真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}大番長After.Age表紙
真・闇の会サイトマップ

第一章その一  「日常あるいはプロローグ」

第一章その一・新規登場人物
秋月まゆ
仁藤美咲
軽井沢成美
杜若あやめ
鏡守真澄
鏡守萌木
天童来夢
のぞみ
ミュシャ=カレニーナ
アンナ=カレニーナ
燐藍花
ONLY YOU〜リ・クルスに出場。
詳細は下の本編に書いてある。

鏡守真澄
ONLY YOU〜世紀末のジュリエット達に出場。
詳細は下の本編に書いてある。
リメイクのリクルスになった時に新キャラの萌木と入れ替わるが、
オリジナル設定で従姉妹という設定にしてある。

高見柚子
姫夜木紫音
桜小路牡丹
四条沙羅沙
霧島影美
沢ノ口咲
魔窟堂野武彦
姫夜木大吾
ぷろすちゅーでんとGoodに出場。
詳細は下の本編に書いてある。

三蔵法子
八神ちょこ
四万十沙織
ぷろすちゅーでんとGoodに出場。
詳細は下の本編に書いてある。
5秒CM
軽井沢成美
「さぁ〜、うちのハリセンツッコミ百連発の始まりや!!」
<鳳凰学園>
(ORISINAL SONG43.HououGakuen)
 話の舞台は私立鳳凰学園の校舎に移る。
 今話の舞台である鳳凰学園の所在地は
 三国の要所に存在し、
 常にPGG・NME・護国院の
 三大勢力が食指を伸ばして欲していた
 戦略的に非常に重要な要地である。

 生徒の特体生としての平均レベルは並であり、
 普通ならばとっくに三大勢力のいずれかに
 併呑されるか滅ぼされるかの
 二択の状態であるのは明らかであったが、
 国内屈指の特体生である
 魔神勇二とタイガージョーの二強が
 それらの勢力の野望を許さなかったのである。

 そして今日はその勇二が
 久し振りに帰ってくる日でもあった。

「秋月センパイ、こっちの防衛線の強化はバッチシですよ。」

「ご苦労様、美咲ちゃん。
 正午にもなった事だし、お昼にしない?」

「ええ、いいですよ。
 ボクもおなかが空いてきた頃ですし。」

 ところは鳳凰学園の防衛線の最前線。
 そこでは二人の少女が
 魔族に対する防衛線を張るべく、
 汗水を流して働いていた。

 一人は秋月まゆ。
 勇二の幼馴染でステキなお嫁さんを夢見る
 才色兼備の美少女である。
 もう一人は仁藤美咲。
 格闘部所属で勇二の後輩、
 そして勇二の様な格闘家を
 目指している活発な少女である。

「こっちもOKやで〜。」

 向こうから関西弁訛りの声が聞こえてくる。
 その声の持ち主の少女、軽井沢成美はたった今、
 自分の受け持ちの部分を修繕したところだ。

「総入れ歯、今日は魔神君が帰ってくるンやったかな?」

「ええ、そうよ。飛びっきりのお弁当を用意しなきゃ。」

「センパイが帰ってきたらボク、
 また稽古をつけて貰いたいです、」

「そやなら、魔神君が帰ってきたら
 どえらいコントで迎えたらんとなぁ。」

「な…なるったら…。」

 どうやらこの三人の少女は
 それぞれ勇二に対して
 只ならぬ特別な思いを
 抱いている様であり、
 それぞれが勇二への
 思いを熱く語っている。

<鳳凰学園 生徒会長室>
(27 All the time)
 ところは変わって
 学園の中核をなす生徒会室に移る。
 部屋の中は用途に合わせて
 物資が理路整然と並べられており、
 会室の管理者の性格がよく見て取れる。

 そこには生徒会長の大人しそうな
 おかっぱ頭の少女・杜若あやめに
 生徒会の執行委員である
 鏡守萌木と真澄の巫女の従姉妹が
 これからの学園の経営等の
 諸問題について話し合っていた。

 鳳凰学園は小勢力の悲しさか、
 お世辞にも潤沢な資金力が
 有るとは言えないが、
 生徒会の三人の尽力で
 何とか経営に行き詰る事はなかった、

「そういう事で……
 今年の学園の収支はこうなります…。」

 あやめはそう言うと、
 少し草臥れたメモを懐から取り出し、
 鏡守従姉妹に見せる。

 そこには学園の全ての
 収支や来年の収支予想、
 学園の戦力、周辺の勢力状況、等等、
 事細やかに書き連ねており、
 どうやら今年の学園の財政の状態は
 可も無く不可も無く、と言ったところである。

「そうですね。でしたら……
 ここのところをこうしてこうすれば
 もっと節約出来ると思いますけど。
 ね、姉さん。」

「それと……ここも…直した方が……
 いいと思います……。」

 明朗快活な口調の真澄に対し、
 萌木は必要最小限の発言で意思を示す。
 静と動、陰と陽、阿と云、暗殺拳の北と南、
 二人はこの様に正反対の性格だが、
 不思議とこの従姉妹の仲はいい。

「じゃあ……今年の予算はこれでよろしいのでしょうか…?」

 小一時間の議論のあとに導き出された
 予算の議案をあやめは提出する。

「ええ。構いませんよ。」

「異議…無し……です。」

<鳳凰学園 カ学室>
 ところはまた変わって
 鳳凰学園のカ学室に移る。
 何故「かがく」の「か」の字が
 片仮名なのかというと、
 お察しの通り「科」と「化」の
 二つの意味が有るからである。

 そこでは近所の小学校からの小学生で、
 小学生ながら大人の科学者顔負けの
 科学知識と科学技術を持つ
 天才少女・天童来夢とその親友ののぞみ、
 元アンドロイドで今は人間として生活している
 ミュシャとアンナのカレニーナ姉妹が
 今後の作戦の為の○秘ビックリドッキリメカを
 鋭意製作中であった。

「ねえ来夢ちゃん、
 ここのところにキャタピラーをつけて
 タンクにすればいいと思うよ。」

「それより〜ミュは〜
 ドリルをつけた方がいいと思いますぅ〜。」

 のぞみとミュシャが
 思いのままに意見を述べ合う。

 元来のぞみは声優志望であり、
 カ学の分野には
 何の知識経験も無い素人であったが、
 「門前の小僧習わぬ経を覚える」の諺通り、
 カ学の分野では第一人者である
 来夢と親交を深めていくうちに、
 とても小学生とは思えない程の
 カ学的知識を得ていたのである。

 ミュシャやアンナの方は、
 元アンドロイドだけあって
 カ学方面での知識は豊富だ。
 何故ミュシャの口調が
 おっとりなのかはわからないが。

「姉さん、ドリルをつけると今の機体では重量オーバーよ。」

「それもいいけど、
 肩に軽量のキャノン砲を
 つけてもいいと思わない、
 のぞみちゃん?」

 とこうして色々意見を交わしながら
 ○秘ビックリドッキリメカは
 徐々に完成に近づいていくのであった。

<鳳凰学園 応接室>
 ところは四たび変わり、
 鳳凰学園の応接室に移る。
 鳳凰学園に訪れる他勢力の使者は
 この応接室に通され、
 そこで外交や折衝等を
 行う事となっている。
 そして今日は九州同盟より
 五十嵐紅美が使者としてきており、
 その紅美に対しては、
 鈴麗蘭と燐藍花が
 対応に当たっている。

「ちゅう事で、カクカクシカジカな訳で、
 九州同盟が成立したっちゅう訳や。」

「成程、その九州同盟成立の経緯は判った。」

「鈴蘭、そろそろ勇二が帰ってくる時間だわ。」

「ふむ。左様か。
 そろそろ勇二が帰ってくる約束の頃じゃな。
 ところで藍花よ、
 勇二を出迎える準備に抜かりは無かろうな?」

「ええ。きちんと全部確認してあるわ。」

 今日は行方不明だった魔神勇二が
 鳳凰学園に帰って来る日であり、
 紅美は鳳凰学園の総長である
 勇二との会談の為に学園に来たのである。
 そして数分後……
(SEトントン……)

「あ、あの……麗蘭……。」

 小さくドアをたたく音がして
 ドアが開いたかと思うと、
 そこには客分として
 逗留していたマリーシアがいて、
 そしてその後ろには
 総長の魔神勇二の姿があった。

「うむ、久しぶりじゃな勇二よ。
 それと……ちょうど良いところに来た。
 マリーシア、そなたも話を聞いてゆくか?」

「「マリーシア?」」

 マリーシアの名前を聞いた途端、
 紅美と勇二の表情が、
 そして勇二の名前を聞いた途端、
 マリーシアの表情が少し変わった。
 どうやら何かの事を知っているらしい。

「ん、いかがいたした?
 二人してマリーシアの名前を
 聞いただけで?
 マリーシアも勇二の名を
 聞いただけでいかがした?」

「いや……先日修行が終わって
 ここに帰る途中に
 エクレールという女の子と知り合ってだ、
 彼女に
 『マリーシアと言う少女を探してほしい』
 と頼まれたんだ。
 もしかしたらとは思ったが……
 マリーシア、君だったのか?」

「勇二君……
 ええ、お久しぶりです……。」
 突然勇二とマリーシアは
 親しげに会話を交わす。
 どうやらこの二人は旧知の仲らしい。

(とらいあんぐるハート3OP 涙の誓い)
「何や何や?二人は知り合いやったんか?」

「ええ。私は魔界孔が開く以前、
 勇二君の家と隣の喫茶翠川屋
 住んでいましたので……。
 あの……勇二君……
 エクレの事をご存知なのですか?」

「あ、ああ、そうだ。
 後、自分の表向きの名前、というより、
 戸籍上はジャンヌと言う名前になっているから
 エクレールと言う名前は極力出さない様に、
 との事だそうだ。」

「え?……どうしてジャンヌ様の名前を……?」

 訳も分からずにその事に対して
 マリーシアは疑問を呈する。
 今までの九州で起こった
 出来事については
 マリーシアは全く知らないので
 当然の事であるが。

「ああ、それはやなぁ。
 アンタらにとってはジャンヌはいわゆる……
 一つの大黒柱みたいなもんやろ。
 その大黒柱がおらんてわかってみぃな。
 色々メンドい事が有るやろ。てな訳でや。
 まあ、今のエク坊は……
 新ホーリー・フレイム オルレアンゆう
 組織の総長をしとる訳や。」

「然様か。礼を申すぞ、勇二。
 マリーシアもエクレールと申す者を
 探しておったところじゃ。
 我々が探さずとも吉報が舞い込んでくるとは
 これも何ぞやの縁よ。」

 ここまで言って麗蘭は
 少し寂しそうな顔をしたが、
 一呼吸置いて

 「マリーシアよ…
  そなたとしばし別れるは
  少々寂しいものがあるが、
  妾に気兼ねせずに行ってやるが良い。」

「麗蘭……ありがとうございます。」

 朋友{ポンヨウ}と別れるのは
 寂しくはあるものの、
 麗蘭の雅量は広いものがあり、
 快くマリーシアに遑{いとま}を出す。

「まあ、それはそれでおいといてや。
 今回ウチがここにきたんはや、
 ウチら九州同盟は来週に同時多発的に
 熊元や死魔根を魔族から奪還する計画を
 全学連に提出する予定な訳や。
 まぁ、うちらもウチら九州同盟も
 全学連の加盟組織に
 入っとるっちゅー事になっとるさかいな。
 よかったら鳳凰学園にも力を貸して欲しいんや。」

「そうか、話は判った。で、どうする麗蘭?

「そうよのう……
 左様な理由なれば出来るなれば
 我々も助力をしても構わぬと思うておるが、
 奈何せん当方の事情としては
 これ以上戦力を割く訳にもいかぬ。」

(30 Big Bang Age)
 紅美の援軍の要請に対し、
 麗蘭は鳳凰学園の実情を説明し、
 援軍は出せぬと断る。
 実際、鳳凰学園やその周辺にも
 引っ切り無しに魔族の襲来が頻発しており、
 今更貴重な戦力を
 削ぐ訳にもいかないのである。

「センパイ!!」

 その時、突然扉が開いて美咲が現れた。
 どうやら部屋の外で今までの話を
 委細合切聞いていたらしい。

「み…美咲か。」
「本当に……お久しぶりです、センパイ!!」
「ていうかこのキャベツ頭っ娘は一体誰なんや?」

「この者は我が鳳凰学園の特体生の中でも
 指折りの実力を有する者で、
 名は仁藤美咲と申す者だ。」

「初めまして。ボク、仁藤美咲と言います。」

 美咲はそういうと頭を下げ、
 簡素ながら丁寧な
 自己紹介と挨拶をした。
 その表情を見ると、
 どうやらこの援軍の
 要請の一件に興味が有るらしい。

「センパイ!その援軍の件、是非ボクを行かせて下さい!!」

「一体どういう事だ、美咲?」

「あの……色々訳が有るんです。
 とにかくボクを行かせて下さい!!」

 美咲の真意を問う勇二に対し、
 美咲は重ねて熱く援軍として
 自分を派遣する様に申し出る。
 訳はともかく、
 その両の眼には偽りや策は一切見られない。

「左様か。ならばちょうど良い。
 マリーシアもその九州同盟に属しておる
 エクレールに逢いに行くそうじゃからな。
 マリーシアの護衛がてら、
 援軍に行ってやるが良い。」

「そういう事なら…俺も反対する理由は無い。」

 その美咲の紳士で熱烈な志願に対し、
 勇二と麗蘭はマリーシアを
 同伴させる事を条件に快く応ずる。

「お帰りなさい、魔神君!!」

 その時、再び扉が開いて
 作業を終えたまゆ達が
 帰って来た勇二を迎えるべく
 部屋に入ってきた。

成美
「久し振りやなぁ、魔神君。」

あやめ
「あの……おかえりなさい……。」

萌木
「お帰り……お待ちしていました、勇二様……。」

真澄
「お帰りなさい。」

ミュシャ
「ミュは勇二が待ち遠しかったですぅ〜。」

アンナ
「無事でなりよりだわ。」

来夢&のぞみ
「勇二お兄ちゃん、おかりなさ〜いい。」

「秋月、軽井沢、それにみんな!
  ……ああ、こちらこそただいま!」


<姫夜木研究所〜Danger Room>
(ORISINAL SONG09.Himeyagi Labo Arrange Version)
 場所は大きく変わって姫夜木研究所に移る。
 ここはかつて猿藤悟郎改め阿寒湖まりもが
 属していた組織であり、
 半年前に憂国師団の野望及び
 異星人の侵略を退けた
 知る人ぞ知る組織である。

 だが、この組織もまた、
 人類と魔族の対決には
 無関心でいられなくなり、
 日々特体生同士の練磨から
 新兵器の開発まで練磨に余念が無い。

 ここは姫夜木研究所の
 Danger Roomと呼ばれる部屋であり、
 研究所の特体生達は日々
 この部屋で心身を鍛えている。

 今日も厳格そうな忍者の霧島影美と
 幼さの残る少女柔道家の八神ちょこによる
 稽古が行われており、
 二人は稽古後の休憩に入っていた。

「影美ちゃん、影美ちゃん、
 その影分身ってのはどーやるのぉ?」

「ああ、さっきの技ね。
 これはこうやってこうしてこうするのよ。」

「影美ちゃん、ちょこちゃん、お茶が入ったわよ〜。」

 二人が休憩中の間に忍術雑談に
 花を咲かせている途中で、
 気の弱い不幸が似合いそうな
 眼鏡っ娘メイドで
 影美とは仲良しこよしの
 沢ノ口咲が昆布茶を持ってきた。

「咲ちゃん、ありがとー。」

「ありがとう……咲ちゃん……。」

 咲の姿を認めると、
 影美は瞬時に頬を紅く染めて
 咲の差し出す昆布茶を受け取る。

 この二人は表向きは
 大の親友と言う事になっているが、
 一部ではそれ以上の
 親密な関係ではないか、
 と噂されている。

「二人共、あまり無茶をしないでね……。」

「あ…ああ、わかっている。」

「うん、わかったー。」

<姫夜木研究所〜屋上>
 場所は変わって研究所の屋上に移る。
 そこでは三人の少女が溜まりに溜まった
 洗濯物を干していた。

 黒い髪の大人びた少女は姫夜木紫音、
 姫夜木研究所の所長・
 姫夜木大吾の一人娘である。
 何気ない仕草の中にも知性を感じられ、
 彼女が並々ならぬ才女である事が伺える。

 眼鏡をかけた茶髪の少女は三蔵法子、
 中学生で飛び級で
 アリノワ大学に入学した天才であり、
 それでいて卒業後は未成年でありながら
 落ちこぼれの集まる高校
 「両界山高校」で教鞭をとっている。

 そして小学五〜六年くらいの
 小さな少女の名は高見柚子{ゆず}。
 学歴まるでダメダメの
 猿藤悟郎改め阿寒湖まりもの従妹でありながら、
 既に並の高校生のレベルをはるかに超えた
 知能指数を持つ天才児だ。

「ねぇ、法子お姉ちゃん、
 悟郎お兄ちゃんは今頃どうしていると思う?」

「ん〜、そうね、悟郎さんの事だから大丈夫とは思うけど……。」

「あ、もうこんな時間。
 さあ。お昼ごはんにしましょうか?」

「さんせー。」

 ちなみに研究所の食糧事情は
 事実上この三人に任されている状態だ。

<姫夜木研究所〜庭>
 またまた場所は移り、
 今度は姫夜木研究所の敷地内の庭に移る。

 そこには科学の粋を集めた姫夜木研究所の敷地の中で
 数少ない自然の色合いが強い場所であり、
 小さな湖・裏山に続いている山の麓・林、
 獣ッ娘ミーアの遊び場から所員のジョギングコースまで
 色々な用途に使われており、
 今現在は閃真流皇応派の継承者・桜小路牡丹と
 水泳の達人でミリタリーマニアの四万十沙織が
 自己鍛錬の為に使用していた。

えいっ!ていっ!はっっ!やぁっ!

 牡丹を見ると、
 閃真流の基礎の型を繰り返し鍛錬しており、
 沙織は湖でスクリュー水泳法の泳ぎを練習している。

 閃真流皇応派は人応派や神応派と違って
 成り立ち上防衛術や捕縛術を得手としており、
 故に鍛錬の形もそれに沿った形になっている。

「沙織さん、そろそろお昼にしましょうか?」

 二人が練習を始めて
 そろそろ三時間になるところであり、
 牡丹は水泳中の沙織に
 昼食を取ろうと誘おうとするが……
 その肝心要の沙織が湖にはもういない。

 (ORISINAL SONG02.make me funkyA)
  もう上がってしまったのか、
  牡丹は丹念に周りを見渡すが
(SEむにゅ)

ひゃぁうっ!!?

「牡丹ちゃん、まだまだ甘いわよ。」

 と、難なく達人である筈の牡丹の背中に回り、
 隙だらけの胸を揉み揉みする。

「さ、沙織さん…!!?何してるんです…やぁっう…」

「クス、いーことよ、」

 百合ん百合んの胸攻撃を続ける、
 と言いたいところであるが、
 天下の公共放送DHKではこれ以上
 エスカレートすると放送コードに引っかかるので、
 この辺で百合ん百合ん揉み揉み攻撃は
 DVD版に回される事となる。

「冗談よ冗談。
 けど、見かけによらず、
 結構ボリューム有るわね。」

な…!?

 沙織のセクハラ発言を聞いて、
 真っ赤になった牡丹の顔から
 瞬間湯沸し器の如く湯気がピーッと噴き出す。
 どうやら牡丹は性的な知識や経験には
 余り造詣が深くないらしい。

<研究所内の客間>
 (27 All the time)
 またまた場所は変わり、
 今度は姫夜木研究所の客間に移る。
 姫夜木研究所は全学連に加盟して日も浅く、
 色々全学連と折衝を重ねていく必要が有り、
 今日も全学連から折衝の為の使者がやって来た。

 使者の名は成瀬有紀。
 どこか女性っぽい雰囲気を醸し出している
 中性的な美少年であり、
 その有紀に応対しているのは
 全学連加盟組織でも
 沙織に匹敵する程の銃腕と
 レズの腕の名高い四条沙羅沙である。

 そしてその様子を研究所の
 総長である姫夜木大吾と
 その盟友である
 魔窟堂野武彦が覗き見をしている。
 姫夜木はその名の通り
 姫夜木研究所を
 一人で立ち上げた天才科学者であり、
 もう一方の魔窟堂は姫夜木の親友であり、
 無類無敵のオタクとしても知られる漢であり、
 この漢に匹敵する漢は
 タイガージョーくらいでは、
 と云われる程の逸材である。

「ふむ、中世的な美少年だな。
 しかし魔窟堂よ…本当に沙羅沙君は
 あの少年の応対に自ら進んで
 名乗りを上げたのかね?」

「ふむ、その通りだ。」

「そうか。だが、少々可笑しくは無いか?
 沙羅沙君は大の男嫌いの筈だ。
 なのに中性的とはいえ、
 男性の応対に進んで名乗りを上げるとは
 どうしても思えんのだが?」

「ふ…姫夜木よ、
 このわしを誰だと思うておる?
 余人の目は誤魔化せても
 この魔窟道野武彦の目は誤魔化せぬぞ。
 わしはあの少年は実は女性と見ている。
 そして、無論沙羅沙君も
 それに気づいている筈だろうがね。」

 大番長本編をプレイされた方は
 お分かりだと思うが、
 有紀は実はユキと言う名前の女性であり、
 家の迷信から男子として育てられている訳だ。

 しかし無論沙羅沙は
 その男装している理由は知らなくても、
 有紀が実は女性である事は
 とっくに見抜いており、
 気づかない振りをしながら
 有紀に甲斐甲斐しく接したり、
 熱いまなざしを送り続けている。

「……という訳で、全学連の方針としては……
 比較的短期決戦が望ましいわけで……。」

「わかったわ。
 まあ、今日はもう遅いし……
 一晩と待っていけばいいわ。
 その分色々教えてあ・げ・る。」

 沙羅沙が男嫌いのレズであり、
 尚且つ自分の事を女性と見抜いている事に
 気づかない有紀は、
 沙羅沙が正太郎的性癖を持つ
 女教師・フランシーヌ山吹と同じく
 正太郎的な魅力を持つ美少年として
 自分を見ているのではないかと察し、
 ひどくガチガチに固まっている。

(SEガシャーン)
 そして緊張の余り、
 ついテーブルの上の自分のコーヒーを
 零してしまう。

(SEキャピーン)

「あら、大変だわ。ズボンがコーヒーまみれだわ。
 すぐに着替えなきゃ。
 さ、欲じょ…じゃなくて、浴場にいきましょ。」

 当然この好機を逃す沙羅沙ではなく、
 亜光速の速さで有紀を浴場に連れて行き、
 ズボンを脱がせようとする。

「あ……!いや……ちょっと……や、やめ……!」

(ORISINAL SONG02.make me funkyA)
 自分が女である事がバレでは拙いので
 必死に有紀は抵抗するが、
 沙羅沙の妙技の前では
 有紀の抵抗は暖簾に腕押しの如く
 巧みに好かされてしまい、
 とうとうズボンが脱がされ、
 下着である褌をつけた
 あられもない姿が
 晒される事となった。

「ゴ…ゴメンなさい……。ボク…ほんとうは……」
(SEキラーン)
「あら、そうなの。
 でもアタイは貴方が女でも一向に構わないわ。」

 沙羅沙はあたかも
 有紀が女である事を知らず、
 ズボンを下ろしてから女である事を
 知ったかの如き口調で喋るが、
 無論それは大嘘であり、
 さっきも言った通り、
 一目見た時から有紀が
 実は女の子であるという事は
 とっくの昔にお見通しなのである。

「ささ、一緒にお風呂に入りましょ。」

「え?」

 唐突の沙羅沙の申し出に、
 ハァといった表情を有紀改めユキが浮かべる。
 本当であれば、
 ここで百合ん百合んな秘め事が
 行われる描写が入るのであるが、
 地上波、しかも公共放送なので、
 ここは後述のDVD版に収録される事になる。

<研究所内の客間>
(27 All the time)
 ところは再び研究所の客間に移る。
 そこには風呂でいい事を済ませて
 ホクホク顔の沙羅沙と
 ちょっとはにかみのてれを含んだユキがいる。

「やはりな。どうだ姫夜木、
 ワシの慧眼もまだまだ
 捨てたもんではなかろう。」

 その様子を見ていた魔窟堂は
 自分の慧眼を自慢げに大吾に話す。

 まあ、とりあえずは結果的に
 沙羅沙に口説かれた
 ユキへの折衝が実を結び、
 姫夜木研究所が対魔族の大作戦

「○秘ドッキリ特体生だらけの蝶大作戦ポロリもあるでよ」

 に参戦する事への交渉も滞りなくすみ、
 ユキは全学連本部に帰る事となったとさ。
 沙羅沙との再開を約して。



アイキャッチ
セトル=ジャン・ストニ(シェル・クレイル)
 「ん…?間違ったかな?……冗談だよ。」


アイキャッチ
如月 美夕(seeIn青)
 「大番長の如月厳美とは何か関係があるのかしら?」

<県立真田総合病院>
(ORISINAL SONG06.SANADA General Hospital)

 ところは移って真宿近くに存在する
 県立真田烏合病院が舞台になる。

 ここは数年前、院長である小笠原雄一と
 当時の婦長である山口えい子が
 秘密に開発していた新薬を巡る
 一連の事件にまつわる
 忌まわしき事件が起きた場所であり、
 現在その事件で死亡した雄一に代わり、
 当時の副院長である羽田遥一が変わって
 院長を務める事になっている。

 この事件が切っ掛けで
 須田大介を初めとする
 院長派の医師の半分が辞職し、
 一時は廃院の危機に陥っていたが、
 同病院に勤務している
 麻田たくみ・美緒(旧姓小笠原)夫妻、
 たくみの親友である
 遠山夢太郎らの尽力により
 何とか持ち直している。

 もっとも、若いユーザーにはDOSは無論、
 PC98時代のアリスソフトの事を言われても
 チンプンカンプンであろうが。
 現在、病院は魔族との戦いと
 周囲から訪問してくる魔族との戦いで
 傷ついた特体生の治療、
 対魔族用の新薬の開発、
 と正にハニーの手も
 借りたい程の状況である。

<真田病院の一室>
 ところは変わって病院の一室、
 ここでは部屋の主である
 女医の大島かおると、
 助手の様な存在として
 看護婦の山田明美と三浦ゆかがいる。

 元々二人はこの病院の患者であったが、
 明美の方は同質の患者である
 雨宮百合子が事件に関わる事での
 医療ミスによる死亡を装って
 殺された事が切っ掛けで
 キャバレーの姉ちゃんから
 看護婦にとらばーゆすべく
 学を学を重ねて1年後に看護婦になる。

 一方のゆかの方はと言うと、
 不幸のヒロイン病であるゆかは
 病院の空気がいたく気に入ったらしく、
 看護婦になる為の勉強をして
 
やった!資格取れちゃった!
 との事らしい。

 その3人が今ここで
 何をしているのかと言うと、
 今開発中の新薬の為の
 怪しさ大爆発な実験をしており、
 部屋の中はさながらコントで出てくる
 研究所の様な様相を呈している。

「なるほどほどなる。
 コンシューマ版はエロが無く、
 PC版はグリーンリバーな声がない。
 まさに二律背反アンビバレンツ、と。」

「作者のゲームプレイのポリシーは
 善人になりきるか悪人になりきるかだけど、
 悪人になりきると闘神Uではガメオベアになるから
 必然的に善人プレイになる、と。」

「どころで、さやかちゃん物語のリリースはまだですの?」

 という具合に開発は
 一応順調に進んでいるらしい。
 しかしここで新たに
 問題が浮上してくる事となる。

「困りましたわ。
 ついさっき実験用の物資が
 底をついてしまいましたの。
 ああ……不幸だわ。」

 と、ゆかがグチをブーたれる。

 それもその筈、
 この病院は他の勢力と比べて
 余りにも勢力規模が小さく、
 医療行為と薬品の販売による収入はあるものの、
 物資が潤沢とは程遠い状態なのである。

「確か全学連の総長斬真狼牙というボウヤは
 かなりエロスと聞いたわよ。
 ここはこの明美さんにお・ま・か・せ。
 アタシの色気と話術があれば
 物資の援助なんてチョロいもんだわ。
 ていうか、アタシ、
 Dr STOP!の本編でHシーンが無かったし。」
 と、ここでキャバレーの姉ちゃん出身の明美が
 一肌脱いで全学連から物資の援助をせしめ……
 もとい、援助を申し込みにいこうと提案する。

 くだけて言うなら色気で
 狼牙を篭絡して援助をせしめようという
 「明美さんのわっかい娘が
  オイロケウッフン大作戦」だ。

「そううまくいくのかしら?せ相手は全学連の総長よ。
 そんじょそこらのスケベオヤジとは訳が違うわ。」

「へーきへーき。
 あーいうタイプのオトコの落とし方は
 私が一番良く知っているわ。
 ダテに○年キャバ姉ちゃんはしてないわよ。」

 この後、明美は全学連で狼牙と交渉し、
 物資の援助をたんまりとゲットする訳だが、
 放送時間というオトナの事情が有るので。
 その場面は割愛いさせていただく。

<病院のVIPルーム>
 ところは移って病院のVIPに移る。
 そこには前院長の雄一が
 自分の研究の為の研究費を捻出する為に
 金持ち相手に作った特注の病室であり、
 現在は豪徳寺コンツェルンの会長にして
 全学連の十二闘神の一柱に位置している
 豪徳寺長十郎の半ば専属の病室になっている。

 そこでは豪徳寺の置いた
 私設看護婦数人が常時勤務しており、
 豪徳寺が持つ性癖を伺う事が出来るわいな。
 そして、そのVIPルームには、
 夢太郎とマッドサイエンティストの
 綺羅博士がいるわいな。

 何故この二人がここにいるのかと言うと、
 実は何も考えずに出した……というのはウソで、
 グラン・メサイアと並び称される
 巨大宇宙戦艦・芭蕉船を復活させようと言う
 プロジェクトを進めている途中である。

 とは言え、いかに芭蕉船が強大な力を秘め、
 対魔族との決戦に役立つ兵器とは言え、
 わいどにょなどを見ても
 「強力なキャラをフィールドに出すのに
 コスト等の非常に手間暇が掛かり、
 結局はコスト1〜2の小・中堅キャラを
 主力に頼ったゲーム展開となる。」
 通り、芭蕉船は復活させるにも、維持させるにも、
 また運用するにも巨大な労力がかかり、
 そもそも今となっては芭蕉船のネタ元の
 ぷろすちゅーでんとGをプレイしようにも
 同ゲームが非常に古いゲームであり、
 入手が極めて難しいのである。

「だが!!バッド!!しかぁ〜〜〜し!!!
 ビームとドリルと鉄槌と巨大戦艦は
 漢{おとこ}の浪漫!!
 ぬぁ〜にがあろうと
 必ず芭蕉船を復活させなくては
 男が廃ると言うもの!!!」

 しかし、豪徳寺の持説により、
 難色を示されていた
 芭蕉船の復活は続行される事となる。

「成程…確かに大戦艦とくれば、
 宇宙戦艦の時代から男の憬れですからね。
 私も一科学者として意欲が沸いて来ましたよ。」

「仕方が有りませんね。
 では、今後の予定は諜報組織・暁及び、
 上弦衆並びに火者の一族と提携して
 プロジェクトの推進に
 力を入れて行くと言う事で……。」

<全学連本部の前のマナナ畑>
(ORISINAL SONG03.Zengakuren)

 場所は変わって全学連に加盟してある
 全特体生組織を束ねる
 巨大特体生同盟の組織・全国学生連合、
 略して全学連の本部である。

 本部のある場所は『闘神都市』と呼ばれ、
 そしてその闘神都市の城郭の外には、
 人の背丈の高さ程のまななの草が生い茂っており、
 城の中からだともし敵が忍び寄ってきた場合、
 敵の様子が解らないという理由で
 全員でまななの草を刈り取り、
 敵の襲来に備える事となった。

 そしてある一角で全学連の総長である狼牙と
 諜報組織・暁から全学連に出向してきた
 幹部の藤原雲水がいた。
 
「ったーくよぉ、俺みてぇな若いもんが……どっこらしょ!!
 こんなところで…よっこいしょ!!
 何が哀しゅうて野良仕事なんてやってんだろうなっと。」

「ハハハ、ぼやくなぼやくな。
 もし敵が草むらに
 身を隠して夜襲でもしたら、
 いくら闘神都市と言えども
 無事ではすまんからな。
 それに大将たる者が自ら率先して
 前線に立つのと立たないのとでは
 皆の指揮が断然違うぞ。」

「そうか?まあ、俺としても、
 後ろでふんぞり返って色々指図しているより、
 常に前線にいた方がいいけどな。
 ところでよぉ、今何時だ?」

「ふむ……一時少し前だな。」

「腹が減ると思ったら、もうそんなに経つのかよ。」

 雲水の報告を聞いて、
 狼牙は途端にキュ〜と脱力系する。
 それもその筈、
 草刈の作業は炎天下の中
 朝早くから始まっており、
 狼牙と雲水はその間ずっとぶっ通しで
 草刈の作業を続けていたのである。

「どうりで腹の虫が鳴りやがると思ったぜ。
 なぁ雲水。アンタ何か食いモンでも持ってねぇか」

「食べ物か……そうだな、
 丁度いいではないか。
 このもぎたてプルプルの
 まななの実でも食してみるか?」

「はぁ?この実を食えってか?」

 まななの草になっている
 まななの実を食する様に勧められ、
 狼牙は半信半疑で雲水に問い返す。
 まななの実は外見は栗に酷似した実であり、
 一応食べられられなくは
 なさそうな代物ではあるが。

「男は度胸、何でも一度は食してみるものさ。」

「おうよ、そこまで言うなら食ってやろうじゃあんか。
 ほれパクっとな。」

 雲水の挑発伝説に載せられた様な形で
 狼牙はまななの実をごっつぁんする。

「こ…これは……」 

 一回食した瞬間、
 狼牙の口の中には満遍なく香ばしい食感が
 まったりとしてそれでいてしつこくなく
 自然に蕩ける様に広がっていく。
 その味はカレーの味に酷似しており、
 狼牙の味覚に快い刺激を与えている。

「おう!!こりゃあカレーみてぇで
 宇宙的にマンモスいけるじゃねえか。
 で、この実の名前はナンジャラホイ?」

「この実の名前か?
 これはマナナの実と言ってだな、
 伝承では……
 マナナとはカレーと幸運の守護神。
 火星救急書では元々彼女は
 一人の農婦にすぎなかったが、
 ネズミが囓る竜舌蘭の実が
 カレーの味をしている事を発見し、
 それを神々に紹介した。
 神々はそのお礼に彼女を女神にしたのである。
 だそうだ。
 だからその女神の名をとって
 マナナの実と称される様になったそうだ。」

「ああ、そうか。
 ……でよ、さっきかあ疑問に思ってたんだけどよ、
 アンタさっきから俺の顔を見続けてねぇか?
 俺はソッチ系のシュミはねぇぜ。」

「いや……なんと言うかね……
 君の顔は……遙けし昔の親友の…
 私の掛け替えの無かった
 朋友に似ているのだよ……。」

「そうか……。」

(35 Kamui @)
「ところで狼牙……君は千数百年前に起きた
 闇の氾濫の事を知っているかね?」

「闇の氾濫?ああ、知っているぜ。
 ただ、魔界孔で幻視{ヴィジョン}を見ただけだから、
 詳しくは判らねえけどよ、」

「そうか……。
 あの時の闇の氾濫の起こりは、
 京の魔界孔からだった……。
 魔界孔より無数の異形の魔族が湧き出てきて、
 大勢の人間が彼奴等の餌食となり、
 そのまま行けば確実に人類は魔族によって
 滅ぼされていただろう。
 だが、その時完全と立ち上がったのが神代狼牙……
 君と同じ名前を持つ斬真の先祖だ。」

「俺の……先祖?」

「ああ、そうだ。
 彼と、彼に付き従いし特体生……
 陰陽師 散位藤原朝臣清衡……
 光の結社・総長 ボルト=アーレン、
 法皇省の当時の法皇 アム=イスエル、
 武装の錬金術師 ユーロニア・ジュジュ=フェンダーソン、
 鴉丸…魔神…桜小路……
 それら七英雄を始めとするとする
 正義の光の特体生は無力さと絶望に喘ぎ、
 打ちひしがれていた人々を鼓舞し、勇気付け、
 そして遂には破滅の闇と
 魔界孔を退ける事に成功した。」

「そして今また破滅の闇とやらが
 世界を覆いつくそうとしている、と……」

「いいや、違うね。」

「へ?そりゃどういう事だ?」

「今回の敵は……全てを焼き尽くす破滅の光だ。」

「破滅の光?」

 破滅の光という単語を聞いて、
 一瞬狼牙は耳を疑った。
 何故ならたった今千年前に
 破滅の闇による人類滅亡の危機が有ったと
 聞かされた直後であり、
 そして狼牙の価値観は
 世間一般の価値観である
 『光=善 闇=悪』という価値観と
 大きく相違がある訳では無いからである。

「ああ、そうだ。
 元々我々が存在するこの世界は光と闇の
 二大元素がひしきめあって成り立っている。
 光は闇が、闇が光が無ければ存在出来ず、
 両者は常にひしめき合いながらも
 バランスを取りながら共存してきた。
 だが、常にそのバランスの崩壊を
 目論む輩がいるのも事実だ。
 『人の世の理を乱す者』『忍び寄る混沌』
 人はそれらの者を様々な名称で呼んでいるが、
 一度その二つの境界線が崩れ、
 一つに交わる事でそこには
 何も無い無の世界が生まれる。
 言う迄も無いが……
 我々はその様な行為を
 座視する謂れは毛頭存在しない、
 故に我々全学連が存在していると言う事を
 努々{ゆめゆめ}忘れてはならない、という事だ。」

「へ!!んなぁ事ぁ言われなくても判ってるぜ!」

「それは頼もしい事だ。」

 そしてそれから数時間経ち、
 すっかり空が朱に染まる頃には
 既に除草の作業はあらかた終了しており、
 狼牙は雲水と帰路についていた。

「なぁ、雲水?」

「何だろうか?」

「いや気にする程の事でもねぇと思うが……
 アンタ、さっきからサビシそうな面を
 していると思ってよ。」

「そ…そうか?
 それは…多分気のせいだろう。」

(21 dash to trush 〜unpluged〜)
 狼牙の指摘に対し、
 雲水は少し自嘲気味な
 皮肉の入った笑みで即答する。
 もっとも狼牙の指摘が
 正鵠を得ている事は、
 雲水の表情を見れば
 事実である事は明白であるが。

「狼牙…人間{ヒト}には誰でも一つや二つは
 何人にも譲る事の出来ない願いが有る。
 そう…喩え万人に悪と罵られ、邪と蔑まれ、
 世界の全てを敵に回す事になっても……。
 大事なものすら捨てなければならない……
 化物をも凌がねばならぬのならば、
 人間性すら捨て去る事が……な。」

「はぁ?」

「いや……今の発言は忘れてくれ。
 他愛の無いポエムの様なものだ。」

「そうか?」

<雲水の個室>
 ここは藤原雲水の個室である。
 そこには夕食も終え、
 一人静かに物思いに耽っている雲水がいる。

「朋友{ポンヨウ}よ……
 お前は一体…何の為に……
 犠牲になったというのだ?
 私には……全く理解らん……。」

 そう悲しげにつぶやきながら、
 雲水は朋友と共に戦った時の記憶を
 脳裏に浮かべていた。
 雲水と朋友は既に満身創痍になりながらも
 迫り来る魔族の群れを相手に
 一歩も引かずに渡り合い、
 そして殲滅に成功する……。

  だが……

「何故だ!!?何故お前一人が犠牲にならねばならんのだ!!?」

「仕方が無いだろう。
 これは俺にしか出来ないんだ。」

「し…しかし……!!?
 だからと言って何故お前一人が
 犠牲にならなければ……!!?」

「後は……任せた……。」

「待て!!待ってくれ!!」

「……はっ……!?」

 雲水はふと悪夢から目を覚ます。
 どうやら今までの回想は
 昔の出来事が悪夢として
 夢の中に出てきた事であり、
 それに魘されていた様である。

 額や頬には少なからぬ
 冷や汗が噴き出しており、
 雲水の自分の過去に対する心中を
 容易に察する事を可能にしている。

「また…あの時の……。」

 そう一言呟くと雲水は茶をいれ、
 窓の外を眺めながら優雅に飲み干す。

「朋友{ポンヨウ}よ……」

 そして、夕焼けの空に場面が移り、
 徐に上方にフェードアウトしていく。
予告
湯奈沢慶「全学連で行われる定時会合。
      そこに集まる諸組織の思惑。
      全学連は果たしてそれらの組織の意見を纏め上げ、
      会合を成功させる事が出来るのか!!?」
阿寒湖まりも「次回大番長AA『第一章そのニ 
     「会合は会議室で起きてるんじゃない!!体育館で起きているんだ!!」
』」
狼牙軍団全員「立てよ人類!!

今週の特体生
七荻鏡花(夜が来る!)
体力 経験 信頼 距離 気力 攻撃 命中 回避 治安 収益 給料
37 46 普通 47 114 62 40 35 30
スキル 属性 対属性
サトリ 黒魔 魔族
サトリ(気力消費2)〜絶対回避・絶対命中。

後書き
今回は色々な組織の色々な日常を
描いてみました。
後ちょっと伏線も張ってみました。
いつ回収されるのかは分かりませんが。

次回の定時会では色々なキャラを
ちょっとずつ出していきたいと思っています。
ふと思ったのですが、
狼牙がスターシステムでランスに出るとしたら
沖田のぞみの同僚の
斬真狼牙改め斉藤狼牙になるのでしょうかね。

狼牙(以下R)
「どこの悪即斬だよ?
 つーか何気に俺も伏線に関わってるんだな。」

管理人(以下K)
「ところで狼牙の髪の毛は武器にもなるのかい?」

R「ハァ?いきなり何を言い出すのかと思えば。

K「いや、男を磨く私塾兼私学の死天王が
  『伊達や酔狂でこんな頭してるんじゃねえんだ!
  とか言ったりしてるし。」

R「まんま卍○じゃねえか。」


苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://shin-yaminokai.jp/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。


本陣へ撤退
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撤退
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