来てくれ。」
「ああ、判った。」

<城塞の会議室>
(ORISINAL SONG03.Zengakuren)

 場所は城塞の会議室に移る。
 そこでは今後の作戦の総責任者の豪を中心にして、
 秋山、新開、田中、サワタリ、鈴女、
 アギレダ、マホコ、マウマウ、
 エクレール、チルディ、リディアら
 今回の作戦に参加していた面子が揃っている。

「さて今回も皆の多大な尽力によって
 当初の予定通り三国奪回を成功出来た事に感謝する。
 まずはこの地図を見て欲しい。」
 豪はそう言うと三国の城塞と
 その周りの地図を皆に見せる。

「西の備えは天然の堀になる関ヶ原の鬼怒川、
 南はBストーンの産地として名高い松尾山、
 南は大要塞三国、
 東は天然の城塞たる伊吹山、
 Bストーンの産地で軍資金を蓄え、
 鬼怒川・伊吹山・大要塞三国で
 じっくりと備えを固める。
 今後の我々の作戦としては難攻不落の
 この城塞を前線拠点として周りの領土を奪回し、
 そして魔界孔を一歩一歩
 地道に潰していく作戦に出る。
 ただし恐らくは敵もある程度以上は
 我々の出方を察知しており、
 何らかの対処をしてくる事はたしかだ。

「ちょっといいでござるか、豪?」
「ん、何だ鈴女?」
「鈴女が見た限りでは敵の反撃が
 ホンチャンで無い様に思えてならないでござる。
 我々をどこかに誘おうとしているか、
 全学連軍の戦線を徒に拡大させて
 各個撃破を狙っているか、
 或いは他のなにがしかの目論見がある、
 としか考えられないでござるよ。」

「確かにそれは秋山も
 同じ事を考えていたところだ。
 敵もただ敗戦により逃走しているとは思えん。    
 もし本当に防衛の意志があるのなら、
 三国の主力を集めている筈だし、
 そうなれば三国の奪還は
 今回の何倍も困難を極めた事だろう。
 それにイデアの不自然な撤退といい、 
 どういう腹積もりかは現時点では判らんが、
 敵がなにがしかの策を持っている可能性は
 非常に高いだろう。
 もっとも今の我々に長期戦をする程の
 時間も物資も無いからここは敢えて
 敵の誘いに乗って短期決戦で
 相手が対処しきれない程の神速猛攻により
 一気呵成に叩き潰すしか無い。
 無論それと平行して敵の思惑が
 どこに在るのかを見極める事も必要だ。
 それらの事も含めてこれからの戦略を含めて
 今から会議で話し合う。」

 こうして当初の予定通り三国の奪回に成功した
 豪率いる全学連軍は次の作戦の為の戦略を
 練ることになるのであった。
 乞うご期待。

予告
田中雷蔵「次なる全学連の目標は京の都。
       だがそこでは死人使いロックの恐るべき罠が!」
鈴女「次回大番長AA『第二章その四・前編 「謝肉祭{ザ・カーニバル}」』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の特体生
新海健人(夜が来る!)
体力 経験 距離 信頼 気力 攻撃 命中 回避 治安 収益 給料
90 45 普通 4 105 110 10 30 20 20
スキル 属性 対属性
未遂 黒魔 魔族・白魔
未遂(気力2)〜
女性の敵1人に1.5倍のダメージ

後書き
今回は三国奪回戦を書きました。
次回からは話を大きく動かす
ターニングポイントの話を持っていきたいと思います。

パステルチャイム3は主人公がちょっと東郷っぽくて
何か心配バリバリですが、
取り敢えずは母娘乱館が先ですので、
それをやっていこうかと。

「ところで空の字。」

「何だ能天気作者?」

「みっしーは提督が字名{アーバンネーム}なのに
 何でスターシステムで出ないのかなって
 未だに気になるんだが。」

「おいちょっと待て。
 美潮をリアルメアリー・スーにNTRせるつもりか?」

「つまりみっしーを寝取らせたくないから
 大帝国に出場させなかったと。」

「その通りだ。」






苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
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撤退
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