真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
真・闇の会サイトマップ

序章その二 「御旗の下に・第二章 再会」

序章その二・新規登場人物
早川愛子
オリジナルキャラ。名前は闘神都市Uのトーナメント表に載っている
出場選手・早川愛子から取った。早川村の豪商・早川尚底の一人娘。

早川尚底
オリジナルキャラ。名前は闘神都市Uのトーナメント表に載っている
出場選手・尚底から取った。早川村の豪商にして村長。

天四郎
オリジナルキャラ。名前は闘神都市Uのトーナメント表に載っている
出場選手・天四郎から取った。早川村の貧困層の家の出の若者だが、
経理の才が有り、早川家に番頭として雇われ、現在は将来一人娘の
愛子の婿に、とまでの寵遇を受けている。

なにわ大二郎
ぷろすちゅーでんとGから出場。早川村の近くに拠を構えている。
猿藤悟郎(現・阿寒湖まりも)とは旧知の仲。

猛大人
闘神都市Uから出場。ならず者で、なにわ大二郎の子分。
ちなみに、闘神都市Uに出ているカラー・クライアは中盤に
エクレールを導く女神として登場の予定。
5秒CM
四条沙羅沙「今日の大番長AAは、正しい女の子の口説き方…」
なにわ大二郎「んな訳ないやろ……」
<‐死魔根‐早川村>
(27 All The Time)
 場所は死魔根の田舎に在る早川村。
 某月某日、阿寒湖まりもはジャン神父の紹介の元、
 紹介状を片手に早川村の豪商・早川尚底邸に
 資金の融資の依頼に赴いていた。

 何故ならば今の自分達は
 今までのちんぴらライフの時の様に
 毎日意味もなく面白おかしく
 暮らしていく事が目的ではなく、
 一応大きな目標を持っており、
 その目標を達成する為には
 確固たる地盤を持たなくてはならず、
 今のままではいずれはボンビーで
 根無し草になってしまう事は確実だからだ。

 だが……見る限りでは
 村の様子が何かが確実におかしかった。
 まりもが噂に聞いていた限りでは
 早川村は早川翁の自治が行き届いており、
 村の雰囲気も穏やかで
 牧歌的と伝え聞いている。

 確かに村は建物も道も整理整頓されており、
 それは噂には寸分違わなかった。
 しかし今ではそれが村には
 ほとんど人が出ておらず、
 村の様子を見るにまるで
 嵐の前の慌しさに満ちていた。

 着いて早々まりもは
 持ち前の動物的勘により、
 その村の様子の異変に気づく。
 
「なあ、この村の早川って家は知らねぇか?」

 まりもが前を通りがかった村人に聞いてみると

「ああ、早川翁の家はあの屋敷だでよ。
 だけんども……この通り、
 現在この村は取り込みの最中で……
 とても観光どころの騒ぎではねえだ。」

 村人は村の中心の邸宅を指し、
 現在の状況を軽く説明する。
 村人の言う通り、
 村の様子はわびしい事極まりない。

 前述の通り人通りは少なく、
 その数少ない人の表情も
 皆一様に暗く生気に乏しい。

「取り込み中って何があったんだ?」

「この家にはそれはそれは
 お美しい娘さんがおられるだお。
 娘さんには婚約者がいただが、
 悪い事にならず者連中の親分に
 見初められてしまってなぁ……。」

 まりもは更にその村人に状況を尋ねる。
 そしてまりものその問いに対し、
 村人は悲しげに事情を話す。

 村人の態度から察するに、
 どうやら早川家はこの村では
 古くから存在している名家で、
 広く村人に尊敬されてきた家らしい。

「成る程……そういうことかい。」

「今夜はその山賊と娘さんの婚礼という訳だ。
 もうすぐその山賊がこっちに向かってくるんで
 皆家に閉じこもっているだよ。」

「そりゃあ非道ぇ話だ!許るせねえ!」

 神妙な面持ちで
 そのならず者一味の悪事を聞き、
 まりもは義憤を隠せずに言葉に表す。

「当家の主人早川翁は、
 ならず者共を怒らせて
 村が全滅するよりも娘さんを犠牲にと……。」

 「
な、なんだってー!!?

 ここでまりもはあるミステリーリサーチの
 一員が驚いた様な顔になる。



<‐死魔根‐早川家邸宅の庭>
(23 silence..)
 場所は早川家邸宅の庭に移る。
 庭は普通の日本邸宅の庭で、
 周りには松の木等の樹木が立っており、
 傍らには小さい池がある。

 そこにまりもと邸宅の主・早川尚底、
 尚底の愛娘の愛子、
 そして使用人にして許婚の天四郎がいる。

 そして、周りの空気は果てし無く重く、
 まるで暗剣殺から大殺界まで
 まとめてやって来たかの様な面持ちである。

「早川さん、村人から訳を聞いたぜ。
 全く気の毒な事だな。
 山賊に娘さんを狙われているんだって。」

「娘がヒャッハーに狙われているにも関わらず
 何も出来ない無力で憐れな親とお笑い下さい。」

 翁は自嘲気味な溜息をつき、
 その表情は嘆きの表情を禁じえない。

「おれは…阿寒湖まりも……です。」

 神妙に自己紹介をするまりもだが、
 慣れない敬語で少々舌が回りにくいのが分かる。

「この家の家長、早川尚底です。」

「娘の愛子です。」

「許婚の天四郎です。」

「おれは三蔵法子先生という
 偉い人から交渉術を学びました。
 例えどんな相手でも、
 必ず改心させる事が出来ます。」

 まりもはそう言って胸をどんと叩き、
 空元気の自信を示す。
 しかし自信とは裏腹に、
 そんなものは嘘っぱちであり、
 出任せのハターリである事も事実だ。
 大体まりもの元猿藤オツムで
 そんな妙案が浮かぶ訳も無い。

「相手がならず者でもそんな事が出来るでしょうか。」

「大丈夫!元ならず者のおれがいうんだ。
 ダメならおれのこのゲンコで無理にでも
 Jud!イエッサー!と言わせてやりますよ!」

 少々不安気な翁の質問に、
 出任せのハッタリであるにも関わらず、
 まりもは自信に満ちた態度を崩さない。
 ……と言うと聞こえはいいが、
 ハッキリ言えば何の根拠も無い
 忍者ハッタリ君以外の何物でもない。

「まあ、中に入ってからおれの考えを話しましょ。」

<‐死魔根‐早川家邸宅の客室>
 豪華な客室に、翁、愛子、天四郎、
 そして客人のまりもの四人がいる。
 その客室は一言で言えば和華折衷、
 日本と中国がごちゃまぜになった部屋だ。

「まあ、今夜は目出度い夜だ。
 お寿司を百人前くらい出前でとって
 ぱーんとビッグに祝いましょうや。」

 突然まりもが何の脈絡も無く
 訳の分からない事を言い出す。
 その訳の分からない言葉に、
 3人は口が呆けるが如く
 ぱか〜ンと開くのを禁じ得ない。
 そりゃあそうだ。

「自分の婚約者を花花太歳ヤロウにNTRれて
 平気でへーこらしている様な屁垂れバカな
 ヘポーコの嫁にならずに良かったよな。
 なあ、お嬢さん。」

 そう言いながらも、
 まりもは横目で天四郎を見る。
 その眼、その態度、その口調、
 明らかに挑発の意思が篭った目だ。

「そのヤロウがここにいないから言うけどさ、
 そんな屁垂れ男の嫁になっても
 決して断じて幸せにはなれねぇよ。
 獄屠拳で嫁さんをNTRられるに決まってらぁ。」

 
 あたかも天四郎がいないかの様に
 振る舞いながら、
 まりもの挑発的な話は更に続くよどこまでも。

「野生の獣の世界だって
 自分のメスがNTRられそうになったら
 オスは命懸けで闘うぜ!」

 まりもが拳を握り締め、そう言い放つ。そして…… 

「娘さんの未来の為に万歳三唱!
 バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」

 愛子がならず者の嫁にされる事を
 
喜ぶかの様な態度を取り、
 万歳三唱までする始末である。

 その余りにも明け透けな暴言に、
 流石の温厚な天四郎も憤怒して立ち上がる。

(07confront the enemy)
「あんまりなおっしゃり方じゃ有りませんか!
 私はこの愛子を心から愛しています……!
 愛子の為なら私は死んでもいいと思う!!
 しかし、村の為に敢えて私は身を引いたんです!」

 「黙れやかましかばい、
 なめとんかこの腰抜け!


(SEドカン)

 その言葉に逆鱗が触れたのか、
 まりもはテーブルを思いっきり叩く。

 まりもの怪力により、
 テーブルは無惨にも脚の部分を残し、
 板の部分は原型をとどめず粉々に砕け飛ぶ。


「偉そうに言うな!テメェキンタマついとんかい!!」

「私の苦しい葛藤による
 苦渋の決断も理解からず
 何というヒドい事を言うんだ!
 いかにお客人とは言え許さないぞ!」

 まりものそのあからさまな挑発の言葉に、
 天四郎は怒りを露わにして席を立つ。

「へえ、まだ怒るだけの気概が有ったか。
 悔しかったらおれを殴ってみな!」

 いかにも小憎ったらしい態度で
 挑発伝説をするまりもに対し、
 堪忍袋の緒が切れた天四郎は
 まりもに殴りかかるが……

「くそっ!」

「おっと……。」

 ど素人の繰り出すパンチ攻撃は
 蝶が舞うが如くひらりとかわされる。

「おいおい、どうした。おれはここだぜ。」

 そんな天四郎に対して
 まりもはここで呆れた、
 という態度で人差し指で
 無限の挑発伝説HEYHEYHEYをする。

「くそぉっ!……ぶべっぶべっ!
 べらっべらっ!!はべらっもべらっ!!!」

 そのまりもに対して天四郎が
 更に殴りかかろうとするが、
 まりものカウンター拳固に
 呆気なく張り倒される。
 まりもの拳固に張り倒された
 天四郎の顔はたちまちのうちに
 鼻血で真っ赤に染まる。

 しかし尚もまりもの攻撃は止まらない。
 天四郎は更に胸倉を掴んでの
 連続平手打ちを食らわされ、
 文字通りグロッキー状態となる。
 あるのかないのかどっちなんだ?
 ないないあるよ、ないあるよ。
 だがまりもは胸倉を掴んだ状態で
 更にボコボコに殴ろうとする。

「さあ、
立て!立つんだ!
 男が一度喧嘩を始めたら
 どちらかが降参するかくたばるまで
 エンドレスでやるんだよ!!!!」


(21 dash to trush 〜unpluged〜)
 だが、その惨状を流石に見かねたのか、
 ここで愛子が間に割って入る。

「おやめ下さいませ!お願いでございます……」

「へっ……女に庇われる様に
 なっちゃあ男も御仕舞ぇだ。
 キンタマ去勢して宦官にでも
 とらばーゆしちめぃな、
 このオカマヤロウ。」

 その姿を見たまりもは、
 「呆れた」という格好で後ろを向き、
 手をひらひらさせる。

 しかしその姿にまた怒りを憶えた天四郎は
 激昂して咄嗟に側の棒を手に取り、
 まりもの隙だらけの頭に一撃を食らわす。

ITEッ!

 一矢報いた天四郎だが、
 その途端に一瞬で我に返り、
 へへたとその場に腰を抜かす。

 そしてまりもがピヨリ状態から
 リカバリーして頭に手を当てた後、
 腰を抜かした
天四郎を起こしながら
 ゆっくりと諭し始める。


「いいぞ天四郎、その気概だ。
 だがその憤怒りを向けるのはおれにじゃねえ。
 向けるべきはにっくき悪い山賊だ!!いいな!」


「それはわかっています……しかし……
 相手は二百人以上のヒャッハー集団……
 とても私達トーシローが勝てる相手では……。」


 「このスットコドッコイが!!
  相手が強けりゃあ女を犠牲にして
  テメェだけ生き延びるのかよ!
  男にゃあ時には例えやけくそでも
  打算もクソもねえノホンの勇気を
  出さなきゃいけねえ時があんだよ!!」

 しかし天四郎は弱気なせいで
 いまだに自信を持てないでいる。
 まりもはそんな飽くまで弱気な天四郎に
 キッツーイ一喝を加える。

「女に惚れるって事はな!!
 惚れた女の為なら自分はくたばれるって事なんだよ!
 せめて山賊と刺し違えてくたばるってぇのが
 漢{おとこ}ってもんだろ!」

「わ……わかりました。」

「本当にわかったのかよ。
 ……頼りにならねえ返事だぜ。
 まあいいや……
 おれはこれから花嫁の部屋で
 花嫁に化けて寝ているから、
 山賊野郎が来たらおれのところへ通すんだ。
 いいな、わーったな。」

 そう言い残すとまりもは
 そばのネグリジェを手にして寝室に入る。

「どうなる事やら……
 あの人に話して帰って拙い事になったのでは?」

 だが翁の表情は不安極まりない。
 そりゃあ当然だろう。

「お父様、私はあの人を信じます。」

 だが、愛子は天四郎の胸に寄り添い、
 そんな愛子を天四郎は優しく受け止める。

 
ソシテ、センリツノヨルガオトズレタ…

アイキャッチ
桜小路牡丹「お師匠様、頑張って下さい!!」


アイキャッチ
緋皇宮神耶「ルヴァウル……行こうか。」

<‐死魔根‐夜の早川家邸宅門前>
(07confront the enemy)
 夜の早川家邸宅門前に移る。
 数人のヒャッハー山賊特体生の持つ松明が
 蛍の如く
闇を邪悪に照らしている。
 
 「花婿の高貴な修羅・猛大人様が到着したアル!
 花嫁はどこアルどこアルどこアルひょんげ〜!」


 そして、その中から一際目立つ
 巨躯を持つ巨漢ブサメン・
猛大人が門を開け、
 傍若無人の態度で邸宅の中に入っていく。



<‐死魔根‐夜の早川家邸宅門前>
「愛子、お前はかくれていなさい!」

<‐死魔根‐夜の早川家邸宅中>
「我が愛しの花嫁殿はどこアルか?
 イケメン花婿様の登場アルよ。」


 家に入った猛はそれこそ
 部屋の隅から隅まで

 愛子を見つけんものとと
 ミシャグジさまが盛り切った状態で
 ハッスルで家捜ししていく。


「隠れん坊は止めて出てくるアルよ、
 私の花嫁カワイコちゃん。」


 その姿はまるで鬼ごっこで
 隠れた者を捜す鬼を髣髴とさせる
 リアルかくれんぼだ。


「む、娘は恥ずかしがってあ、あの…部屋に」

「ほお、花嫁は恥ずかしがっておりましたアルか。
  愛い奴愛い奴。ゲヘヘヘアル。
  それでこそ私の嫁にふさわしいアルぅ〜。」


 尚底はその猛に対して
 罠のしかけられてある部屋に案内する。

<‐死魔根‐夜の早川家邸宅寝室>
 電気の全くついていない、
 ベッドの存在だけが辛うじて判別出来る
 漆黒の寝室に場所が移る。

 猛はその中を手探りで
 グフフとベッドに近付いていく。
 まるでドリフのシチュエーションであり、
 どこの殿様ごっこだよ。

 ベッドで布団を被っているまりもを
 愛子とカン違いしたのか、
 ふふ…と笑いながら猛は
 すりとルパン脱衣で瞬時に脱衣、
 すっ〜んと斜めに飛び掛るが……

(SEガッ!!)
 斜め読みのカウンターのアッパーを喰らい昏倒する。

なにわらぎゃあ!!

ちょっとこい!

 猛を倒したまりもは、
 昏倒して浮き足立った
 猛の首根っこを鷲掴みで
 グワシと掴んで
天四郎の前に出し……

「これがオメェから花嫁を奪おうとした
 憎んでも憎みきれねえ極悪非道の悪漢だ!

 
怒れ!そして自分の手で倒すんだよ!」

 そして、天四郎と猛とのタイマンをプロモートする。

 【デスマッチ 天四郎vs猛大人】

 罠にはめられた猛に対し、
 愛子を守らんものと天四郎は
 なけなしの勇気を振り被って
 矢鱈滅多羅棒を振り回す。


(SE ベキョッ)
 素人丸出しの攻撃であるが、
 狼狽し切った猛にクリーンヒットする。

 ところがどっこい、
 怒った猛は本気になって
 マジで天四郎に襲い掛かる。


「俺は怒ったアル!本気で怒ったアル!
 お前達は皆殺しだらぁル!」


 マジ逆ギレした猛は
 天四郎の棒を跳ね除け、
 更に山刀を振り回して攻め立てる。

 天四郎もなけなしの勇気を振り絞って
 果敢に抵抗するものの、
 やはり凶悪な山賊相手では
 素人にはかなり荷が重い。

 「おのれ、真っ二つにしたるアルー!!

 山刀の唐竹割りで
 止めを喰らわそうとするが、

 とっさにまりもが猛の顔に
 傍にあったビール瓶をぶつけ、
 その凶行は不発に終わる。

 その隙に天四郎が棒を振り下ろして
 キツイ一撃を食らわし……


 更に8時のコントのごとく
 たらいまで頭に落ちてくる始末だ。

「お、憶えてるアル!この恨み忘れねえアルよ!!」

 ビール瓶を頭にしこたま叩きつけられ、
 更にビールで目潰しまでされ、
 天四郎の一撃まで食らわされ、
 たらいのコント攻撃まで受けちまい、
 浮き足立って狼狽した猛は
 脱兎の如くトンコ逃げ出す。


「はぁ、はぁ、はぁ……。」

 猛を撃退し、息を切らしている天四郎に

「よくやったよい。
 それでこそ花婿になる資格が
 大有りってぇもんだ。」

 まりもは振り絞りし勇気を賞賛する。
 しかし……

「私はこの後が心配でございます。
 あの山賊が手下を引き連れて
 大挙して押し寄せてきたら……。」

 翁は猛の逆恨みによる逆襲を案ずる。
 その不安に対し……

「任せておくんなさい。
 乗りかかった芭蕉船、
 最後まで面倒を見てやりますよ。」

 何の躊躇もクソもなく
 まりもは一も二もなくサッパリと引き受ける。


<‐死魔根‐夜の早川家邸宅門前> 
(32 terrible beat B)
 場所は夜の早川家邸宅門に移る。
 翁の予想通り、
 凶悪な山賊集団がわんさと押し寄せてきている。
 二百人余りの山賊特体生の持つ松明は、
 周囲を血染めを思わせる朱に染め、
 まるでそこだけが昼間であるかの様な
 凶悪な雰囲気を醸し出している。

「来やがったな……腰抜け山賊共……
 たあ言うものの、こっちはおれ一人だ。
 チクショオ……こうなったら破れかぶれ、
 どっちかが全滅するまで
 エンドレスで続ける鉄人レースだ!!」

 この状況でまりもは考える。
 この山賊共に対してたった一人で
 どうやって相手をするのか。

 いっその事トンコしちまえば……
 いや、それは出来ない。断じて出来ない。
 それをすれば一家はマサクゥル。
 こうなりゃやるっきゃナイト。
 そう思い、まりもは腹を括った。

(SEズンッ…ズンズンッ……ズンッ………ドコッ)

 そこには黒山の大量の山賊集団が
 ヒャッハー薄ら笑いを浮かべて
 ゾロゾロたむろしていた。
 言うまでも無いが連中は
 凶悪な得物を無数持っている。
 その山賊集団の前に、
 まりもは敢然と立ちはだかり……

「やいやいよく聞けヒャッハー悪党共!!
 この門から入りたきゃあ、
 このまりもさんを倒してからにしな!」

 山賊集団に威勢良く啖呵を切る。

「このおれがいる限りは、
 一人もこの門は通さねえ!
 凹られてえ奴からかかってこい!」

「や…ヤロォふざけやがって!!」

 威勢の良い啖呵に、
 山賊集団は一瞬怯むものの……

「おのれ小癪な女め!
 こちらは数が桁違いにいるアル!!
 野郎共!やっておしまいアル!」

 山賊共は猛の号令の元、
 数を頼んで一斉に襲い掛かる。
 と思ったら……
 まずはまりもの両脇から
 鎖を持ったヒャッハーコンビが
 まりもに対して鎖を投げかけてくる。

「馬鹿めかかったな!これで足も手もでまい!」

 それに対してまりもは
 両手を肉のカーテンにして防ぐが、
 鎖は容赦なくまりもの手首に
 蛇の如く巻きついてくる。

「ヒャッハー!やりたい放題だぜぇ!!」

「ヘイヘイゴーゴーパラリラパラリラ」

 その無防備都市状態のまりもに
 槍持ちヒャッハーが二人まとめて
 容赦なくまりもに対して突撃してくる。
 それに対してまりもは巧みに
 鎖を用いて槍を防御する!!

(SE ガシィッ)
 次の瞬間だ!
 まりもは槍を足場にして
 開脚キックで両隣の二人を
 纏めて蹴り倒す。
 そして……鎖を引っ張って
(SE ベキィツ)
 鎖ヒャッハーを引き寄せてから
 あっさりと拳の連打でKOする。

ひひひひひひひでぶううううういう!!!!

 次にひけえしは巨大なノコを
 数人がかりで持って
 襲ってくる巨槍斬瀑鋸だ!!
 この巨大なノコを振り回してくる相手に
 まりもはひたすらかわしていたが……
(SE スコーン)
 足払いで全員KOだ!!

「かねが!」

「ないほー!」

「おれもだああああ!」

「ゴッホ!」

「ゴーギャーン!」

 戦力の小出しが無駄と悟ったのか、
 200名のヒャッハーは数を頼んで
 怒涛の如く襲い掛かる。
 しかしそれに臆す事無く
 ヒャッハー特体生に敢然と立ち向かい、
 まりもは次々とKOしていく。

 だが、衆寡敵せず、
 次々と襲い来るヒャッハーズに
 やはり疲れの色を隠せない。

「ぜぃぜぃ……こりゃだめだ……
 殴っても殴ってもきりがねぇ……
 まるで公孫イナゴみてえに
 じゃんじゃん湧いてきやがる!
 このままじゃあマジで
 おっちんじまうじゃねえか!」

(32 terrible beat W)
 さすがの猛者であるまりもも
 息が乱れまくリング。
 だが、予想より近くに、
 ふとボスらしき男を確認する。

「そうだ!あのボスを討ち取ったりーすれば!
 なんとかなるかもしれねぇ!」

 そう判断したまりもは一直線に
 ボスのところに駆け寄らんとする。
 だが目の前には馬に乗った猛が……

「オイコラまたんかっ……は!」

どけタコス

(SE ベキョーン)
 だが邪魔をする猛を
 飛び蹴り飛衛拳の一撃の下にのし、
 猛の乗る馬を無理やり奪うと
 そのまま大将と対峙する。

「ヒャッハー共の親玉にしちゃいい腕だ。
 面白ぇ、いくぜ!!」

 まりもはそう言って掛かろうとするが……

「ちょ、ちょっとまった!!」

 まりもの姿を確認するやいなや、
 敵のボスはそれを制止せんとする。

「なに、待てだと?オメェそれでも男か?
 やると言ったらやるんだよ!!
 ヘタれてねえでかかって来な!!」

 だがまりもの突進は止まらない。
 言うまでもなく敵のボスも
 やられる訳にはいかないので、
 得物を取ってまりもの棒術に対して
 馬上でフランスのジョストの如く
 まりもと打ち合いを始める。

 そして何度目かの撃ち合いを
 始めようとしたその時である……。

「いや、ちょっと待てっちゅうに。
 ……どうもその面に見覚えがある。」

 ボスは自分の過去の記憶を遡{さかのぼ}らせて、
 まりもと一致する顔の記憶を引き出そうとする。

「そう言えば……おれもどこかで
 オメェの声を聞いた様な気がする。」

 その言葉にまりもも
 目の前のボスの記憶を引き出す。
 その正体とは……

「あ、オメェはなにわ大二郎!!」

「そういうアンタはごろやん……もとい今はまりも!!」

 どうやら、この二人は前々からの知り合いらしい。

「久し振りじゃねえか!」

「ああ、こっちこそ!」

 ここで二人は再会の堅い握手を交わす。


<‐死魔根‐夜が明けた早川家邸宅の庭>
(27 All The Time)
 一夜明けた早川家邸宅前には、
 山賊のボスである大二郎、
 そしてまりもにコテンパンに懲らしめられた
 猛をはじめとする200名の特体生が
 イエッサーと後ろに並んでいた。
 まりもは彼らを指差しながら、

「この山賊共のボスはおれの弟分なんス。
 心から反省してもう決して貴方方に
 迷惑はかけないと誓ってますし、
 おれが全員引き取りますから
 安心して下さいよ。」

 とこれからの事情を説明する。
 そして大二郎は猛に頭を下げさせながら

「わいらが翁殿に働いた非礼の数々、
 ホンマ謹んでお詫び致します。」

「ごめんなさいアル。二度としませんアル。」

 と謝罪する。

『なにわ大二郎とその子分が仲間になった』

 その時、歴史が……もとい、その時、
 まりもの
懐から一通の書状が
 狙ったタイミングで落ちた。

 その書状を拾い、翁は少し驚く。

「これはジャン神父からの紹介状!」

 翁は書状を隅から隅まで目を通し……。
  
「あいや承知致しました。
 家の危機を救っていただいた上、

 ジャン神父の頼みと合っては、
 断ればバチが当たりますな。」


 二つ返事で資金援助を約束する。


<−死魔根−夜が明けた早川家邸宅の門前>
(27 All The Time)
 場所は早川家の門前に移る。
 愉快なヒャッハーズを引き連れて
 帰ろうとするまりもに対し、
 家の者が総出で別れを告げている。

「何とお礼を申したらよいか……
 この御恩は七生忘れません。」

 結ばれる為に邪魔になる障害もなくなり、
 天四郎と愛子はまりもに対し、
 心底嬉しそうな顔で礼をする。

「あんたァ賢明で美しい女性{ひと}だ。
 それに気立ても良くて勇気もある。
 あんたみたいな女性は絶対に
 幸せにならなきゃいけねえ。」

「私達は貴女に……色々大切な事を教わりました。」

「いつまでも……仲良くな。」

 と天四郎と愛子に言い残し、まりもはクールに去るぜ。
 
I'll be the roundabout……

 こうして、
 新ホーリーフレイム・オルレアンの旗揚げに一歩近付いた。

予告
緋皇宮神耶「とある街で途方に暮れていた扇奈。
         そして、その扇奈の刀を狙う黒い視線が。
         扇奈の愛刀・火星救急丸が危ない!!」
京堂扇奈「次回大番長AA『序章その二 「御旗の下に・第三章 銘刀」』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の特体生
阿寒湖まりも(ぷろすちゅーでんとG&Good)
体力 経験 信頼 距離 気力 攻撃 命中 回避 治安 収益 給料
80 20 反抗 75 101 65 35 10
スキル 属性 対属性
大聖咆哮撃 普通 魔族・機械

猿神撃滅咆哮閃(全員の全気力)〜四条沙羅沙・桜小路牡丹・
      ミーア・高見柚子・姫夜木紫音と一緒に戦闘に出た時に
      発動可能 敵全滅
 ま「よぉーしっ、いくぜっ!!
 紫「超神合体!!
 柚「バーーニング・クローースっ!!
 ミ「うにゃあ!!」
 牡「!!
 ま「!!
 沙「!!

後書き
オルレアンのパトロン役を作るつもりで
ぱっと思い付いた話を書いたんですが、
いつのまにかこんな訳の解からない
メロドラマもどきになってしまいま……。

次はやっと本編のメインキャラ、
それもヒロイン(扇奈)キャラを出します。
まあ本編とは関係のないサイドストーリーですが。


苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退