真・闇の会夢幻格闘化計画{Dream Duel Project}続・聖夜の天使達

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第 二話「エクレール〜旅立ちの日」

<−エクレールの夢の中−>
(35 Kamui @)
 ゆっくりとエクレールに近付いてくる少女の輪郭。
 その少女……イデア。

 エクレールからは、シルエットの様な輪郭だけで
 詳しい姿は見えない。

「こんにちは、エクレール。」

「誰……?一体誰なんです?」

「あたしはイデア……。
 エクレールの為に生まれてきたの。」

 口に手を当てて、クスッと笑う。

「私の為……?」

「そう、あたしはエクレールの為だけに
 生まれてきたンだよ。」

 エクレールの夢の中で、徐々に強まる光。
 その眩しさに、思わず手をかざし、目を閉じる。

「エクレール……エクレール……。」

「目を閉じちゃ駄目。エクレール、もうすぐ逢える。」

「だ……れ……。」

「あたしはエクレールの為に生まれた、エクレールと
 同じ存在。」

「私と……同じ……?」

「あたしはエクレールの為だけに生まれた。エクレールだけの為に。
 だってエクレールは…エクレールは………。」

 そう言うと、光に包まれる様に消えるイデア。



<−NAGASAKI・スラム街の教会−>
(27 All the time)
 某月某日、秘密結社・暗黒鳳凰団との戦いに備え、
 旧メンバーを集めていたマリーシアは、
 エクレールが働いている孤児院にやってきた。

「ふぅ、ここに来るのも久し振りね……。」

 孤児院の前で掃除をしている孤児達。
 その中の一人の少女、エミリーがマリーシアを見つける。

「あ、マリーシアだ……。」

 エミリーは、マリーシアを見付けるとすぐに
 手を大げさに振って迎える。

「久し振りですね、エミリー。」

「ところで、エクレールはいますか?」

「うん。いるよ。」

 エミリーが屈託の無い笑顔で答える。



<−NAGASAKI・孤児院の礼拝所−>
(21 dash to trush 〜unpluged〜)
 礼拝所で、定期の祈りを捧げているエクレール。
 
「エクレールぅ〜。」

 そのエクレールに、マリーシアの来訪を告げる為、
 エミリーは祈りを邪魔しない程度の声で呼びかける。

「エミリー。どうしてここに……。」

「お久し振りです。」

「マリーシア……。」

 突然の来訪者に、喜びと驚きを隠せないエクレール。



<−NAGASAKI・スラム街の教会−>
(23 silence..)
 スラム街の教会の礼拝所。そこには中年の神父・ジャンと
 一人の女騎士、神風戦士ダルクがいる。

「しかし……変われば変わるものだな。
 悪魔と恐れられ、忌み嫌われたジャンが神父とは……。」

 その言葉に、苦笑で返すジャン。

「フ……昔の話さ……。ジャ……いや………
 今は神風剣士ダルクだったな……。」

「ああ……。」

「君も、昔に比べてかなり柔らかくなっているじゃあないか、」

「フッ……そうだな。」

 口元に少し皮肉と自虐を含んだ苦笑いを浮かべるダルク。

「ところで……。」

「エクレールを連れて行くつもりかね?」

 人差し指でずれた眼鏡の位置を調整しながら問う。

「ああ。今回の戦いには是非あの娘{こ}の才能が必要なのだ。」

 溜息をつきながら、ジャンが言うには……。

「君は……以外と人を見る目が無いね。」

「あの娘{こ}は……
  エクレールは所謂{いわゆる}天才などでは無い。」

「何?」

 予想外の答えに、少し意外な顔つきでジャンを見る。

「彼女は、極普通の女の子なんだ。」

 天井を仰ぎながら、更に続ける。

「もし、彼女が天才に見えるとしたら、
 それは彼女の努力の賜物さ。」

「あの娘{こ}は……たった一つの目標の為に、
 それこそ血の滲む様な努力を積み重ねてきたんだ。」

「目標?」

「そうだ。」

「君と云う……神の光{ディヴィニテ リュミエール}を見る為に……。」

「ジャン……」

「……エクレールの元に……連れて行ってくれ。」

 ダルクがジャンを見ながら、静かに……
 しかし熱く懇願する。

「ああ。」



<−NAGASAKI・スラム街−>
(21 dash to trush 〜unpluged〜)
「……という訳なんです。だから、もう一度
 剣を……。」

 暗黒鳳凰団の事を包み隠さずに放すマリーシア。だが……

「ごめンなさい……。誘ってくれたのは嬉しいンだけど……
 ボク、行けない……。」

 辛そうな面持ちで拒否するエクレール。

「エクレール……。」

「謝らないで。行けないなら、それでいいんです。」

「でも、何で行けないんですか?」

「この街には……あの子達には
 ボクが必要だから……。」

 エクレールが横を見ると、孤児院の孤児達が
 スポールブールをプレイしていた。

 皆、楽しげにプレイしているのが分かる。

「だから……いけない……。」

 エクレールが悲しげに呟く。

「エクレール……」

「判りました……。」

「ごめンなさい……。」

 その時、スラムのどこかで悲鳴が聞こえた。

「きゃあ!」

「何!?何が起こったんです?」

 素早く愛剣を取り、臨戦体制を取るエクレール。

「大変だよ!広場に魔物が現れて、
 みんなが襲われているの!」

 取り乱しながら、エミリーが状況を伝える。

「それで、広場は何処です!?」

「三丁目の真ん中よ!」

「行きましょ、エクレール!」

「うン!」



<−NAGASAKI・三丁目の真ん中−>
(07confront the enemy)
【デスマッチ マリーシア、エクレールvs魔族】

(21 dash to trush 〜unpluged〜)
 戦闘後……何とか魔族を撃退したエクレールとマリーシア。

「ふぅ……何とか怪我人も無く撃退出来ましたね。」

「マリーシア……ありがとう。」

「でも、なぜ今頃魔族が……」

 魔界孔が封印されて、決して有り得ない筈の魔族の出現に
 一抹の不安を感じるエクレール。

「これも、最近の魔界孔の兆候でしょうか?」

「ねぇ、エクレール……。」

 エクレールとマリーシアのやり取りの一部始終を
 見ていたエミリーは、意を決した様に
 エクレールに話し掛ける。

「何ですの、エミリー?」

行って!

「行って、エクレール!」

「エミリー……。」

(30 Big Bang Age)
「だって……」

「だって、今のエクレール、とってもステキだった!」

キラキラ輝いて見えたもん!

 テレながら、更に話を続けるエミリー。

「何て言うか……あの……」

エクレールが女神様に見えたの!!」

 エクレールが前を見ると、そこにはエクレールの鎧一式と
 愛剣を持った子供達がいた。

「私達なら大丈夫!!」

「そうだよ!」

「だから、マリーシアと一緒に行って。」

「そして……神の光をあたし達に見せて。」

「みんな……。」

 子供たちの力強い瞳の輝きに、
 目尻に涙を浮かべるエクレール。

「ええ……いいですとも……!」

「マリーシア……。」

 振り返りながらマリーシアに語り掛けるエクレール。
 その姿は、エミリーにはまるで女神の様に見えていた。

「マリーシア、ボク、行くよ。」

「大切なものを守りたいから……」

「だから、ボク……戦う!」

 そう言うと、鎧一式と愛剣を子供達から受け取り、
 マリーシアに微笑む。

「有り難う、エクレール……!」

 その様子を遠くから見ているダルクとジャン。

「うむ、それでいい。」

「ああ……そうだな。」


本陣へ撤退
本陣へ撤退
撤退
撤退