徳川慶寅の腹違いの兄。
劍術の腕では弟の
慶寅に遙かに及ばず、
更に性格は兇暴かつ殘忍な性格で、
子供の頃から生き物を傷付けたり殺したりするのや、
弱い者苛めが好きだった。
慶龍は元來何の才能も無い落ちこぼれで、
才能溢れる連中に對して限りない憎しみを抱いていた。
そして、力を得る爲にあらゆる手段を取り、
其の爲には母方の壹族をも裏切ってきた。
父の家治が死んだ日、龍也は壹粒の涙も見せずに
慶寅に冷然と言い放つ。
「親父は弱かった。だから暗殺された…。力に負けたんだ。
だが俺は違う……!
俺は力の有る者になってやる!…どんな手段でも構わない。
どんな事をしてでも強大な力を手に入れてやる。
そして世の中の屑共をアッと言わせてやるぜ。
…親父は將軍でありながら、結局は力に潰された。
とどのつまり、親父は世の中が必要としなかった屑なのさ。
だったら俺は潰す者になってやる!!
生きる價値の無ぇ屑共を片つ端からバンバンブッ潰してやるんだ!!」
現在、
慶龍は幕府内で老中として獨自に
「古壇{ぶるだん}計劃其の壹」「古壇{ぶるだん}計劃其の貳」及び
「五尾惡{ごびあ}計劃」を推進している。
ちなみに、
慶龍も天草やミヅキ同樣に手段を選ばないが、
そのやり方は
貳人の比では無い。(正に文字通り「手段を選ばない)
慶龍の性格は執念深く自己中心的かつ利己的で身勝手、
冷酷非道で横暴尊大、猜疑心が人壹倍強く、強きを助け、弱きを挫き、
奸智に長けており、他人を騙す事や陷れる事に關しては天才的、
更に死というものに對して人
壹倍恐怖心を抱いてをり、
自分が一番強くなり不老不死を得れば誰からも脅かされる事も
苛められる事も無くなると思っている。
ちなみに
慶龍の師匠は
慶龍を「我が壹門の恥」と呼んで忌み嫌っている。
慶龍は、其の性格から例へ死んでも誰からも悼まれる事無く、
寧ろ兩親や師匠にすら早く死ねばいいと思われており、
(しかも自業自得)本人も其を知っている。
其の爲に彼の生來の捻くれた性格は、
更に救い樣が無い程に捻じ曲がてしまう。
思えば、彼は誰よりも不幸な男なのかもしれない。
弟の
慶寅に對する態度も、
愛情に飢えている
慶龍の極度に捻くれ曲がった愛情表現であり、
更に言えば、
慶龍は
慶寅が
『自分が死んだ時に唯壹悲しんでくれる可能性がある者』と知っている。
慶龍の母親の壹族について
慶龍の先祖に作られた其の超文明王國は獨特の技術を持ち、
現代もその痕跡は幾つも殘されている。
彼等は王族の統治の下、靜かに暮らしていた。
國民は比較的少數だったが、
彼等の特殊能力や人造戰士によって繁榮を極めていたと云う。
嘗て王朝には
壹族の祕儀によって造り出された人造の戰士逹が存在した。
彼等は其の特殊能力を以て王族と王朝の繁榮を影から支えていた。
その後、人造戰士と王族の祕儀は、王國の滅亡と共に闇に葬られてしまった。
然し、朝廷の手によって失はれた筈の技術は蘇った。
朝廷は殘された僅かな遺物から
見事に古代王朝の人造戰士を再現したのである。
(其の技術は機巧おちゃ麻呂等にに使用されている)
だが、其の古代の王朝は
壹夜にして滅んだと云ふ。
理由は天變地異とされてゐるが、その影には、
復活したアンブロジァの意思が働いていたという事は言うまでもない。
特に王族の幼い女王シロヤマヒメは、王族の中でも
特に飛び出た能力を持っていたが、其のシロヤマヒメを以てしても
完全復活したアンブロジァの力にはかなわず殺されてしまう。
古代王朝は滅んだ。だが、其の血筋までが絶えた譯では無い。
シロヤマヒメ程の力は無くとも、
壹族に殘された技術や特殊能力が有った。
滅亡から長い年月が過ぎたが、
壹族に殘された王朝國民の血は途切れる事無く、
血の繼承者逹は密かに脈々と血を保ち續け、
いづれ來たる復讐の時を永きに渡って待ち續け、
失われた超古代文明技術を復活させた。
古壇{ぶるだん}計劃其の壹
通常の傳染ウイルスの數拾倍の感染力を持ち、
宿主細胞をあっといふ間に喰い潰し、ありとあらゆる抗ウイルス劑を無效化、
熱湯による消毒さえ效かない遺傳子操作による新病原性ウイルス・古壇。
これらを愛玩用の動物に植え付け愛玩用動物として世界中にばら撒く。
古壇{ぶるだん}計劃其の貳
*生物兵器とは、生物を訓練あるいは腦そのものを操作する事によつて
動きを制禦し、その生態に爆藥等を括り付け、
敵に特攻させる事により攻撃を加える事を目的とした生きた兵器。
其處で使用される機械は生態と同じ蛋白質で出來ている爲、
あらゆる生態の腦の錐體路系統運動野に直接埋め込む事が可能であり、
集積度は從來の數億倍にもなり、更に學習によって増殖も可能。
全ての動物を兵器化出來、思い通りに攻撃や防衞が可能となる。
海では海豚や鯨が生きた潛水艦や魚雷となり、空では鳥が戰鬪機になる。
渡り鳥に小型の爆彈を積めば正に大陸間彈道彈になる。
陸においては犬や猫等が超小型の高性能戰車であり、
證據も殘らない利點も持ち、低い豫算で最大の軍事的效果を生む。
「五尾惡{ごびあ}計劃
「五尾惡{ごびあ}計劃の究極思想は後に
ナチスの超人思想に流用されている。
慶龍はこう見ている。
「拾數年以降、アンブロジァの復活の影響から
世界は壹部の大國を除き、多くの國が飢える。
幾つかの國は崩れて燃える。貳拾年後邊りには歐州と
全米の參分の壹と、阿弗利加と中東が完全に荒廢するだろう。
そして人類はアンブロジァから手酷く攻撃される。
氣候も貳つに別れ、激しい熱と冷氣、火と氷、
大洪水と大旱魃が代わる代わる人類を襲うだろう。
だが人類の中から超人類が現れる。
最早人類ではアンブロジァに對抗出來ずに滅びかけるだろう。
アンブロジァに對抗する爲に人類は超人類を生み、
アンブロジァを抑え、人類の指導者となる。それが我々である。
そして百年年、人類は地球からいなくなる。
然し、これは人類が殘らず滅びるという意味では無い。
人類が人間以外の機械的生物に、
壹部は人間以上の神人に進化してしまっているからである。
機械的生物は、自分逹が自分の意思で生きていると思っているが、
實は慶龍逹神人は全てを見通しておて、管理工場の如く彼等を育て飼う事となる。
そして千年もすれば、我々完全な神々と完全な機械生物の世界が出來上がる。
地球には機械生物の群れが棲み、神々が宇宙から支配する樣になるのだ。」