「という訳でだ。ところで、どうしようか……この木偶の坊のお面?」
豪が見た先には神化体、即ちルシェルドの顔面部分があった。
未だに邪悪なオーラを放っており、
放っておけばまた災厄が齎{もたら}されるのは
火を見るより明らかだった。
「放っておいても悪用されるだけだし……」
「今日はクリスマスだ。一丁必殺技披露会といくか。」
手に指を鳴らしながら提案する豪。
「いいねぇ。」
嬉しそうな顔付きで同意する狼牙。
≪必殺技披露会≫
「フレー!!フレー!!R・O・U・G・A!!」
二階堂光弘と加倉井潤の大応援が
狼牙軍団を鼓舞する。
「何せ、オイラ達はここで出なきゃ
出番ほとんどナッシングだからな!」
「同意……キャラクリくれ……。」
「それがダメならエピローグをくれ!!」
「エピログねぇ!」
「スキルもねぇ!」
「「キャラクリチェックは何物だ!!?」」
『ろうがぐんだんはこうげきりょくが50アップした』
「ウルフ……ファング!!」
「終焉りだ!!」
斬真兄弟によるウルフファングと豪烈拳の筋肉ドッキング技!!
『かいしんのいちげき!ルシェルドに
500ポイントのダメージをあたえた』
「ま〜ちゃんごーごーなのだ〜!!」
クレオ・アリパのタトラタータがヒットしてけつかる!!
『ルシェルドに102ポイントのダメージをあたえた』
「いっくよ〜!!」
堂本瑞貴の貧乳ファイヤーパンチ泳法が炸裂!!
『ルシェルドに108ポイントのダメージをあたえた』
「ターゲットスコープオープン……全弾発射せよ!!」
桐原武士のレオパノレドソが火を吹く。
『ルシェルドに123ポイントのダメージをあたえた』
「お覚悟!」
無銘あいくちのケジメの一刺しが貫かれる!
『ルシェルドに103ポイントのダメージをあたえた』
「こうなりゃ……自棄{ヤケ}だぁ〜〜〜ッッ!!」
葵我門が、何と!人間砲弾で特攻する。
『ルシェルドに89ポイントのダメージをあたえた』
「おら!食えショーコ!」
「どんどん食べな!」
「ふぐっもがが!」
「いくよサキ!」
「せーの」
「うりゃ!」
宮里軍団の起死麻虎{きしあさこ}が喰らわされる。
『ルシェルドに280ポイントのダメージをあたえた』
「死ねやゴルァ!!」
崎村竜二のアイアン・ドンキホーテが疾走する。
『ルシェルドに116ポイントのダメージをあたえた』
「ハジける!!」
成瀬ユキのボーボボーン!がハジける。
『ルシェルドに50ポイントのダメージをハジけた
ルシェルドはハジけている』
「拍手で迎えるが良い!」
河野美潮の超絶悶々錐揉みシュートが繰り出される。
『ルシェルドに109ポイントのダメージをあたえた』
「行くぞアイレーン!!」
「了解!!」
「「主よ……裁きを下し給え!!!!」」
バイラルとアイレーンのサウスクロスフェニックスが斬り込まれた。
『ルシェルドに250ポイントのダメージをあたえた』
「頼むよ弓道!」
「お姉ちゃん!」
「う〜ん…」
「おりゃぁ!」
中西流の秘儀、霞門超大砲{かもんちょうたいほう}が発射される。
『ルシェルドに230ポイントのダメージをあたえた』
「遅れるなよ!」
「誰が!」
「そい!」
「へっ!ふっはっ!」
「とどめ!」
毛利尊賢&尊拳の高等の小覇王が教え込まれる!!
『ルシェルドに200ポイントのダメージをあたえた
ろうがぐんだんのかしこさが100アップした』
「二人のこの手が!!」
マリーシアの力がエクレールの愛剣に込められる。
「幸せ掴めと轟き叫ぶ時!!」
そして、エクレールが愛剣でルシェルドに斬りかかる。
「「闇は葬られる!!」」
「UVOAAaaaaaaaaaaaaaaaaa……!!!!」
エクレールの一撃を受け、ルシェルドは為す術無く
闇に葬り去られた。
「むぅ……あれが……世に聞く永遠の愛{エテルネル・アムール}!」
「何だそりゃ?」
真顔で訳の分からん事を呟く豪。
そんな豪にハァ、な顔の狼牙。
「俺がたった今命名した。」
「なんじゃそら!!」
狼牙の突っ込みの拳。
だが、豪はそれを軽やかに、
そして優雅にかわす。
「ふっ……同じものを毎回毎回喰らうとでも思ったか。」
突っ込みの拳をかわした豪は
前髪を掻き揚げる仕草をする。
「……」
「とりあえず、捕えられている女の子達を
助ける方が先決なんじゃねぇの?」
思い出した様に兵太が提案をする。
「おお、そうだったぜ!」
狼牙達は、囚われの少女達を助け出した。
「ところで、アンタの祖父ってどんな人だったんだい?」
シャイラがDrラグナロクの口から出た、
匡一郎の祖父重明{しげあき}について唐突に聞く。
まあ、唐突に。
「ん……そうだな……。」
「母に聞いた話だが、祖父重明{しげあき}はあの後、あの忌わしき大戦後、
敗戦で取り残された日本兵と共に敵国に囚われたんだ。」
「想像を絶する悪条件下での強制労働により、
多くの者が死んでいったと云われている。」
「まあ、祖父の収監された収容所だけは、祖父の医師としての
活動のおかげで1人も死者を出さなかったらしいが。」
「だが、祖父は日本に帰る機会が幾度も
有りながらも、この地に骨を埋めた。」
「何で?」
兵太の当然といっちゃあ当然の質問。
「収容所は辺鄙な場所に有るからな。目ぼしい薬品が中々こなかったそうだ。
祖父は日本人捕虜だけでなく、収容所の看守達の為にも
この地に留まり続けたんだ……。」
「母はそんな重明{しげあき}を誇りに思う、と
俺に聞かせてくれたものだ……。」
そう言う匡一郎の横顔は、
どこまでも祖父・重明{しげあき}を
誇りに思う気持ちに満ち溢れていた。
<−パーティー会場−>
(Original Song01 永遠の愛{エテルネル アムール}〜unpluged〜)
会場では既にコンサートが始まっており、
それを見にきた観客の熱気で会場が包まれている。
マリーシアが戻ってきた時、
聖歌隊のメンバーが勢ぞろいしていた。
既にコンサートが終わっているはずなのに、
観客はコンサートを待ちわびている様だった。
何故なら、ジャンの計らいでマリーシアが来るまで
コンサートの時間をずらす事に決まったからである。
「アイヤ〜、もう待ちくたびれたのことアルよ。」
暇を持て余していたリンファが欠伸をしながら言う。
「マリーシアがいなきゃ、やっぱ締まらないンだな。」
マリーシアの存在意義について熱く語るタニヤ。
「『一人はみんなの為に、みんなは一人の為に』
さっきも言っただろ?」
マリーシアにそう諭すレニ。
「早くみんなで歌うがや。」
早く歌いたくてウズウズしている
落ち着きの無いアイシャ
「槍が降ろうと、鉄砲が降ろうと、舞台とお客さんが
いればミー達は幸せザンス。」
リュミエールが気取った言い方をする。
「さ、舞台へ上がるぜよ。みんな待っとるきに。」
セルフィがマリーシアに
舞台に上がる様に促す。
「みんな……有り難うございます……
有り難うございます……!」
「では…今年、オペラ界で一番輝いた歌手に送られる
『デイム』の称号を贈られる聖歌隊の歌……」
「作詞・エクレール、作曲・マリーシア
『永遠{とこし}えの愛{エテルネル・アムール}』……」
聖歌隊が観客に語り掛ける。
「大切な家族と仲間に……」
「優しい友達と、守ってくれた……優しい人に……」
「色んな大切な人達に……」
そして、マリーシアが一際透き通る声で……
「それから……世界で一番大切で愛しい貴女{あなた}へ……」
「いままで過ごした思い出と……魂{こころ}の全てを
この歌に込めて……。」
「……聖歌隊……唄います……!」
<−舞台裏−>
「マリーシア……。」
会場裏の、埃が溜まった舞台裏。
終わりを告げつつあるクリスマスパーティーを眺めつつ、
人気の無いそこに剣道とエクレールはいた。
「マリーシア……綺麗ですわね。」
マリーシアの歌が流れ出す。
綺麗で、優しく、そして、限り無く暖かい歌が……。
「そうだね……綺麗で……優しくて……
いい……歌だよ。」
「護れましたわよね……私達……。」
「うん……。」
光溢れる聖なる夜。何時の間にか外には白雪が降っていた……。
<−NAGASAKI−孤児院>
(25 Warm glow)
パーティーも終わり、午前三時くらいの深夜の孤児院。
サンタクロースの格好をしたマリーシアとエクレールが
煙突の上にいる。
ちなみに、トナカイはねこ番長がやっている。
「にゃんで猫がトナカイの真似をする必要があるニャ……」
とボヤいていたらしいが。
「ねぇ、マリーシア……。」
「何ですか?」
「前の時にマリーシア……言ってくれたよね。」
「自分自身でやりたい事は何かって……。」
「ボク、あの時からずっと考えたンだ。」
「考えて、考えて、ボク……
聖歌隊に入る事に決めたンだ!」
月夜を見ながら、エクレールが夢を語る。
その目は、夢に向かって突き進む少女の目だった。
「エクレール……。」
「そろそろ……時間だよ。良い子のみンなに
プレゼントを配らなきゃ。」
エクレールがプレゼントの詰まった袋を担ぎ、
マリーシアに向かって微笑む。
「ええ。そうですね。」
<−NAGASAKI−孤児院>
午前四時あたりの 深夜の孤児院。
……全てのプレゼントを配り終えた三人。
ちなみに、三人目は外にいるねこ番長である。
「前の『聖夜の天使達』ではうっかり三人って書いたから
きっとそのフォローにゃ。」
とねこ番長はボヤいていたらしいが。
「ふぅ、やっと配り終えましたね。」
一仕事終え、一息つくマリーシアとエクレール。
「うン。」
「マリーシア……。」
少し照れくさそうにマリーシアに語りかけるエクレール。
頬は少々赤くなっている。
「何ですか?」
「ありがとう……。」
「キミやみンながいたから……
ボクは…ボクは変われたンだ……。」
「ううん。私達は切っ掛けを与えただけ……。
変われたのは……あなた自身の力です。」
エクレールに対し、満面の微笑みで応えるマリーシア。
「有り難う……マリーシア……。」
一時間後、壁に座り込んでうたた寝をしている
マリーシアとエクレールを発見する扇奈。
「こんなところで寝ていると風邪を引きますよ。」
そして、優しい微笑を浮かべ、二人に毛布を被せる。
今は……優しい月の下でお休みなさい……。
聖なる夜の……天使達。
(Original Song02 永遠の愛{エテルネル アムール})
≪スタッフロール≫
≪エピローグ≫
バイラルとアイレーンは一人娘のジャンヌをもうけ、
女房関白で亭主は尻に敷かれているものの、
それなりに幸せな夫婦生活を送っている。
エクレールとは、時々手紙をやりとりしているらしい。
ジャネットは、神風戦士ダルクとして活動を続ける傍ら、
ダルク不動産の経営に勤しみ、
暇を見てはエクレールに剣の稽古をつけている。
崎村竜二は、チーム「アイアン・ドンキホーテ」を率い、
各地のモトクロスレースに乱入しまくっているという。
ただし、やはりアンパンが無ければいけないらしい。
加倉井潤は、ヒヨコの鑑定士の資格を取り、
その手の業界に入ったという。
時々ヒヨコが減っている謎の現象が有るが……。
二階堂光弘は、何故か魔窟堂野武彦に弟子入りし、
オタク道を極めんと日々研鑚を積んでいる。
取り敢えずの悩みは、時々隣の沙羅沙の部屋から洩れる
沙羅沙とまりもの喘ぎ声が悩ましくて寝られない、
という事くらいらしい。
エクレールは聖歌隊に入り、マリーシア達と一緒に
恵まれない良い子のみんなの為に各地を回っている。
行く先々で黒山の人だかりが出来、
エクレールの育った孤児院は、
NAGASAKIのちょっとした名所となる程の盛況振りだそうである。
取り敢えずの悩みは、孤児院前に押し寄せてくる
「エクレールファンクラブ(ほぼ全員が女性)」への
対応らしい。
ちなみに、エクレールとマリーシアの仲が
恋人関係にある、というのは半ば公然の秘密だという。
後書き
取りあえず、ホーリーフレイム編を
補完しようというコンセプトで作りました。
所々で昔のアリスゲーのネタを散りばめてもいます。
後、このSSを書く原動力となったのは、
ズバリ『エクレールへの愛{アムール}』です。
少々暴走しすぎて、SSが変な方向に
走ったりしているきらいが有りますが……。
是非、エクレールを仲間にしてコンシューマー化……もとい、
コンシューマー化かリメイクでエクレールを仲間にしたいものです。
いずれは第六話に出た「ミス聖城コンテスト」も
書いてみたいと思います。
苦情などの感想はここへどうぞ。
また私の妄想に満ちたサイトは
http://homepage3.nifty.com/shin-yaminokai/
となっております。
よろしかったら是非遊びに来て下さいませ。 |