真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
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第二章その四・後編  「お前の翼は何の為に有る」

第二章その四・後編新規登場人物

ジェレミー=アブルゥエ
シェル・クレイル 〜愛しあう逃避の中で〜に出場。
当作においては法皇省に所属している。
5秒CM
山本無頼
「(日本人初の)重量級王に俺はなる!!!」






<青竜の門>
(ORISINAL SONG26.Terrible beat-Remix Bout)
 一方ゼガルと相対している麗蘭は、
 慶は麗蘭の白羽と運慶と快慶を保護しながら
 ゼガルの振るう剣と打ち合っていたが、
 何せ相手は凄腕の上に疲れ知らずのアンデット、
 こっちは生身の人間ときているから
 途中から麗蘭本人も参戦して
 2on1の様相を呈している。

 白羽を持つ麗蘭が頭上より急襲し、
 そして怪力を持つ慶が前方から襲いかかる。
 本来ならばゼガルの体に毒さえなければ
 互角以上に渡り合えていた筈であるが、
 この毒があるが故に直接触れる事も出来ず、
 全学連きっての強者である二人が
 タッグを組んでも殆ど有効な手だてを
 打てずにいるのが現状である。

 そしてゼガルが空中殺法を披露する。
 アンデットとは思えぬ跳躍力と剣一本、
 そしてアンデットの特性で
 麗蘭の持つ白羽と白羽で
 構成された剣と渡り合っている。

 麗蘭は思う。

「このアンデットの強さは毒抜きでも尋常ではない。」

 と。そして

「自分と1on1の状況で戦う為に空中戦を挑んだ」

 とも。
 ゼガルの空中からの慮力と
 速度に頼った上段唐竹割り、
 それに対する麗蘭は
 白羽による白羽取りと
 白羽の剣による
 腹部への薙払いだ。

 ゼガルの凄撃を麗蘭は白羽取りで
 何とかギリギリで受け止め、
 白羽の刃をゼガルの腹部に一閃!!
(SE:ザンンン)

 だがアンデット特有の驚異的な
 回復力と打たれ強さと不死性を
 麗蘭は考慮に入れるのを忘れていた。
 土手っ腹がブチ撒けられたにも関わらず、
 ゼガルはもう一方の空いている手で
 腰の剣を抜いて麗蘭をブッ刺しにいく。

 このままでは麗蘭のオツムは
 おでんかモズのはやにえになっちまう。

「そうはいきません。」

(SE:ズィィィィィン)
 静観を決め込んでいたシオンが動いた。
 それは何と下方より麗蘭に衝撃波を加え、
 身動きの取れない麗蘭を
 更に上空に押し上げる事により
 刺突撃を回避させしめんというものだ。

 そして空しく空を切った
 刺突撃の前にあらわれたのは……
 いつの間にか近くの矢倉に上り、
 そしてそこからダイビングしてきた慶である。

 飛行能力のない慶はゼガルに攻撃を加えるべく、
 近くの矢倉に上ってそこから飛んできて
 強襲により攻撃を喰らわしたのである。
 空中のゼガルは為す術もなく
 蠅の如く叩き落とされ、
 そして慶は己のみを自由落下に任せ、
 華麗に五接地転回法の技法で
 安全着地する。

 だが相手もさるもの、
 着地して間もない慶に対し、
 かーる=るいすを超える駿足で迫り、
 繰り出した斬撃を慶は怪力で
 横の石灯籠を縦にして防ぐ。

 ……仕切直しになった戦況の中、
 そこに一匹のアンデットコウモリが
 ゼガルの肩に止まり

「たたたたたた大変でしゅゼガル!!
 こちらロックこちらロック!!
 ぽっくんのアンデット軍団が
 特体生共に押しまくられているでしゅ!
 おまいらしゅぐにぽっくんの護衛に来るでしゅ!
 ああっ早くしゅるでしゅううううう!!!!」

<白虎の門>
 時を同じくして大大大苦戦の末に
 かなりヤバくなっていて
 鈴女一人が気を吐いている白虎の門にも
 伝言コウモリがやって来た。

「たたたたたた大変(ry」

「んだと?んな事ワシが知るかQP野郎!!
 自分の身くらい自分で護らんかい!」

「何を言う!早見優!
 アンデットのくしぇにぽっくんに刃向かうとは
 全くもって許しぇないでしゅ!!
 ゆー事聞かないと元の死体に帰してしまうでしゅよ!!」

「くそっ、わかったよ!戻りゃあいいんだろ戻りゃ!!」

「全くあのタコ野郎はこれだから…って ぐえーっ。」

(ランス9BGM14:今しかない!)
 クランクが何がびっくり仰天する様なものが
 遠くから迫ってくるのを見た。
 その仰天ぶりは只事ではないのは
 一目見れば言わなくてもわかる。

「なあ幻杜坊。」

「南蛇井?」

「ここは俺らが殿軍を務めるから
 おまいは先に撤退してえーわ。」

 ここで突然のクランクの殿軍の申し出。
 正直、全くの想定外であると言わざるを得ない。
 その申し出を聞いてしばし幻杜坊は考える。

「この根性ワルの豚野郎が自ら
 危険な殿軍を申し出てくるなんて
 ぶっちゃけ何か裏でもなければ有り得ねぇ。」

 と。だが幻杜坊はまたこうも考える。

「その裏とやらが自分に
 関わってくるものでなきゃあ無問題。」

 とも。

 よくよくクランクの目を見ると、
 クランクの思考は自分の事など
 恐らくはまるで眼中にない。
 ならばこの申し出を受けても
 自分に不利は無いと幻杜坊は結論づける。

「ならば良かろう。
 ワシャとっととトンコするから後は任せたぞ。」

 クランクに一言残すと、
 幻杜坊は脱兎の如き素早さ
 でこの場所をトンコする。

 そして時を同じくしてそのクランクが
 びっくり仰天する原因がやって来た。
 その正体はエクレールを伴ったマリーシアだ。
 そしてよくよく見ると先方も驚いている様だ。

 そりゃあまあそうだ。
 いきなり目の前に巨大でイカツい
 ブタばんばらもどきが出ちゃあ誰でも…

「マ、マリーシア……マリーシアなんか!?」

「ク…クランク…おじさん…ですか?」

 いやいや違った。
 どうやら二人は前から面識が有るらしい。
 ていうかいきなり面識が有るっちゅーて
 何の伏線もなけりゃあ……

「伏線なら有るわこのタコ野郎!!
 きちんと序章その四話を見んかい。」

 あ、ああスマンスマン、マターリ忘れてた。
 確かクランクは破国院ことカーツウェルと
 親しげに話しとったな。

 でおどれみたいな小悪党がどうやって
 カーツウェルと知り合ってたんか
 洗いざらいブチまけて貰おうか。

「コーフンしすぎて訛りが出てねえか?
 まあいい、皆も知りたがっている事だし、
 ここらで回想に入るか。はいスタート!!
 カメラさん、もっとこっちこっち。」

<回想:どこぞの森林>
(BGM:23 silence)
 場所は回想の中の森林に移る。
 周りはもう夕暮れ時になっており、
 森林と言っても半ばジャングルと言っても
 差し支えない程の数の木々が立っている。

 そしてこの時刻になると、
 山は土着の獣の気配も
 少なからずウロウロ徘徊している
 デンジャーゾーンと化している。

 そこではゾンビになりたてホヤホヤのクランクが
 若かりし駆け出しの頃のジャンヌ率いる
 悪魔払い隊の捜索からトンコを続けていた。
 因みに時系列的には魔界孔が開く少し前に当たる。

「畜生!あの狂信パッキン女め!!
 しつこく追い回してきゃーがってからに!!
 しかしここまでは追ってこ……
 いや、フラグを立てるセリフはよしておこう。」

 だがその直後、
 目の前に何者かがいるのを察知する。
 幾ら何でもフラグ回収が早すぎねえか!!?
 とクランクは思う。

 だがその次にすぐに
 追っ手ではない事を確信する。
 何故ならば目の前にいるのは
 巨大な野生のクマーに
 襲われているロリだからだ。

 放置プレーをしていればロリは
 またたくまにクマーの栄養の一部に
 なってしまうのは確実だろう。

「おどりゃ何をしとんじゃー!!」

(SE:BAKOOOOON)
 クランクのラブリーなコークスクリューパンチ、
 ラブリーチンチンボンバーナックルが炸裂。
 クマーは拳一つでダウンさ。

 ところがどっこいここでクランクはふと
 自分の行動が追っ手に自分の居場所を
 史羅〆てしまった事に気づく。

 クマーが吹き飛ばされ、
 そして地面に崩れた時の轟音と絶叫は
 少なからず周りに響き、
 そこで起こった異変を報せるであろう。

 幸いながら追っ手はこのご近所迷惑な
 轟音と絶叫に気づかず……というより、
 ここら辺一体に追っ手がいないのか
 轟音がなったにも関わらず、
 周りは平穏を保っている。

 そしてくしくも今起こした轟音は
 周りに追っ手がいない事を
 証明する事となってしまったらしい。

(ランス9BGM03回想)
 周りに追っ手がいない事を確認すると、
 クランクはとりあえずそのロリに対し

「年端もいかねえロリンチョが
 こんなデンジャーなところで
 何をしちょるばい?
 幾ら何でも俺でもこんなロリンチョ
 守備範囲じゃねーぞ。
 周りも暗いしいつまた
 デンジャーなヒャッハーヤローが
 襲ってくるかも知れねえから
 うちにかえんな。」

と事情聴取を始める。

「あ…あの……」

「あんだ?そーいやあ名前を聞いてなかったな。
 俺の名はクランクだ。
 ロリンチョ、おまーのお名前なんてーの?」

「あの…え…と、マリーシア…といいます。」

 どうやらこのロリはマリーシアらしい。

「ていうか親はどうした親は?
 もしかして最近問題の育児放棄か?
 全く文部省は何をやってんだか。」

「その…私、パパと一緒に山菜を採りに来ました…。
 でも山菜採りに夢中になっているうちに
 はぐれてしまって……」

「てこたぁ単なる迷子かよ。
 迷子センターはどこだよ?」

 そんなものが山に在る訳なかろう。

「ったくしゃーがねえな。
 じゃあ親が見つかるまで
 俺が一緒に探しちゃるから。」

「あ…ありがとうございます…。」

 乱暴な小悪党のくせに
 クランクはロリには妙に優しい。

「やかましかばい。
 イメチェンだイメチェン。
 これからは鬼作な性格の
 クランクで行くんだよ。」

 熊をノックアウトしたクランクは、
 成り行きで迷子のマリーシアを連れ、
 そして親元に返すべく
 深き森の中を探索開始する。

「……フーン、それで将来はその聖歌隊になりてえと。」

「はい…」

「んでその聖歌隊に入ってから何をしてえのよ?」

「私、歌を唄う事以外になんの取り柄も無いし…
 歌を通じて大勢の人達に生きる希望と勇気を
 与えられたらいいな……て思ってます。
 その…私の家は元々貧しい家で、
 毎週教会に来て下さるシスターの賛美歌が
 唯一の楽しみでしたから……」

「そうなんかお。」

(ORISINAL SONG10.Future to Battle@)
 と話も弾んできたところで
 待ってましたとばかりに
 地元のヒャッハーズらしき
 モヒカン&スキンヘッドの
 チンピラがぞろぞろ集まってくる。

 どうやらここら辺一体を根城にして
 荒らし回っている追い剥ぎ集団、
 オーメンジードのメンバーらしい。

「ちょっといいデスかぁ〜?
 貴方達の為に小一時間祈らせて下さ〜い。」

「その後寄付金として有り金全部と
 そのガキンチョを渡しなさ〜い。」

 ヒャッハーズはスクリプトプログラムみたいに
 小悪党の基本に忠実に金銭と人身売買のネタとして
 マリーシアの身柄引き渡しを要求してくるが

「はいはいあんなオツムのパープリンな
 おじちゃんたちをあいてにしちゃいけませんよ〜。」

 とクランクに華麗にスルーされる。
 クランクとしてもこういった十把一絡の
 ヒャッハーズを纏めてマサクゥルするのは
 リズナをペテンにかけるよりも容易い事であり、
 瞬殺しようと思えばいつでもでけるが。

 そんなレートZで究極神拳な
 残虐行為手当て場面をロリンチョに見せたら
 PSTDまっしぐらなのは確実だからだ。

 だが残念な事に目の前絵のヒャッハーズは
 「眼前の敵の戦力を正確に計る」
 という不良でい続ける為の才能が
 ものの見事に欠落しているらしく、
 スルーしようとするクランクに対し

「ちょっと待たんかいこのブタマン!!
 お前何俺らをスルーしようとしとんじゃ。
 とっとと銭とガキをよこさんかいカス!!」

 さっきのわざとらしい敬語をかなぐり捨て、
 数に任せた恐喝行為を続行する。

「ったく事を荒立てたくねぇっつーに。
 こうなりゃあしゃーねえな。
 スルー出来なかった
 おまいらの不幸を地獄で悔や…」

 クランクがヒャッハーズを
 マサクゥルしようとしたその時である。
 ヒャッハーズ、後ろ後ろ。

 ヒャッハーズが振り向くと後ろには
 若かりし頃の破国院ことカーツウェルがいた。

「げえっカーツウェル!!」

 どうやら流石の情弱ヒャッハーズも
 カーツウェルの存在は知っていた様である。
 しかし時既にお寿司。

(SE:ボゴッ ドコッ ズコッ)
「かねがっ!」

「ないほっ!」

「おおおおれもだあああああ!!」

 カーツウェルのゲンコ鉄拳制裁を喰らい、
 ヒャッハーズは敢えなく強盗殺人の容疑、
 及び営利目的の補未成年略取誘拐の
 現行犯でお縄ラリアットとなる。

(BGM:27 All The Time)
「大丈夫かマリーシア?」

 二人の男の奇妙な邂逅。
 一人は類希なる正義感と精神と、
 そして屈強な肉体を併せ持つ騎士、
 一方は2mを超す巨躯と
 乱暴な小悪党精神を持つ
 ヒャッハー的なアンデット。

「マリーシア、この御仁は?」

「あの…この人は……」

「ふむふむ、成程……。
 では迷子になっていたところを
 この御仁に助けて貰ったと。」

 一方のクランクは
 カーツウェルを見るや否や、
 警戒の色を持った体勢を取る。

 何故ならば自分はアンデットであり、
 かたや相手はおそらくは
 自分を追跡してきた連中と
 同じ勢力に属している者、
 ならばもし自分が追うべき者であると
 知っているなら、
 自分に対して刃を向けてくるこたぁ
 日を見るより明らかだからだ。

 それにも増してそれ以前に自分が
 アンデットだという事実が
 判明すれば同じ事である。
 そしておそらくは目の前にいる
 男の眼力を以てすれば自分が
 アンデットであると看破する事は
 容易なはずだからだ。

「これはこれは忝ない。
 私はトノリトス国法皇省
 日本教会に属する騎士で
 名前はカーツウェルという者だ」

「そ、そーか。俺の名はクランク。
 この辺でブラブラしているプー太郎だ。」

「取りあえずは娘を助けて貰った礼がしたい。
 丁度我が家も近い事だししばし寄っていかれるか?」

 クランクは考える。
 もし自分がWANTED対象
 或いはアンデットだとバレていたら
 その家に誘い込んだ上で
 煮るなり焼くなりそ上の鯉にされるだろう。

 だが同時にこうも考える。
 もしバレていた上で
 その意志があるのであれば、
 今ここでその行為を行えるだけの
 力があるという事も。
 つまり自分はついていくまいと
 ホイホイついていこうと
 どちらにせよ俎上の鯉ならぬ
 俎上の豚だという事である。

「んじゃあちょっくら呼ばれっか。」

<山中の法皇省経営のコテージ>
(BGM:25 Warm glow)
 場所は山中のコテージに移る。
 カーツウェルによれば
 普段は一家揃って
 NAGASAKIの庁舎に住んでおり、
 休暇時には法皇省経営の
 格安コテージに足を運んでは
 骨休みに使っているという。

 そして丁度いいタイミングで
 妻のフランチェスカが
 夕ご飯の支度をしているところだった。

「あらあなた、お帰りなさい。
 マリーシアも一緒ね。」

「ただいま。」

「今日は客人も一緒に来ているので
 粗相の無い様にしてくれ。」

 放送時間という大人の都合で
 ここら変の描写はボスらせていただく。
 夕飯であるパエリア鍋を
 一家とクランクが囲んで舌鼓を打っている。

「成程…イタリン国では
 その様なものが売られているのか。
 クランクは博識だな。」

「そうか、へへ。照れるじゃねえか。」

(ORISINAL SONGTonorist Pope Ministry)
 ところがドコーイである。
 夕飯の最中であるにも関わらず、
 招かざる客がやってきた。

 カーツウェルが用心しつつも表に出ると、
 それらの来客はさっきから
 クランクを追跡している連中である。
 当然ながらカーツウェルとこの連中は
 面識があるどころか同僚である事は明白だ。

「何だ、ジェレミーじゃないか。」
「やあ、カーツウェル。
 非番の夕飯時に非常にすまないが、
 少々聞きたい事があって来た。」

 そういうとジェレミーと呼ばれる男は
 懐からWANTED指名手配所を出す。
 すると指名手配所には案の定
 クランクの写真と賞金額が描かれてある。
 ついでに言うと指名手配の写真なので、
 クランクの顔は凶悪そうなのがチョイスされている。

「ジェレミー、ところでこの写真の男は?」

「このブタマンの名はクランク。
 過去には闘神と謳われた事もある男だが、
 この男はそれをいい事費地位を嵩に着て
 やりたい放題し放題のヒャッハーの挙げ句、
 泥酔の末に川にドボンで溺死していたところを
 何者かによってアンデットとして
 蘇らされたという男だ。」

 クランクは心中かなり焦っていた。
 マジ焦っていた。
 何故なのかは詳しく話す必要は無いだろう。
 カーツウェルが自分を差し出したら
 自分は一巻のジ・エンドである。

 そしてクランクは考える。
 こうなったら背に腹は代えられない、
 いざとなったら家族を人質にして
 高飛びをするっきゃあるめえ。
 そうクランクが腹を括ったその時。

「ふむ……相分かった。
 このクランクという男を見つけ次第
 生死を問わず捕縛して
 法皇省除霊課に連絡する。」

「そうか、分かった。吉報を期待しているぞ。」

 以外!それはかばい手!!
 カーツウェルのこの行動は
 クランク本人もマジで予想外であった。

 カーツウェルが行った行為は
 どこからどう360度見ても
 背信・裏切り行為以外の何物でも無い。
 バレたらただじゃあスミませんっ!!
 何故そこまでして危険を犯してまでも
 クランクをかばうんか?

 ジェレミーが帰った後に当然であるが、
 クランクはその大きな疑問を
 カーツウェルに率直にぶつける。

「確かに私の立場上からすればクランク、
 君を捕縛して法皇省に
 しょっぴかなければならない。
 だが君はもし偶然であるとしても
 私の不注意で迷子になってしまった
 マリーシアを保護し、
 その安全を守ってくれた恩人だ。
 その恩人を職務とは言え
 引き渡してしまっては
 このカーツウェルの漢が廃る。
 今日はもう遅い。
 寝床は当方で用意しよう。
 明日になったら憲兵団の来ない内に
 トンコするといい。」


<白虎の門>
(BGM;ランス9BGM14:今しかない!)
ここで回想が終了する。
「てこたぁ……っていうか
 カムイのスットコドッコイが
 カーツウェルに対してマリーシアが
 ペルエレ式で処刑されたって
 言ってた件について。」

「あの…確かに私は
 魔女裁判に掛けられてしまって
 処刑されてしまう予定でした……
 けど処刑前夜に
 狼牙さんが助けに来て下さって……」

「そんで処刑を免れて生きているんかよ。
 カーツウェルが知らない衝撃の真実、
 さてどーすれバインダー。」

「取りあえずはマリーシアが生きている事を
 知らせにいけばいいと思いますわ。」

 クランクの問いに対してエクレールは速攻で
 的確でシンプルな解決に手段を提供する。

「んだな。じゃあカーツウェルんとこに行くか。」
という事でレッツゴー三匹は
今あかされた衝撃の真実を
カーツウェルに報せるべく大爆走する。

<御所の一角>
(ORISINAL SONG19.Evil Frame)
 その頃、カーツウェルこと破国院は、
 京の一角に在る自分の部屋で待機していた。

 そこにバットを持ったゴブリン族の使い魔が
 ヒーコラヒーコラ息を切らしながらヤってきた。
 どうやらかなり緊急の様子である事は
 一目見れば言わなくても分かる。

「てえへんです破国院様!!」

「何だ、いきなり藪から棒に?」

「何故か解りやせんがあれ程の堅牢さを
 誇っていた正門から特体生が約二匹、
 京の中央に向かって無双中です!!
 それで神威様がアタシに破国院様に対して
 出撃せんかいとの命令を伝える様にとの事です。」

「判った……すぐに行く。」

<京のある街道>
(ORISINAL SONGTonorist Pope Ministry)
 場所は京のある街道に移る。
 そこでは十傑集走りで大爆走をしている
 キシラルとグレッドが行く。

 二人の周りには魔物の屍が死屍類々……
 というよりも二人に向かってくる魔物が悉く
 鎧袖一触蹴散らされる結果として
 そうなったに過ぎないのでアルファ。

 この二人は現在とある密命を受けて
 京の中心に向かっていた。
 その密命とは……

<回想・京お庭番衆巻町屋>
(パステルチャイム3BGM:琥珀色の時間)
 回想の舞台は京お庭番衆の経営する巻町屋。
 そこではお庭番衆を統括するお頭・四王宮蒼生、
 脇には補佐の善行寺シンヤ、
 そして前にはキシラルとグレッドがいる。

 そしてシンヤの差し出した資料には
 衝撃の事実がかかれていた。
 資料によればお庭番衆の調査の結果、
 この京の土地は全体に複雑怪奇に
 地脈が入り交じっており、
 もしここにの術の様な
 強大な刺激が与えられた場合、
 地脈に流れている気は暴走し、
 最悪京一帯はペンペン草一本生えぬ
 廃墟と化すというのである。

二律背反{アンビバレンツ}の術
地脈を操る事により膨大なBパワーを己がものとする邪術。
元々の二律背反は無害な占星術の一種である。

世界中に存在するとされる十の偉大なるものに干渉し、
そのうちの一つが動いただけで
大都市を一つ壊滅するだけの大災害が発生し、
これらの偉大なるものを全て解き放つ事で
世界を滅亡に追い込む事すら出来るとされており、
ツングースカの大爆発も偶然にも
これらのうちの一つが噴出した結果だとされている。

そして時の将軍足利超神は36人の陰陽師を集め、
更に72人の呪術師をもってこのうちの一つを意のままに操り、
天下を統一しようとして失敗したと史書には記されている。

「全学連は京攻略にあたって
 貴方方を全力でバックアップする事を
 固くお約束致します。
 その代わりと言っては何ですが、
 京攻略の際には二律背反{アンビバレンツ}の術が
 行われる事の無い様に秘密裏に
 京に進入して貰いたいのです。」

「成程、協力を得る為の代償……
 と言ったところですかな。
 まあいいでしょう。承知致し申した。」

<京のある街道>
(BGM;26.Terrible beat-Remix Bout)
 回想は終わり、街道に戻る。
 流石にキシラルとグレッドの
 二人の強者が組んでいるだけあって
 無双状態を保っている……
 と思いきややはりそうは
 問屋が卸さない様で、
 目の前には破国院が
 仁王立ちで立ちはだかっている。

「……確か神威四天王の破国院、だったかな?」

「いかにも。そうだと言ったら?」

「我々はただ今急ぎの急ぎの用事があってね。
 悪いがそこを通してくれないだろうか?」

キシラルの問いに対し

「……」

破国院は無言の圧力でその申し出を却下する。

「語るまでもなく無理な要求だという事は
 重々承知してはいるがね。
 我が名はトノリトス法皇省の司祭・キシラル。」

「同じくグレッド。以後お見知り置きを。」

そうか……私が憎むのは
 ホーリーフレイム
の連中であり、
 その上位組織である法皇省を
 袈裟まで憎むのは筋違いだが……
 火のかかる振り子は払わねばなるまい
。」

「ただでは通さんという事か。まあいい。
 ならば力尽くで通るまでだ!疾脚!!!」

 そう言うや否やグレッドはいきなり
 疾脚で破国院との距離を詰め、

(SE:ギュウッ)
浮竜砕拳!!

砕拳{さいけん}
極限にまで高度を高めた拳撃による打撃技。
上位互換に左右のコンビネーションの
浮竜{ふりょう}砕拳が存在する。
236+P(浮竜砕拳は追加コマンド236+P)

浮竜砕拳{ふりょうさいけん}
極限にまで高度を高めた拳撃による打撃技のコンビネーション。
(砕拳後に追加コマンド236+P)

 で殴りかかる。

(SE:シャクィィン)
 それに対して破国院は
 鋭くハヤブサの如き速度で
 カウンター気味に斬撃を繰り出す。

 それに対して集中{ピンポイント}の特体生能力で
 能力の殆どを攻撃力と素早さに振り分けて
 防御力がトーシローに等しい紙の装甲のグレッドは
 ずんばらりんと真っ二つに……と思ったら、
 キシラルの横からの跳び蹴りが入り、
 ギリギリのところで避ける事に成功する。

 とは言っても四天王級の攻撃ともなれば、
 その攻撃により発生する衝撃派は半端ではなく、
 紙装甲状態のグレッドは少なからぬダメージを
 初っ端から負ってしまう。
 そしてそれによって生じる隙を
 破国院が逃す筈もなく、
 一気に畳みかけようとするが……

(SE:ブゥンッ)
「私の存在を……忘れて貰っては困る!!

 とキシラルが蹴撃手・護の如き
 鋭い蹴撃を繰り出し、
 破国院の攻勢を削ぐ。
 その蹴撃は義足とは言え、
 鉄足の字名{アーバンネーム}に
 恥じぬ重い打撃であり、
 いかに破国院と言えども
 簡単に捌き切れるものではない。

 破国院の目の前にいるのは
 GX{ジェネックス}最強と謳われた男
 「鉄足」のキシラル。
 
 流石に四天王とは言え、
 この男を相手にしては
 迂闊に動く事は出来ない。
 
 義足を軸にしていとでも
 360度全方向に対応する事が出来る
 足技を基本にした鷹爪拳の構え。
 それがキシラルという男の
 戦闘スタイルである。

『百景か……この男……出来る!!』
 二人はまるでメデューサに
 石にされたかの如く、
 対峙したまま動かない。
 
 いや、正確には_単位で動いている。
 達人同士の相対はただ対峙しているだけで
 凄まじいエネルギーを消耗する。
 故に二人とも早期決戦の構えを
 取らざるを得ない。

 そして永遠に続くかと思われた
 均衡の終焉は盗人の如く
 さり気なく訪れた。

 突如風によって吹き飛ばされてきた
 一枚の大きな布……
 それが激闘の合図となる。

 破国院は当然鉄足司祭として
 名高いキシラルの攻撃が
 脚技による攻撃主体と踏んで
 脚技に対する構えを取っている。

 しかしキシラルは自身の跳躍力を
 全て跳躍にのみ使用して
 脚技には使用しなかった。

 普通跳躍は全身の身体機能を
 余すところなく使用して行うもので、
 それ故に跳んだ際の態勢が
 程度の差こそあれ、
 攻撃に向かない態勢になる。

 無論その攻撃に向かない態勢を
 少しでも改良しようと
 修練に腐心するのが
 武道家が修練を怠らない
 理由の一つである訳だが。

 そのセオリーに対してキシラルは
 自身の脚力のみで跳躍行為を為し、
 攻撃に最適な態勢のまま
 破国院との距離を
 詰める事に成功し、そして……
 何と脚ではなく中段正拳突きで
 攻撃をしてきたのである。

(SE ブンッ)
 対脚用の防御体制をしていた破国院は
 これには一本喰わされ、
 何とか直撃はかわしたものの、
(SE ガガガガッ ズドム)
 直後の連撃と後ろ蹴りは
 防御の上からでも
 無視出来ないダメージを与える。

「鉄足とは聞き及んでいたが……
 脚技以外にも堂に入っているではないか。」

「それは至極当然の事だ。
 格闘とは五体全てを武器とするもの、
 脚技に長けているからと言って
 他の技が不得手と思って貰っては困る。」

「成程ね……他の技術に対しても
 注意を怠ってはならないという訳だ。」

 ならば…と破国院はなぜか
 足を止めて剣と拳を用いて
 近距離でキシラルと撃ち合いを始める。
 
 破国院の凄まじい速さで
 繰り出す重い攻撃を
 四肢のみで受け続ける事は
 通常では不可能と思えた。
 だがキシラルはその重い攻撃を
 巧みに捌いて戦っている。

 武器と素手の戦いでは
 威力とリーチに勝る
 武器の方が圧倒的に有利である。
 しかし今の状況では
 長いリーチが活かせず、
 また高い威力も相殺されてしまう。

 そして破国院が隙を見せる。
 それを見逃さずキシラルは
 地面を強く踏んでスマッシュ気味の
 クォーターアッパーで迎撃する。
 
 しかしその目論見は文字通り
 足元から崩れ去る事となる。
 破国院の特体生能力、
 「大地{アースキネシス}」によって
 キシラルの足元の地面が
 徐々に緩くなってきたのである。

 この手段は相手が自分のそばに
 いなければ使う事が出来ない、
 つまりは近距離戦に持ち込んだのは
 この為だったのである。

 それと気づかずにキシラルは
 地面をがっちりと踏み込んでしまい、
 しこたま体勢を崩す事となる。
 だがキシラルも伊達に
 GX最強の呼び名を
 ほしいままにしている訳ではなく、
 
 「岩虎!

岩虎
全身の気を一点に集中する事で
金剛石にも勝る硬度を体の一部に与える技。
この状態で攻撃を繰り出す岩虎逸鉄{いってつ}が存在する。
22+P(岩虎逸鉄は岩虎後に236+PP)

 すぐさま防御技の鉄塊で
 斬撃に対して防御をするが…

「そうくると思っていた!」

(シャラアアアアアッ)
 破国院のもうひとつの特体生能力
 「火焔{パイロキネシス}」 によって
 刀身に焔をまとわせる、
 いわゆる斬傷と火傷を
 同時に負わせる一撃を放つ。

紅蓮魂{ヴィクトーリア}
刀身にタキオンパワーによる炎を纏わせ、
通常攻撃の攻撃力とリーチをアップさせる。
PPP(パワーゲージ1本消費)

 岩虎は物理的な攻撃には
 滅法強いものの、
 こういった炎を伴う様な攻撃には
 対応しておらず、
 こちらも無視出来ぬダメージを
 受ける事となる。

(シャラアアアアアッ)
 好機と見た破国院は返す刃で
 もう一度焔の斬撃を叩き込む。
 しかしキシラルも甘くはなく、
 岩虎に酷似した防御技で
 その焔の一撃を耐え凌ぐ。

「見たか!これぞ百景技法・真冬{しんとう}!」

真冬{しんとう}
全身の気を一点に集中する事で
金剛石にも勝る硬度を体の一部に与える岩虎を
火炎に対応するようにした技
この状態で攻撃を繰り出す臼開真冬{うすひらしんとう}が存在する。
22+P(岩虎逸鉄は岩虎後に236+PP)

 わかりやすく説明するなら、
 物理専門の鉄塊では
 ふせぎきれない…というより、
 対応していない炎等の攻撃に対し、
 キシラルはそれならばと
 炎の攻撃に対応する
 「真冬」を使用した訳だ。
 そしてこれら一連の攻防で生まれた
 わずかな隙をキシラルは見逃さない。

猛砕訣貫{もうさいけっかん}!

猛砕{もうさい}
右手で鋭い手刀をドリルの様に突き出す突進打撃技。
追加コマンドで少し跳躍してしゃがみ防御無視の
脚技による
連打を喰らわす猛砕訣貫がある。
P貯めP離す

猛砕訣貫{もうさいけっかん}
猛砕後に少し跳躍してしゃがみ防御無視の
脚技による連打を喰らわすコンビネーション技。
(猛砕拳後に追加コマンド46+P)

(ギュルルルルルッ)
 頭上からの蹴りの連撃は牙殺拳の如く
 巧みに剣の防御をすり抜け、
 破国院に対して確実かつ
 堅実にダメージを与え、
 再び戦局を五分に持ち直す。

 寸時を挟まず二人はまるで
 申し合わせたかの如く
 同時に間合いを詰め、
 再び攻防を繰り返す。

 間合いを詰めた破国院が
 左薙ぎの一撃を繰り出す。
 に対してキシラルは
 左薙ぎに繰り出された剣に
 まるで乗るかの如くかわし、

訣貫!!

(SE ギュルルルッ) 
 訣貫を顔めがけて繰り出す。
 破国院はその蹴りに対し、
 首を傾ける事で最小限の動きでかわし、
(SE シャッ)
 もう一蹴りも空いている手で防御する。
 そして渾身のサマソッ!
(SE シャキーィィィン)

フォレストサマーソルトキック
後方宙返りによるキックを放つ対空技の殿堂。
2貯め8+K

 鉄足のお株を奪うその一撃を
 キシラルは間一髪でかわすが……
 またもや焔の斬撃!!
 それに対してキシラルは真冬で迎撃…
(SE ズバァン)
 いや……これは焔の斬撃に見せかけた
 普通の斬撃、つまり焔はフェイントだ!!

「物理的斬撃……だと……!?」
 尚も破国院の攻撃は止まらない。
 剣による攻撃のみならず、
 四肢による格闘術も駆使し、
 一気にキシラルを追い詰めていく。

させるかぁー!!

(SE ゴワッ)
 だがそうはイカの金隠し、
 戦闘不能からリカバリーしたグレッドが
 裏拳で攻撃をカットする。

 キシラルは負傷からリカバリーして
 戦線復帰したグレッドとタッグを組んで
 コンビネーションで破国院に対して
 互角以上の戦いを繰り広げている。

 その四肢をフル活用した対術による
 当て身技や逆技や投げ技に対し、
 破国院も剣による
 斬撃・刺突撃・返し技に留まらず、
 隙あらば剣術だけではな
 く格闘術も繰り出してくる。

「しかたがあるまい……
 まさかここで奥の手を出すとは思わなかったがな。」

(SE ブワァッ)
 特体生能力、「大地{アースキネシス}」により
 地面の一部を粉塵にした上で
(SE KABOOOOOOMMMMM)
 特体生能力「火焔{パイロキネシス}」で
 粉塵爆破を起こしながら
 剣による攻撃を繰り出してくる。
 モニターを見ろ内田!!

火焔腕{プレパラートプレイ}
大地で地面の一部を粉々にして粉塵を起こし、
それを紅蓮魂で粉塵爆破を起こして攻撃する。
紅蓮魂中にPPP(パワーゲージ1/4本消費)

 流石に奥の手と言うだけあり、
 一撃一撃の通常技が
 いちいち必殺技並の性能を持ち、
 四天王の持つ強大な力と
 相性の悪さで二人を圧倒する。
 
 鉄塊で防御しようにも
 粉塵爆破による攻撃には
 対応する事が出来ず、
 真冬で防御しようにも
 通常攻撃による攻撃には
 対応する事が出来ない。

 グレッドは考える。
 このままではドカ貧である。
 何とかしなければならないが、
 自分の脳筋のオツムでは
 いい考えが思い浮かばない。

 そしてグレッドはこう結論づける。
 自分を破国院の攻撃の盾にして
 ステイシーと化す事によって
 破国院に攻撃後の隙を作らせ、
 その無防備都市状態の破国院に対して
 キシラルに全力の一撃を
 食らわせる作戦である。

 だがこの作戦には二つの問題がある。
 一つは破国院の猛攻に対して
 自分が一秒一コマでも長く
 持たなければならない事。

 何故ならばキシラルが
 全力の一撃を放つ為には
 なるべく1秒でも1コンマでも
 時間を稼がなければならないからだ。

 そしてもう一つ。
 キシラルの全力の一撃を
 叩き込めるだけの隙を
 いかに破国院から引き出すかだ。

 この二つの大問題を
 クリアする為に必要不可欠なもの…
 グレッドが出した答えは…
 気合とド根性じゃああああ!!!!!
 気合とド根性さえあれば
 大抵の事はこなせるんじゃい!!!!
 わあっとんかこのイチビリ共が!!!
 喧嘩百段バンザーイ!!
 
「ここは私が盾となろう……
 キシラル司祭は私が盾となりて
 生じた時間と隙を使って
 あの誰にも成し得なかった
 絶技・夢幻泡影を叩き込むが良い。」

「夢幻泡影……だと!?」

 キシラルが問いただす。
 夢幻泡影は過去、
 百景の使い手は星の数程あれど、
 未だに使用した者どころか
 会得した者さえいねえと言う。

 そんなスーパーウルトラグレートデリシャス
 ワンダフルハンバーグホカホカゴッドメタル
 パワフルアルティメット難易度の技を
 即興アドリブでやるというのである。
 はっきり言って無理無理。

「無理無理言うな根性なし。
 やってみなけりゃ解らんだろう。」

 と結論が出つつも、
 前に立ちはだかる破国院の前に
 グレッドは立ちふさがる。

 言うまでも無い事だが、
(SE グオゴゴゴ)
 破国院の粉塵爆破攻撃は
 休む事無くつづけられている。

 それに対してグレッドは……
 専守防衛を取らざるを…
 いや、取ってない。
 何故ならば自分達の目論みを
 破国院に察知されない為だ。
 専守防衛のスタンスを取ったならば、
 夢幻泡影の一撃にかける
 折角のプランが察知されてしまい、
 計画が超あべしとなってしまう。

 グレッドは持ち前のクレバーさで
 破国院に悟られる事なく
 拳によるコンビネーションで
 巧みにかつ自然に振る舞い、
 キシラルの為の時間を稼ぐ。

 グレッドの拳を見てみると、
 攻撃力を捨てて素早さに特化した
 攻撃であるが故に拳の強度が殆どなく、
 打ち込んだ拳の方が
 傍から見てもダメージが大きい。
 そしてナウゲッタチャーンス!!とばかりに
(SE ブルァァァァァァ)
 破国院の一撃がグレッドを襲う。

 ここで何気にグレッドは
 究極の二択を迫られていた。
 物理対応の鉄塊と
 炎系対応の真冬の二択。

 破国院の放つこの一撃、
 グレッドは何としても
 耐え切らなくてはいけない。
 故に目の前の一撃に対応する
 防御技を選ばなければならない。

 もし対応しない防御技であった場合、
 グレッドは文字通りアジの開きにナッチマー。
 グレッド本人は覚悟を決めているから
 本人的には一向に構わない。

 だがそれでは夢幻泡影の為に
 必要な時間…後数秒が!!
 後数秒が作れない!!
 グレッドは…真冬を選択し…
 いやここは鉄塊を……
 しかし遅かった!!

 「いや鉄塊は撤回……」

 その瞬間破国院の一撃が
 グレッドを性格に捉えた!!
(ガシィッ!!!!)
 だが…グレッドは破国院の
 攻撃を耐え切っていた!!
 そう……真冬で正解だった!!

 そして数秒の時を得た
 キシラルが放つは

夢幻泡影!!

夢幻泡影{むげんほうよう}
拳坤逸敵{けんこんいってき}を更に昇華した一撃必殺の拳撃。
己の肉体を極限にまで脱力させて極度の拳速を得た上で、
天与の脚力を軸として腰の回転をも加えて
音速をはるかに超えた速度の拳撃を放つ、
防御や当て身投げ系の技でも防げない極限の当て身技。
発勁をはるかに超えた威力を持ち、
実際に当てずしても
236236236+PPP(パワーゲージフル消費)

(SE グオゴゴゴゴゴゴゴ)
 隙だらけのところも
 最大限の夢幻泡影をかまされ、
 流石に四天王たる破国院も
 車田吹っ飛びをせざるを得ない。

「クッッ…!!謀かれたか…。
 鉄塊と叫んでその実
 真冬を出すとは一本」

「いやいや撤回を撤回して
 真冬を言おうとしたんだが、
 舌が回って言い切れなかっただけだ。」

(SE ヒュ〜ルリ〜ララ〜)
 一陣の風の音がして
 非常に空気が気まずくなった。
 それと同時に精根尽き果てグレッドが
 大の字に倒れる。
 後に立つは破国院とキシラルの二人。

 だが無理に夢幻泡影を放った
 キシラルは勿論の事、
 その夢幻泡影をまともに食らった
 破国院も立っている事すら苦しい、
 といった感じであり、
 現在の三人の状態はほぼ満身創痍、
 肩で息をしている状態だ。
 このままではどちらかがおっ死ぬ迄続けられる
 泥仕合に陥る事請け合いである。

 戦闘の終焉を予感しつつ、
 キシラルと破国院は構えをとる。
 するとそこに何の脈絡もなく
 招かれざる客人{まろうど}がやって来た。

(ランス9BGM14:今しかない!)
「ちょっっとタンマタンマタンマッアアア!!!

 地響きを立てながらクランクが
 こちらに暴走して来るときたもんだ。

「ていうかあの走る豚誰?」

「簡潔に説明すれば
 当方の味方のクランクという男だ。」

 クランクの身元を聞き、
 厳しい表情でキシラルとグレッドは身構える。
 まあ当然だろう。
 何せ敵が全力でこっちに向かって
 全力で爆走してくるのであるから。

 ところがどっこい更に予測不可能な
 客人{まろうど}がやって来る。
 全力爆走をかましているクランクの後から
 クランクを追いかけているのは……
 エクレールと他ならぬマリーシアだからである。

「ジャンヌ郷……?」×2

 ああ、とりあえずこの二人には、
 まだエクレールの正体が
 バレていない様である。

「マ……マリーシア!?どどどどういう事か!?
 父さん全然わかんないわよ!!」

 カーツウェルはオツムがプリンパっている。
 まあ普通はそうなるわな。
 とっくに死んだと聞かされていた娘が
 こっちに向かって走ってくんだもんよ。

「おっおっおっおまいらちょー待った。
 この勝負はこの俺クランクが預かる!!」

「クランク、これは一体どういう事なのか、
 小一時間詳しく説明して貰おうか。」

「ああ…話すと長くなるが……」

 そして小一時間が過ぎた。

「という訳で俺達ゃ神威のイカスかねえ
 ロンゲヤローにまんまとペテンに
 かけられてたっつー訳だ。」

「……神威にまんまとしてやられた、という訳か。」

「んで?どうすんよこれから?」

「今までに犯してきた罪の償いと……
 神威への落とし前をつけさせて貰う。」

「平たく言えばお礼参りってこったな。
 んでそっちの坊主二人はどうすんよ?」

 クランクがキシラルとグレッドに対して
 これからの動向を問う。

「無論我々に課せられた使命を果たしに行くまで。」

「それはそうと、親子の再会なんだからよぉ、
 何か言う事ぁねえんかよい?」

 ここでさり気なくクランクが柄にもねーのに
 気の利かせた一言を言う。

「あの…パパ……」

「生きていたのか……マリーシア……
 良かった……本当に良かった……」

 そう言う破国院の目尻には涙が浮かんでいた。

「感動の親子再会という場面で
 水を差す様でなんだが……」

 キシラルが一言言う。

「ここは敵地のど真ん中なのでそういう事は
 仕事を終えてからにした方がよいのでは?
 なあジャンヌ卿?」

「え…ええ、そうですわね……」

 破国院改めカーツウェルの顔が
 妙に現状を理解していないという表情になる。
 何故ならばカーツウェルはエクレールが
 ジャンヌの影武者になっているという事を
 一切知らないからである。

「ちょいとちょいと」

 カーツウェルがエクレールに耳打ちする。

「さっきキシラル司祭がお前の事を
 ジャンヌ卿と呼んでいたが何故にwhy?」

「それは…」

 疑問に持つカーツウェルに対し、
 今までに起きた事をエクレールは
 詳細にカーツウェルに説明する。

「という訳で公式の記録では僭越ながら
 私がジャンヌ様という事になっておりますので…」

「もしかしてまさかジャンヌを騙して
 奴隷商人に売り飛ばしたりとか……」

「い、いえ…そんなカレット的なペルエレは、
 恐れ多くてとても出来ませんわ……」




アイキャッチ
ペルエレ=カレット
「びゃー!!何よ何よみんなして人をネタキャラ扱いしてからに!!」


アイキャッチ
神威
「我が噂のラスボス、神威だ。」

<京の最奥・羅生悶>
(BGM:28.Crawling Chaos〜KamuiA)

 場所は羅生悶に移る。
 そこでは二律背反{アンビバレンツ}の術を阻止すべく
 キシラルらとは別行動を取っている山本無頼がいた。

 のはいいのであるが……
 そこには何とラスボスである神威がいる。
 というよりもかなり非常にすごくマンモスマズい。
 いや、何て状況じゃないだろこれ!!

「全学連の山本無頼だな……?」

「魔軍総帥・神威……何故こんなところに!!?」

 無頼は……余りの戦慄と重圧のあまり、
 足がすくみ、体中の毛が逆立ち全身が凍りついている。
 正に蛇に睨まれたカエルとはこの事である。

「まあ落ち着いて聞くがよい、山本無頼。」

 ここで何の脈絡もなく神威が無頼に話しかける。
 そう……まるで怯えた子供に言い聞かせるが如く。

「人間は何の為に
 生きるのか考えた事はあるか?
 人間は誰でも不安や恐怖を
 克服して安心を得る為に生きる。
 名声を手に入れたり、人を支配したり、
 金儲けでウハウハするのも安心する為だ。
 結婚したり、友人をつくったりするのも安心する為だ。
 人の役立つだとか、愛と平和の為にだとか、
 全ては自分を安心させる為だ
 安心を欣求める事こそ、人間の目的だ。
 そこでだ……我に仕えるないか?
 我に仕えるだけで、
 他の全ての安心が簡単に手に入るぞ。
  今のお前の様に死を覚悟してまで、
 我に挑戦む事の方が、不安ではないかね?
 お前は優れた特体生だ…殺すのは非常に惜しい。
 斬真達の仲間をやめて、我に永遠に仕えないか?
 永遠の安心感を授けようではないか。」

「だが……断る!!」

「仕方がない……ならば死ぬしかないな、山本無頼っ!!」

 誘いを断られた神威はそう言うや否やっっ!!
 パチンとスタイリッシュに指を鳴らして
 後ろに控えている四体のアンデットをカムヒアする。

「こいつらは生前は貧民街のゴロツキ流
 ブースボクシングで鳴らした達人だ。
 山本無頼、確か貴様の最終目標は、
 日本人初のボクシングヘビー級王者だったな。
 ならばこいつらと戯れているがよい。」

 そして二律背反{アンビバレンツ}の術の儀式を
 遂行すべくとっとと奥の部屋に入る。

俺の名はペイジ!!

次に控けぇしはジョーンズ!!

ボーンナム!!

そして俺の名はプラント!!

「神威様の命により」

「ここから先は通す訳にはいかん!!」

「アイアムアボーイ!ジスイズアオクトパス!!」

「きちんと英語を習ってから来い……」

「フフフ……まずはこのペイジが相手をしよう。」

 四人の屈強なアンデットボクサーが
 ずらりと無頼の前に現れる。
 しかしまずはって……
 負ける気マンマンだな。

無頼VSペイジ
(ランス9BGM33:Monster Battle2)

 シチュは無頼VSペイジに移る。
 そこではご丁寧にボクシングのリングまで
 用意されているという凝り様である。
 そのリングを舞台に撲針愚が
 今まさに行われようとしているのである。

HYYYYYYYYY!!!!

(SE パバァ〜〜〜ン)

 いきなりのペイジのコンビネーションブロー。
 だがその拳の速さと身のこなしは
 ペイジの巨体に似合わずかなり素早い。

 それもその筈、
 ペイジの強さの秘密は
 ヘビー級の巨体に似合わぬ
 その身のこなしと素早さに在る。
 何故ならばペイジは修練により
 数瞬だけならばライト級レベルの
 素早さを保てるのである。

「見よこの素早い動きを!!
 この身のこなしに対抗が出来るか!!」

 ペイジの素早い身のこなしから繰り出される
 無数のマシンガンブローに無頼は手も足も出ない!!
 と思いきや無頼はその早さに
 段々追いつき追い越している。
 そう、無頼は元々計量級の出であり、
 ヘビー級を目指して徐々に体重を増やしているが、
 計量級の動きは維持したまま動けるのである。

HAU!!

(SE ボキョーン!)
 必殺のマッハパンチがペイジの顔にヒットする。
 しかし倒れない!!ペイジは倒れない!!
 そう、無頼の体重はまだまだ発展途上にあり、
 ヘビー級であるペイジには
 ダメージを与えられねえのである。

マッハパンチ
コークスクリューブローを放つ技。
623+P

 並の体重ならば脳震盪を起こして気絶するが、
 太い首の筋肉に邪魔されてパンチの衝撃が
 全て首に吸収されてしまうのである。
 巨大な体格は……技を超越る。
 こいつぁ致命的だ!!

「そろそろ食らえトドメ!!」

 自分の勝利を確信したのかペイジは
 馬鹿みてえな口を上げて
 フィニッシュブローをかますが

FUN!!

(SE ギュシャアアッッッ)
 何とそこに馬鹿みてえに相手口の中に
 無頼の閃光の如きマッハパンチ一閃!!

「どうやら口の中までは鍛えられなかった様だな!」

 口内へのマッハパンチを受け、

トーンの張り方が少なかったかな?

 ペイジは敢えなくまた地獄に帰還する。

「やりおるな。ペイジがやられるとか。」

「だが奴は我々四誅王の中では一番の小物。
 取り立てて驚く事はない。」

「ならば次はこのジョーンズに任せて貰おう。」

無頼VSジョーンズ

 そして四誅王の二番手、
 ジョーンズが無頼の前に立ち塞がる。

「どうした糸目?かかって来い!!」

「俺にそんなクチを聞かん方がいい!
 後悔する事になるぞ。」

(SE ボスコニャー)
先手必勝とばかりに無頼の
鋭いマッハパンチがジョーンズにヒットする。
だが……

「フフ…しっておるぞ!
 ボクシングのマッハパンチとは
 肉体の摩擦で相手の脂肪を燃焼させ、
 衝撃と併せて体を燃やす技!!
 だが俺の体質にまでは気づかなかった様だな!」

 よく見るとジョーンズの体は
 海月と同じで殆ど水で出来ている。
 だから相手の脂肪を燃焼させ、
 燃やすマッハパンチは通用しない!!

「ならば今度はこちらの番だ!!」

(SE ビィィィィム)
 得意げなドヤ顔表情の
 ジョーンズが反撃に移る。
 奇妙奇天烈で異様な踊りをした後、
 拳から奇妙奇天烈な光線を出し、
 無頼に攻撃を仕掛ける。

「見たかこれぞ奥義、
 ゴスメルダー庵魅羅{アンミラ}光線!!」

ゴスメルダー庵魅羅{アンミラ}光線
その起源は水星にあり、
体内の水分を一転に集中させる事で発射される飛び道具技。
この技を習得するには相当の修練を必要とし、
最終的には厚さ30cmの壁を破壊出来る様にならねばならない。
尚、水星の諺にある『瓶から水が出るほど』忙しいとは、
これを語源に由来する。

ネリリ出版刊『ゴスメルダー星人の凶悪』より
2369+P

 ボクシングの勝負で
 飛び道具はどうかと思うが、
 格ゲーのボクサーは
 一部の四天王などを除いて
 飛び道具技を持ちまくりなので
 何の問題も無いと思われる。

 これらの光線の連打により、
 瞬く間に無頼はコーナーに追い込まれてしまう。
 後ろはコーナー、もう逃げ場はない。
 それを見てジョーンズは勝利を確信すると……

「フフ、とどめに最大級の一撃を
 お見舞いしてくれ……る!!?
 な、なんだ……体に油がまとわり付いている!!
 これは一体!!? 」

 だがジョーンズの体には
 ぬちゃぬちゃと油がまとわりついている。
 その油の正体は……

「馬鹿め、この俺が策もなく、
 ただ逃げ回っていたとでも思うのか?
 俺は光線を避けながら昼飯用に持ってきた
 胡麻のラー油をお前の体に振りかけていた。」

 昼飯用に持っていたラー油か。
 これにマッハパンチを放って発火させ、
 ジョーンズを火葬する作戦だ。

「HAU!!」

(SE ズギャアアアアアアムム!!)
 火葬用のマッハパンチを受け、
 ジョーンズは火葬されてしまう。

パワーがエナジーでテンションだぜ!!

 ジョーンズ、お前はクビだ。

「ジョーンズまでもがやられるとは……」

「これはとてちもねー強敵じゃねえか。」

「ならば俺ら二人でいくしかあるめえ」

 ああ、二人掛かりね。
 放送時間の都合もあるから助かるわ。

「俺らがやられる事前提かよオイィィ!!!」

無頼VSプラント&ボーンナム

 四誅王戦も早くも佳境に入り、
 プラントは軽い身のこなしでリングに入り、
 ボーンナムは柔らかい蓑こなしで
 リングのロープの間を巧みに跨いで入っていく。

「ペイジとジョーンズを殺るとは大したもんだ。」

「だが我々は二人一組で真価を発揮するコンビ。
 我々のコンビネーションを前にしたからには
 貴様の地獄行きはケテーイしたも同然。」

 お約束の口上の後、
 半ばテレフォンパンチの様なハンマーパンチで
 プラントが攻撃を開始する。

 勿論テレパンは打撃力が大きい分、
 技の前後の好きもまた膨大であり、
 その為に無頼のマッハパンチの格好の標的……
 と思ったらボーンナムが
 ヨガの行者を思わせる異常なリーチの
 フリッカージャブの連打で無頼を猛襲する。

マシンガンジャブ
ジャブの連打を放つ連打系技。
P連打

(SE ズドドドッドドドッ)
 無頼のボクサーとして
 鍛え上げられた動体視力は
 運動神経を通る電気刺激にして
 常人の倍以上もあり、
 その動体視力と巧みな身のこなしにより
 そのうちもろに食らったのは数発程度で、
 無頼は再びファイティングポーズを取る。

「これは……少々拙いな。ならば……」

 数秒黙考した後、
 プラントから先に始末すべきと判断し、
 無頼はインファイトのファイトスタイルで
 プラントに突進する。

(SE ズドドドッドドドッ)
 だがそれを事前に察知したプラントは、
 ファイトスタイルをサウスポースタイルに変え、
 威力を押さえて手数を増やす事により
 無頼に容易に攻撃を許さず、
 そしてアウトレイジの間合いから
 ボーンナムのフリッカージャブの嵐が
 容赦なく襲いかかる。

 そしてプラントとボーンナムには
 精神的に隙も油断も
 有ったもんじゃあありゃしない。
 そのうちに攻勢に出たプラントは
 フィニッシュの
 ヘビーストレートパンチを無頼にかます。

 絶体絶命。
 このストレート自体は命中すれば
 一撃必殺の威力こそ有りこそすれ、
 所詮はテレフォンパンチだ。
 プラント一人を相手にするのであれば、
 そのテレフォンパンチをかわせばいい。

 しかしそのパンチをかわした瞬間の
 無防備な体制をねらった
 フリッカージャブのマシンガン連打により
 確実に無頼はお陀仏だ!!

 この窮地に於いて無頼は考える。
 ならば瞬時のうちに
 一方のプラントをやってしまえと。
 それを可能にする技はただ一つ。

 目の前のプラントを一瞬のうちに
 葬り去る事が可能な技、
 一撃撃つだけでも腕にかなりの負担を課す
 マッハパンチを連続百裂拳で繰り出す、
 その名もマッハパンチマグナムである。

 過去この必殺ブロウを放ったボクサーは
 無頼の知る限りでは一人だけいる。
 師匠でありガメリカ系日本人、
 黒いカミカゼと恐れられた男、
 名ボクサー「ケンタ・牧」である。

 だがそのケンタ自身も放った直後に
 腕に掛かる強烈な負担により
 腕の筋肉が一瞬にして鋼筋分断され、
 以降のボクサー生命を失ったという
 曰く付きの秘技でもある。

 しかし躊躇している暇も
 撃たないという選択肢も
 無頼には与えられてはいない。
 言うまでもないが、
 ストレートを受けたら即お陀仏、
 フリッカージャブの連打を受けてもお陀仏、
 という二者択一の状態だからだ。

 この背水の陣に於いて無頼は
 BAKUDANの如く爆発し、

大爆発だぜー!!

(SE ドドドドドドドドドドドォォォォ)
 あのマッハパンチマグナムをプラントめがけて
 撃つべし撃つべし撃つべしあべし。

マッハパンチマグナム
一瞬でマッハパンチ16発を撃つ技。
範囲は少々狭いが防御不能当て身技不能である。
ただし防御の上から撃つと体力が減る。
236236+P(パワーゲージ一本消費)

文句があるなら回転寿司に行きやがれ!!

 だがプラントを葬ったものの、
 禁断のマッハパンチマグナムを撃ったせいで
 無頼の腕は筋肉を始め既にぼろぼろになっており、
 今現在首……もとい腕の皮一枚で
 筋肉が鋼筋分断されるのを
 防いでいる状態なのが現状だ。

 その無頼に対してボーンナムの
 フリッカージャブのマシンガンが
 正に無慈悲に放たれようとした時である。
 いわゆる火事場のクソ力と言うべきであろうか。
 何と二度目のマッハパンチマグナムを
 無頼は無意識のうちにボーンナムに撃ち込む。
(SE ドドドドドドドドドドドォォォォ)

金返せ〜!!

 その言葉を最期にボーンナムも
 地獄の底まで吹っ飛ばされる。

<京の御所・樋口末山の間>
(ORISINAL SONG
08.Akatsuki)
 その頃雲水は樋口末山の間にて
 怪しき術式を続行している。
 目の前には霊力が充満した五芒星が
 怪しさ大爆発の光を放っており、
 雲水の術式が順調に
 遂行されている事を示唆している。

「フフフ……我ながら
 良い策を思いついたものだ。
 我が目的の遂行が為に
 必要なBパワーを貯めつつ、
 そして神威の術式からも
 さり気なくBパワーをハイエナする。
 一石二鳥とは正にこの事だ。」

 そうこう独り言をしているうちにも
 Bパワーは溜まりに溜まり、
 予定を越えてMAXに達する事となる。

 そして目の前のBパワーで
 満ちあふれた五芒星を
 雲水は難無く右手に収める。

「さて…目的は果たした事だし、
 皆に怪しまれてはいろいろ面倒だ。
 そうそうに帰投するとしよう。」

 そう言うと雲水の姿は溶けるが如く、
 徐々に背景の闇に消えていく。

<京の最奥・羅生悶>
(BGM:27.Crawling Chaos〜Kamui@)
 そして場所は再び羅生悶に移る。
 流石にあれだけのダメージを受けたのか、
 無頼は休息により体力及び
 身体のリカバリーに勤めている。

 そこにやって来たのは……
 桃花や鈴女と別行動をとっている
 サワタリに我門である。

「サワタリに我門、か。」

「どうしたよ?そんなにボロボロになってからに。
 しかし無頼をここまで手こずらせるとは
 どうやら中枢に近づいている様だな。」

「ご明察……この奥には敵の親玉の神威がいる。」

「で、どうするよサワタリ?」

「どうもこうもでけねーだろ。
 だって相手は敵のトップのラスボスで、
 それに俺らは中堅どころの特体生だし、
 束になって掛かっても勝てる訳ねえっしょ。」

 サワタリが至極真っ当な弱音を吐く。
 実際サワタリの言う通り、
 ラスボスである神威を相手にしては
 三人どころか百人束で掛かっていっても
 返り討ちにされるのがオチだ。

「ならばどうするよ?」

「そうだなぁ、直接バトるのだけが能じゃねえし……
 よく考えろ、今俺らがすべき事をな。」

 三人は足りない脳味噌で
 自分が先ず何をすべきかを考える。
 三人寄れば文殊の知恵、
 三人寄れば文殊の知恵、
 三人寄れば文殊の知恵、
 三人寄れば文殊の

「いい事を思いついたぞ!!」

 何かええ考えを思いついたのか
 何の脈絡もなく我門が立ち上がる。

「中で神威が怪しさ大爆発の
 良からぬ事をやっているのなら、
 俺らは外から気づかれない様に
 妨害工作をすればいいんじゃねえの?」

 待った、今我門が柄にもなくいい事言った。
 ここで前後して奥から
 数人の人影が近づいてくる。

フーアーユー?

 サワタリがよく見るとそれらは
 エクレールら数人である。

ちんぴょろすぽーん!!

 糸目ボクサーと忍者コンビが、仰天した。
 無理も無い。
 エクレールらが何の説明も前触れもなく
 敵型である破国院やクランクと
 一緒に行動しているからだ。
 そりゃあ驚き桃の木山椒の木になるのも
 仕方がないと言えば仕方がない。

「え〜、その〜聞きたい事がアルフォーヌ。」

 先ずはサワタリが質問をする。

「一緒にいるその二人は一応俺達の敵だよね?
 皆はその敵である二人と
 何で行動を共にしているのかな?」

 いきりなりのストレートすぎる
 サワタリの質問がログインする。
 他にする質問が有る訳でも無いし、
 しゃーないといっちゃあそうだが、

「それは……」

 その問いに対してマリーシアは
 今までの経緯を事細やかに
 トリオ・ザ・パンチに説明する。 

「それで何で嘘をついたのか
 神威に事情聴取しにいくって訳か。
 じゃあがんばんなよ。
 俺達ゃここでやる事があっから。」

<羅生悶・最奥>
(BGM:Crawling Chaos〜KamuiA)

 羅生悶・最奥では神威が丁度
 二律背反{アンビバレンツ}の術式の
 儀式を執り行っている最中だ。

「神威!!」

「ん?何だ破国院ではないか……その二人は……」

 ここでマリーシアの姿を確認し、
 神威は何故カーツウェルがわざわざ
 ここに出向いて来たのかを知る。
 かつて神威はマリーシアが処刑されたと
 カーツウェルに対してペテンをかまし、
 自分の陣営に引き込んだからだ。

「つまりはペテンをかましていた、
 というのかバレたという事だな。
 まあいい。所詮貴様も人の親だという事だ。」

「おのれ……おのれ
よくも騙したな神威!!

 神威の悔しいでしょうねぇ的な表情と態度に対し、
 カーツウェルは心の底から沸き上がる
 後悔と憤怒の感情を隠しきれない。

 だが今のカーツウェルは
 グレッドとキシラルの二人と
 激闘を繰り広げてきたばかりであり、
 本来の力の半分も出せない状態に在る。
 だがガーツウェルはそれでも戦意を失わない。

「我に刃向かおうというのか。
 ならば仕方がない……だがその前に……」

 神威はカーツウェルに掌をかざし

「万が一の念の為に
 復讐の為に与えた力を返して貰おう。
 利子は貴様の命で購って貰うとするか。」

 カーツウェルから自分が与えた力を返済させる。
 なんてこった!!
 カーツウェルがちからをとられちゃった!!
 このひとでなし!!


「我の二律背反{アンビバレンツ}の術は
 何者かによって発動が多少遅れはしたが、
 この京を吹き飛ばすだけのBパワーは
 既に地脈に満ちあふれている。
 後はBパワーに刺激を与え……」

「そうはさせるか!!」×2

 不意に神威に対して二つの人影が襲いかかる。
 一人はキシラル、そしてもう一人はグレッドである。

「新手の特体生かっ!!だが無駄無駄無駄ぁ!!
 貴様等は犬死にする為にここに来たのだ!!」

 自分の当座の計画が
 成就寸前でハイな神威に対し、
 負傷した体でありながら
 二人は敢然と神威に立ち向かう。
 神威の七支刀の斬撃の唐竹割りに対し、
 グレッドは特体生能力の
 集中{ピンポイント}を使用した上で

「岩虎!!」

 を使用して防御特化の体勢をとるが

「ぐおおおっ!!」

(SE ギュウウゥゥゥゥゥゥンン)
 一発で大ダメージを受けてしまう。
 そして返す刀でキシラルにも
 大ダメージを与える。
 バカな…
呆気なさ過ぎる……!!?
 否、これは至極当然の結果だろう。

 二人は前の戦闘でかなり疲労しており、
 しかも相手はラスボス、
 かつ何のダメージもない
 万全の状態の神威だからであり、
 端っから勝ち目が有る筈など無いのである。

「邪魔が入ったがこれで終わりだな。
 あの世で仲良く親娘水入らずで暮らすがよい。
 
アディオス、破国院!!

(SE シャアアアアアアッ)
 神威の七支刀による斬撃ビーム(仮)が
 カーツウェルとマリーシアに牙を剥くッ!!
 危うし……と思ったら盾を甲羅の如く
 背中に背負ったエクレールに
 ビームが防がれている。

シャノワール
盾を甲羅の如く背負って自分が盾となって
攻撃をそらす琉沖のティンベーの防御術の一つ。

飛び道具を含むどんな攻撃もそらして削りダメージを受けず、
普通の防御と違って
236+セレクトボタン

 背中の防御耐久力は正面の約七倍!!
 そして琉沖から九州地方に流れてきた
 ティンベーの防御術により
 反らされていたのである。

「……
カメェェェッーーーーーー!!!

 あ、突然神威がブチ切れた。
 そしてその隙を狙い……
 我門の爆殺拳{ジャッカル}により
 爆弾と化した無数の岩が神威を強襲する。
 無論1ドットのダメージも与えられる訳では無いが。
(SE KABOOOOOOOMMMMM)

「火薬に頼って何が忍法だ!!」

「いや。忍法は普通に火薬に頼ると思うが。」

 サワタリの忍者的つっこみが入る。
 と同時にサワタリは疾風の術により
 エクレールとマリーシアとカーツウェルを
 安全圏まで待避させている。
 あ、ついでにキシラルとグレッドも。

「小癪な真似を……まあいい。
 どうせすぐに貴様等は全員……
 なにをしているブタマンクランク?」

 ふと神威が後ろの気配に気づくと、
 いつの間にかクランクが
 自分を羽交い締めにしている。
 そしてアケミ・ヨシエ・レイコの
 クランクガールズが
 自分の足にしがみついている。
 つーか気づかなかったんかこいつ?

「アンデットは気配を消す事が出来んだよ!!
 俺らはどうせくたばる身だ、
 一緒に地獄に付き合って貰うぜ!!」

「離せ!離さんかこの豚!!
 大体貴様改心なんてするキャラか!!?」

「豚も煽てりゃ改心すんだよ!!
 いわゆるイメチェンだこのタコ野郎!!
 カーツウェルにマリーシアにその他大勢!!
 お前らは早いとことんこしちまいなー!!
 ここは俺が奴を食い止める!!」

「クランクおじさん……」

 それに対してマリーシアは逃走を躊躇する。
 が……

「早く行かねえか!!
 俺らはどうせ裏切り者として
 ロックからの魔力を断たれちまって
 もうすぐ土に帰る運命だ!!
 だから早く逃げろぃ!!」

「おじさん……」

 クランクの再びの逃走への呼びかけ。
 その呼びかけに対し、
 エクレール達は躊躇しながらも
 この場からの撤退を開始し、
 そしてカーツウェルは気を失う前に
 クランクに対して

「ありが……と…う……」

 という言葉を贈る。

「へっ、こっちこそな……あばよ。
 てな訳でクソロン毛の神威よぉ、
 ちょっとつきあって貰うぜ!!」

 そう言うや否や神威を抱えたクランク+3名は
 二律背反{アンビバレンツ}の術式陣に
 自分諸共ダイブを敢行せんとする。

「……その発想は無かったわ。」

「だろ。だから大人しく道連れっちまー!!」

うおおおおこんなところで我がぁぁぁ!!!!

(SE ヒューストーン)
 その瞬間神威とクランク+3名は
 禍々しい光を発する術式陣に落ちた。

<正門に至る通路>
(BGM:32 terrible beat @)

 一方エクレール達は
 青竜の方角の通路を通って
 迅速に撤退している。
 通神により周りの全学連所属者に対して
 撤退せよとの指示を出し、
 撤退は滞り無く行われようとしている。

 だがそれと反比例するかの如く
 カーツウェルの容態は急激に悪化している。
 と、そこに四人の人影がいる。
 その正体は途中合流した
 桃花と鈴女と麗蘭とシオンだ。

「マリーシア!?」

「あの…桃花さん、ここで一体何を?」

 マリーシアの問いに対し、
 後ろを指さしながら桃花が

「偶然見つけたんだけど
 京の牢屋に囚われている人達よ。
 多分鰐の餌用として
 囚われていたんだわ。」

 桃花の言う通り、
 後ろの牢座敷には
 京の住人らしき人々が
 沢山とっ捕まっている。
 彼らの顔には一向に精気が無く、
 これまでにされた仕打ちを物語っている。

「ふむふむ、ここは鈴女にお任せでござるよ。」

 そう言うと鈴女は
 複雑怪奇で厄介な扉の鍵を
 いとも簡単にオープンザドアする。
 流石はチートくの一だぁ。

「ところで何でアンタ達が的である
 破国院を背負ってる訳?」

「え〜と、これはですね、色々訳がありまして…」

「今は一刻を争っている事態だ。
 事情なら後で詳しく説明する。」

 桃花の説明の要求に対して
 しどろもどろのエクレールに
 キシラルの単刀直入のフォローがログイン。

「それでは桃花にサワタリに我門、
 一般ピーポーの誘導を頼むでござるよ。
 鈴女達は殿軍をつとめるでござる。」

「わかったわ。」

「おうよ。」

「まあ俺様に任せときな。」

 鈴女の指示に対し、
 三人は慣れた手つきで迅速確実に
 一般ピーポーを安全に誘導していく。

 だがここで二つの問題点が見つかる。
 一つ目は鈴女の見立てでは
 カーツウェルの心臓には
 裏切り防止用の
 肉の種が埋め込まれており、
 これが心臓からカーツウェルの
 体力エネルギーを
 吸い取っているというのである。

 そしてもう一つの問題は、
 目の前の門を塞いでいる巨大な瓦礫の山だ。
 一行は既に幾多もの激戦を経て
 ズタボロのステータスになっており、
 目の前の瓦礫を撤去する作業に要する
 体力が残っているのかも怪しい。

「とりあえず破国院の体内の
 肉の種を摘出するでござるよ。
 鈴女が肉の種に刺激を与えるでござる。
 そしてBパワーを流して浄化するでござる。」

「ちょっと待った鈴女!
 そんな事をすれば
 ただでさえ弱っている身体に
 更に負担をかけておっちんじまうぞ!」

 鈴女の判断に我門の冷静なツッコミが入る。
 だが鈴女はそんな事は百も承知の上。

「心配はいらないでござるよ。
 麗蘭とシオンが白のBパワーを与え、
 エクレールとマリーシアが
 黒のBパワーを与えれば、
 体にかかる負担は0になるで御座る。」

(SE ドッギャーーーーーーン)
 故に肉の種除去の手術が始まる。
 麗蘭とシオンが体全体に流したのは、
 はじける白のBパワー!
 エクレールとマリーシアが
 患部に一点集中したのは、
 くっつく黒のBパワー!
 
つまり、患部は!
 
Bパワーがプラスマイナスゼロ!

 白のBパワーと黒のBパワーの
 相反するBパワーを浴び、
 肉の種は呆気なく消えてしまう。

「これで一つ目の問題は解決したでござるな。
 破国院も小康を保っている様でござるし
 もう一つの問題は……」

 一つ目の問題が解決し、
 鈴女は前の門をみる。
 その門には相変わらず
 巨大な瓦礫の山が埋もれており、
 後ろの通路への道を閉ざしている。

「どうにもなんねえじゃねえかこりゃあ。
 こうなったら難民をおっぽって
 俺らだけでもここからトンコしね?」

 我門が難民を見捨てて
 ここからトンコする事を提案する。
 確かに難民を置いていくのであれば、
 扉の上からトンコする事は容易だからだ。
 だが……

断る。

 その案はサワタリらによってアサーリ却下される。

「あんでよ?ここで全員くたばんのと、
 自分だけでも生き残るのとどっちがいいんだ!?」

「全員生き延びる方を選ぶ。」

 ここでずっと沈黙を守っていた無頼が口を開ける。

「何をいってやんでぇこの糸目ヤロー!!
 そんなことがでけたら
 誰も苦労しねぇーっつーの!!」

 無頼の発言に対し、我門が反論をする。
 確かに言うは易し行うは難し、
 幾ら全員生き延びると息巻こうが
 目の前に厳然と瓦礫の山が存在するのは
 紛れもない事実だからだ。

「だが心配はいらない。
 この邪魔っけな瓦礫を除去する方法は有る。」

「それは?」

「俺の必殺ブローの一つ、
 ジェットソニックブームパンチを撃つ際に
 生じる竜巻に桃花とサワタリの
 火遁の術を加えて火炎流と化した竜巻を
 瓦礫に叩き込んだ後、
 我門の爆殺拳で開いた穴から木っ端微塵にして
 その穴を更に大きくしてから通る戦法だ。」

「やれるのか?」

「やるっきゃ騎士{ナイト}。」

 半信半疑の我門に対し、
 無頼は逞しいファイティングスタイルで応える。

「仕方がないわね。」

「ああ、やるか。」

 桃花とサワタリも火遁の術の構えを取り、
 無頼の期待に応じる。

HAUUUUU!!!!

(SE スクリュウウウウウウウウウ)
無89頼のジェットソニックブームパンチが空を裂き、
真空の竜巻を生み出して唸りを上げ、
瓦礫に叩きつけられる。

ジェットソニックブームパンチ
覇王翔吼拳的な飛び道具を放つパンチを放つ。
パンチ部分にも攻撃判定が存在する。
4(貯め)646+P(パワーゲージ一本消費)

(SE BLAAAAAAAMMMM)
そして桃花とサワタリの放った火遁の術が
真空の竜巻に絡みついて大火炎流となって
ブルァァァァ!!!と瓦礫に穴を開ける。
そしてその穴に対して我門の爆殺拳で作られた
岩石爆弾が更に駄目押しで叩き込まれ、
瓦礫に巨大な穴を穿つ。

「ちっしょうがねえからやってやったけど
 こんなこたぁこれ限りだかんな!!」

 我門のツンデレ気味の憎まれ口が入る。

「ああ、有り難う我門!
 さあ皆、開いた穴から順番に押しあわず、
 確実に通って!!」

 唯一の脱出口である穴に対し、
 一行は難民を誘導する。
 やった!!これで脱出成功だ!!
 と思ったら頭上から瓦礫の固まりが
 難民の群に向かって
 轟音を立てながら落ちてくる!!
(SE ズズズズズズズズズ…)

 このままでは数十人と犠牲者が出てしまう。
 その危機に対して前に立ち塞がるは、
 キシラルとグレッドの二司祭。

(SE ドッギャーーーーーン)

グレッドは自分の特体生能力の
集中{ピンポイント}で能力を防御力に回し、
己が身を立てに瓦礫を防ぎ、
そしてキシラルは義足を軸に蹴りの連撃で
瓦礫の固まりを瞬時に粉砕していく。

 そしてグレッドが

「これで問題はなかろう。」

 と皆に言う。

「むう…?」

 ここで幼老を含む難民を救助誘導している
 エクレールを見てふとキシラルは思う。

『はて……私の記憶が正しければ、
 ジャンヌ卿は昔どこかで見た様な……
 どうもいまいち思い出せぬ……』

<京の外の全学連陣営>
(BGM:07 confront the enemy)

 その頃京の外の全学連陣営では、
 指揮官である雲水の不在により
 混乱をきたしていた。

「雲水さんはどこに行ったか誰か見たか?」

「いんや、みてねえべ。」

「もしかしてサボりってやつじゃね?」

「それとも雲隠れってやつか?」

 と一般の特体生の噂して行う場所の中

「私が何か?」

 突如その雲水その人が帰還してくる。

「ていうかアータどこに行ってらしたんすか?」

「いや、少々独自潜入して敵側の手を探っていただけだ。」

 特体生さん@名無しの疑問に対し、
 雲水は即答のアドリブで答えを返す。

<京 正面門前>
(ランス9BGM33:Monster Battle2)
 一方その頃京の正面門前では久那岐らが
 ロック一味と交戦を繰り返している。

 一時はロックを追いつめたかに見えたが、
 ゼガル・ロックと幻杜坊・ロックの
 帰還により戦況は一変し、
 徐々に押し返されてはいるものの、
 現在のところは久那岐の奮戦により
 何とか戦線を保っている。

「とことん生意気なめしゅ犬でしゅね。
 ゼガル、こいつは念入りに殺った後、
 ぽっくんの作るシュペシャルアンデットの
 素材にしてやるでしゅ。
 お前たち、早くやっておしまい!!」

「何を戯けた事を言っているんだこのQP擬きは?」

「ぽっくんをQP擬き呼ばわりしゅるとは!
 ムキー!許るしぇんばい!!
 ゼガル、幻杜坊、早くやっておしまい!!」

 ゼガルと幻杜坊に対し、
 久那岐の態度に怒ったロックの命令が下る。
 その瞬間ゼガルと幻杜坊はアンデットの体を
 撓ませた体勢で久那岐に襲いかからんとする。

 それに対して久那岐も
 超貧乳回避を基本とした
 戦術を旨とする体勢を取る。
 ところがどっこいである。

 そこに突如大量に
 難民を引き連れた無頼達が
 怒涛のごとく退去して押し寄せてきた。
 いわゆる民族大移動である。
 それに対してロックは

「ここここれは何だか知らないでしゅが、
 大変マンモシュ拙いでしゅ!!」

 それも当然だろう。
 只今の戦況はゼガル・ロックや
 幻杜坊・ロックにより
 何とか優勢に持ち込んでいる状況だ。
 なのにここで無頼ら屈強の特体生に
 大挙して押し寄せられたら
 非常に拙い状況になるのは間違いない。

 ところが無頼一味はロックに一瞥もする事無く
 久那岐の元に押し寄せる。

「無頼ではないか。これは一体どういう事だ?」

「説明は後だ!!
 まずは一刻も早くここから
 出来るだけ遠くにトンコ退避する!!
 一言で言えば京はもうすぐ
 地脈の乱れによる暴走で 
 地は枯れ海は裂け状態になる!!」

本当か!?

 久那岐が疑問顔で問う。
 その問いに対して無頼が

「本当だ!!本気と書いてマジで!
 というよりも嘘をつく必要がどこにある!?」

 と本気顔でまくし立てたので
 信用せざるを得ない。

「ななな何でしゅとー!!?
 てこたぁぽっくんらも巻き添えに
 なるって事でしゅかぁー!?」

 このQP野郎、耳いいな。
 まるで地獄耳のガジランだ。

「落ち着くな慌てるでしゅ!
 じゃなかった落ち着け慌てるなでしゅ!
 こっここここっこはひとつ停戦といくでしゅ!!
 お互いここでやりあっても
 アボオン5000しゅれば
 元も子も無いでしゅうう!!」

「貴様のQP顔は気にいらんが、
 確かにその通りだと言わざるを得ん。
 だが次は無いと心得よ!!」

 避難の為の簡易的な
 一時停戦条約が締結される。
 その瞬間ーーーーーーーーーーーー
 京の街のどこからともなく
 無数の爆音とバクフーンと爆炎が轟く。

「ママママジヤバでしゅ!!
 とっとと撤収しゅるです〜!!」

 卑怯者らしくロック一味は
 脱兎の如くこの場からトンコしていく。
 とりあえずは目の前から敵はいなくなった。

「じゃあ皆の衆、我々も撤収するでござるよ。」

「だよな。んじゃトンコするべかあ。」

 鈴女とサワタリの判断が下り、
 一行も撤収する事となる。
 そして全学連軍が全て
 撤収し終えた数分後……
 轟音を上げて京が崩壊していく。
 まずは地面が地の底より
 凶悪に異変を告げる。

 御所からおもむろに
 耳をつんざく轟音と共に
 まるで地震が起きたかの如く
 巨大なひび割れが広がり、
 その無数のひび割れの中より
 まるでマグマが噴出するの如く、
 地脈を乱されて行き場を失った
 Bパワーの具現化した奔流が
 容赦なく噴出する。

 高熱を帯びたBパワーの奔流は
 巨大な火砕旋風を巻き起こし、
 そして高熱を帯びた自身も相まって
 御所を始めとする建物を
 容赦無く焔と熱風で侵略していき、
 そしてそれら歴史有る物の全てを
 灰燼へと帰していく。

 京崩壊の暴魔の威は
 まだまだ留まる事を知らない。
 熱せられた岩石と、
 飛ばされた地面及び、
 不燃性の建物の残骸は
 まるで溶岩の如く宙に飛翔し、
 そして自由落下による重量で
 地面を容赦なくえぐり取っていき、
 少なからざる爪痕を残す。

 そこから生まれた灰燼も
 また負けてはいない。
 元は建物等が灰となった灰燼は
 そこら辺中に高密度でさまよい、
 空中にプラズマを起こして
 粉塵爆破を引き起こし、
 更に被害を広げていく。

 その様はガスバス爆発の様で
 最高に灰ってやつだ。
 おそらくはガソリンスタンドに
 放火魔が放火したら
 この様になるものと思われる。

 とにかく暴魔の威は一晩で
 千年都である京を
 跡形もなくせん滅していき、
 跡に遺るは「京だった」
 廃墟のみ……

予告
マリーシア「でも…先に水を飲まないと……」

マチルダ「神様ですか!?貴女が…神ぃぃぃぃぃ!!」

成瀬ユキ「かつて京だった場所に取り残され、
       進むも引くもままならなくなった全学連。
       そこに謎の芋女があらわれて……」

サワタリ「そしてロック率いる凶気の軍団が
      全学連の退路に立ちはだかっていた!」

斬真豪「次回大番長AA
第二章その五前編 屍鬼隗々」』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の提督
シオン(大番長)
スキル 指揮値 部隊1 部隊2 部隊3 部隊4
頭脳操艦 250 全性能5% 航空10% レーザー10% なし
専用艦
なし

後書き
今回は京奪回戦の後編を書きました。
今回はマンネリ化を避けて
京奪回戦を失敗にしちまいました。

次のエピソードで第二章を終えようと思います。
次の話は大体の目処はつけており、
ランスクエストのマチルダを出したり
屍人使いロックが本格的に動き出したりと
話の骨組みは一応出来ています。

サブタイトルの芋女のキックは
ビーストウォーズのクモ女のキックに
進撃の巨人のサシャの芋女、
から取っております。
もっともクモ女のキックは
蜘蛛女のキッスが元ネタらしいですが。






苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退