真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
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第二章その四・前編  「謝肉祭{ザ・カーニバル}」

序章その四・新規登場人物

十六夜桃花
闘神都市Vに出場。
当作においては兄の幻一郎も存在している。
5秒CM
アバオ・亜空
「この後は、大番京エイリアン。アキバ掘りで突っ走れ!!」






<三国城塞内・会議場>
(ランス9BGM23:運命の歯車)
 場所は前回に陥落した
 三国城塞内の会議場から始まる。

 会議場とは言え、
 最前線の城塞であるが故に
 内部は殺伐としており、
 必要不可欠な物品以外の
 調度品などの類は一切見当たらず、
 変わりに軍需品などの無骨な品の数々が
 部屋を無骨に彩っている。

 そこでは総指令官の豪を始めとして
 三国攻略の面々が雁首揃えて出席しており、
 そしてトノリトス法皇省からは
 グレッドとキシラルの二司祭が
 客将として駆けつけている。

「ただ今現在の欧州に於ける勢力図は
 日本に於ける快進撃と異なり、
 オフランス・パリのベルサイユ御殿が遂に陥ち、
 イタリンに続いてイスパニアの伊勢志摩、
 そしてベルリンなど一部を除いた
 ドクツの大半までもが魔族の手に落ちつつあります。
 Mrダグラスに聞いた限りでも、
 北ガメリカ大陸もそろそろ危うくなっており、
 こちらとしましても日本に於ける作戦を成功させて
 魔界孔の大元たる真宿の魔界孔・ケテルを
 封じていただかねば持ちませぬからな。」

 援軍にきた理由を
 キシラルとグレッドは淡々と語る。
 だがグレッドの視線の先には
 明らかにエクレールを意識しており、
 そしてその隣のキシラルは
 何かよからぬことをしないかと
 さりげなくグレッドを牽制している。

「という訳で今回の作戦には
 このおふた方に協力を仰ぐ事になっていうる。
 さて、今回の京の奪回作戦についてだが…」

「ちょっと待った。」

「何だサワタリ?」

「いつもいつも同じ口上で話が始まるけどよ、
 少しは違う口上で話を始めた方が
 話のメリハリがつくと思うんだけど。」

「ていうかメタ話とか楽屋ネタは自粛してくれないか?」

「あ、ああそうだな。」

「偵察の明石隊の情報によれば駐屯している魔軍は
 騎士軍に屍鬼軍が主力をつとめており、
 今のところは現地で指揮を執っている指揮官は
 ドゥリムグレイと屍岩という無名の指揮官の他には
 めぼしい敵は存在しないそうだ。だが……」

「だが?」

「京は位置的にも霊的にも
 防御の要となる地と言える。
 それだけに敵さんも京の防衛には
 かなりのリキを入れてくる筈だ。
 なのに敵の戦力は
 余り知られていない指揮官が二体、
 いやに、いや……余りにも、
 不自然とも言える程少ない。」

 豪が率直に京の防御力の欠如について疑問を呈する。
 確かに京は三国と並んで要地となるべき地域であり、
 そこに防御を入れるのは定石中の定石と言える。

 にも関わらず…そこの防御に力を入れないのは
 豪ならずとも却って不自然と思うのは当然だと言える。

「それは敵が意図的に俺達を
 京に誘い込もうとしているという事か?」

「それもあるが単に敵の戦力不足、
 あるいは単に敵の油断、
 という可能性も残されている。
 だがそれを期待するのは
 豚に空を飛ぶ事を期待する様なものだし、
 サワタリの言う様に誘い込みの罠かも知れん。
 我々に占領させた上で京に仕込ませてある罠に
 我々を引っかけようとする……
 あるいはそれとも領土を分断させて
 しかるべき後に各個撃破する作戦かも知れん。
 あるいはさっき言った指揮官が我々の予想を
 遙かに上回る隠れた強者なのかも知れん。」

「だったらどうするよ?」

「ふむ、そうだな……ならば、
 精鋭部隊による奇襲をもって攻め込み、
 電撃作戦をもって速やかに奪回し、
 京に我々を陥れる罠の有無を確認させるとしよう。
 とりあえず皆これを見て貰いたい。」

 そういうと豪は懐から地図を出し、
 皆の目の前で机に広げる。
 そこには十重二十重に
 入り組んである京の街の街路、
 そしてその中央に位置する
 京の御所が描かれている。

 複雑に入り組んでいる街路には、
 慶曰く護国院時代から
 複雑な罠が仕掛けられているらしく、
 怪しげなところにはマークがされている。

「我々の最終目標はここの中央の京の御所及び
 御所の中に存在する魔界孔・ケセドに在る。
 ここを制圧した後にケセドを妖滅し、
 周辺を鎮憮してしかる後、
 罠の有無を確認して確認され次第罠を解除する。
 まずはその為にはこれらの街路及び
 街全体を覆う堀を何とかして攻略せねばならん。
 ちなみに堀には魔族化した凶暴な肉食性の
 マーダークロコダイルが多数放し飼いにされており、
 餌として京の人間が大勢御所に捕らわれているという。
 まずはこれらの鰐軍団をどうにかして
 堀の内に到達せねばならん。」

「そうだなあ……忍者である俺としては
 大凧にのって夜に堀の上を飛んでいく、
 ってのがいいと思うんだけどどうよ?」

「だが敵もその程度の襲撃は予測しておろう。
 即飛び道具の的として
 ダックハントされるのがオチぞ。」

「そ…そうか……」

 自分の出した会心の策に対し、
 マホコにその策の欠点を指摘され、
 サワタリは本気と書いてマジで凹んでいる。
 まあ実際マホコの言う通りなのではあるが。

「じゃあマホコには何か
 グッドなアイデアがあるんかよ?」

「ふむ…左様だな。
 生け贄リリースとして一体二体
 その鰐の群れに叩き込んで
 連中が気を逸らしているうちに
 渡ってしまえばよかろう。」

 マホコのステゴマ的意見が出た途端、
 周りの空気が一瞬にして数度下がる。

 そりゃあ当然だ。
 こんなめんこい顔をしておきながら
 いとも簡単にステイシー作戦などという
 残酷きわまりない作戦をあっさりと
 口にするのであるから
 当然といえば当然と言える。

「皆何を顔面フリーズしておる。
 言うまでもないが生きた人間は無論、
 死者の骸を用いよと言っておるのではないぞ。
 前者は語るまでもないが、
 死者の骸は新鮮味に欠けておる故に
 ハイエナ位しか食さぬ上、
 斯様な死者への冒涜をするのは
 ミネバ=マーガレットくらいのものだ。
 我は少し前に項明みちるより
 肉まんの由来について教わった事がある。
 由来は三国志の時代になるが、
 南蛮の君主孟獲が河の神を鎮める為に
 49の人身御供を捧げなければならないと
 対策法を進言した時だ。
 名軍師諸葛亮孔明はそれに対し、
 米粉を用いて生地を作り、
 中に牛・羊肉を入れて包み、
 それを人頭の如く形作らせ、
 川へ捧げたのが由来と聞く。
 故に納豆を用いて肉もどきを作り、
 それを人の形に整えた上で放り込めばよい。
 なんならそこらを歩いておる魔族の兵隊を
 とっつかまえて放り込んでもよいぞ。」

「確かにマホコの策も良いやも知れん。
 しかしそれだけでは泳ぎきるまでの間に
 鰐の群れが戻ってきてしまうぞ。
 陸ならばともかく水中では
 我々は鰐に対しては分が悪い。
 誰ぞ速やかに堀を渡るのに
 良い案は無いか?」

「ん〜とね〜、瑞貴ちゃんにならいい案があるよ〜。」

 豪が皆に対して迅速に
 堀を渡る手段を問うたところ、
 皆が沈黙を守る中で一人
 名案が有ると申し出た者がいる。
 皆がその発言者を見ると
 それは水泳の達人の堂本瑞貴である。

「ふむ、瑞貴か。
 その表情なら何か妙案でもあるんだろうな。」

「うんうん、ばっちしあるよ〜。
 瑞貴ちゃんのふるさとではね〜、
 藤甲鎧というとっても便利な鎧があるの。」

「藤甲鎧?」

「うん、藤甲鎧。
 絶壁に育つ特殊な藤を半年間油に漬けて、
 乾かしてまた漬けてそれを何回も繰り返して
 それで鎧を作るんだよぉ。」

 豪の問いに対して瑞貴が出した答えは、
 藤甲鎧という便利アイテムである。

「藤甲鎧か…噂には聞いていたが、
 大量生産する事は無理だと
 尊賢から聞いた事がある。
 ならば今回の少数精鋭による作戦にとって
 藤甲鎧はうってつけの装備と言う事になるだろう。
 もっとも堀を渡れば鎧は脱ぐ事になるが。」

「え?何でよ?
 そんな便利で頑丈な鎧を
 何故わざわざ脱ぎ捨てなきゃならん訳よ?」

 折角の貴重な装備品を
 なぜ装備したままにしないのかと
 さっぱり訳も分からずサワタリが問う。

「落ち着くが良いサワタリ。
 完全無欠に見える藤甲鎧でも
 一つ重大な弱点が存在する。」

「弱点?」

「左様、藤甲鎧はその造り故、
 水には無類の強さを発揮するが、
 火気には滅法弱い。
 我が炎の魔法を用いれば
 例え万の軍勢といえども
 たやすく全滅の憂き目に遭うであろう。」

「ゾーッ」

 火禍の地となったその惨状を想像して
 サワタリはドン引きする。
 それはまさに人間バーベキュー大会である。

「そして次に複雑怪奇に入り組んでいる回路と
 そこに仕組まれている罠の対処だ。
 ここは元護国院所属の慶と我門に
 先頭を切って貰う事にする。
 もっともおそらくはそれらの罠は
 護国院領時代と違って内容も伏せている場所も
 違う可能性は高いであろうから、
 そこのところを十二分に留意して貰いたい。」

「おう、判ったぞ。」

「へへ、それはもう判っておりやすぜ。」

 豪の指示と共に慶と一緒に現れた
 巨漢の忍者の名は護国院出身の中忍葵我門。
 葵だからといって決して不可能男でも狂人でもない。
 卑劣で残忍で小心者という
 小悪党の見本市とでも言うべき男である。

「二人にはまず青竜の門と
 白虎の門より攻め行って貰う。
 慶にはシオンに麗蘭にマリーシアをつける故、
 青竜の門から攻略して貰う事となる。
 我門には桃花とサワタリと鈴女をつける故、
 白虎の門から攻略して貰う事となる。」

 そこで再び豪の指示と共に
 新たに計五名の特体生が現れる。
 既出の者を抜きにすると一人目は十六夜桃花、
 京の地にて兄の十六夜流忍術皆伝者・十六夜幻一郎に
 手ほどきを受けてくの一忍者になった少女であり、
 そしてもう一人は狼牙軍団に所属する
 戦闘自動人形{ホムンクルス}の少女・シオンである。
 別にホムンクルスだからといって蝶変態ではない。

「まあお兄様が多忙だから手を貸して上げるけど、
 ホントはこんなゲス男にコキ使われるなんて
 真っ平御免なんだからね。」

「あんだとこのアマ!!大将の俺っちに刃向かう気か!?」

「何よその顔は!?不服なら今ここで凹ってもいいのよ。
 どうせお兄様以外の男なんてクズ同然だもの。」

 どうやら桃花と我門は相性が悪く、
 二人の間にはギスギスした空気が流れている。
 そしてその間のサワタリは
 二人の仲を取り持つのに
 一苦労も二苦労もしている状態だ。

「何でいつもこういう役割なんだか。」

「Jud{あい}、サワタリはそういうキャラですから。」

「シオンェ……」

 シオンの自動人形的セメントツッコミによると
 サワタリはそういう役割らしい。

「そして八人が京の中に巣くう罠を
 全て取り除いたところで京の正面の門を開け、
 久那岐と凛と百瀬と田中の四人で
 敵に体勢を立て直す隙を与えずに攻め込み、
 一気に京の御殿へと攻め込んで制圧、
 後はいつもの様に魔界孔<ケセド>を妖滅する。」

 ここでまた豪の指示と共に四人が現れ、
 そしてそこに現場指揮官兼軍師として
 項明みちると藤原雲水まで現れる。

「現場での細やかな指揮は軍師である
 みちる及び雲水にとって貰う。」

「ハァ〜イ、こんにちわ。
 みんな大好きみちるちゃんよ〜。」

「早速ですまんが今夜早々にでも
 任務に取りかかってくれ。
 仕事はなるべく早い方がいい。」

<京の御所の外の堀>
(ランス9BGM24:戦闘準備)
 場所は京の御所を護る堀の外側に移る。
 そこでは京を一囲みする堀が
 大阪城の堀の如く侵入者を拒絶しており、
 そして堀の石垣は苔が生えまくっている事が
 永らく何者も侵入していない事を示している。

 そこで全学連は
 青竜「シオン 麗蘭 マリーシア 慶」
 白虎「桃花 サワタリ 鈴女 我門」
 の二手に分かれてあり、
 それぞれ瑞貴の用意した
 藤甲の鎧を装備している。

 下の堀を覗けばそこには
 凶暴そうなマーダークロコダイルの群が
 まるでゴミの様だ。

 手はずでは少し離れたところから
 マホコ率いる一隊と瑞貴率いる一隊が
 それぞれ堀に大量の納豆で作った
 精巧な肉モドキ人形を投入し、
 それに釣られた鰐軍団が
 それらの人形に舌鼓を打っている間に
 慶達が堀を渡りきってしまおうという
 算段となっている。

「よいか瑞貴、そろそろ人形を落とす故、
 努々{ゆめゆめ}油断いたすでないぞ。」

「判ったよマホコちゃん。」

 一方青竜の片側では慶達が
 鰐軍団の動くのを今や遅しと待っている。

「むぅ〜、マホコと瑞貴はまだなのか〜?」

「慶よ、しばし落ち着くが良い。
 おそらくはマホコと瑞貴も
 良き機会を狙うておるのであろう。」

「だがな麗蘭、
 もう四半時も待っているのに音沙汰一つ無いぞ。
 てか腹が減っては戦が出来ないと言うし。」

 出撃の指示が中々来ないので
 バッドステータス・空腹も相まって
 慶は苛立っている様だ。
 腹が減ってはいい糞は出ない。
 これは古今東西の真理である。

「あの…慶、お腹が空いているのでしたら、
 これが有りますけど……」

 慶が空腹と退屈でブーたれているところに
 マリーシアは一枚のカードを渡す。

 カードの名前は「マナナンのカレー」とあり、
 魔法少女マナナンとカレールーが描かれてある
 カードゲーム「ゴーレムマスター」のカードだ。

「何々?魔法カード・マナナンのカレー?
 だがなぁマリーシア、
 気を使ってくれるのはありがたいが、
 いくら絵を見たところで
 空腹が満たされる訳じゃないのだ。」

「いえ、このカードは砕斗クンから貰ったカードで、
 上に掲げて発動すればお腹が膨れるそうですよ。」

「ふむふむ、なる程々なる。それじゃあ…」

(SE キュワーン)
 慶がカードを頭上にかざした途端、
 カードの絵柄がモノクロになり、
 それと同時に慶のお腹が満たされていくぅ〜!!
 ウェエエルカ〜ム!!ヒール・マナナンちゃ〜〜ん!!

 どうやら魔法カードというのは、
 一度使うと絵柄がモノクロになって
 一定の時間が経つなどして
 絵柄に色が戻るまでモノクロのままで
 効果が使えないという事らしい。

 ちなみにこのマナナンのカレーは
 高齢者の生命維持装置の動力源に
 使われているという話も有るとか無いとか。

「うむ、ゴッツァンなのだマリーシア。」

(SE trrrrrrrr)
 その時である。
 いきなりシオンの懐の携帯電話に
 何の脈絡も無く電話がかかってきた。

「あ〜あ〜、こちらマホコ。聞こえるかシオン?」

「Jud{あい}、聞こえてますマホコ。」

「うむ、そろそろ人形を投下する時刻故、
 鰐の群れが移動したのを確認したらば
 一斉に堀に道頓堀ダイブして
 後にみちるの指示に従い戦闘を行うがよい。」

「Jud{あい}、判りました。」

「ちょっと松たか子。」

ここで慶の横入りが来る。

「ちょっとマホコに聞きたい事がアルフォーヌ。」

「ナンジャラホイ、慶?」

「おれ達のパーティーの面子についてなんだけど、
 おれや麗蘭はともかく荒事に向いていなさそうな
 マリーシアやシオンがメンツに入っているのは
 何故ジャラホイ?」

「ふむ、それについてはだな、
 みちるからある秘策を
 引っ提げていると聞いておる。
 いわゆる項明の罠だ。
 詳しくはその時になれば
 みちるが説明する故、
 そなた達は心配せずに
 おのが責務に専念するがよい。」

「そっか、わかった。」

 一方我門の側では……
 チート性能くの一鈴女を中心に
 進入の準備が整っていた。

「にょほほほ、当然でござるよ。
 しかし桃花と我門は
 本当に仲が悪いでござるな。
 そんな調子だと成功する作戦も
 失敗に終わるでござるよ。」

「別にこんなでくの坊の助けなんか無くたって
 私一人でも任務遂行に何の問題もないわよ。」

「アンだとこのアマ!!犯したる!か!!

「ったくあんでこの二人をくませたんだよ。
 我門の代わりに半蔵とかを
 入れた方がいいんじゃねえの?」

半蔵でござるか?」

「いや、そっちのたぬーの方じゃなくてだな……」

 どうやらサワタリが言った半蔵の事を
 鈴女はたぬーの方の半蔵を思いだしたらしい。

「とにかくだな、
 おまいら喧嘩するなら仕事が終わってからにしろ。」

 だが二人はサワタリの仲裁を聞こうとしない。
 それどころか口喧嘩は益々激しさを増す一方だ。

「ゆーこと聞かないと鈴女、
 あんな事やこんな事
 しちゃうでござるよ。」

「わ、わかったわよ。」

「じょ、冗談だよジョークジョーク。」

 サワタリの再三の仲裁にも関わらず、
 仲違いをしていた二人は鈴女の一言で
 瞬時にシュンとおとなしくなってしまった。
 どうやら鈴女はやるといったら
 本当にスゲー事をやるらしい。

 一方麗蘭の携帯には緊急連絡が入ってきた。
 その連絡を入れた携帯先の相手は雲水からだ。

「何だ、雲水ではないか。
 そろそろ出撃の時間か?」

「いや、出撃の時間はもう少し先だ。」

「先…だと!?暫し待て!
 何を戯けた事を申しておる!
 今の時間だとそろそろ
 出撃してもよい刻ではないのか?」

「いや、先刻連絡が入ってだな、
 鈴女らの出撃の少し後に
 出撃せよとの指示があってな。」

 雲水は出撃が遅れる理由を簡単に説明するが、
 その口調から一抹の疑念を麗蘭は抱く。

「まことであろうな?」

「ああ、故に出撃は少々延びる。」

「もし虚偽の報告であった場合はただでは置かぬぞ。」

 とも同時に雲水に釘を差す事も忘れない。

 一方鈴女側では……

「もしもしかめよ、かめさんよ。」

 鈴女がみちると通話をしていた。

「という訳だからすぐに出撃出来る事となったわ。」

「なるほどほどなる、判ったでござるよ。」

(SEガチャ)

「ていうか何の連絡だったんだ?」

「いますぐに出撃せよとの事でござる。」

「あんだと?冗談じゃねーぞ!
 堀の中にはまだ鰐公どもが
 わんさかいるっちゅーのに!」

 みちるの出撃の要請に対し、
 堀の中にまだ鰐がいるという事で
 我門はそれを渋る。だが…

「見るでござるよ我門。」

(BGM:05 Dash! To BattleA)
 突如鰐の群れが明後日の方向に
 ぞろぞろと移動していくではないか。
 勿論これはマホコによる
 肉もどき人形の一斉投下により
 鰐まっしぐら状態になった成果だ。

「成る程ね、そういう事か。」

「という訳でござるよサワタリ。」

 肉もどき人形作戦の成功を確認し、
 我門一行は堀の内にダイビングする。
 言うまでもないが中は
 デコイの肉もどき人形の効果で、
 鰐の群れは影も形もナッサブル。

 それ故に目の前の堀を渡って
 京の内部に入る事は容易であるが、
 鈴女の第六感はこの事について
 一抹の不安を抱いていたのである。

「妙でござるな。」

「妙って何が妙なのよ?」

「それがでござるな桃花、
 今回の作戦は妙に上手く
 事が運びすぎている様に思えて
 仕方がないのでござるよ。」

「そう言われればそうだけど、
 だからと言って今の私達に
 どうこうする事は出来ないわ。」

「左様でござるな。
 まあこれだけスムーズに
 事が進むのでござる。
 ここは鈴女がいなくても
 何とかなりそうでござるな。」

「へ?」

 急に意味不明の言葉を鈴女が口走る。
 その発言を聞いたサワタリの顔は
 ちょうどハァ(゚Д゚)?という感じになっている。

「という訳で鈴女は麗蘭達の方を
 見てくるでござるよ。」

「ちょ…どういうこったよ鈴女?」

「鈴女の山勘第六感が
 何かを感じ取ったのでござるよ。

 なるほど、鈴女の言う事はまるで意味がわからんぞ。
 と言うや否や、サワタリの制止も耳を貸さず、
 鈴女はどっかにいっちまー。

<京の御所>
(ORISINAL SONG17.Necrofamicom{ネクロファミコン})
 場所は京の御所に移る。
 元々は帝や貴族の生活する
 雅で煌びやかな場所であったのが、
 今ではその面影は殆ど無く、
 もろに悪の現場と化している。
 早く来てくれエスカレイヤー。

 そこでは正体が割れていない
 名探偵マンガの犯人の如く、
 シルエットで姿が隠されている
 ここの指揮官の
 ドゥリムグレイと屍岩がいる。

「そうか、ご苦労。」

 そこでドゥリムグレイと屍岩は
 斥候の報告を聞いていた。

 そしてその報告を聞くや否や、
 ドゥリムグレイはどこかに行こうとする

「どこに?」

 どこかに行こうとする
 そのドゥリムグレイを見て
 屍岩は行き先を問うが……

「いや、単なる野暮用さ……」

 とその問いに対して拒否の答えを返す。

<京の御所の奥>
(ORISINAL SONG19.Evil Frame)
 場所は京の御所の奥に移る。
 そこには帝ちゃんが鎮座してそうな
 宮廷風の内装だが、
 部屋の中にはなにやら怪しさ大爆発な
 儀式のための五芒星があり、
 更に周りの柱にはここに何かを
 封印したであろう事を雄弁に物語っている。

 もっとも柱の下には多数のはがされた、
 つまるところ封印を快く思わない者、
 つまり神威によって無理矢理力ずくで
 剥がされて無効にされた札が散らばっているが。
 そういう胡散臭い場所に
 ドゥリムグレイは独り佇んでいる。

 そこにやって来たのは一人の男。
 最初は影でシルエットしか見えなかったが、
 よくよく見るとあの藤原雲水であった。

 これはどういう事なのか?
 雲水は敵に寝返ってしまったのかという
 憶測も流れる中で
 ドゥリムグレイは雲水を確認する。

「お前か……」

「ああ…取りあえずお前の要求通り、
 湯奈沢隊の足止めをしてきたぞ。」

「そうか…感謝する。」

「だが勘違いはするな。
 私はお前達に寝返った訳でもなくば、
 全学連を裏切る訳でも、
 ましてや人類に敵対する訳でも無い。
 お前が復讐の為に神威についている様に、
 私も私の目的の為に
 一時的にお前と組んでいるだけだ。
 私はお前の復讐の為に助力し、
 お前は私の目的の為に助力する。
 ただそれだけの関係だ。
 お目の復讐の対象の一つである
 護国院の本拠である京の破壊を手伝う事で、
 お前にも私の目的の為に動いて貰う。」

「それは重々承知の上だ。」

 ここで窓を通して入ってきた月光が
 ドゥリムグレイの姿を赤裸々に映し出す。
 それは何と神威四天王の一人破国院だった。

 ここで何故全学連が
 ドゥリムグレイと屍岩の正体を
 よく把握出来ていなかったのかを説明しよう。

 ドゥリムグレイこと破国院や
 屍岩の正体を全学連に対して
 隠蔽していたのは
 何を隠そう雲水自身なのである。

<京の御所の堀の内>
(ランス9BGM24:戦闘準備)
 場所は慶のいる堀に移る。
 そこでは痺れを切らして待ちきれなくなった
 慶らの独断による突入が行われていた。

 ところがどっこいである。
 予定よりも大幅に遅れての突入であったが為に
 肉もどき人形を全て平らげた鰐軍団が
 堀の中の慶らに対して噛みついて来ている。

 水中ではいくら力のある特体生である
 慶らと言えどもかなり分が悪すぎる。
 今は何とか藤甲鎧の持つ
 異常なまでの防御力と浮力のおかげで
 鰐軍団のワニワニパニック攻撃から
 身を守っているものの、
 四人が鰐軍団の牙と顎と胃袋の前に
 ホネホネロックとスカルジョークになるのも
 最早時間の問題かと思われ……と思いきや、
 慶の獄長をもしのぐ馬鹿力に
 麗蘭の静斬鬼の戦闘力は
 周りの鰐をさっさと蹴散らし、
 そしてシオンとマリーシアの
 白と黒の翼の双乗効果は
 鰐軍団の攻撃をたやすく
 寄せ付けるものではなかった。

 とは言っても多勢に無勢であるのも事実であり、
 せいぜいホネホネロックになるまでの時間が
 多少延びるだけの効果なのも事実だが。

「それはどうでござるかな?」

 ここで何故か鈴女の声が空に響く。
 夜空に映るは満月、
 そしてその満月を背景にそびえ立つは
 他ならぬ鈴女その人であった。
 鈴女は超一流のくのいちの持つ
 山勘第六感シックスセンスに従って
 ここにやって来たのである。

「慶、麗蘭、シオン、マリーシア、
 今から鈴女が何とかするでござるから
 すぐに耳を塞ぐでござるよ!」

「耳だと!?一体どうしようというのだ?
 まるで意味が分からんぞ!」

「説明は後ほどするでござる。」

 麗蘭の疑問に対し、
 鈴女はさっさと耳栓をするでござる、
 という返答をする。

「ならば致し方がありません。
 慶、麗蘭、マリーシア、
 ここは鈴女の指示に従って耳栓をしましょう。」

 という訳でさっぱり訳がわからないまま
 シオンの勧めに従って
 他の三人も耳栓をする事となる。

「すぅぅぅぅぅ……アッーー!!!!!

禁忌雀躍
くのいちの修行法で常人の呼吸一日分の空気を
一瞬で吐き出して爆音を生む技。
飛び道具を跳ね返す事も出来る。
4(貯め)6+K


(SE:バァン!)
 それを確認するや否や、
 鈴女は瞬時にして
 自分の肺に空気をため込み、
 そしてそれを音の大気に変換して
 水中に叩き込んだのである。

 耳栓の装着により鼓膜を
 保護されていた筈の四人ですら
 数秒バッドステータス・BIND状態に
 なったのであるからして、
 何の保護も無くもろにダイレクトに
 音の雷を鼓膜に食らった鰐軍団は
 全匹気絶して水面に太鼓腹を出している。

「さて、と。これで一応道は出来た訳でござるな。
 四人とも今のうちに行くでござるよ。」

「おー!」

 こうして鈴女の機転と秘技により、
 思わぬトラブルによって
 大幅に時間をとられながらも
 慶達は堀を渡る事に成功する。

<青竜の門前>
(大帝国BGM:一斉射撃−伊)
「暫く青竜の門の前に
 辿り着けた訳でござるな。
 では鈴女は持ち場に戻るでござるから
 後は皆に任せるでござるよ。」

 予定時刻よりも大幅に遅れたものの、
 四人が青竜の門に辿り着いたのを確認すると、
 鈴女は持ち場に戻るべく
 疾風の如く門の前から姿を消す。

「さて…と、問題はここからだな。
 慶、そなたなれば京の仕組み、
 充分に熟知しているのであろう。
 ならばこれよりの作戦の指揮は
 そなたに一任する事とする。」

「それはいいんだけどさ、
 さっき豪が言っていたけど
 おれがいた頃の京とは違うから
 中の罠も魔改造されているかも知れないぞ。」

「ではどうしますか、慶?」

「そうだなぁ……
 地雷系の罠は麗蘭とシオンと
 マリーシアは翼が有るから
 それで回避するとして……
 つーかおれはどうしようか?
 じゃあおれはマリーシアに
 羽交い締めの格好で
 運んでいって貰えばいいや。」

「私が……ですか?」

「うん。何たっておれは飛べないからな。」

 ここで地雷系の罠への対抗策として
 慶は地面すれすれで
 都の中を通行する事を提案する。

 一見普通に空を自由に飛んで
 ダイレクトに目的地に
 行った方がいいんでは?
 というつっこみもあるが、
 前もマホコがサワタリに指摘してある通り、
 敵方の対空攻撃に打ち落とされる可能性が
 十二分にあるからであり、
 わざわざこの様な回りくどい
 移動方法を取らざるディーを得ない上、
 そもそも三人の翼は
 高空を飛ぶ為には出来ていない。

 という訳で慶達は地雷が埋められている
 可能性が高い地面を直接通る事を避け、
 道路の上から数十センチ離れた状態で
 浮遊しながら移動する事となる。

 こうして慶達は地雷の恐怖に悩まされる事無く
 スイスイスーダラダッタと目的地に進む……
 訳も無く、早速罠とご対面という事となる。

 シオンが自動人形{ホムンクルス}特有の人工眼で
 周りをじっくりと見渡すと、
 何とそこら中に裸眼ではほぼ見えない鋼線が
 ところ狭しと張り巡らされている。

 それらの鋼線を見るに、
 単純に標的を切り裂く事に特化した鋼線、
 先に手榴弾の起爆装置が
 巻き付けられた鋼線等の
 ブービートラップ系の鋼線など
 色々と多種多様な鋼線が仕掛けられている。

 これらの鋼線は金剛丸彩の使用する
 鋼線の戦闘術「風雷十極拳」に使用される
 鋼線と同系統の鋼線である。
 そして後ろから明らかに殺気を帯びた
 気配がするのをシオンは明敏に察知する。

 その殺気の持ち主は………
 慶達の数倍はあろうかという巨体を持つ
 魔物率いるアンデット魔物の一群である。

 その大将の魔物はまるでカニ男を思わせる
 巨大な鋏と巨躯を擁しており、
 そしてその巨大な顔は一目見れば
 嫌でも忘れられない異形を為している。

「何か怪しさ大爆発な物音がしたと思ったら、
 珍入者が四人も忍び込んでおるガニィ。
 全く堀の中の鰐共はどうしたガニ?」

「連中ならば堀の中で全匹目を回しておる。」

「全くだらしのない爬虫類がガニ。
 おいそこのお前等、
 今の時刻はガキンチョは
 起きている時間じゃないガニ。
 とっとと家に帰って寝るガニ。」

「だが、断る。」

 カニ野郎の帰宅命令に対し、
 麗蘭はしれっと拒否の返事を伝える。

 休憩中に侵入者により大切な休憩時間を
 おジャマジックされたカニ野郎は
 当然度怒り炎の介で両手に持つ刀を
 はさみの様にして麗蘭に襲いかかり、
 そしてそれを合図に手下のアンデットの一群も
 時をおかずして慶達に向かって襲いかかってくる。

<京の御所・樋口末山の間>
(ORISINAL SONG08.Akatsuki)
 その頃雲水は京のどこぞの
 暗い建物の一室で
 怪しさ大爆発の儀式を行っていた。
 まわりには儀式の為に
 用意されていると思わしき
 異形の独鈷杵や護符等の
 儀式関連のグッズが
 理路整然と並べられており、
 そして雲水の前には巨大な沈香と焚き火があった。

オーム ヴァジュラ マヌパラヤ
 ヴァジュラ ディドメパワ
 サルバ サルバ カルマ チッターム


 それらを前にする雲水の口からは
 翻訳する為に存在するこんにゃくでも
 エキサイティングな翻訳不可能とおぼしき
 呪文の数々が溢れでている。

『フフフ……いいぞ…
 私が施した時間稼ぎの策により、
 全学連がここに辿り着くまでに
 我が秘法儀は完成していよう……』

 どうやら雲水はこの儀式の為に
 わざと故意に慶達の出撃を遅らせた様だ。

<青竜の門>
(ORISINAL SONG25.Terrible beat-Duel Soul Version)
 その頃青竜の門では
 慶達と怪人カニ男一味との
 激闘が繰り広げられている。

 シオンとマリーシアはそれぞれ
 慶と麗蘭のサポート役に徹し、
 そして麗蘭はカニ男とタイマンに、
 慶はアンデット軍団との
 無双戦に突入している。

軟骨食わせろっ!!ついでに露骨な肋骨も!!

(SE:grrrrrr)
 互いに敵の隙を窺う
 視殺戦から始まる……と思いきや、
 血気に逸りし雑魚が慶を解体らして
 軟骨と肋骨を喰わんものと
 慶の脳天めがけて
 まりもちゃんカジりを敢行する。
 その攻撃に対して慶はカウンターのパンチを…
 って思いっ切りおつむに噛みつかれている!!

 やばし!!
 これではまりもちゃんぱっくんちょの二の舞、
 と思ったら噛みついた方の歯が折れている。
 これを見るに慶の頭の硬さは
 およそ頭鎚鐘砕皆伝者の
 百倍はあろうかと思われる。

(SE:ズギュウウウウウウン!!!!)
 そして雑魚の顔に対して
 慶のスーパー頭突き一閃。
 あわれ雑魚@名無しさんは
 顔面陥没で軟骨の夢かなわず、
 とっとと地獄に召さるティム。

「ケッ、それがどーしたい!!」

 軟骨マニアが瞬殺で
 地獄に召されたにも関わらず、
 アンデット軍団は
 つよきすの態度を崩してはおらず、
 慶らを上から目線で睨んでいる。

「お前らはたったの四人!
 それに引き替え俺らはぎょーさんおんねんで!!
 これで勝てると思っとんかぁ!!_」

「当たり前田のクラッカーじゃあんか。
 何を当然の事をいってんちろく。」

「いー度胸してんじゃねーか!!
 質寄量の作戦でやっちめー!!」

 慶の挑発伝説に対してヒャッハーズは
 数を頼んで慶をフクロにせんものと
 一斉に襲いかかる。

 こんな連中12神の一人の
 慶にかかれば烏合の衆……と思いきや、
 以外に苦戦を強いられている。

 まあ毎回無双をしちゃあ
 読者に飽きられるだけだし
 少しでも戦闘のバリエーションを
 増やしておかなければならない。
 決して水増しではないのである。

 ヒャッハーズは建物の壁や柱などの
 いわゆる背景オブジェを
 巧みに利用した戦闘方法で
 パワー押しの慶を翻弄し、
 更に周りに仕掛けられている罠を
 巧みに利用して更に翻弄しまくっている。

 慶の方もシオンの
 補助系術式によるサポートで
 何とかしのいではいるものの、
 次々とエテ公の様に狡猾に襲いかかる
 凶悪ヒャッハーズ相手に
 マンモス苦戦を強いられている。

「カニカニカニ全く今頃は暖かい布団の中で
 高いびきをかいて寝こけている頃だってのに
 よけいな仕事を増やしくさってからに。
 あ〜メンドクセ〜ガニ。」

「そうか…それはすまなんだな。
 なばら今すぐに楽にしてやろうぞ。」

(SE:ヒュッ)
 そういうや否や麗蘭は
 白羽による先制攻撃を仕掛けるが、

白羽殲風陣
背中の白い翼からナイフの様に鋭い羽を次々と繰り出す技。
1(溜め)316+K(パワーゲージ1本消費)

カニカニカニカニィ!!

(SE:シャシャシャシャシャシャ)
 かに男のハサミによるカニカニラッシュが
 襲いくる羽毛を全て切り落としチマー!!




アイキャッチ
鈴 麗蘭
 鳥は何の為に殻を破って生まれてきた?」


アイキャッチ
藤原 雲水
 「そろそろ、頃合いだな……。

<京正面門前>
 場所は京の正面門前に移る。
 そこでは久那岐と凛と田中と百瀬の四人が
 正面の頑丈極まりない門が
 中から開けられるのを
 今や遅しと待ちかまえている……が、
 当然雲水の妨害工作によって
 開門がかなり遅れているので、
 全員待ちぼうけを食らっている。

「遅いですね。」

「うむ。」

「やはり中で不測の事態が起きて
 予定時刻になっても門を開く事が
 出来ない状況に陥ったのでしょう。
 ここは予定を変更して外から力任せに
 門を開いた方が……」

「だが内部の状況が把握していない今、
 無理矢理扉を叩っ壊して中に入るのも
 どうかと思うんだが。
 中に殴り込んでみれば敵の待ち伏せで
 モンスターハウスって事もあるし、
 そもそも門自体が今の俺達の戦力で
 ブッ壊せる訳ねえし。」

 と凛の強攻策に田中が異論を唱える。
 じゃあこのまま待ちぼうけをせざるを……

「するかバカ!!」

 する程百瀬は気が長い訳ではなく、
 携帯電話で非番の特体生を
 100人程召集する事となる。

「うぃーっす。ただ今百名誕生したぜ、モモの兄貴。」

 流石に鍛え上げられた特体生らしく、
 すぐに100人集まっても大丈夫。

「それでオイラ達に何をやれってんで?」

「夜分遅くにすまねえな、おまいら。
 実はこの目の前にある分厚くてでかい
 鉄の扉を粉砕玉砕代喝采してほしい。」

「んなのよじ登っていきゃーいいじゃんね?」
「そうしたいのはやまやまだが、あれを見てみ。」

 特体生Aの案に対して百瀬は即答で
 扉の天辺や地面の部分を指し示す。
 そこにはドス黒い程の血糊やガイコツスカルが
 そこら辺中に付いたり散乱したりしている。

「おそらくは何かスゴくやべぇセキュリテーが
 仕掛けられてあってよしんばそこを突破しても
 中の敵とやり合うだけの戦力が果たして
 残っているかどうか心許ない。
 という訳で扉の打ち壊しを頼むわ。」

「へへへ、腕が鳴るぜ。
 こういう打ち壊しは一昨年の
 米騒動の時の打ち壊し以来だぜ!!」

(SE:ガッガッガッ)
 そう言うと百名の特体生は
 城市狩人の助手が使用する様な
 巨大なハンマーを使用して
 一斉に打ち壊しを始める。

<京の最奥・羅生悶>
(ORISINAL SON
G27.Crawling Chaos〜Kamui@)
 場所は京のとある
 怪しさ大爆発な部屋に移る。
 そこは京の最奥・羅生悶といい、
 そこにはまたまた数々の怪しげな
 儀式の為の道具と怪しく光る魔法陣があり、
 それを前に神威が
 怪しげな魔術を実行しつつある。

 つまりここに存在する
 全部が怪しいという事だ。
 ていうかおまいラスボスちゃうん?
 ラスボスがこんなこくんだりまで
 出しゃばってええんか?

「やかましいぞ管理人。
 これから我はやる事があるのだ。
 気が散るから話しかけるな。」

で、そのやる事とは?

「わざわざネタバレをする馬鹿がどこにいる?
 まあ視聴者諸君には
 ストーリーにも問題はないから
 ネタバレをしてもいいだろう。
 我はこの京に主要な特体生共を集めて
 京の地脈を診だして京全体に大破壊を起こし、
 京もろとも連中をマサクゥルする予定なのだ。
 どうだ驚いただろう。」

何というスケールの大きい攻撃方法か。

たたた大変でしゅ神威〜〜〜!!

 その時である。
 部屋に屍岩が入ってきた。
 何とその正体は何を隠そう
 死人使いロックその人である。
 成る程、だから屍=ゾンビ、
 そして岩=ロックという訳か。

「何事か?」

「さっきから正門の前で打ち壊しを
 始めている連中がいましゅ。」

「特体生共か……ならばロックよ、
 お前がアンデット軍団を率いて
 不法侵入者共をセコムして来い。」

「わかったでしゅよ神威。
 連中は全部ぽっくんの下僕の
 アンデットにしてやるでしゅ。
 ケケケ……」

<京 正面門前>
(ランス9BGM33:Helman Battle1)

 場所は再び京の正面門の前に移る。
 100人力の甲斐あって
 門は早くも40%位のダメージを受けている。
 ところがどっこいそこには
 ロック率いるアンデット軍団が
 門の上から襲いかかってくるではないか。

「気づかれたか。」

「そりゃああんだけ
 ドンちゃん騒ぎをしてりゃあ
 気付くなって方が無理って門よ!!
 久那岐…こうなりゃ俺達で
 曇り時々アンデットを
 何とかするしかねえだろ!!」

 百瀬がそう言うと無数のアンデットが
 降り注ぐところに単騎突っ込んでいく。
 そしてそれに続いて他の三人も
 100人部隊の作業をアンデット部隊から守るべく
 アンデットのジャジャ降りに向かっていく。

(SE:ヒュンヒュンヒュンヒュン)
 だが落ちてくる相手はゾンビ長槍部隊。
 槍のリーチと重量と地球の重力にものを言わせ、
 次々と上から自動落下で死の特攻を仕掛けてくる。
 アミバ?誰だそりゃあ? 

 凛は柔術系の返し技を駆使して
 巧みに槍の攻撃をいなし、
 百瀬はガッツと根性で
 槍の攻撃を拳で叩き落としていき、
 田中は木刀で槍を受け止め、
 久那岐は貧乳回避と
 超神速と超反射神経でかわし、
 何とかしのいでいる。
 だがそれらの猛攻をいつまでも
 しのいでいられる訳ではない。

 否、正確に言うならば、
 アンデット軍団をただ撃退するだけならば
 この四人だけ十二分に事足りるが、
 作業中の100人を護衛しながらの戦闘は
 容易なものではなく、
 既にに数匹のアンデットが作業中の
 100人に対して襲いかかっている。

 もっとも彼らとて特体生であり、
 10tハンマーで自衛バトルを行い、
 何とかもってはいるものの、
 一刻も早く門を壊して
 中に進まなければならない。

「畜生!こいつら叩いても叩いても沸いてきやがる!!」

 100人部隊のうち既に10人くらいは
 対アンデット迎撃に回されており、
 作業は更に遅延を期している。

「どうするよ凛!?
 このままだとじり貧、いやどか貧だ!」

「不本意ですがここは
 耐えるしかありませんね。
 一刻も扉を破砕して
 中のシオン達や桃花達と合流する、
 今はこれしか手がありません。」

「しょーはイカの金閣寺!!」

「誰ですか?つまらないダジャレを言うのは?」

 凛が声のした方向を向くと、
 そこにはアンデット軍団を率いる
 死人使いロックの姿があった。

「でしゅでしゅでしゅでしゅ、
 ぽっくんのアンデット精製能力を
 嘗めて貰っては困りましゅばい。
 ヤローども、こいつらを友愛した後、
 アンデットの素材にしてしまうでしゅ!!」

 そう言うやいなやロックは術式を用い、
 更にアンデットを増殖させていき、
 そして久那岐らに差し向ける。
 こいつぁ絶体絶命だぁ!!

(ランス9BGM14:今しかない!)
HAAAAAUUU!!!!

(SE:ギュウウウウンン)
 ところがどっこいここで
 どこぞの誰かのパンチの嵐が
 アンデット軍団を襲う襲う襲いまくる!!
 ロックがその予想外の襲撃者の姿を見ると……
 その襲撃者はボクサー山本無頼!!

 そして無頼の後ろに控えしは……
 武闘派司祭のグレッドに鉄足司祭のキシラル!!

「無頼……それにグレッド司祭にキシラル司祭まで!?
 というより何故ここに!!?」

「みちるからの連絡で理由はわからないが、
 作戦が大幅に遅れているらしいから
 豪の指示により我々がもしもの時に備えて
 援軍としてきたんだが、
 やはり案の定だったか。」

「ここは故あって我々三名が
 扉を突破して中に突入する故、
 貴方方にはこ奴らの
 対処をしていただきたい。」

 キシラルが久那岐達に対して
 アンデット軍団の足止めをする様に要請する。

「それは構わんが、故とは一体?」

「今はそれを話している暇はない。
 ホレ、志村後ろ後ろ。」

 グレッドが後ろを指さすと
 ロック率いるアンデット軍団が
 まるで津波の如く
 大挙して押し寄せている。

「判った。だが本作戦が終了次第、詳細を聞かせて貰うぞ。」

「委細承知!」

 そういうと三名は早速扉の元に駆けつけ、
 自分達の体術による打撃系の技術を駆使して
 打ち壊しを手助けして打ち壊しを成功させた後、
 次のステージに行く

<青竜の門>
(ランス9BGM33:Helman Battle1)
 場所は再び青竜の門に移る。
 そこでは怪人カニ男率いるアンデット軍団が
 地の利と数を生かして慶達を押している。

 大将のカニ男はわざと麗蘭を
 地雷源に追い込むような戦法で
 巧みに麗蘭を追いつめていき、
 アンデット軍団は周りの建物の中から
 不意打ちや擬態を初めとする多彩な戦法で
 慶達を大いに苦しめている。

 慶が建物の壁を背にしようとすれば、
 その建物の壁は実は
 敵の擬態によるダミーであり、
 背中から不意打ちをかましてくる。

 シオンやマリーシアの飛行能力も
 建物と建物の間に仕込まれてある
 アラミド鋼線による
 数々のブービートラップで
 満足に使用出来ないなど、
 敵の巧妙な戦略の前に
 格下相手にも関わらず、
 かなり苦戦を強いられている
 状況下に在る。

「ヒャッハー!!」

(SE:パコン)
ITEッ!?

 何しろ例えば相手は柱や壁などの
 障害物を巧みにかいくぐって
 攻撃してくるのに対し、
 慶はその障害物諸とも
 相手を攻撃する訳だから、
 いきおい攻撃が
 障害物に防がれてしまい、
 ほとんどダメージを
 与えられない状態となる。

 もっとも流石は12神の1柱だけあって
 マリーシアやシオンの援護術式もあり、
 徐々に敵の頭数は減っている。
 とは言えこんなところで苦戦していては、
 今後の作戦に大いに
 支障が出る事は間違いない。

「全く
ガキンチョがッッ!!
 しかしおまいら本当に
 だらしがない奴らだガニィ。
 こうなったら俺一人でも
 全員アジの開きにしちゃるガニ。」

 麗蘭と対峙していたカニ男はそう言うと、
 手元にあった手製のスイッチをポチっとな。
 するとどうだろか。
 麗蘭の後ろに大の大人の
 腕大程もあるトゲトゲが
 無数に生えた壁が地面から
 地響きを立てて出てきた。

「これでチョコマカチョコマカと
 小賢しく逃げられなくなったガニィ。
 そして!これで真っ二つだガニ!!」

(SE:チョキン)
 勝利を確信したカニ男はそのまま
 ハサミで物を両断するがの如く
 麗蘭を両断せんとするが……
 その途端麗蘭は
 華麗な白鷺の如く上空に舞い上がり、
 カニ男の背中を取る形で着地する。

「誰が真っ二つだと?」

ところがカニ男もさるもの、
「く、くそっ!せせ背中を取られてしまったガニぃ。
 『もっと近づいてくるガニ。
  俺の背中の地面には踏むと発動する
  万能地雷Gが埋め込まれているガニ。
  俺にとどめを刺そうと近づいてきた時が
  お前の木っ端微塵最期だガニ。』」

 自分が背中を取られてしまった時の為に
 二段構えの罠を用意しておいたのである。
 カニ男の基本は好きを与えぬ二段構え。
 その罠を知ってか知らずかカニ男に対し、
 後ろから無造作に麗蘭が近づく。
 危うし麗蘭……と思いきや、

「その程度の浅はかな罠が
 妾に通じるとでも思うたか?」

(SE:ヒュン!グルグルグル)
 と言った途端縄付き鋲を
 カニ男の体を巻き付かせ、
 地雷の在るところに強烈に叩きつける。

全蠍飛鋲
紐のついたを飛ばし、命中した相手を自動で引き寄せる。
22+K

「なななじぇバレたガニぃ!!?」

 当然の疑問を呈するカニ男に対して麗蘭は、

「地面にドクロのマークが出ておるぞたわけガニ。」

 と切り返す。
 直前に独白による説明死フラグといい、
 何という間抜けなバレ方だか。

(SE:Kaboom)
「エチ!
ゼンガニぃぃぃぃぃ!!!!
 そう北殿件戻樹的断末魔を残して
 哀れカニ男は地雷に吹っ飛ばされて
 焼きガニと化して地獄にメサルティム。
 全く汚ねぇ焼きガニだぜ。

<京正面門前>
(ランス9BGM14:今しかない!)

 慶や久那岐達が
 (物理的に)腐れアンデットを相手に
 ドンパチをかましている頃である。
 エクレールは単独で
 京正面門前に向かって爆走していた。
 それは何故にWHYと聞かれると
 ……回想タイムに入る。

 場所は全学連軍の陣幕、
 そこには項明みちるがエクレールに対し、
 何やら作戦の説明をしている。

「さっき私のバカ弟子・登山家バショクが
 必死コいて調べ上げた事なんだけど……
 城内の敵将であるドゥリムグレイは
 四天王の破国院、
 そして屍岩は悪名高き死人使いロック、
 である事が判ったわ。それで……」

そういうとみちるは懐から一冊の資料を取り出した。

「これによれば破国院の正体は
 元旧ホーリーフレイム所属の
 特殊部隊所属のカーツウェルで、
 カーツウェルが元々は
 旧ホーリーフレイムの
 特殊部隊を束ねていた事は
 アンタも本人から聞いているから
 説明は省くわ。
 事の発端は対護国院戦の為に
 ジョドーが極秘命令で
 夫婦揃って旧来の部下を従えて
 破壊工作の為に京に潜伏していたのよ。
 ところがドコーイ、
 ジョドーの作戦が
 護国院側にバレチマーって、
 それでも作戦を強行して
 無理矢理遂行したはいいものの、
 本国でも手違いがあって
 一行の帰国の為に予定されていた
 援軍がジョドーの独断でこなくなったの。
 そして護国院軍に追いつめられて
 カーツウェル一人になったのよ。
 その頃本国では折り悪く、
 一人の少女が魔女裁判にかけられ、
 処刑される事になった。
 そう……マリーシアの事よ。
 そしてそのマリーシアは実は
 カーツウェルの娘である事も、
 バショクは既に調査済みよ。
 流石はMy一番弟子だわ。
 どんな経過は解らないけど、
 カーツウェルはマリーシアが
 処刑されたと思いこんでいる、
 あるいは処刑されたという
 ガセ情報を掴まされているのよ。」

「まさか……」

「そういう事なワケ。
 あのオサーンの復讐の理由は。
 だからアンタが
 マリーシアをエスコートして
 カーツウェルに真実を伝えて
 復讐を辞めさせる様に言うのよ。
 もっとも見捨てられた事や
 処刑されかけたって事は事実だし、
 説得する事は
 出来ないかも知れないけど、
 やって見る価値は十二分に有るわ。」

ちょっと強引でキンクリな説明ではある。

<青竜の門>
(ORISINAL SONG26.Terrible beat-Remix Bout)
 慶達に視点を戻してみると、
 ボスのカニ男がやられてしまって
 アンデット軍団はさぞや
 意気消沈かと思われたが、

「ちょっと待たんかい!!
 そんな思い通りに行く訳ねーだろ!!」

 何故かしかアンデット軍団は
 強気のよっちゃんだ。
 それもそのはずである。

 軍団の後ろからおもむろに
 ロックによって派遣されてきた
 ゼガル・ロックが何の脈絡も無く
 ぬぼーっと現れたのである。

「ザマアカンカンパンパカパァ〜ン!!
 こんな事もあろーかとロック様が
 ゼガル・ロック様をここに派遣なされたのだ!!
 お前等も知っているとは思うが、
 我々アンデット軍団にはゼガル・ロック様の
 細菌・毒は一切影響を受けねえ!
 さささ、後は頼みますぜゼガル様!!」

「(コクリ)」

『ホントに大丈夫なんかよコイツ…
 ロックのチビ助め何か妙な欠陥品を
 よこしやがったんじゃねえだろうな?
 つーか何か喋れよぉこのでくの坊が。』

 何やらアンデット軍団が
 かなり不安そうであるのは
 げんなりした表情から読み取れる。

 それはおいといてゼガル・ロックは
 自分に課せられた任務を遂行せんが為、
 慶達の前に立ちふさがる。

「よいか、皆心するがよい。
 エクレールより聞いた話によれば、
 こやつは体内に毒を宿す
 剃逝細菌萬{それいけさいきんまん}であり、
 触れればたちまちの内に
 猛毒や細菌に犯されると聞く。
 ならばここは妾が死の翼にて
 触れずしてこ奴を屠り去る故、
 慶、そなたは有象無象の相手をせよ。
 シオンは慶への補佐、
 そしてマリーシアは妾の補佐に徹せよ。」

剃逝細菌萬{それいけさいきんまん}
剃逝細菌萬{それいけさいきんまん}……
それはこの世のありとあらゆる細菌を
自在に操りし者に与えられる称号である。

そしてその細菌を自在に操ったり
調合{ブレンド}して全く新しい細菌を
ツクール能力が細菌王{サイキング}である。

しかし余りにも強過ぎる細菌は
術者本人にも悪影響を及ぼしてしまう為、
元から細菌の住家の様なアンデットあるいは
それに準じた体の持ち主にしか使用出来ない。

ちなみにこの細菌萬に対抗し得る
解毒のエキスパートは餡飯萬{あんぱんまん}と呼ばれ、
この世のありとあらゆる毒物・劇物・細菌類に対する
耐性や解毒の法を熟知していると云われ、
中でも餡飯萬の宗家・崎むr…おっと、
これ以上はネタバレになるので
一先ずここで説明は終了するとしよう。
有栖書房刊「愛と勇気の細菌学」より

「おうよ!」

「Jud{あい}。」

「はい。」

 そうこうしているうちに
 臨戦態勢に入ったゼガルが
 散歩でもするかの如くゆくーりと、
 しかし確実に麗蘭に対して近寄ってくる。

「フンッッ!!」

(SE:BLAM)
 無論麗蘭も何もせず
 手をこまねいている訳ではなく、
 白羽によって形作られた
 ロケットパンチを放つ。

鳳凰天翔
白い羽で作ったロケットパンチを放つ技。
236+P

(SE:ずんばらりん)
 そのロケパンに対して
 ゼガルは一刀両断で
 羽根パンチを意図もたやすく割断するが、
 途端にそのパンチは四散して
 本来の姿である無数の白羽に戻り、
 ゼガルの全身を包んでいく。

 勿論それらの羽毛はすぐに
 ゼガルの持つ猛毒や細菌に侵されて
 腐り落ちてしまう訳だが、
 腐り落ちらせる事に成功し、
 自由フリーダムの身になった
 ゼガルの目の前に現れたのは、

「死ぬがよい!」

 大振りの白羽を大剣の形状にして
 斬り掛かる麗蘭の姿だった。
 剣先の部分に当たる部分は
 ゼガルやゼガルの剣に触れるだけで
 腐り落ちてしまうが為、
 腐り落ちた部分の羽をすぐに落として
 また新しい羽毛に変えるという戦法を
 麗蘭は採ったのである。

鳳凰天翔
白い羽で剣を形作る。
一定時間通常攻撃が剣を使った攻撃になり、
性能が上がったりチェーンコンボが出来たりする。
214214+PPP(パワーゲージ1本消費)

 もっとも麗蘭の腕を持ってしても
 剣一本で捌ききれる程
 ゼガルの剣撃が甘い訳もなく、
 その凶刃は羽剣との凌ぎ合いの隙を付いては
 逐一巧妙に麗蘭の体に容赦無く襲い来る。

 それに対する麗蘭の戦法は中国拳法の中でも
 最古と言われる暗殺拳・東斗陽拳の流れを汲む
 剣法の体術による身のこなしと
 白羽を瞬時に盾にする事でそれらの剣撃を凌ぎ、
 それでも凌ぎ切れずに受けた傷から進入してくる
 猛毒や細菌はサポートをつとめるマリーシアの
 解毒術式によって回復を計る。

 一方慶の方はシオンの
 戦闘補助術式の加護を得、
 アンデット軍団を相手に
 無双の大立ち回りをしている。

 両の腕は名刀匠・ジェモニの
 打った薙刀「運慶」「快慶」を振るい、
 群がるヒャッハー共を力任せに
 叩いては斬り叩いては斬りと、
 そこら辺は殆どモグラ叩きに
 近い様相を呈している。

 一方麗蘭に視点を戻してみると……
 生身の雑魚相手であれば
 とっくにおっちんでいるレベルの
 ダメージをゼガルに与えているものの、
 アンデット特有の超回復能力に加え、
 そこら辺に転がっているアンデットの死体を
 取り込んでダメージを回復しているので、
 まるでザルで水を汲むが如き苦行と化している。

 言うまでも無いが麗蘭は生身であり、
 疲労とダメージが肉体に蓄積しており、
 マリーシアの術式も
 解毒に回すのが精一杯で、
 とても疲労とダメージに
 リソースを裂く余裕は無い。

 そのうち麗蘭の疲労は自分でも気づかぬ内に
 身のこなしに異常をきたす事になる。
 平たく言うならば足下の魔物の死骸に
 足を取られて体勢を崩してしまったという事だ。

(SE:シャキーン)
 そんな千載一遇のビゲストチャンスを
 ゼガルが逃す訳も無く、
 仰向けに倒れる麗蘭のオツムに
 容赦無く唐竹割りの強襲を繰り出す。
 とっさに麗蘭は背中の翼を手の如く駆動し、
 その襲い来る刃をキャッチする。
 これぞ真剣白羽取り!!

(SE:ブン)
 そしてゼガルの突進してくる勢いを利用して
 巴投げの要領で後ろに投げ捨て……

(SE:ガシッ)
 と思いきや途中でゼガルは両腕の関節を外して
 腕を伸ばして逆に翼を鷲掴みにして

(SE:ガスッガスッ)
左右の壁に叩きつける。

「くうっ…!!」

 その勢いは常人ならば
 一回叩きつけられただけで
 即死するレベルだが、
 麗蘭はその度に自分の体に
 無数の羽を纏わりつかせて
 クッションとする事で致命傷を防ぐ。

 それと同時にゼガルに掴まれた翼を
 引っ込める事で地獄極楽落とし状態から
 脱出する事に成功する。

 だが麗蘭の脳味噌はまるで
 衝撃を受けた豆腐の如くグロッキー状態、
 無防備宣言都市の如くなっている。
 
FINISH HER!!

「そうは行くかタコー!!」

 ところがその麗蘭のサポートに入ったのが、
 いつの間にかアンデット軍団を
 全滅させた慶である。
 放送時間の都合上これ以上は
 ヒャッハーズとの戦闘に時間と予算、
 そして労力をかける訳にはいかないのである。
 大人の事情である。

(SE:ブンッ)
 慶は長さ約3m・太さ50cmの
 廃墟の木製大黒柱をゲットし、
 その場がでかい柱を何と片手で
 暗殺拳の三男の如くゼガルに叩きツケルン。

(SE:ずんばらりん)
 ところがどっこいその柱は
 ゼガルの体に届く寸前、
 ゼガルの必殺大根斬りで叩っ斬られる。

 尚も慶は短くなった柱で同じ事を繰り返すが、
 結果は同じである……と思いきや、
 足下に転がっていたもう一本の棒で
 慶は押し出すが如くゼガルを突いて
 互いの距離を稼いだ上で、
 見事グロッキー状態の麗蘭の救出に成功する。

「むぅ……済まぬな、慶。」

「おう、それより麗蘭、こいつをどうするよ?」

「左様じゃな……」

「Jud{あい}、シオンが考案しますに、
 麗蘭の羽で聖なる闘衣を作り、
 それを慶に装着させて戦うのです。
 シオンとマリーシアは今まで通り
 術式でおふた方のサポートをします。
 マリーシアはそれでよろしいですか?」

「え、ええ。」

「いいぞ。」

「妾にも依存はない。」

 そうこう戦術会議をしている内に、
 慶吹っ飛ばされたゼガルが
 戦線復帰を果たしている。

「ゆくぞ慶!」

「応!!」

 そう言うと麗蘭は羽で構成された闘衣を
 慶にコーディネートする。
 そしてサポートを受けた慶は、
 右手に運慶を、左手に快慶を持ち、
 猪の如くゼガルに突進をかます。

朱雀天翔
白い羽で鎧を形作る。
一定時間ダメージが減るのは無論の事、
相手のコンボが入りにくくなる効果もある。
214214+KKK(パワーゲージ1本消費)

(SE:ズギャアアアーーーン)
 それに対してゼガルは不意をつかれたのか
 もろに突進による斬撃を受けて
 バラバラに四散…したかと思いきや、
 その四散した体は実は足下の
 アンデットの体から作られたダミーで、
 ゼガル自体は逆に擬態で
 足下のアンデットの死体に
 なりすましていたのである。

 オツムや知性がシドー並のアンデットが
 何故にこの様な高等戦術を!!?
 それはともかくこの奇襲攻撃に対して
 野生の感で察知した慶は
 ぎりちょんで攻撃を交わすが、
 ゼガルの波状攻撃はとどまる事を知らず、
 慶に休む暇も与えずアタック オン ゾンビ。

 頭部への横薙ぎに対しては
 真鳥楠{まとりくす}回避という回避で避け、
 刺突や唐竹割りに対しては貧乳回避で避け、
 足払い斬りに対しては縄跳び回避で避ける。
 どうやら慶のロリタッパが効を奏しているらしい。
 その内業を煮やしたのかゼガルは
 細菌の塊を至近距離から飛ばす
 黴留膿々々{かびるんるん}を仕掛けてくる。

(SE:シャアアアアアア)
 ここで慶はトンだミスを犯してしまう。
 ゼガルの攻撃をかわすのに精一杯で
 自分の後ろにマリーシアがいるのを
 こってり忘れてしまったのである。
 このままでは細菌の塊がマリーシアに
 ダイレクトアタックをかます事になる。

(BGM:22.After Age)
 だが黒羽は降臨した。
 白馬に乗った王子ならぬ
 黒翼をまとった騎士・エクレールが
 ただいま推参!!
 マリーシアの前に黒い羽で
 構成された盾が立ちふさがり、
 細菌の塊を防いだのである。
 やったねガッちゃん、
 これでまた同人誌のネタが増えるよ!!

フィルム・ノワール
黒い羽で作った盾で攻撃してきた相手を押し返す技。
ボタンを押し回数に応じた時間、相手は数瞬硬直する。
ガード中にPPPボタンを連打

「エクレ……」

「遅れてごめん、マリーシア……!」

「ていうかアツアツのところを邪魔しますが、
 何故ここにエクレールが来たのですか?
 シオン達にも詳しく説明を希望するです。」

「それは……」

 しばらくお待ち下さい・・・・・・
 
NOW LOADING・・・・・・

 ジャジャジャ〜ン、今明かされる衝撃の事実!!

「パ……パパが生きている……」

 敵の四天王・破国院の正体が
 実父カーツウェルであるという
 事実を聞かされ、
 マリーシアはおつむの中で
 様々な感情が入り交じって
 正直軽くプリンパ状態になっている。

 それもその筈である。
 マリーシアは本国において
 ジョドーのもたらした情報により
 父のカーツウェルと
 母のフランチェスカは敵将として
 敵の護国院に討ち取られたと
 聞いたからだ。

 それが実はジョドーによる
 蜥蜴の尻尾切りであり、
 そして父が生きていて
 自分が殺されたと嘘を教え込まれて
 復讐に生きていると
 聞かされたんではしゃあない。

「成程、話はよう判った。
 要は破国院改めカーウウェルの
 目の前にマリーシアを連れてくれば
 よいだけではないか。」

 何という麗蘭らしいストレートな意見。

「え?」

 とりあえずプリンパ状態から
 脱したマリーシアは
 麗蘭の提案を再確認する。

「今し方聞いた通りの事だ。
 そなたをエクレールがエスコートして
 破国院の元に連れていくのだ。
 ゼガル・ロックは妾と
 シオンと慶で押さえつける。」

 そういやあゼガルはどうした…?
 あ、ちゃぶ台の前に座って
 梅昆布茶を飲んでいる。
 このアンデット、マジ空気を読んでいる。

「判りましたわ。……行こう、マリーシア。」

「ええ……!」

 返答と同時にエクレールは
 マリーシアをエスコートし、
 目的地に向かって大爆走そうしていく。

 
ソシテセンリツノゼガルガオトズレタ…

<白虎の門>
(ランス9BGM23:運命の歯車)
 その頃、白虎の門の前の鈴女らは、
 順調に作戦を進めていた。
 流石に四人揃って忍者な上に
 チート性能の鈴女の存在も相まって、
 索敵及び罠の探索・除去等は
 TASでもやっているかの
 如くの勢いで進んでいた。

「鈴女がいるとは言え、
 妙に不気味な程アサーリと事が進むわね。」

「妙な事を言って
 変なフラグ立てんじゃねぇーよこのタコ!!」

「今何て言ったの?
 それ以上言うとボコボコにイワすわよ。」

 桃花と我門の犬猿の仲は相変わらずだが、

「だがどうやらフラグ回収が早速やって来た様だぜ。」

 サワタリが明後日の暗闇の方向を指さすと、
 そこにはフラグ回収者がシルエットでいるではないか。
 幾ら何でもフラグ回収が早過ぎはしねえだろうか?

「そんな事は無いでござるよ。
 いつまでもダラダラ展開していたって
 視聴者的にダレるのは間違いないでござるからな。」

(ORISINAL SON
G26.Terrible beat-Remix Bout)
 そのフラグ回収者が
 センリツノスガタヲアラワス。
 その正体は先のゼガル・ロックと同じく
 死人使いのロックによって蘇った
 クランク・ロックである。

「gfffよう来たのー太秦映画村の大根役者共。
 ロックの命令でやって来たらやはりコソコソと
 コウケツドブネズミの如く入って来やがったか。
 このまま貴様等を通したら立場的にも
 視聴者の皆さんにも申し訳が立たんからな。
 貴様等にはここで全員くたばって貰う。」

 月並みの平凡な口上が入りました。

「アン?テメー正気かこのタコ!!
 こっちは手錬れの忍びが四人揃って
 しかもそのうちの一人は歩くチート性能の鈴女だ。
 なのに一人で立ち向かおうたぁ正気か!?」

 我門の至極真っ当な正論が入る。
 よくよく考えてみれば
 いかにクランクがアンデットの
 再生能力の恩恵を受けていようと 
 1on4の対戦カートで勝てる訳が無い。

「と思うのがトーシローのアサマチさよ!!
 この俺がたった独りでこんなところくんだりまで
 来るとでも思うとんかいボケ!!
 カムヒア幻杜坊とクランクガールズ!!」

 そう言うや否やクランクは
 指を鳴らして後ろに呼びかける。
 するとどうだろうか?
 そこにはアンデット友達
 略してアン友の幻杜坊、
 そして取り巻きのアンデットである
 アケミ・ヨシエ・レイコの三人が現れる。

「ハァア〜イ。」

「残念だけど」

「ここは通さないわよ!」

「グフフフ……くノ一が二人もおるではないか。」

「さて…相手はああ言っているでござるよ。
 皆どうするでござるか?」

「どーするったってよぉ……」

 鈴女の問いに対して
 苦々しい表情で我門は前を見る。
 こちらは鈴女を頂点として戦力は四人、
 そして相手はクランクと幻杜坊の二強と
 三人のクランクガールズである。

「仕方がないでござるな。
 じゃあエロ坊主は
 鈴女が相手をするでござるから
 ブタマンは桃花とサワタリと我門が
 するでござる。」

「おう!」

「判ったわ!」

「おk!」

 三人の返事を聞くや否や、
 目の前の幻杜坊に対して
 鈴女が立ちはだかる。

「待たせたでござるな、エロエロの人。」

「なぁに、気にせんでもいいワイ。
 何せエロエロくの一が喰えるんじゃ。
 ナンボでも待ったるワイ。」

 そう言うや否や幻杜坊は
 18禁エロエロ表情を包み隠す事無く
 自分の肉体から無数の
 虫のファンネルを出して

(SE:ビィィィィィム)
「ミリオン誤植ボルト!!」

ミリオン誤植ボルト
富士の樹海魔祖父{まそっぷ}で会得したとされる、
目から一瞬で画面端まで届くビーム型の衝撃波を放つ技。
性欲を衝撃波に変える性撃の幻杜坊ならではの技。
236+Pボタンを長く押す

 とレーザーを発射させる。

 それらのレーザーは他の虫の
 背中の鏡のようなものに反射され、
 どこから飛んでくるのか
 当の幻杜坊でさえも予測出来ない。

「見るがよい!!この予測不能な軌道を持つ攻撃を!!」

それに対して鈴女は

「さすがに一筋縄ではイかないでござるな。」

 忍術などの術式を使う事無く、
 舞踊の如き体術と
 修練により培った
 洞察力を駆使して
 予測不能の軌道を持つ
 レーザーを巧みにかわしていく。

 だがそれを指をくわえて
 ぐぬぬしている幻杜坊ではなく、
 レーザー攻撃をサポートすべく、
 手持ちの錫杖を如意棒の如く
 伸ばして伸ばして鈴女に攻撃を加える。

 予測不可能の軌道を持つレーザーと
 伸びる錫杖の連係攻撃に
 さしもの鈴女も一巻の終わりかと思われた時、
 である。

(SE:KABOOM)
 錫杖に捕らわれたかと思わしき鈴女の体が
 まるで風船の如く膨らんでへいべ!!
 とどのつまり空蝉の術という訳だ。

 そしてその寸分の隙をついて
 無防備都市状態の幻杜坊に対し、
 鈴女の秒間16撃を越える
 連撃が叩き込まれる。

 その神速の斬撃に対して幻杜坊は
 為すすべもなく瞬殺される…と思いきや、
 アンデット特有のタフさと再生能力で耐え切り、
 己の切り落とした手首で鈴女本人の足首を掴み、
 その動きを封じた上でファンネル軍団のレーザーを
 一斉に鈴女めがけてやっておしまい!する。

(SE:ズギュンズギュンズギュズギュンンン)
 それに対する鈴女は即興による
 防御系の忍術で凌ぐものの、
 いかんせん鈴女の本領は洞察力と俊足、
 そして技巧による攻撃回避にあり、
 攻撃を防御するという防御方法は
 並の特体生を凌いではいるものの、
 本職ではないが故に幻杜坊の猛攻の前に
 少なからざるダメージを負ってしまう。

 その頃クランク一味と対峙しているサワタリらは
 かなりヤバめに苦戦を強いられていた。
 何しろ相手は1章4話でホーム上とは言え
 特体生屈指の強者である扇奈達を
 相手取って大苦戦させたクランクに加え、
 お供のクランクガールズが三人もいる。
 それに比べて桃花らは中堅どころの特体生であり、
 そもそも頭数からしてあっちの方が一人多い。

 アケミの双斧、ヨシエの双硬鞭、レイコの狼牙棒、
 を三人はそれぞれ所持している。
 戦力の分配はサワタリと我門がクランクに相対し、
 桃花がクランクガールズに相対している。

 しかしクランクは三人が束になって
 ようやく相手になるかどうかの相手であり、
 そして桃花に相対しているクランクガールズも
 それぞれが腕の立つ強敵であり、
 まともに考えればとてもではないが
 勝ち目などハナから存在しない相対戦だ。

 ならば何故彼の様な相対戦を望んだかと言えば、
 鈴女が一刻も早く幻杜坊を始末して
 戦線に戻ってくるまでの間少しでも持ちこたえる、
 しかも出来るだけダメージを少なく、である。

「ムサいヤロー二人で
 この闘神クランク様を
 相手どろうとは
 無謀な奴等よのー。
 まあええわい。
 ムサイヤローをいたぶっても
 何のリビドーも沸いてこんから瞬殺だ。
 食らえ獄殺屠拳!!」

獄殺屠拳
飛び蹴りを放つ突進技。相手の四肢の腱を切り裂くとされる。
623+Kボタンを長く押す

(SE:ギュウウアアアアンン)
 そう言うや否やクランクは牛宝の如き巨体を
 ぐぐっとたわませたかと思うと次の瞬間、
 巨体にはとても似つかぬ程の素早さで
 華麗な動きで跳び蹴りをかましてく。

 その跳び蹴りに対して
 サワタリと我門は忍びの体術で
 間一髪避ける事に成功するが……
 ところがどっこい獄殺屠拳が
 一発ポッキリの跳び蹴り技である訳がなく、
 着地した瞬間にもう一度
 跳び蹴りの猛襲が我門の背中を強襲する。

ギョエー!!

 蹴りを避けてほっと一息ついていたところに
 強烈な一撃を受けた我門は
 そのまま壁に吹き飛ばされて激突する。

「これ一匹この世からログアウトしたぜ。
 次はおまえだこのクソガキャ。」

『てかメチャメチャやべぇんじゃね?
 今の俺の心境は一刻も早く
 こんなところからオサラバトンコ
 したいけど……ダメだよなぁ。』

 そうこうしているうちにクランクは

「ラブリーチンチンボンバータッコー!!」

ラブリーチンチンボンバータックル
ショルダータックルを放つ突進技。
ダメージを受けるが飛び道具で仰け反らない。
4(貯め)6Kボタン

(SE:ギュウウウン)
 と巨体を活かしたタックルを仕掛けてくる。
 その息もつかせぬ矢継ぎ早の猛攻に
 さしものサワタリも防戦一方にならざるを得ない。
 そのうちに疲れてきたのか
 サワタリの足がもつれてしまって
 スッテンコロリン。

(SE:ギュウウウン)
 もちろんそんなビッグチャンスを
 クレバーなクランクが逃す訳もなく、
 サワタリも呆気なく
 巨体の前に吹っ飛ばされてしまう。

 だがサワタリもただではやられず、
 吹っ飛ばされる前に自ら後ろに飛んで
 何とか衝撃を相殺する事に成功し、
 何とか態勢を持ち直す事に成功する。

 その頃桃花はクランクガールズの
 ゾンビストリームアタック的連係攻撃に
 非常に苦戦を強いられていた。

 三名は一人一人の戦力で言えば、
 上位どころか中堅どころの
 特体生にも満たない戦力であり、
 タイマンでも勝負するならば
 桃花の勝ちに決まっているが、
 何せそれらの戦力が三人分、
 しかも四束拳の如く
 緻密に連携がとれていて
 桃花に攻撃する隙を与えず、
 ずっとクランクガールズのターン!
 状態に陥っている。

(SE:ヒュンヒュンヒュン)
 そうこうしているうちにアケミが
 双斧で斬りかかってくるのを
 桃花は避けて忍刀の一撃を……と思ったら
 波状攻撃でヨシエの双硬鞭が襲ってきて、
 更にレイコの狼牙棒による攻撃が加わる。

 勿論それだけの連携に止まらず、
 三人による攻撃の順番は
 非常にバリエーションが豊富で
 かつ非常に変幻自在であり、
 徐々に、そして、
 確実に桃花を追い詰めている。

「ナメんじゃないよこのアマァ!!」

(SE:ビュン!!)
 今度の連係攻撃は
 レイコの狼牙棒から始まる。
 そのリーチを活かした
 フルスイングの攻撃を避けながら、
 アケミとヨシエの同行を注意しつつ
 桃花はレイコのスキをついて
 忍刀の一撃を……と思いきや
 公園で刀を投げつける柔術家の如く
 アケミが斧を投擲してきた。

(SE:ギュルルル)
 オーノーだずら。
 桃花もうおしまいだズラ。
 斧を投げつけられてしまったズラ。
 脳天直撃で
はへぇーっ!になっちまうズラ。

(SE:ザンッ)
 だがとっさに体をひねったおかげで、
 斧は右肩に当たって右手は当分の間
 死んだも同然になる代償ですませる。
 そしてヨシエの双硬鞭の攻撃に
 左足首を強打されてしまい、
 非常に拙いシチュエーションになっている。

 一方サワタリと我門の方は……
 傷ついたサワタリを放置プレイしつつ、
 クランクが気絶した我門に確実に
 止めを刺すべく近づいていく。

「gfff……さてとムサいヤローを
 これ以上いたぶってもしゃーねーし
 さっさと確実に止めを……」

 ここでクランクは我門に対する歩みを止め、
 我門と我門の周りを注意深く観察する。
 我門の周りにはぶつかった際に
 壊れた壁の残骸がそこら中に転がっている。

『確か情報によればこいつの特体生能力は
 触れた鉱物を爆発物に変える能力だったな。
 という事ぁ俺がこのまま近づけば……』

『さあ……近づいてこいブタマン!
 おどれから近づいてきたら
 特体生能力の爆殺拳{ジャッカル}で……』

 死んだ振りをしながら
 頭の中で我門がシミュレートする。
 だが独白は説明死フラグであり。
 クレバーなクランクは難なく
 我門の意図を見抜いてしまった。

「このクランクちゃんを
 たばかれるとでも思ったかこのタコ!!
 どうせ死んだ振りをして近づいたら
 周りの壁の残骸を全て爆発物に変えて
 俺っちにぶつけてバーニングするつもりだろうが、
 そうは問屋が卸さねえってもんだ。」

 自分の起死回生の秘策を
 説明死フラグでバレちまったのか
 激しい動揺を我門は隠し切れず、
 思わず「ゲッ」という言葉が出てしまい、
 我門は死んだ振りまでバレちまー。

「やはり猿芝居だったか。だが残念だったな。
 
喰らえ
 ラブリーチンチンボンバーアタック〜余奈{アマルナ}!!!!」

ラブリーチンチンボンバーアタック
〜余奈{アマルナ}
自分の手をヨガ行者の如く長く伸ばす技。
強Pボタンを長く押す

(SE:ビョヨヨ〜ン)

 我門の意図を見抜いたクランクは
 インドヨガの達人の如く
 ラブリーチンチンボンバーアタック〜余奈{アマルナ}で
 腕を伸ばして安全圏から
 我門を攻撃するという
 抜け目のないクレバーさを見せる。

「かかったなアホが!!」

(SE:KABOOOOOOMMMM)
 ここで我門が引っかかったなとばかりに
 ドヤ顔でクランクの方に視線を移す。
 何と死んだ振りがバレてしまったのも
 これもまた芝居のうちの一巻だったのである。

跳闘歩楠{ちょうとうほくす}拳
ダウン中に自分の周りの石を爆殺拳の能力で爆弾と化し、
それを爆発させる事で相手に突進する技。
ダウン中に236+セレクトボタン

 周りにある壁の残骸を一気に爆破させ、
 その反発による推進力を利用して
 我門は跳闘歩楠拳を繰り出して
 無防備地域宣言中の
 クランクの土手っ腹に突っ込んで
 スーパー頭突きなどの打撃技と
 両手に持っている爆弾化した残骸の欠片を
 クランクにぶつけて爆破させる。

(SE:BLAM!!KABOOM!!)
 やったね我門!明日はホームランだ!!

「gfff、中々いいアイディーアだったが、
 グホッ……相手が悪かったな……!!!!」

(SE:GATHA!!)
 だがクランクは大ダメージを受けながらも
 ピンピンしており、
 そして伸ばした腕を元に戻し、
 驚愕の色を隠せぬ我門にベアハッグをかます。

「ウリャーア!!どうだ!
 俺のラブリーボンバーベアハッグは!!
 文字通り昇天しちまいそうな維力だろぉ!!」

「志村、後ろ後ろ。」

(SE:ザン)
 ところがどっこいベアハッグで
 ブイブイ言わせているクランクの背中から
 忍刀による強烈な一撃が加わる加わる。
 それは致命傷と言うには程遠いが、
 クランクの強烈窮まりないベアハッグから
 我門をレスキューするのは十分過ぎる程の
 クリティカルな斬撃である。
 その攻撃の主はリカバリーしたサワタリだ。

「俺を忘れて貰っちゃあ困るぜ。」

 そして戦況は仕切直しとなる。

予告
キシラル「京における全学連と神威軍との死闘の中、
      雲水が怪しさ大爆発な行動に移り、
      親娘の再会と神威の企みが……」

サワタリ「ボクサー無頼の拳が唸り、
      キシラルの鉄足が雷鳴を呼ぶ。」

十六夜桃花「そして驚天動地の結末が待ち構える!」

山本無頼「次回大番長AA
第二章その四後編 お前の翼は何の為に有る」』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の提督
河野美潮(大番長)
スキル 指揮値 部隊1 部隊2 部隊3 部隊4
大制空 300 航空40% 航空20% レーザー30% 索敵30%
専用艦
グラン・メサイア

後書き
今回は京奪回戦の前編を書きました。
次回は京奪回戦で大きく状況が変わってくる
話にしようと思います。

ランス01のアニメ化も決まりましたし、
ぶれ?ぶらもマスターアップしましたので
アリス関連の話題には事欠きません。

「ところで能天気作者。」

「なんじゃラホイみっしー。」

「このSSでは同性愛的描写がなされていますが、
 欧州では宗教的には同性愛は
 確かタブーとなっていた筈ですが。
 それに同性愛は非生産的で……」

「Jud、アデーレ=バルフェットです。
 Pixivではレズビアンの項目では

 イスラム教
 男女両方禁止されていて死刑になる事も有る。
 キリスト教
 欧米では男性同性愛は厳格に禁止されているが、
 女性同性愛は特に禁止されていなかった。

 とありますし最近はフランスでも
 同性結婚が認められていますよ。
 ですから鈴さんは自分の嫁です。」

「Jud、マルガ=ナルゼよ。
 最近ではナントカ細胞によって
 同性でも子供が作れる様になったし
 大番長の世界でも
 同性で子供が作れる設定でも
 おかしくないと思うわ。」

「だそうだ。」






苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退