真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}続・聖夜の天使達

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第 三話「剣と稲妻」

<−中西剣道道場−稽古場>
(05 Dash! To BattleA)
はいっ!」

でゃああ!」

 暗黒鳳凰団との戦いの日々の最中、
 今朝もエクレールは木剣を手に胴着を纏い、
 中西剣道と向かい合う。

 剣道とは前の戦いで知り合ってから、
 今では一緒に剣の稽古をする仲となっている。

 身体を捻りつつ左片手平突きから平薙ぎ。
 そしてその回転の勢いを利用した回し蹴り。

 軽量のエクレールが好んで使用する連撃である。

 迎え撃つ剣道は、全身の筋力と体重と回転力を
 十二分に込められたそれを二刀の木刀で落とし、
 防いでいく。

せぃ!」

 剣道が撃ち込んだ面を、斬り上げで防ぐ。

 木剣と木刀の激しすぎる凌ぎ合いで、
 刀身が悲鳴を上げ、煙を吐き出す。

えぇいっ!!」

 大きく踏み込んだ後の直線的な斬撃。
 それを皮切りに始まるエクレールの連撃。

 連撃を捌きつつ、生まれる隙に
 もう一方の木刀で重厚な一撃を叩き込む。

 相手の隙を作る瞬間、相手の反撃がし辛い瞬間……
 剣道はそれらを片時も見逃さなかった。

「くぅッッ……」

 連撃の合間にかする斬撃に顔を顰めつつも
 エクレールの連撃は止まるところを知らない。

でぇぃ!」

 エクレールの連撃が生んだごく一瞬、刹那の隙。
 その隙を剣道は見逃さなかった。

てぃっっ!」

 下手すれば病院送りになりかねない、
 鳩尾への重厚な足先蹴り。

 エクレールは辛うじて膝で捌くが、
 その事が体勢の崩れを誘発する。

 無論、その隙を見逃す剣道ではない。

えぁぁっ!」

 渾身の一撃。それで勝負は決した。



<−聖城学園−食堂>
(08 Make me funky)
 聖城学園の食堂。前はそれ程広くは無かったが、
 全国制覇による生徒数の激増で、かなりの増築がされている。

「まあ、割といい線いってたよ。最後の蹴りが捌かれてたら
 どうなってたか。」

 マリーシアの治療中、と言ってもバンドエイドを貼るだけであるが、
 剣道が稽古の詳細をマリーシアに熱く語る。

「もっと速く……何よりも速く……動けたら……。」

 食後のお茶を飲みつつ、エクレールがぶつぶつ呟く。
 マリーシアと剣道の話はどうやら馬耳東風らしい。

「エクレールは………強くなったんですか?」

「ん〜、大分強くなったんじゃない?」

「剣道……。」

 思い詰めた様に、剣道に話し掛ける。

「一休みしたら、また稽古しませんか?」

「うん……いいけど。」



<−中西剣道道場−稽古場>
(27 All The Time)
 中西家の道場。現在の中西家の家長は中西武道という老女傑で、
 中西姉妹は幼い頃からここで武道に師事し、鍛錬を積んで来た。

 ここでエクレールは稽古前の掃除で
 道場の床を雑巾で拭いており、
 弓道がそれを手伝っている。

「あ……剣道。」

「あれ、エクレールに弓道?」

「ご免なさい。掃除、始めたばかりなんですの。」

「少しの間だけ、待ってていただけますか?」

「アタシも手伝うよ。」

 躊躇無く、屈託の無い返事で剣道が答える。

「お気持ちは嬉しいのですが……
 昨日は剣道の番でしたし、大丈夫ですわ。」

「弓道も手伝って下さっていますし……。」

「うん。」

 エクレールの言葉に、弓道が頷く。

「いいって。暇なんだし。」

「じゃあ。……お願いしますわ。」

 数刻の後に掃除が終了し、二人は木刀を構える。
 道場は、エクレールの生真面目な性格を表すかの如く、
 極限にまで磨き上げられている。

(05 Dash! To BattleA)
「はぁっ!」

 剣道の眼前に、エクレールの鋭い斬撃が飛び込んでくる。



<−中西剣道道場−稽古場>
てぇや!」

はぃ!」

 数時間ぶっ続けの稽古で、互いの木刀の切れ味も漸く鈍ってきた。
 五体は鉛の如き重さを主張し、休息を欲求する。

 だが、研ぎ澄まされた神経は、空気の流れのごく微妙な異変にすら
 見落とすまいと張り詰めている。

 剣道の小さな動きによる空気の流れを見逃さず、
 エクレールが剣道の喉元と脚に同時攻撃を仕掛けてきた。

 それを踏み込みで交わし、体を捻って背後から薙撃を繰り出す。

「くぅっ……!」

 エクレールは、間一髪それを交わし、薙撃を打ち込む。

 それを剣道は紙一重で交わした……が、交わしたと思ったそこから、
 更にエクレールの剣先がひと伸びした。

(SEザンッ)

 鋭音を立て、エクレールの剣先が剣道のこめかみに赤い筋を作り、
 紅の雫が磨き上げられた道場の床を赤く濡らす。

 皮膚が裂けるだけの浅い当たりの割には、出血は多い。

「……!!」

 その瞬間、我に帰ったエクレールに、
 剣道は続行を促す。

「大した傷じゃない。続けようか。」

「え……?は……はい!」

 多少多い出血だが、目に入る位置でもなく、
 戦闘に支障が出る程の出血でも無いと判断し、
 軽く傷口を拭い、構えを取った。

 この日、剣道とエクレールは日が暮れるまで稽古を続けた。


<−中西家−居間>
(27 All The Time)
「剣道……!!大丈夫ですか!?」

 手に持っている手拭いに滲んだ血の量を見て、
 マリーシアが顔面蒼白になり、開口一番に剣道の傷を心配する。

「大丈夫だよ。血は止ったし、それ程深い傷って訳でも無いし。」

「あの……ゴメン……やったの、ボクなンだ……。」

 エクレールが申し訳なさそうに説明する。

「そ……そうじゃなくて……。」

「こんな時間じゃ病院は……閉まっているし……。」

「マリーシア、取り合えず、落ち着いて。」

 手で両肩を押さえ、取り乱しているマリーシアを
 落ち着かせようとするエクレール。

「エクレールも傷だらけになって……」

「え〜と……救急箱は……。」

「ボクは……大丈夫だよ。これくらいなら……。」

「アタシも大丈夫だって。」

 二人共、自分達の傷が大した事無い、という事を
 アピールする。

「ダメ!!」

 だが、マリーシアは二人の傷を
 深刻なものと受け止めており、
 病院に行く様に強く言う。

「二人共、朝一番で病院に行って
 お医者様に見てもらいますからね!」

「う、うン……。」

「ああ……判ったよ……。」

 いつになく、強気に出るマリーシア。
 その気迫に、二人は断るに断れなかった。



<−中西家−風呂場>
 中西家の風呂場。そこで剣道とエクレールは
 稽古の疲れを癒していた。

「ふぅ……生き返りますわね。」

 丁度、エクレールが剣道の背中を流しているところである。

「そうだね。でもちょっと熱くない?」

「そうかも……しれませんわ。でも、疲れている時は
 熱い方がいい、と聞いた事が有りますし……。」

「そうかなぁ?」

「ん……どうしたんだ、エクレール?」

 自分の胸元に向けられているエクレールの視線を感じ、
 質問を投げ掛ける。

「ううん、剣道って……胸が大きいなって……」

「え?そうかな?」

 一瞬頬を紅潮させ、テレ笑いする剣道。
 だが、実際に剣道の胸のサイズは、
 狼牙軍団の中でも十指に入る大きさを誇っている。

「肌も綺麗ですし……。」

「私も……もう少し大きい方が……」

 自分の胸元と見比べるエクレール。
 まあ、お世辞にもとても大きい、と言える様な胸ではない。

「そんな事ないよ。エクレールだってスベスベお肌じゃないか。」

「剣道の方も綺麗ですわ。しっとりしてて、きめが細かくて……。」

 背中を触りながら、剣道の肌の感想を述べる。

「揉めば大きくなるんじゃない?」

?」

(18 comical)
 全く予想外の返答に、漫画の様に
 目を点にして戸惑うエクレール。

「揉んであげるよ。」

 隼の如き素早さで、エクレールの背中を取る。
 流石剣道、只者では無い。

ちょ、ちょっと……剣道……」

「ん〜、可愛い胸だねぇv」

 エクレールのささやかな胸を愛撫する。
 同時に、指で乳首をいじくっているのがポイントか。

「だ、ダメェ…やめて……あぅっ……」

 剣道に胸を攻められ、少し悶える。
 少し……悶える……。多分、少しだけ。 

「きゃふ……。」

 更に揉まれ、全身に快感が走る。

(SEカラン)
「ん?」

 風呂場の壁についてあった石鹸入れを支えてあった吸盤が、
 石鹸入れの重さに支え切れずに石鹸入れを落とす。

 その音を聞いて剣道は一瞬意識を逸らす。
 だが、エクレールはその一瞬を逃さず、
 剣道の後ろに回りこむ。 

隙あり!!

 剣道の後ろに回りこんだエクレールは、
 一瞬のうちに剣道の胸に手を回す。

 それは、組み技主体の格闘家同士が
 格闘している様に見える……かもしれない。

「逆襲しますわよ、剣道。今まで揉まれた分……
 たっぷりと揉み返して差し上げますわ

「え?」

「えい、えい!どうです、参りましたか?」

「ひゃう……エクレール……」

 こうして、剣道とエクレールの入浴は三十分以上続いた。


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退