真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
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序章最終話 最終章 「人類の灯火、未だ消えず」

序章最終話 最終章・新規登場人物
無し
5秒CM
斬真狼牙
「やっと序章が終わるのか。遅ぇぞ作者!」
<車両の屋上>
(ORISINAL SONG25.Terrible beat-Duel Soul Version)
第6ROUND エクレールVSバンドリー・その2
「フフフ……我が父方の祖は
蒙古の騎馬民族!!
 かつては強大なこの技でユーラシア大陸を席巻制覇した!!
 
ならば見せてやろう!!
 このバンドリー=ボルニコフの
真の姿を!!!!

 そういうや否や、バンドリーは大きく左肩を突き出し、
 ショルダータックルの構えを見せる。

テレフォンパンチ
 ボクシングで使われる用語。
 モーションが大きく、対戦相手に読まれてしまうパンチを、
 「これからパンチを打ちます」と電話をしてから
 パンチを出すようなもの、と揶揄してそう呼ぶ。

 だが、ここまであからさまなテレフォンパンチだと、
 小ざかしい小細工は逆効果となる。

喰らえぃ!!
 蒙古覇極道{カサンドラクラッシャー}!!!!


 その怒号と共に繰り出される
 超ショルダータックルは、
 一瞬にして十数bの間合いを詰め、
 エクレールの体を後ろの壁と
 サンドイッチにする。

蒙古覇極道{カサンドラクラッシャー}
全身を一弾と化し、
全力を敵に叩きつける一撃必倒の格闘戦用の技。
623623+P(ゲージ1本消費)

くぅっっ!!

 サンドイッチにされたエクレールは
 思わず苦悶の声を上げる。
 だが、バンドリーは間髪を入れず、
 そのままエクレールを掴み、
 更にバニシング追撃コンボを敢行する!!

ばるらるらん!!

きゃあっ!!

 バンドリーの必殺投げ、
 バンドリーボムが繰り出され、
 エクレールの華奢な体が地面、
 つまり列車の屋根に叩きつけられる。

バンドリーボム
高角度から繰り出されるパワーボム。
別名猛牛ボム。
壁バウンド状態の相手の近くで623+P

「このバンドリーボムを喰らって
 ピヨリながらも立っているとはな……。
 だが!!これでフェイタリティKOだぁ!!
 
カーッカカカカ!!死ぬがいい!!
 
蒙古雷撃弾{アルティメットバンドリーバスター}!!

 そう言うや否やバンドリーはエクレールを
 蒙古雷撃弾の態勢に拘束して空高く飛翔する。

蒙古雷撃弾
{アルティメットバンドリーバスター}
相手の両股を手で掴み頭上に逆さに持ち上げ、
相手の首を自分の肩口で支える。
この状態で尻餅をつく様に着地し、
衝撃で同時に首折り・背骨折り・股裂きのダメージを与える。
相手の近くでレバー2回転+PP(ゲージ2消費)

勝った!!序章・完!!!!

 完全に蒙古雷撃弾の形にロックし、
 バンドリーは訳の判らない事を宣言する。
 だが、我らのエクレールが
 こんなとことでジ・エンドする筈も無く……

「6は引っ繰り返すと…何になるかご存知かしら?」

「知…知らん!
全く知らん!!

は引っ繰り返すと、になりますわ!!」

なにをぱら!!?

 そういうとエクレールは
 背中からマリーシアと分かち合った
 黒い翼を顕現させ、
 その羽撃きによる浮力で
 態勢を逆転させる。
 それはまるで文字通り、
 6が9になったかの様な逆転である。

「『これは…
バスター返しか!!?
 バスター返しは相手の10倍の筋力を持たなければ
 為しえぬ返し技!!
 それをその黒い翼の浮力を使ってやるとは大した奴!!』
 だが!!6を9に為せるなら、その逆もまた然り!!
 喰らえ
バスター返し返し……
 
なんだコレは……!!?

 長ったらしい台詞の後にバンドリーは
 バスター返し返しを敢行するが、
 その直前に自分の体をロックしているのが
 エクレールの両手による首だけではなく、
 手首と足首が黒い翼によって
 掴れている事に気付く。
 それは正に三面六臂の
 鬼神のみが使える様な技である。

「まさか翼をその様に使いおるとは……
たわば!!

 バスター返し六臂バージョンを敢行され、
 バンドリーは再びエクレールと対峙する。
 だがエクレールもバンドリーボムや
 蒙古覇極道を初めとする技のダメージが残っており、
 そしてバスター返しはエクレール本人にも
 少なからずダメージを与えていてすぐには動けない。

『まさかあの様な返し技があるとはな……
 だが、ここまでだ……
 神速{ヴィード・ヴァン}で直線的に来れば
 アトミックベアナックル、
 飛翔しての頭上からの急襲には
 オメガボルニコフドロップ……
 そして迎撃を狙って動かなければ
 飛び道具のSS・バンドリー・ボンバー……
 ワシの勝利は動かぬわ……!!』

 頭の中で色々
 対策を立てていたバンドリーだが……
 エクレールは神速で間合いを詰め……
 それを読んでいたバンドリーは
 「
喰らえぃアトミックベアナックル!!

 で迎撃……するが、
 更にそれを読んでいたエクレールは
  バンドリーのパンチを
 繰り出した右腕に逆立ちし、
 右の踵落としを敢行する。

「甘いわ!!眠っちまいそうなスローな蹴りで!!
 このバンドリー=ボルニコフが倒せるかァーッ!!
 
華山角抵張り手!!!!
 このまま地面に叩き伏せてくれるわ!!」

 だが、それを見切ったバンドリーは
 開いている左手でエクレールの右脚を取り、
 地面に叩きつけようとする……

が!!!かかったな阿呆が!!!!!
 そこから更に左脚の踵落としが
 バンドリーの脳天に叩き落される。

華山角抵張り手
相撲の源流となった格闘技の張り手。
66+P

天使風脚〜剃刀
{アンジェリーク・ブリッサ〜サズワール}
前方宙返りをしながら遠心力を利用し、
両足で二段踵落とし蹴りを撃ち込む。
エイリスでは稲妻十字空烈刃と呼ばれている。
小ジャンプ中に236+K

「な…!?……天使風脚〜剃刀{アンジェリーク・ブリッサ〜サズワール}だと……!?」

 程なくバンドリーは吐血し、
 力なく地面に大の字になる。

「舌を噛んだではないか……
 これではボルシチを喰う度に
 口内炎が染みるぅ……。」

「男でしょう?それ位我慢なさい。」

FINALROUND 斬真狼牙VSグレッドその2

 二組の戦闘が白熱している頃、
 狼牙はグレッドに大苦戦を強いられていた。
 苦し紛れに備え付けの
 オリーブオイルのバケツを
 グレッドの足元に投げつけるが、
 超身体能力を持つグレッドが
 その様な悪足掻きの行為には眼もくれない。

「下らぬ悪足掻きを……
 まあいい、もう終焉わらせるぞ。」

「へっ……そいつはどうかな?」

 決着を付けんと構えを取るグレッドに対し、
 狼牙は足元を指差すと、
 そこには直前にこぼしたオリーブオイルが
 足元一面を濡らしていた。

「これで…何をするつもりだ?
 まさか竜吐火炎術で火でもつけようというのではあるまいな?」

「へっ、違ぇよ。今からその事を理解らせてるぜ!!
 
ドララララララ……!!!!!!

バカめ!!鉄界!!

 狼牙は必殺技の一つ、
 バスターウルフを
 グレッドに叩き込むが……
 グレッドの鉄界の前には
 全く効いていない。

バスターウルフ
連続して殴打を繰り出す百烈系の技。
P連打

鉄界
岩虎の派生技で、全身を硬くする。
ただし、岩虎程硬くはならない。
この状態で攻撃を繰り出す迫死鉄界{はくしてっかい}が存在する。
22+K(迫死鉄界は岩虎後に236+KK)

「この鉄界の前では!!
 その様な貧弱貧弱な連撃は
 蚊程にも通じんわ!!」

「ヘッ……だったら……
志村、後ろ後ろ!!

 グレッドの鉄界により
 全く効果が無いと思われていた
 バスターウルフであったが、
 確かにグレッド本人に
 ダメージは与えていないものの、
 足元のオリーブオイルのせいか、
 グレッドの足の裏が滑りやすくなっており、
 グレッドの巨体は徐々に後ろに下がり、
 後数歩で後ろの海に
 転落する状態になっていた。

 要するに狼牙はグレッドに対して
 リングアウト勝ちを狙いにいったのである。

 「キサマ……図ったな!!斬ぎゃ…

 「あばよ…牙突…
風風拳!!

 グレッドをリングアウトマケにすべく、
 狼牙は強風を起こす掌底・牙突風風拳を叩き込む。

牙突風風拳
腕や掌で風圧を起こし、ダメージを与える技。
ダメージは他の技よりも少ないものの、
相手を吹き飛ばす事に特化した技である。
236+PP(ゲージを少々消費)

うお……!!!

「まあ、死にゃあしねえだろうが、
 海に落ちたら流石に戻ってこれ…!?」

蹴……空!!

 狼牙風風拳によりグレッドは
 列車の屋根の上から吹き飛ばされ、
 下の海に落ちている筈だったが……
 そのグレッドはいきなりどこかを蹴って
 戻ってきたのである。

蹴空{けっか}
強烈な脚力で空気を蹴って飛翔する技。
これを連続を行えば空中歩行・蹴空往来{けっかおうらい}になる。
吹っ飛び中に236+P(蹴空往来は空中で236+P)

 そう、グレッドは蹴空で空気を蹴ってリターンしたのである。

蹴空往来!!

 そして蹴空往来でバトルフィールドである
 列車の屋根に舞い戻ってくる。

「畜生……こんな手が有りやがるなんてよ…。
 ち、もう気力が尽きてきやがったぜ……。」

「その様な姑息な手で俺を倒せると思ったのか…?
 この
アホダマー!!
 では…死ぬが良い、
拳坤!

 グレッドの秘拳・拳坤が狼牙を吹き飛ばす。

拳坤{けんこん}
所謂出は遅いが防禦不能で威力の高いパンチ。
確実に当てれる時に使おう。
上位互換技に拳坤逸敵{いってき}がある。
P溜め(拳坤逸敵は弱P中P溜め)

 グレッドの強烈な一撃を受けて
 狼牙はピヨリ状態になり、
 いつフェイタリティKOを決められても
 おかしくない状態だ。
 そしてその状態を
 グレッドが見逃すはずも無く、
 スペルコンボ・拳坤逸敵が狼牙を襲う!!

「地獄に召されるがいい!!
 
拳坤逸てきゃばっ!!

 一体何が起きたのか、
 全く理解らなかった……
 気が付くと、
 狼牙が無意識のうちに拳を突き出し、
 グレッドを殴り飛ばしていた。

 冷静に考えてみると狼牙最強の技である
 ウルフファングですら
 大したダメージを
 与えられずにいた超肉体が、
 咄嗟に出した通常技如きで
 何故大ダメージを受けるのかは
 不可思議の現象である。

「成程!!真実は一つ……謎は全て解けたわ!!」

「どういう事?扇奈さん全然わかんないわよ!!?」

 アンタは何っ子の母ちゃんかい、
 みたいな口調で扇奈が美亜子に
 謎の解明を要求する。

「これは特体生能力・集中{ピンポイント}ね。
 身体能力の一部分を低下させ、
 他の一部分の身体能力をアップさせるのよ。」

 聖城学園一の博識らしく、
 美亜子がグレッドの能力について
 的確な説明をする。

  つまるところグレッドの能力を
  「攻撃力・5 守備力・5 素早さ・5」
  とするなら、移動の時は
  「攻撃力・1 守備力・1 素早さ・13」
  といった漢字で能力を変化させる、
  つまり素早さに他の能力を
  集中させるという訳であり、
  後に狼牙はこの能力を
  『受験にも使えて羨ましい』と評価している。

 それはそうと、扇奈と美亜子のやり取りは、
 塾と名の付いているくせに正規の私学高等学校な
 男を磨く私学の名物コンビの様な見事さである!!

「見たか!!これぞ奥義、FOW{ファングオブウルフ}!!」

 狼牙が声高らかに奥義名を宣言する……
 ていうか、とってつけた名前だろ、それ。

「羽蛾っっ……!!そ、そんなバナナの涙!!!
 だが、勝負は振りかけに戻っただけだ!!
 キサマを屠り去った後、
 ふがいない李とバンドリーに代わり、
 キサマら全員始末してくれるわ!!」

殺れるものならやってみな!!

 グレッドは態勢を立て直し、
 尚も狼牙との交戦の意思を示し、
 狼牙もその意思を察知し、戦闘態勢に入るが……
 
その時である!!!
 狼牙もグレッドも巨大な人影を見た!!
 実際に7メートル級巨人族が
 いる訳ではない、が……
 兎に角理屈ではなく二人は目の前に
 巨大な人影を見たのである。

(ORISINAL SONG22.After Age)
おやめなさい、グレッド司祭!!

 その巨大な人影は
 徐ろにグレッドに向かって
 戦闘の停止を勧告する怒号を送った。

 周りの面々がよく目を凝らしてみると、
 怒号を発した主である
 そのの巨大に見えた人は、
 エクレールその人であった。

「お引きなさい!!ここは貴方方の負けですわ!!
 今世界は魔の眷族により破滅の危機を迎え、
 国外国内を問わず、
 多種多様な特体生組織が群雄割拠しており、
 この国の同胞は混乱をきたしています。
 その状況を・・・・・・割拠する数多の特体生組織を
 法皇省の名で鎮める事が出来るとお思いですか!!?
 今、このジャンヌなくしてNAGASAKI……いいえ、
 この国の同胞の安寧は到底望めませんわ!!
 帰ってそうドストン司祭にお伝えなさい!!!!」

 
重ねて言う!!
 狼牙やグレッドの目には、
 エクレールの姿がまるで
 三号生筆頭や大魔神の様に巨大に見え、
 その錯覚はグレッドの戦意を
 喪失させるのは十分な要因であった。

「理解った……この場は潔く引くとしよう。
 
だが!これで終結ったとは考えぬ事だな。」
アイキャッチ
魔窟堂野武彦(ぷろすちゅーでんとG&GOOD)
 「お前達魔族への返答は……『
バカめ!』だ!!」


アイキャッチ
タイガーらいむ(ONLY YOU〜リクルス)
がっおーーーーーんっ!!
 愛と正義のタイガーらいむ、今、ここに現臨!!!」
<車両の中>
(27 All The Time)
 場所は再び車両の中に移る。
 車掌にはグレッド達の襲撃の事を
 『 そこらに縄張りを持っていた馬賊の襲来』と説明し、
 負傷者の手当てや戦闘によって
 しっちゃかめっちゃかになった
 車両の後片付け等の戦後処理も
 一応滞りなく終了する。

「ん?どこかで見た顔だと思ったら…
 狼牙!斬真狼牙じゃないか!!?」

「おお!そう言えば、オメーは勇二!
 魔神勇二じゃねえか!!」

 互いに相手の姿を確認すると、
 断金の友情を示す握手を交わす。

「しかし、驚いたな。
 あの狼牙が聖城学園の番長をしていたとは。」

「まあ、色々あってな。
 そっちの方こそ色々有ったんだろ?
 何かあったのか教えてくれないか?」

 どうやら話によると
 斬真兄弟と魔神兄弟とは幼馴染であり、
 その時から竹馬の友であったらしく、
 昔話や別れた後の話に余念が無い。

 それらの話と自己紹介が済んだ後、
 話は再び今後の予定の話に戻る。

「という訳でだ。
 魔族の侵略を退ける為には
 ぜひとも全特体生組織で
 一致団結しなけりゃならねえってこった。
 だからよ。
 オメェ達で他の九州同盟を説得して
 全学連の加盟を勧めて欲しい訳よ。」

 狼牙の話に寄れば、
 全国の対魔族組織を纏める全学連とはいえ、
 内情は様々な勢力の思惑により
 一枚岩の状態とはとても言えず、
 それにまだまだ全学連に加盟していない
 組織も少なからず存在しており、
 とても安定した状態ではないという。

「理解りました。近日中に必ず吉報をお持ちいたしますわ。」

<九州同盟本部>
「てな訳出だ、肝心要のところで
 おれ達のエクレールは
ビシッと決めたって訳だ!」

 ところは一夜明けた九州同盟本部、
 そこではエクレールに同行したまりもが
 列車で起こった事を事細やかに、
 かつ誇らしげにボディージェスチャーを交えながら
 九州同盟の面々に講談師の如く話していた。

「そうか…しかし、ジャンヌ様を冤罪に貶めるとは…許せん!!」

 まりもの報告を聞いて、
 旧ホーリーフレイムの面々は
 怒りを隠せないでいる。
 旧ホーリーフレイムの面々は
 教義というよりも、
 ジャンヌ個人のカリスマで
 結束していた様な組織であり、
 怒りを隠せないのも無理は無い。

「でも・・・そうなるとどこの誰がどの様な目的・手段で 
 ジャンヌ様を貶めようとしているのか問題になるねぇ。」

  旧ホーリーフレイム出身の中でも
  現実主義者であるアイレーンが
  ジャンヌ冤罪の陰謀を
 冷静に分析しようとする。

「その事に付いてだがよぉ、
 確かドッスン便所みたいな名前の奴だったっけ。」

「ああ。司祭のドストン様かい?」

「ドストン?誰ジャラホイ?」

「あのお方は老齢ではあるが、
 やたらと権力・金品・性に対する
 執着心が強いなど黒い噂の絶えない方だ。
 グレッド様についてはそういった
 黒い噂は聞いた事は無いが、
 脳まで筋肉で出来ておられるという噂も有る。」

「つまり、悪代官に脳筋用心棒って訳かよ。
 ところで、もう一つの話である
 九州同盟の全学連加盟の件に
 ついてなんだが……。」

「それについては異議は皆無だ。
 早速加盟の手続きを済ませるべきだ。」

「ま、反対する意味はねぇし、俺も同感同感太田道灌だ。」

 まりもがもう一つの件である
 九州同盟の全学連加盟の件について切り出すと、
 珍しくバイラルと空也の意見が一致する。
 普段は、この二人は以前の抗争もあってか。
 何かといがみ合って何かにつけて口論を繰り返し、
 あわや喧嘩にまで発展しそうになった事も有り、
 そのたびにアイレーンと美潮・シャイラが仲裁に入って、
 今のところは何も起きていないという。

「じゃあ、この件については全会一致って事でいいな。」

全員
「了解」「異議無し」

<法皇省・キシラルの部屋>
(ORISINAL SONG42.Tonorist Pope Ministry)
 ところは遠く変わって、
 法皇省の司祭・キシラルの個室に移る。
 天才と称された司祭の個室らしく、
 棚には神学書を初めとする
 難解な書物が並んでおり、
 そして中央の壁には
 至高神アリスの像が掛けられており、
 部屋全体は潔癖な程に整頓されていた。

 その部屋で、キシラルは近習の者から
 《ジャンヌ卿は今のところはグレーゾーンである》
 という報告を聞いていた。

「そうか…わかった。下ってもよい。」

 近習の報告を受け、
 キシラルは日課の礼拝に向かおうとするが……

「今日は……妙に右脚の義足が疼くな……。」

 キシラルは今朝方から感じていた
 脚の義足が疼く事に疑問を感じ、
 そして回想に入る……。

<回想・約10年以上前の対島{たつしま}>
(27 All The Time)
 ところは過去に移り、約10年以上前の対島に移る。
 ここは
『歴史上では』その年に
 謎の自然災害で住民諸共滅んだとされる島とある。

 この年キシラルは《対島に……つ……い…つ者が存在する》
 という情報を耳にした法王省に
 対象の抹殺を命ぜられて対島に赴いていた。

 だが、一口に抹殺するといっても、
 対島の住人を虱潰しに
 探索するとなると並大抵の事ではなく、
 この日も一軒一軒虱潰しに
 探索していたものの、
 結果は梨の飛礫であり、
 今日もキシラルは海岸をバックに
 途方に暮れていた。

「ふぅ…一口に対象の抹殺と言っても、
 これでは梨の飛礫だ。
 やれやれ…法皇省のお偉方も
 無理難題を言ってくれる。」

 途方に暮れたキシラルは
 帰途に着こうとするが、
 ふと横を見ると4〜5才くらいの少女が
 地元の男子に混じって
 簡易な野球をしている姿が目に止まる。


 水色の髪の毛を短く刈り上げ、
 どちらかというと、
 少年のような外見をしているその少女に
 ふとキシラルは目を奪われる。

 別にキシラルは童女趣味だとか
 野球に興味があったから、
 という訳ではなく……
 何と、その少女の手の甲に
 今まで草の根を分けても見つけられなかった
 抹殺の対象となる証拠が有ったからだ。

「ン?どーしたのおじさン?
 一緒に野球をやりたいのならいーよ。」

「ん?私に…かね?」

 抹殺の対象で有る少女から
 草野球の誘いがやって来た事に
 キシラルは少々戸惑う。
 だが、任務の事も有り、
 それらキッズの草野球に入り、
 プレイボールをする事にした。

 ……数刻後、あたりもすっかり夕暮れになり、
 キシラルは祖の少女を家まで送る事になった。

「そうか、君は父上や母上の様になりたいのか……。」

「うン、ボクはもっともっと強くなって、お勉強をして、
 パパやママの様になりたいンだ。」

「そうか、それはいい事だ。」

 正直言ってキシラルは迷っていた。
 任務どおりに対象の少女を抹殺するか、
 それとも見てみぬ振りをするか、
 未だに決めあぐねていたのである。

『さて…どうする?ここでこの娘を殺さなければ、
 私は背教者になってしまう……。
 だが……だからと言って……。』

 そうこう葛藤しているうちに、
 キシラルと少女は
 少女の家に辿り着いた。

「ただいまー。」

「あら、遅かったわね。」

 キシラルが開かれた戸を見ると、
 そこには金髪碧眼の
 若く美しい女性がおり、
 キシラルは少女と出会ってからの
 経緯を全て話した。

「そうですか。
 わざわざ送っていただいて申し訳有りません。」

「いえいえ、私も暇でしたから……
 いい暇つぶしになりましたよ……。」

「おじちゃン、あそンでくれてありがとー。」

「あ…ああ。」

<回想・数日後の対島>
(ORISINAL SONG42.Tonorist Pope Ministry)
 その日、対島は昼前だというのにやけに眩しく、
 そして夕焼けの如く紅々としていた。
 辺りを見回すとそこ等辺中に
 住民の惨殺死体が散乱し、
 家々には火がつけられ、
 空を真赤に染め上げていた。

 そして、その村の広場には二人の男がいた。
 そのうちの一人はキシラル、
 そしてもう一人の修道服の男の名はセイル、
 かつては若くして司祭の座まで登り詰め、
 大司教、そして法皇の座も夢物語ではない、と
 言われていながら何故か
 この対島に隠遁した男であり、
 そしてキシラルとは
 同期のサクラでもあった男でもある。

「まさかお前があの娘の父親だったとはな……」

「どうしても……やる、というのですか?」

「無論……あの娘は、 
 hめ《
ビュウ》こ《ビュウウウ》を持っている。
 彼の者を生かしておいては、
 いずれ世界に災いをもたらす事になる。
 災いの根は速めに切り取っておく。
 セイル、お前も重々知っているだろう。
 それが……法皇省の正義だ!!」

「貴方はこの様な無慈悲な正義を
 おかしいとは思わないのですか、キシラル!!?
 いかにそうとはいえ、
 小学生にもならぬ娘一人を抹殺するなど……
 大勢の人々を巻き添えにする事など……
 断じて間違っている!!」

「それがお前の正義か……正論だな。
 だがな…セイルよ……!
 我々はそれでも引く訳にはいかんのだ。
 ……アレは必ずその娘の手に発動する。
 アレは……アレは『そういうもの』なのだ!」

 セイルは法皇省の正義を貫く為に
 一人の少女を抹殺する事が、
 そしてその為に大勢の人々を
 巻き添えにする事が
 如何に非人道的であるか、
 と必死に非を説くが、
 キシラルの志を動かす事は叶わなかった。

「そうですか……
 争いは好むところでは有りませんが……
 仕方が有りませんね……!!」

 そして、画面がフェードアウトする……。

<回想・一ヵ月後の法皇省の議定所>
 これより一ヵ月後、
 キシラルは法皇省の会議に出席していた。
 今回の会議は、
 議題を論議し合うという事よりも、
 むしろ任務の結果を報告し合う
 定例報告の場となっていた。
 他の者が次々と
 任務の結果を報告していく中で、
 キシラルの報告の番になった。

「……結論から申しますと、
 対象の抹殺自体には成功致しましたが、
 その遺骸は私の不注意が原因で
 崖から海に落ちてしまい、
 遺骸の捜索が不可能となりました。」

「ほう、それは奇怪な事を申される。」

「奇怪……と申されましたか、ドストン司祭?」

 だが、この報告に物言いをつけた司祭がいた。
 キシラルが見ると、
 発言の主はあの強欲司祭ドストンであった。

「いかにもじゃ。
 キシラル司祭の報告には、
 まずいくつかの不透明な部分が有る。
 対象がいかなる者であったか、
 如何なる手法を用いて
 抹殺したのか、等等……
 これでは任務を果たせぬ事の
 発覚を恐れて……
 もしくは何某かの理由にて
 対象の抹殺を履行できぬ理由が発生し、
 それで虚偽の報告をしている、
 と取られかねぬぞい。」

「……判り申した。お話致しましょう。
 まず、対象は中年の巨体の女性で、
 名前はファーロングと言う。
 抹殺の方法は崖にいたところを
 殴打一閃で抹殺、
 しかし、それが仇となって、
 遺骸は崖から海に落ちてしまいました。」

 ドストンの執拗な追及に対し、
 キシラルは巧みな弁舌で
 それをかわそうとするが……

「じゃが、確実な証拠が無いのでは話にならぬわいな。
 のう、諸卿もそう思われるであろう?」

 キシラルの弁明を
 一笑に付して取り合おうとせず、
 他の司祭も清流派は
 キシラルの応援に回り、
 ドストンに侫{おも}ねたり
 キシラルに反感を持つ派閥は
 ドストンに付く等二分割してしまい、
 いまや会議は全く機能を
 喪失してしまっている。

「ふぅ……仕方が有りませんな。
 私も始めからロハで信用して貰えるとは
 毛頭思っておりませぬ。」

「ほう…ロハとは何か?
 まさか神聖なる会議の場で
 買収の話を持ちかけようと
 いうのではあるまいな?」

  ドストンが厭らしい目付きで
  キシラルの発言に対して邪推をするが……

「まさか……神の御前ですぞ。
 よもやその様な卑劣な行為をする筈があるいますまい。
 では…私なりのケジメ、しかと
御照覧あれ!!!」

 そう言うやキシラルは
 自分の右足の太腿の部分に
 手刀一閃を加え、
 黄金の剛脚とまで謳われた
 自分の右脚を自ら切断してしまう。

「こ…これは……!!」
 この行為には、他の司祭は無論、
 流石のドストンも一言も
 反論する事が出来ずにいた。

「この鉄足司祭キシラルの脚を差し上げましょう。
 この私の右脚、廉いものと思いたもうな。」

「わ…判った。
 キシラル司祭が底まで言われるからは……
 『この若僧……中々胆力が有りおるな……
  まあいい……今は若僧の右脚を
  貰っただけでもよしとするか……』

<法皇省・キシラルの部屋>
「あれから……もう10年以上も経つのか……」


<熊元 杜若家にて>
(27 All The Time)
 ところは変わって熊元の杜若家。
 そこでジャン神父は再びその家の主人、
 杜若直樹に整体を行っている。

 ジャン神父の懸命な治療により、
 何とか容態は良好になってきてはいるものの、
 まだ立ち上がるまでにはいたってはいない。 
 そして、その様子を助手として同行している
 エクレールとまりもが見ている。

「そうですか……いよいよお嬢さんが
 本格的に戦いに身を投じられますか……。」

「はい。」

『そうか……このオッサン、
 魔族に体をオシャカにされたんだな。
 しかし…何故神父はこんな時に……。』

<熊元 杜若家・廊下>
(ORISINAL SONG31.Dash! To Future〜unpluged〜)

 場所は変わって杜若家の廊下に移り、
 直樹の歩行訓練が実施される。
 何とか立ち上がれたものの、
 直樹はの今の状態では
 歩行する事はとてもではないが
 出来そうにない。

「さあ、杜若さん……
 ここまで歩いてみるんです!」

「ガンバレオッサン!!」

「大丈夫!きっと歩けますわ!!」

「ハァハァハァ……ぐっ!!」

 まりもとエクレールの
 二人の美少女のエールを受けても……
 
駄目なものは駄目なの!!!!!!
 今の直樹にとっての歩行とは、
 駱駝が針の穴を通る以上の難業なのである。

「おじさん!!」

「手出しはならぬ!!」

 遂に堪りかねたエクレールが
 つい助力をせんと近寄ろうとするが、
 ジャン神父はそれに対し、厳格な態度で制止する。

「スタンド アンド ファイド!!
 自分の足で立ち上がって下さい!」

「神父……非常に申し訳ない……
 今の私には……その気力がありません。」

「「……」」

 どうやら今の直樹のコンディションでは
 歩く事すら至難の業の様である。

<熊元 杜若家・玄関前>
「では、これで失礼致します。」
 娘のあやめに対して挨拶をし、
 ジャン神父達は九州同盟の本部に
 帰ろうとするが……。

(ORISINAL SONG22.After Age)

「神父……!!」

 南斗!そこには自分の足で!
 しっかりと地面を踏みしめ!
 キョンシーの様に腕を前に出しながら、
 一歩一歩確実に
 歩いて近づいてくるではないか!!

「お父様……!!」

「し…神父……!!」

「お父様が……歩いた……!!?」

「有り難う……神父……。」

「神父様……!」

「礼を言うのはむしろ我々の方です。
 貴方は我々に掛替えの無い切っ掛けを……
 戦う為の意思を与えてくれました……。」

「もう行こうじゃねえか、神父、エクレール!!」

「ああ、そうだな。」

「そうですわね。」

予告
軽井沢成美「魔族との戦いの合間に繰り広げられる
        特体生達の日常。
        姫夜木研究所、そして
        鳳凰学園の日常に迫る。」
仁藤美咲「次回大番長AA『第一話 「日常あるいはプロローグ」』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!
COMING
????
「何故彼だけが世界の為の犠牲
 ならなければならんのだ!!!?」
(第@話)


狼牙の先祖
「………………」
(第@話)


エクレール
「ジャンヌ様、これでもこの地を浄化するというんですか?
 魔族と手を結んででもこの国の人々を滅ぼそうというんですか!!?」
 答えて下さいジャンヌ様!!
ジャンヌ
「……」
エクレール
ジャンヌ様!!!!お願いです…答えて…下さい……
ジャンヌ
「……」
エクレール
答えろ!!ジャンヌ!!!!!!!!!
(第@話)


矢矧大和
「だからオレは黒正義になった!!
 何が有ろうと、破滅の刻印を持つ者を……
 生かしておく訳にはいかん!!!!
(第@話)


ムラタ
「匡一郎よ……だからお前は
 アホだというんだぁ!!!!
(第@話)


蛇王院空也
「この戦いは戦いは人類にとっての桶狭間だ!!!!」
(第@話)

斬真狼牙
「このッ……裏切りもんがあぁあああ!!!!
(第@話)

イデア
「エクレはあたしだけのもの……
 絶対に誰にも渡さないンだから!!!!」
(第@話)


神威
「人間を装う…だと……?いいや、違うね。
 私はある意味お前達人間そのものなのだ。
 そう……お前達の……誰よりもな。」
(第@話)


                     SOON!!!

今週の特体生
杜若あやめ(ONLY YOU〜世紀末のジュリエット達&リクルス)
体力 経験 距離 信頼 気力 攻撃 命中 回避 治安 収益 給料
10 23 普通 100 10 80 80
スキル 属性 対属性
心ノ眼 白魔 魔族
心ノ眼〜1ターン毎に同じ地域にいるキャラクターの気力が1回復

後書き
やっと終了しました。いやはや、長い序章でした。
次からは……一応大筋でストーリーは決まっていますので、
ちょくちょく書いていきたいと思います。

にしてもランスクエストはマグナム以降、
マチルダやリセット等の仲間にしたくても出来なかったキャラや
きくやちぬなど無印で登場しないキャラが仲間になりますので、
非常によい傾向になってきたと思います。


苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
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となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
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撤退
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