真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
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序章その一 「希望の灯火」

5秒CM
斬真狼牙「この後は、大番長AA、みんな見てくれよな!!」
<−ある山中−>
(27 All the time)
 場所はどこかの山中から始まる。
 既に日は落ちかけていて寒風が吹き荒れ、
 辺りには昼間には山を賑わせていたであろう
 山をうろつき童子する動物の影すらない。

 にも関わらず、空気はどんよりと重く、
 そこら辺に立っている樹木は
 視界を無慈悲に遮っている。
 そしてマズい事に空は三日月で
 月の光もあまり期待出来ない。
 その閑散とした山中にエクレールはいた。

 なぜエクレールがこんな場所にいるのか……というと、
 魔界孔突入時の戦いで狼牙軍団が神威に敗れ、
 狼牙軍団が全員魔界孔から吹き飛ばされた時に、
 偶然この山中に辿り着いたからである。

 だが魔界孔から吹き飛ばされた衝撃による負傷と
 空腹が相まって満足に動く事さえ出来なかった。

痛{つ}っ……!!

 エクレールは関節の激痛を我慢しつつ、周りを見回す。
 だが、辺りを見まわしても、人っ子一人見つからない……
 どころか、動くもの一つ見当たらない。

「……困りましたわね……どうしましょう……。」

 弱気になって途方に暮れていると、
 森の向こうから皺{しわ}くちゃの老人がやってきた。

「婆さんや、飯はまだかいのぉ。」

 老人は何故かエクレールを婆さんと呼び、
 飯の時間を聞く。
 ……どうやら、少し呆けている様だ。

「あの……すみません。
  私、その婆さんという人では……。」
「何、婆さんじゃないとな。」

 エクレールは申し訳無さそうに
 自分はその婆さんなる人物ではないと説明する。

「はい。」
「ほぅほぅ、そうかいのぉ。すまんすまん。」

 そういうとは爺さんカクカクと首を縦に振る。
 本当に解かっているのか、爺さん?

「わかっとるわい。」

 いや、ト書きを読まれても困る訳で。

「まあ、今夜の飯は猪鍋じゃ。
 日も暮れてきた事じゃし、
 今日はワシのウチに泊まっていきんしゃい。」
「でも……よろしいのでしょうか?」
「なあに、困っチング時はお互い様じゃあ。
 それに人が多い方が話も弾むわい。」
「は、はい。それでは……お世話になります。」

 という訳で満身創痍状態のエクレールは老人に背負われ、
 今夜は老人の家に泊めてもらう事になった。


<−老人の家−>
 場所は山の奥の奥深くに移る。
 そこに老人の家は有った。
 山の中で恐らくは唯一生活臭が感じられる場所である。
 藁葺{わらぶき}の屋根をかぶせた、
 いかにも日本の農村の家、といえる家である。

「婆さんや!今帰ったぞいぞい。」

 家に着くなり老人は婆さんなる人物に
 自分が帰宅した事を告げる。

「お帰りなさい。」

 その婆さんが声を聞き、玄関に出てくる。
 どうやら見る限りではそのその婆さんは
 勝気な婆さんらしい。


「今晩は白菜の漬物と猪鍋を食べたいのぉ。」
「昨日、お医者様に奥歯抜いてもらったばかりでしょ。
  塩っ辛いものを食べて大丈夫なのかい?」

「わしがくいたいっつーたらくいたいのじゃよー!
 ちゅーわけで今晩は白菜の漬物と猪鍋じゃー。」

 老人の歯の健康を慮{おもんばかる}る婆さんだが、
 老人は飽くまでも自分の意思を押し通そうとする。
 どうやらこの老人は
 少々ワガママなところがあるらしい。

「何も怒鳴る事は無いじゃないかい……。」

 老人のワガママにボソッとぼやくが……

「お前の漬物と蟹料理は
 宇宙的にマンモス番美味いぞい……。」
「まぁ、お前さんったら……。」

 老人のその言葉を聞き、
 頬を赤らめながらつぶやく婆さん。

「!!?」

 その時、婆さんはようやく老人の後ろのエクレールの存在に気付く。
 だが、婆さんの目はあからさまな嫌悪感に満ちていた。
 ていうか敵対心100である。

「誰だいアンタ!……ていうかここに何しに来たのさ!?」

 婆さんは糾弾する様な口調でエクレールを問い詰める。
 そこには、さっきまでの勝ち気だが温厚な老婆の姿は無かった。

「す…すみません。道に迷ったので
 ここに泊まらせてもらおうと……。」

 それに対してエクレールは申し訳なさそうに、
 弁明するかの様に応対する。

「中に入んなしゃい。もうすぐ飯が出来る。」

 一人でいきり立つ婆さんをよそに、
 老人はエクレールを中に迎える。

「何だって、お前さん!アタシャ反対だよ!
 ホーリーフレイムの騎士じゃないか!」

 どうやらエクレールが
 ホーリーフレイムの騎士である事が気に喰わないらしく、
 婆さんはエクレールを泊める事に強固に反対する。

「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃあー!
 ワシャこの娘が気に入ったぞ!
 態度や言葉使いが淑女的マドモワゼルじゃい。
 泊めるゆーたら泊めるんじゃい!」

 それに対して爺さんはそう言って
 飽くまでエクレールを泊めようとする。

「それに……三年前に殺された孫娘みたいじゃないか……。」

 そう呟く老人の目は、どこか寂しげだった。

「……。」

 それに対して婆さんは敢えて何も言わず、
 ただ奥へと入っていく。
アイキャッチ
斬真狼牙「一応、俺が主人公なんだけどな。」


アイキャッチ
エクレール「大番長AA、どんな話になるんでしょうか?」

<−老人の家−土間>
(23 silence..)
 場所は猪鍋がグツグツいっている食事中の土間に移る。
 そこでは猪肉が美味しそうなその鍋を老人とエクレールが囲んでいる。

「どうじゃ、お嬢ちゃん。もう一杯御代りでも…。」
「いえ、もうお腹は一杯ですわ……。」

 御代りを勧める老人だが、
 今のエクレールは怪我の為やさっきの婆さんの
 態度の訳が気になる余り食欲が湧かないらしい。

「そうかい。婆さんや、布団敷いとくれ。」

 爺さんは土間を掃除している婆さんにそう話し掛ける。
 それに対して婆さんは一言も答えず、
 黙々と布団を敷く。

「婆さんの事は気にするな。」
(21 dash to trush 〜unpluged〜)
「ワシらには息子夫婦がおってな……
 三年前にホーリーフレイムの騎士達に殺されての……。
 その時、孫娘も一緒に殺されてしもうた。
 生きておれば、お前さんと同じ年頃くらいの
 めんこい孫娘じゃった……。
 だから婆さんはホーリーフレイムの騎士が
 クワトロが共有主義を嫌う様に信用出来んのじゃよ。」

 申し訳無さそうで萎縮しているエクレールを宥めながら、
 寂しそうな顔で婆さんがホーリーフレイムの騎士達を
 毛嫌いする理由を話す。

「す……すいません。」

 婆さんがホーリーフレイムの騎士達を毛嫌いする理由を聞き、
 エクレールは更に萎縮する。

「何、お前さんが殺した訳じゃあない。
 何も気に病む事は無い。」



<−老人の家−庭先>
(35 kamui @)
 そして何日かが経ち、幾つかの夜が過ぎた頃だった。
 それまで平穏な場所だったこの山を
 何の脈絡も無く突如魔族が襲い始めた。
「な、何じゃおまいらフーアーユー!?」

 慌てながら相手の氏素性を訪ねる老人。
 だが、相手は魔族。
 取引や話し合いが通用する相手では無く、
 老人の命の灯火を消さんと襲撃してくる。
 老人も殺られまいと反撃を試みるも、
 数匹倒したところで一子相伝の拳法の
 伝承者みたいに発作を起こす。

「な、何という事じゃ……発作さえ起きなければ……!」

 だが魔族軍団はその隙を見逃さず、
 老人の命を奪わんとする。

「お爺さん!!」

 そこに光速で自在に怪我を治した
 高貴なるエクレールが加勢に駆けつける。
 魔族の数は爺さんが倒したのを除けば
 四匹と一人が相手をするには多少多い。

  そのうちに一匹の魔族が
  後ろから爪でエクレールを襲うが、
  エクレールはいつの間にか仙人の様に盾を背中に背負っており、
  爪の一撃を防がれた魔族1はいとも簡単に切り伏せられる。
(
SE デュクシッ)

  続いて倒れゆく魔族1の死体の後ろから
  魔族2がエクレールの視覚の死角を利用して
  華山群狼拳の如く奇襲をかますが、
  返す一撃で簡単に斬り捨てられてしまう。
(SE ずんばらりん)
「まにぽー!」

 残る魔族3・4は不利を悟り、
 タッグを組んでエクレールに襲いかかる。
 サーベルタイガーを彷彿とさせる3の牙と爪、
 そして凶暴な月の輪熊を彷彿とさせる4の剛腕に
 流石にエクレールも苦戦を強いられる。

 二匹一辺に相手をする事の不利を悟ったエクレールは
 盾を背負ったまま敢えて4に背中を曝し、
 全力で3を葬りにかかる。
 盾の上からとは言え4の剛腕は
 エクレールに少なからずダメージを与え、
 3を斬り倒した時には戦闘力は半減していた。

 そして半減した戦闘力で4に斬り掛かるが……
 例えエクレールの剣が逆らいますとしても
 4の剛腕により剣は呆気なく明白に折れます!!ぽきん
(
SE ぽきん) 
 こいつぁ絶対絶命だぁ!!

 今ある状況で何とかしようと
 エクレールは折れた剣の刃の部分を
 4に投げつけるが呆気なく避けられてしまう。

 そして当然4はエクレールにとどめを刺さんと
 ズンズンズンドコと近寄るが……
(
SE ヒュン!ズシュッ) 
  ここで爺さんの放った矢が4の背中に突き刺さり、
(
SE ブゥゥゥゥメランッッ)
  そこにさっき投げた折れた剣の刃の部分が
  無能な政治家や風雲拳の投げたブーメランの如く
  4の脳天を真っ二つに割る。
はへぇーーーーっ!!



<−老人の家−土間>
(23 silence..)
 老人を襲った魔族は何とか倒す事を出来たものの、
 老人は怪我を負ってしまう。

「お前さん、こ…この娘{こ}と関りになるのは三田佳子!」

 エクレールと関りを持つ事に対し、
 婆さんはあくまで必死で老人を諌める。

(21 dash to trush 〜unpluged〜)
「アホゥ!この娘{こ}はワシらの客じゃい!」

 だが、老人は飽くまでエクレールを庇おうとする。
 
「この娘{こ}は確かにホーリーフレイムの騎士だったかもしれん!
 しかしバッド!
 この娘はワシの招待した大切な客!
 気に入った客は最高の友情と持て成しを与えるのが
 当家のぽりしーじゃい!」

※ポリシー…その人の考え方や方針などのこと、
        どんな変なこともこの一言で人を納得
        させることのできるちょうほうなことばだ。
        
燃える!お兄さん著者 佐藤正・談


 老人は威勢の良い啖呵で自分のポリシーを語る。
 少し遠山の金さんが入っているかも知れない。

「ワシは引かんぞ!媚びへつらわんぞ!反省せんぞ!
 こんなめんこい娘{こ}を
 困らせる様な事は嫌じゃ嫌じゃ大嫌じゃ!!」
「お前さん……。」



<−老人の家−庭先>
 そして、朝日が昇り、朝が来た事を告げる。

「これを持っていきんしゃい。」

 老人は、一振りの大剣を渡す。
 その剣はずっしりとした重量感がありながら羽根の様に軽く、
 刀身からは神聖な気が発せられていた。

「さっきの戦闘で剣がぽきんと折れてしまったじゃろ。ぽきん
 これは息子の良男の嫁が使っていた剣じゃ。
 その名もアリスソード。」
「い、いえ……そ、そんな大切なものを頂く訳にはまいりませんわ。」

 いきなり大切な剣を譲ると言われ、
 エクレールは困惑気味に遠慮する。

「お前さんに使って欲しいのじゃよ。
 お前さんになら使いこなせる筈じゃ。」
「お爺さん……。」

 エクレールは遠慮して受け取ろうとしないが、
 老人の熱意に負け、剣を受け取る。

「お前さん!」

 家の中から婆さんが慌てて飛び出してくる。
 どうやら、老人の傷が気になる様である。

「お前さんに使って欲しいのじゃよ。」
「動いちゃ駄目だわよ!」
「こんな傷大した事ぁナッサブル!
  でも
イテテテ……。

 強がって見せるものの、
 身体は正直で、苦痛に顔を歪ませる。

 「お爺さん!

 老人の身を気遣うエクレールだが……


 「爺さんに触るんじゃないよ!

 と婆さんに敵意剥き出しの態度を取られてしまう。

 「……。」

 「早く出ておいきゲッアウッ!
 もうこれ以上メンドー事は御免だよ、この疫病神っ!」
 婆さんは顔を真っ赤にして敵意剥き出しでエクレールを追い出しにかかる。

「…………」

 理不尽な態度だが、
 自分の同胞が老夫婦の家族を殺害している事実に何もいえず、
 エクレールは申し訳なさそうに目を瞑って黙っているしか出来ない。

「婆さん……ワシらにそんな事言えんぞ。」

 それに対して爺さんは煙草を吹かしながら婆さんの態度を諌める。

「どんな事情かは知らんが、
 この娘{こ}は命を狙われとる……。
 何処の誰であろうが、この娘{こ}に出てけ、
 なんて言えるもんじゃねえ。」

「で…でも……。」
「ここでこの娘{こ}を蔑ろにして追っぱらったら
  孫娘に冷たくしとるみたいじゃけんのう。」

 先程の敵意剥き出しの態度は消え、
 婆さんは困惑した顔になる。

「お婆さん……私は全然気にしてませんわ。
 そんなに困らないで……。」

 エクレールはそんな婆さんを宥める。
 そして、朝食をとった後、
 老夫婦はエクレールを山の麓{ふもと}まで案内する。

「お前さんの事情はワシらには何も判らん。
 何もしてやれん。」
「でものう、全ての問題が片付いたら、
 また私らの家においで……。
 そん時は美味い茶でも用意しているから
 面白い話でも聞かせておくれ。」

 婆さんは取り敢えずの路銀として
 幾ばくかのBストーンと握り飯を包んだ風呂敷を渡す。
 それらは、決して多いとは言えなかったが、
 エクレールには何よりも代え難いものに思えた。

「さっきは悪かったわね……。」

 婆さんがすまなさそうにエクレールに話し掛ける。

「唯…爺さんが心配だったからねぇ……。つい……。」

 「お爺さん……お婆さん……。
 
有り難うございます……!!

  それに対してエクレールは深々と頭を下げ、旅立つ。



<−NAGASAKI−レジスタンスの本拠地>
(30 Big Bang Age)
 そして魔族の襲撃から二ヵ月後、
 NAGASAKIで反魔族のレジスタンス
 「新ホーリーフレイム・オルレアン(以下オルレアン)」の
 リーダーをしている『ジャンヌ』のウワサが流れ出した。

 その正体はオルレアンの若きリーダー、エクレールだった。
 エクレールは、ジャンヌとしての重荷を背負い、
 オルレアンを統率していた。

 NAGASAKIのオルレアンの本拠地。
 そこには日本人、外国人を問わず、
 大勢の人々がレジスタンスとして集まってきている。

「ジャンヌとして命じます。
 これ以上この地に悲しみの涙を流してはなりません!!」

 リーダーとして人々に語りかけるエクレールの姿は、
 凛々しく、そして力強かった。

「この街に燈った小さな希望の灯火を護る為にも……。」

「再び平和を取り戻す為にも……。」

「どうか皆さんの力を貸して下さい!!」

 目の前の人々を前に、エクレールはそう呼びかける。

「俺達は戦う!エクレールさんと共に最後まで戦うぞ!!」

「あんたの命令なら何でも聞こう!!」

「私達も頑張るわ!」

 エクレールの呼びかけに、
 人々は熱気に溢れた言葉で答える。

「ありがとう…ありがとうございます……!!」

 そして、目を閉じながら、エクレールは心の中で祈りを捧げた。

「『ジャンヌ様……見ていて下さい……。』」

  人類の希望の灯火、未だ消えず。

  反撃の狼煙は、今上げられた。

予告
斬真豪「美亜子と出合ったエクレール、そこで出会った
      新たなる仲間とは?謎が謎を呼ぶ!!!」
 エクレール「次回大番長AA『序章その二 「御旗の下に・第一章 邂逅」』」
 狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の特体生
エクレール(大番長)
体力 経験 信頼 距離 気力 攻撃 命中 回避 治安 収益 給料
129 20 友人 112 171 81 95 45 25
スキル 属性 対属性
ノワールエール 超常・黒魔 魔族
ノワールエール(気力2)〜攻撃力は通常と同じ。相手に与えたダメージ分味方の
                  味方の体力を回復する。
ノワールエールとは、仏語で黒い翼の意。


「もし魔界孔突入戦で神威に負けたらどうなるか?」
というパッと出た考えから、思いつきと勢いだけで書きました。
少し「某世紀末救世主伝説」とか「ガンパレとか」を意識しています。
まあ思いつきですので設定とかの矛盾は結構あります。

「アリスワイワイワールド」的な感じですので、
大番長のキャラだけではなく阿寒湖まりもを初めとして
大番長の世界観にアレンジして他のアリスゲーのキャラも
ふんだんに出していきたいと思います・

早速チート武器・アリスソードを出しましたが、
実は何も考えていません。
序章は三〜六話くらいに収まるかと思います。


苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退